フジ住宅株式会社とは

フジ住宅株式会社は、1974年設立の大阪府岸和田市に本社を置く住宅総合メーカーです。
「家族の幸せを住まいから創造する」という理念のもと、分譲・注文住宅、マンション、リフォーム、賃貸管理、土地活用など多彩な事業を展開。高断熱・耐震性・空気環境など住宅性能にこだわり、安心・快適な暮らしを提供しています。
地域密着型の営業体制と充実のアフターサービスで信頼を築き、CSRや人材育成にも注力する企業です。
創業者今井光郎の哲学
人育ての極意書
「人を育てるには、まず自らの器を広げるべし」という言葉には、フジ住宅が大切にする人材育成の本質が凝縮されています。この信念のもとにあるのは、単なる技術や知識の伝授ではなく、育成者自身が常に成長し、変化に対応できる柔軟さと深い人間性を備えてこそ、本物の指導ができるという考えです。
そのためには、強い意志と不断の努力をもって、自己研鑽に励み続けることが求められます。人を導く立場にある者こそ、常に自らを省みて学びを重ね、先を見通す洞察力と人間力を高めていく姿勢が必要です。
その支えとなるのが、3つの存在です。まず、物事の本質を見抜き、原理原則を教えてくれる「師」。つい自分に都合の良い判断をしがちな時に、厳しくも正しい道を指し示してくれる存在です。次に、忖度せずに率直な意見を伝えてくれる「側近」。組織や人間関係の中でこそ得られる貴重なフィードバックです。そして、多角的な視点を持ち、広い知見と経験で思考を導いてくれる「幕賓(ばくひん)」。この三者からの助言を素直に受け入れる姿勢が、自らの成長の土壌となります。
さらに、知識をただ蓄えるだけでは不十分で、それを現場で実践し、失敗から学び、改善を繰り返す「活学」の精神が重視されています。日々の仕事において行動を通して学び、結果を振り返り、次の行動へとつなげていく。このサイクルこそが、真の意味での“成長”を生み出す源泉となるのです。
フジ住宅が培ってきたこの哲学は、単なる教えではなく、企業文化として社員に根付き、組織全体の活力となっています。
ジェック報告の精神
フジ住宅における「報告」の姿勢は、単なる業務上の連絡や義務としてではなく、組織全体の生命線を担う“神経系”として極めて重要なものと位置づけられています。経営者や管理職が正しい判断を下すには、現場で実際に起こっている「生の情報」をリアルタイムで把握する必要があり、その役割を担うのが日々の報告です。
報告が正確かつ迅速であれば、組織は柔軟に対応し、環境変化に強い体質を保つことができます。
特に重要視されているのは、問題やミスに関する報告です。多くの場合、こうした内容の報告には心理的な抵抗が伴いますが、フジ住宅ではそれを「勇気ある行動」と捉え、隠さずに共有する文化を育んでいます。
なぜなら、問題が早期に明るみに出ることで対処が迅速になり、同じ失敗を組織内で繰り返さないという“組織の学習力”が高まるからです。
また、報告は上司との信頼関係を築く大切なコミュニケーション手段でもあります。
単なる事実の伝達にとどまらず、考察や提案を交えて報告することで、部下自身の思考力・判断力・提案力も磨かれ、結果として自己成長につながります。報告の質が上がることは、そのまま組織の質の向上にも直結します。
つまり、報告とは「上司のためにするもの」ではなく、「自分自身と組織のためにするもの」であり、報告の意識改革こそが、組織文化を支える根幹なのです。
フジ住宅が「ジェック報告の精神」としてこれを徹底しているのは、長年の経験に裏打ちされた実践哲学の表れといえるでしょう。
会長の手帳
フジ住宅・今井会長の手帳には、長年の経営経験と人生哲学から導き出された信条や名言が数多く記されており、社員一人ひとりの行動指針としても重要な役割を果たしています。
その中でも特に印象的なのが、「成功とは、他人の権利を尊重し、社会正義に反することなく、自ら価値あると認めた目標を黄金律に従って一つ一つ実現していく過程である」という一節です。
この言葉は、成果だけを追い求めるのではなく、正しい手段と倫理を重視しながら目標達成を目指すことの大切さを説いています。
また、「誠意とは言葉の前に心あり、言葉の後に行動あり」という言葉には、真の誠意は単なる言葉だけでは完結せず、心のこもった想いとそれに基づく行動によって初めて伝わるという考えが込められています。
これは社内外問わず、人と向き合う際の基本姿勢として大きな指針となっています。
さらに、「他人の知恵を借りることを知らない人を愚者という」という一節からは、自己の限界を認め、他者の知見や経験を素直に受け入れることが、より良い判断や行動につながるという姿勢がうかがえます。
これは「謙虚さと学ぶ力」を重視するフジ住宅の組織文化にも通じており、経営トップ自らがその価値観を体現していることがわかります。
今井会長の手帳は単なる備忘録ではなく、社員にとっては人生と仕事における“羅針盤”のような存在であり、日々の行動の中で自らを律し、高めるための道標として活用されています。
フジ住宅株式会社で何が起きた?裁判/訴訟の概要を解説
ヘイトハラスメント裁判
2015年に起きたフジ住宅株式会社が関与した「ヘイトハラスメント裁判」は、在日韓国人三世の女性パート従業員が、社内で配布された民族差別的な資料や政治的活動への動員により精神的苦痛を受けたとして、同社と今井光郎会長を相手取り損害賠償を求めた訴訟です。
原告は、社内で「在日は●ね」といった表現が含まれる差別的文書が配布され、また特定の教科書採択運動への協力が求められたと主張しました。一方、フジ住宅側は、これらの資料は特定の個人を対象としたものではなく、差別的意図はなかったと反論しました。
一審の大阪地方裁判所堺支部は、原告の主張を一部認め、フジ住宅に110万円の損害賠償を命じました。
控訴審の大阪高等裁判所では、賠償額が132万円に増額され、差別的文書の配布差し止めも命じられました。
最終的に、最高裁判所は2022年9月8日、フジ住宅の上告を棄却し、控訴審判決が確定しました。
ブルーリボン訴訟
「ブルーリボン訴訟」は、大阪府岸和田市の不動産会社・フジ住宅株式会社が関与した法廷内での表現の自由を巡る訴訟です。この訴訟は、同社のパート従業員である在日韓国人女性が、職場で民族差別的な資料の配布や政治的活動への動員により精神的苦痛を受けたとして、フジ住宅と今井光郎会長を相手取り損害賠償を求めた「ヘイトハラスメント裁判」に関連しています。裁判の過程で、原告側の支援者が「ストップ!ヘイトハラスメント」と記されたバッジを着用して法廷に出廷したことに対し、被告側の支援者もブルーリボンバッジを着用して出廷しました。
ブルーリボンバッジは、北朝鮮による拉致被害者の救出を願うシンボルとして広く知られています。
しかし、大阪地裁堺支部の裁判長は、法廷内でのメッセージ性のあるバッジの着用を禁止し、両者にバッジの取り外しを命じました。
これに対し、今井会長らフジ住宅側は、ブルーリボンバッジの着用禁止が憲法で保障された表現の自由を侵害しているとして、国家賠償を求める訴訟を起こしました。
彼らは、ブルーリボンバッジが政治的な意図を持たない人道的なシンボルであり、日常的に着用しているものであると主張しました。
しかし、大阪高等裁判所は、裁判長のバッジ着用禁止命令は法廷の秩序を維持するための「法廷警察権」に基づく正当な措置であり、違法ではないと判断しました。
これにより、フジ住宅側の国家賠償請求は棄却されました。
この訴訟は、法廷内での表現の自由と法廷秩序の維持とのバランスを巡る重要な判例となりました。
また、職場における差別的な言動や資料配布が、個人を特定していなくても労働者の人格的利益を侵害しうることを認めた「ヘイトハラスメント裁判」とともに、多様なバックグラウンドを持つ労働者が安心して働ける環境の整備の重要性を再認識させるものとなりました。
フジ住宅株式会社 会社概要
会社名 | フジ住宅株式会社(FUJI CORPORATION LIMITED) |
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代表者 | 代表取締役社長 社長執行役員 宮脇宣綱 |
創業 | 昭和48年1月22日 |
設立 | 昭和49年4月19日 |
所在地 | 〒596-8588 大阪府岸和田市土生町1丁目4番23号 |
資本金 | 48億7,206万円 |
証券コード | 8860 |
上場取引所 | 東証プライム市場 |
従業員数 | 917名(連結1,281名)*パート社員含む |
免許 | 宅建免許 国土交通大臣(13)第2430号 |
許可 | 建設業許可 国土交通大臣 許可(特-4)第26825号 |
登録 | 一級建築士事務所登録 大阪府知事登録(チ)第12796号 |