就活が本格的に始まると、「プレエントリー」「エントリー」「本エントリー」といった似た言葉が次々に登場し、混乱してしまう人は少なくありません。特にリクナビを開くと目に入る「プレエントリー」ボタンについて、押したらどうなるのか、何かの契約が発生するのか、不安に感じたまま先に進めずにいる就活生も多いはずです。
この記事では、リクナビにおけるプレエントリーの意味と役割を整理したうえで、エントリーや本エントリーとの違い、開始時期と締め切りの考え方、そして「結局何社くらいプレエントリーすればいいのか」という実務的な疑問まで、公的な調査データも交えながら順番に解説していきます。
プレエントリーとは何か 「エントリー」との違いを整理する
プレエントリーという言葉は、就活における最初のアクションでありながら、正確な意味を説明できる人は意外と多くありません。まずはこの言葉が指す行為そのものを、就活全体の流れの中に位置づけて考えてみましょう。
プレエントリーは意思表示であり、選考のスタートラインではない
リクナビにおけるプレエントリーとは、気になる企業に対して「興味がある」という意思を伝える行為を指します。ボタンをクリックするだけで完了し、履歴書やエントリーシートの提出は求められません。この段階では企業側もまだ学生を選考対象として扱っておらず、資料請求に近い性質のアクションだと理解しておくと実態に近いはずです。
プレエントリーをした時点では、その企業に応募したことにはなりません。押した後に気が変わっても、選考を辞退する連絡を必ずしなければならないわけではないという点も、あわせて覚えておくと気が楽になるでしょう。
「本エントリー」との違い 同じ「エントリー」でも意味が変わる
プレエントリーの次に登場するのが「本エントリー」です。本エントリーとは、企業説明会やインターンシップを経たうえで、実際にエントリーシートや履歴書を提出し、選考にエントリーする行為を指します。プレエントリーが「関心の表明」であるのに対し、本エントリーは「選考への参加表明」だという違いがあります。
リクナビ上では、この2つの段階が同じ「エントリー」という言葉で語られる場面も多く、就活生の混乱の一因になっています。企業によっては、プレエントリー用の操作画面自体を単に「エントリー」と表記しているケースもあるため、求められている行動が意思表示なのか、書類提出を伴う応募なのかは、その都度、企業ページの案内を確認する姿勢が欠かせません。
リクナビにおけるプレエントリーの仕組み
次に、実際にリクナビの画面上でプレエントリーをすると何が起こるのか、具体的な仕組みを見ていきます。
プレエントリーボタンを押すと何が起こるか
企業ページで「プレエントリー」ボタンを押すと、その企業の情報が学生自身のマイページに登録されます。多くの場合、これと同時に企業からの説明会案内やメールマガジンなどの情報が届くようになります。企業側から見れば、プレエントリーは「自社に関心を持っている学生」を把握するための入り口であり、ここで得られた学生リストをもとに、個別の案内や本エントリーへの誘導が行われていきます。
プレエントリー自体に費用や義務は発生しません。気になった企業を見つけたその場でボタンを押しておき、後からじっくり比較検討するという使い方が、リクナビの設計に沿った活用法だといえるでしょう。
マイページで管理する「プレエントリー企業リスト」
プレエントリーした企業は、マイページの一覧に自動的に蓄積されていきます。この一覧は、説明会の予約状況や選考の進み具合を横断的に確認できる管理画面としても機能するため、複数の企業を並行して追いかける就活の後半になるほど、その存在感が増していきます。
一覧に企業が増えてくると、どの企業にどこまでアクションを起こしたか把握しづらくなる場面も出てきます。プレエントリーした日付や説明会の予約有無を、自分でも簡単なメモに残しておくと、選考が重なる時期に慌てずに済むはずです。
プレエントリーはいつから始まり、いつまでにすべきか
プレエントリーには、就活全体のスケジュールと連動した開始時期と、それぞれの企業が独自に設ける締め切りという、二つの時間軸が存在します。
3月1日の情報解禁と同時にスタートする
新卒採用における広報活動は、卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降に開始するというルールが、政府の関係省庁連絡会議によって示されています。内閣官房の公表資料によれば、採用選考活動は6月1日以降、正式な内定日は10月1日以降が原則とされており、リクナビをはじめとする就活サイトの企業情報も、この3月1日を境に一斉に公開されます。
つまりプレエントリーは、実質的にこの3月1日から本格的に動き出す活動だと考えて差し支えありません。事前準備を進めていた学生ほど、解禁日当日から迷わず行動に移せます。
情報解禁前から準備しておくと、解禁直後から迷わずプレエントリーに動けます。特に次の3つは、早めに済ませておきたい項目です。
- 自己分析を通じて、自分にとって譲れない条件を言葉にしておく
- 業界・企業研究を通じて、候補となる企業の幅を広げておく
- 就活用のメールアドレスとリクナビのアカウントを事前に用意しておく
締め切りは一律ではなく企業ごとに異なる
プレエントリー自体には、就活全体で統一された締め切りは設けられていません。締め切りは企業ごとに個別に設定されており、早い企業では情報解禁からわずか数週間で受付を終了することもあるため、注意が必要です。
気になる企業を見つけたら、その場でプレエントリーだけでも済ませておき、詳しい比較検討は後回しにするという順序で動いたほうが、機会そのものを取りこぼすリスクを減らせるはずです。
プレエントリーから本エントリー、内定までの流れ

プレエントリーは、就活という一連のプロセスの最初の一段に過ぎません。ここから内定に至るまでには、いくつかの段階を経ることになります。
気になる企業にプレエントリーをする(関心の意思表示)
会社説明会やインターンシップなど、企業からの案内を予約する
志望度が高い企業について、エントリーシートなどを提出し本エントリーする
書類選考、筆記試験、面接など複数回の選考を受ける
選考を通過し、内定・内々定を受け取る
平均データで見る、各プロセスで絞り込まれていく現実
公益社団法人 全国求人情報協会が2025年7月に公表した調査によると、2025年卒の大学生がプレエントリーした企業数は平均14.8社でした。ここから書類選考(本エントリーに相当する段階)まで進んだ企業は平均9.3社、最終面接まで到達した企業は平均4.4社、最終的に内定を得た企業は平均2.4社にまで絞り込まれています。同調査では、こうした社数はいずれも2024年卒からやや減少、もしくは同水準で推移していると報告されています。
この数字が示しているのは、プレエントリーの段階では大きく間口を開けておき、選考が進むにつれて自然に絞り込まれていくという就活の構造そのものです。最初から数社だけに絞り込んでしまうと、この自然な絞り込みの過程を体験できないまま、選択肢そのものを狭めてしまう恐れがあります。
プレエントリーは何社くらいすべきか

ここまでの流れを踏まえると、次に気になるのは「では自分は何社くらいプレエントリーすればいいのか」という具体的な数の感覚でしょう。
数を絞りすぎるとチャンスを逃す
先述の全国求人情報協会の調査を社数の分布で見ると、大学生のうち1〜4社にとどまった層が全体の33.0%を占める一方、20社以上プレエントリーした学生も全体で28.5%(20〜49社22.0%、50〜99社4.9%、100社以上1.6%の合計)に上っていました。数の正解は一つではなく、志望業界の幅や併願する業界数によって適切な社数は変わってくるはずです。
ただし、プレエントリーの段階そのものにはコストがほとんどかからないという性質を踏まえると、迷う企業があるならひとまずプレエントリーだけは済ませておくという判断が、後になって選択肢を後悔しにくい進め方だといえます。
「知らなかった企業」ほどプレエントリーで出会う価値がある
同じ調査では、プレエントリーした企業のうち、就活を始める前から知っていた企業は大学生・大学院生ともに平均9.5社程度にとどまっていました。プレエントリーの平均社数14.8社と照らし合わせると、プレエントリーした企業のうち3割強は、就活を進める過程で新たに知った企業だったことになります。
もともと知名度の高い企業だけにプレエントリーを絞ってしまうと、この「新たな出会い」の部分をあらかじめ切り捨ててしまうことになりかねません。業界研究や合同説明会で見つけた聞き慣れない社名の企業ほど、実際に調べてみると自分の希望条件に合っていたということも珍しくないでしょう。
よくある疑問を解消する
最後に、プレエントリーをめぐって就活生から寄せられやすい疑問を、Q&A形式で整理しておきます。
- プレエントリーをしたら、その企業に応募したことになりますか
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なりません。プレエントリーは関心を伝える意思表示であり、履歴書やエントリーシートの提出を伴う応募とは区別されます。応募として選考が始まるのは、本エントリーの段階からです。
- プレエントリーをした後、連絡をしないまま放置しても問題ありませんか
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大きな問題にはなりません。プレエントリーの時点では契約や応募が成立しているわけではないため、辞退の連絡を必ず入れなければならない義務は基本的にありません。ただし、説明会の予約などをすでに済ませている場合は、キャンセルの連絡を入れておくと丁寧な対応になるでしょう。
- プレエントリーの締め切りを過ぎてしまったらどうすればいいですか
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その企業へのプレエントリーはできなくなりますが、就活全体が終わるわけではありません。同じ業界の他社を探す、企業のホームページから直接問い合わせるといった代替手段が残っているため、一社の締め切りに一喜一憂しすぎない姿勢も大切です。
まとめ プレエントリーは「気になる」を可視化する最初の一歩
プレエントリーとは、企業への関心を伝えるだけの軽やかな意思表示であり、応募や選考参加そのものを意味するものではありません。エントリーや本エントリーとの違いを理解しておけば、リクナビの画面を前にして必要以上に身構える必要はなくなるはずです。
3月1日の情報解禁とともに動き出すこの最初の一歩は、数を絞り込みすぎず、気になった企業から気軽に押していくくらいの感覚で臨んだほうが、結果的に本エントリー以降の選択肢を豊かに残すことにつながるはずです。

