就職活動のエントリーシート(ES)や履歴書には、趣味・特技を書く欄が用意されていることがよくあります。志望動機やガクチカと違って何を書けばよいのか基準がつかみにくく、そこで手が止まってしまう人も多いのではないでしょうか。
この欄は、書く内容そのものより「どう書くか」で印象が変わりやすい項目です。趣味・特技の選び方から、文字数別の書き分け方、面接で深掘りされたときの答え方まで、順を追って整理していきます。
なぜES・履歴書で「趣味・特技」を聞かれるのか
趣味・特技欄は雑談のための項目に見えますが、採用担当者にとっては応募者を多角的に理解するための材料になっています。まずは、なぜこの欄が設けられているのかを押さえておくと、書く内容も選びやすくなります。
人柄や価値観が伝わる項目だから
履歴書の学歴・職歴欄や、ESの自己PR・ガクチカだけでは、応募者がどんな人物なのかを立体的に把握するのは難しいものです。趣味や特技には、その人が何に時間を使い、何を大切にしているかが自然と表れます。担当者は肩の力が抜けた記述から、面接だけでは見えにくい素の部分を読み取ろうとしています。
仕事への向き合い方を想像する材料になるから
趣味に打ち込む姿勢は、そのまま仕事への取り組み方の予測材料にもなります。長期間ひとつの趣味を続けている場合は、粘り強さや継続力の裏づけとして受け止められやすくなります。次々と関心が移っている場合でも、それ自体が悪いわけではなく、好奇心の広さとして評価されることもあるでしょう。
面接で話を広げるきっかけになるから
趣味・特技欄は、面接官が会話の糸口として使う項目でもあります。想定していない切り口から質問されると、準備してきた自己PRよりも素の受け答えが見えやすくなります。書いた内容について聞かれたときにどう答えるかまで含めて準備しておくと安心です。
趣味と特技の違いを整理しておく
趣味・特技欄でつまずく理由のひとつに、趣味と特技を混同したまま書き始めてしまうことがあります。まずはそれぞれの定義を整理しておきましょう。
趣味は「継続して楽しんでいること」
趣味は、資格や成果の有無に関係なく、自分が継続的に楽しんでいることを指します。読書や旅行、音楽鑑賞のように、他人に教えられるレベルの技術は求められません。大切なのは、なぜそれを続けているのか、どんなときに楽しさを感じるのかを言葉にできることです。
特技は「他人に説明・指導できる得意なこと」
特技は、一定の練習や経験を積んで身についた、再現性のある得意なことを指します。目安としては「その内容を他人に教えられるか」「同じ条件であれば繰り返し成果を出せるか」を基準に考えると選びやすくなります。資格や実績があれば説得力が増しますが、必須ではありません。
どちらか一方しか書けなくても問題はない
ESの様式によっては趣味・特技が一つの欄にまとまっていることも多く、必ずしも両方を用意する必要はありません。趣味だけ、特技だけでも、内容が具体的であれば十分に評価対象になります。無理に両方を埋めようとして内容の薄いものを並べるよりも、一つに絞って深く書くほうが良い印象につながります。
趣味・特技が思いつかないときの探し方

「これといった趣味も特技もない」と感じる人は少なくありません。特別な実績がなくても、日常の行動を振り返れば書ける材料は見つかります。
時間とお金をかけていることを振り返る
普段、何にお金や時間を使っているかを書き出してみると、無自覚だった関心が見えてきます。動画配信サービスで繰り返し見ている番組のジャンル、休日に必ず立ち寄る場所、通い続けているお店なども立派な手がかりになります。
過去に夢中になっていたことをさかのぼる
現在進行形の趣味がなくても、学生時代や社会人になってから熱中した経験は誰にでもあるはずです。部活動や習い事、資格の勉強など、当時どのように取り組んでいたかを思い出すと、特技として書ける要素が見つかることがあります。
周囲の人に聞いてみる
自分では当たり前だと思っている行動が、他人から見ると特徴的に映ることがあります。家族や友人に「自分は何が好きそうに見えるか」「何が得意そうに見えるか」を聞いてみると、自分では気づきにくい視点が得られます。
それでも見つからない場合は「日常の工夫」に目を向ける
趣味と呼べるほどの活動がなくても、生活の中で無意識に工夫していることは特技になり得ます。家計簿を続けている、部屋の片づけ方にこだわりがある、通学・通勤ルートを効率化しているといった内容も、継続力や工夫の姿勢として書くことができます。
評価されやすい趣味・特技の共通点
内容そのものの珍しさよりも、書き方の工夫によって印象は大きく変わります。評価されやすい趣味・特技には、いくつかの共通点があります。
- 数字や固有名詞で具体的に説明できる
- きっかけや工夫のプロセスを語れる
- 誤解や不安を与えにくい内容である
たとえば「本を読むのが好きです」よりも「月に5冊、ビジネス書を中心に読んでいます」のほうが、読み手の頭に情景が浮かびやすくなります。数字や固有名詞は、趣味・特技を裏づける証拠として機能します。
続けている理由や、途中でぶつかった壁をどう乗り越えたかを添えると、単なる好みの紹介ではなく、その人の思考プロセスが伝わる文章になります。
ギャンブルや過度に個人的な内容は、説明を尽くす前に印象だけで判断されやすいテーマです。誰が読んでも大きな誤解を生まない題材を選ぶことも、書き方と同じくらい大切な工夫といえます。
この3点を意識するだけで、同じ趣味・特技でも伝わり方は大きく変わります。次の章では、実際にどう文章に落とし込むかを、具体的な型に沿って見ていきます。
ES・履歴書での趣味・特技の書き方(結論から伝える型)

趣味・特技欄は文字数が限られていることが多く、思いついた順に書いていくと要点がぼやけてしまいます。まずは結論から伝える型を押さえておくと、短い文字数でも読みやすい文章になります。
最初に趣味・特技の名称を一言で示します。「私の趣味は〇〇です」「私の特技は〇〇です」と結論から入ることで、担当者は残りの文章を読む準備ができます。
始めたきっかけや、どのように取り組んできたかを簡潔に添えます。長い経緯を語る必要はなく、一文程度でも十分です。
続けている期間、頻度、資格の級など、数字や固有名詞を一つ入れると説得力が増します。数字がない場合は、工夫した点や乗り越えた壁を具体的に書きます。
最後に、その趣味・特技を通じて身についた考え方や姿勢に軽く触れます。仕事に無理やり結びつける必要はなく、自然に添えられる範囲で構いません。
この型に沿って書くと、限られた文字数でも「結論」「具体性」「人柄」の三つが伝わる文章になります。
文字数別に書き分けるコツ
ES・履歴書のフォーマットによって、趣味・特技欄の文字数は50字程度から400字近くまで幅があります。文字数に応じて盛り込む要素を調整することが必要です。
50〜100字程度で書く場合
文字数が少ない場合は、結論と一言添えるだけで十分です。きっかけや数字まで盛り込もうとすると、かえって文章が窮屈になり読みにくくなります。趣味・特技の名称と、それを象徴する一言に絞り込みましょう。
200字前後で書く場合
結論、きっかけ、一言の三要素に加えて、数字や固有名詞を一つ入れられる文字数です。前述の型でいう「結論」から「きっかけ・取り組み方」までを丁寧に書き、残りで具体性を補うイメージです。
300〜400字程度で書く場合
四つの要素をすべて盛り込める文字数です。ただし要素を増やせるからといって説明を長くしすぎると、逆に趣旨がぼやけてしまいます。一つのエピソードを深掘りするほうが、複数のエピソードを浅く並べるよりも印象に残ります。
文字数カウント機能を活用する
Web上で入力するES形式では、多くの場合、入力画面に残り文字数が表示されます。下書きの段階で一度多めに書き出し、優先順位の低い部分から削っていくと、規定の文字数ぴったりに収めやすくなります。手書きの履歴書の場合は、先に下書き用紙で文字数を数えてから清書すると失敗を防げます。
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【例文】趣味・特技の書き方サンプル
ここまでの型を踏まえて、代表的な趣味・特技のジャンル別に例文の考え方を紹介します。実際に書くときは、自分の経験に置き換えて活用してください。
読書
私の趣味は読書です。月に5冊前後を目安に、ジャンルを固定せず幅広く読むようにしています。読んだ内容を自分の言葉で要約する習慣をつけたことで、物事を整理して人に伝える力が身についたと感じています。
スポーツ観戦
私の趣味はプロ野球観戦です。応援するチームの試合を年間20試合ほど球場で観戦しており、選手の調子だけでなく戦術の変化にも注目しています。数字やデータから状況を読み解く視点は、日常の情報整理にも役立っています。
旅行
私の趣味は一人旅です。移動手段や滞在先を自分で調べて計画を立てることが好きで、これまでに15都道府県を訪れました。限られた予算と時間の中で優先順位をつけて計画を組み立てる経験は、物事の段取りを考える習慣につながっています。
プログラミング
私の特技はプログラミングです。独学でWebサイトを制作した経験があり、エラーが出るたびに原因を切り分けて解決する過程を続けてきました。うまくいかない原因を一つずつ確認していく姿勢は、他の作業にも共通して活きています。
料理
私の趣味は料理です。休日は必ず自炊をしており、レシピ通りに作るだけでなく、余った食材を活かして献立を考えることを楽しんでいます。限られた材料でどう組み立てるかを考える工程は、計画性を養う機会になっています。
語学学習
私の特技は英語学習を継続する力です。TOEICのスコアを3年間で120点伸ばし、通勤・通学時間を音声教材にあてる習慣を続けています。目標に向けて日々の積み重ねを可視化する姿勢は、他の目標に取り組むときにも活かせると考えています。
ボランティア活動
私の趣味は地域の清掃ボランティア活動です。月に1回、近隣の住民と協力して公園の清掃を続けており、参加者同士で役割分担を工夫しています。立場の異なる人たちと一つの目的に向かって動く経験は、協働の進め方を考える機会になっています。
書くときに避けたい趣味・特技と注意点
内容そのものより、書き方や選び方を誤ると印象を下げてしまうことがあります。次のような点には注意が必要です。
「特にありません」「空欄」は避ける
趣味・特技欄を空欄のまま提出することは避けたほうがよいです。回答がないこと自体が、自己分析や準備の不足として受け取られる可能性があります。どうしても思い浮かばない場合は、前述の探し方を参考に、日常の中から小さな行動を掘り起こしてみてください。
事実と異なる内容や誇張は書かない
面接で深掘りされたときに答えられない内容は書かないほうがよいです。詳しく聞かれた際に説明できないと、記載内容そのものへの信頼が揺らいでしまいます。資格の級や実績を書く場合は、正確な名称と時期を確認してから記載しましょう。
誤解や不安を与えかねない内容は選ばない
ギャンブルや、社会的に誤解を招きやすい趣味は避けるのが無難です。趣味そのものに優劣はありませんが、初対面に近い書類選考の場では、説明を尽くす前に印象だけで判断されてしまうリスクがあります。
詰め込みすぎない
限られた文字数の中に複数の趣味・特技を並べると、一つひとつの説明が薄くなります。多くても2つ程度に絞り、それぞれをきちんと説明できる分量を確保することを優先します。
面接で趣味・特技について聞かれたときの答え方
書類に書いた内容は、面接でそのまま話題にされることがあります。ES・履歴書と矛盾のない受け答えを準備しておきましょう。
書いた内容を軸に、話を広げられるようにしておく
面接では、書類に書いた趣味・特技について「具体的にどんなところが好きですか」「始めたきっかけは何ですか」といった深掘り質問が想定されます。ESに書いた要点をそのまま繰り返すのではなく、少し詳しいエピソードを一つ用意しておくと、会話が広がりやすくなります。
自己PRやガクチカとの一貫性を意識する
見落とされがちですが、採用担当者は趣味・特技欄と自己PR・ガクチカを見比べて、応募者の人物像に一貫性があるかを確認していることがあります。自己PRで継続力を挙げているのに、趣味・特技欄では長続きしなかった経験ばかりが並んでいると、印象がちぐはぐになってしまいます。書類全体を通して伝えたい人物像がぶれていないか、提出前に見直しておくと安心です。
よくある質問
- 趣味と特技は両方書く必要がありますか
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必須ではありません。様式によっては趣味・特技が一つの欄にまとまっていることも多く、どちらか一方でも、内容が具体的であれば十分に評価対象になります。
- 趣味や特技が思いつかない場合、空欄でも良いですか
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空欄のまま提出することは避けたほうがよいです。日常の中で時間を使っていることや、過去に熱中した経験を振り返れば、書ける材料は見つかります。
- アニメやゲームは趣味として書いても良いですか
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書くこと自体に問題はありませんが、対象を知らない担当者にも伝わるように説明を添える必要があります。好きな理由や、そこから得た視点を一言加えると印象が伝わりやすくなります。
趣味・特技欄は、内容の珍しさよりも「結論から伝える」「具体性を添える」「一貫性を保つ」という書き方の工夫で印象が変わる項目です。今回紹介した型を手元に置きながら、自分の経験を言葉にしてみてください。

