岩手で入ってはいけない運送会社一覧|軽貨物の安全管理者と賃金の確かめ方

「岩手で入ってはいけない運送会社を、誰かがまとめていないだろうか」。配送ドライバーの求人を見比べ始めると、こう考える人もいるでしょう。求人票の条件はどれも似ていて、会社の中の管理までは書かれていないからです。ところが、行政処分を受けた運送会社の名前と処分の内容は国と東北運輸局が公開しており、岩手県を選べば過去5年分を自分で調べられます。

国土交通省によると、平成28年から令和5年にかけて、保有台数1万台あたりの事業用軽自動車の死亡・重傷事故件数は約4割増えました。これを踏まえ、軽自動車で運ぶ貨物軽自動車運送事業の安全対策が令和7年4月から強化されています(国土交通省)。軽貨物の求人に応募するなら、事業の区分と安全管理の体制を最初に確かめておきましょう。

本記事では、許可と届出の違いから、処分の記録の読み方、貨物軽自動車安全管理者、12月1日に変わる岩手県の最低賃金まで、就活キャリア研究所の視点で順にお伝えします。

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目次

岩手の運送会社が外から見分けにくい3つの理由

岩手の運送会社が外から見分けにくいのは、許可の事業と届出の事業が同じ求人に並び、処分の情報が複数の窓口に分かれ、最低賃金も12月1日に変わるからです。

許可と届出の事業が同じ求人に並ぶから

トラックによる運送事業は、普通トラックで複数の荷主の荷物を運ぶ一般貨物自動車運送事業、特定の荷主の荷物を運ぶ特定貨物自動車運送事業、軽トラックで運ぶ貨物軽自動車運送事業の3つに分かれます。前の2つは許可の事業で、許可の申請には法令試験があります。貨物軽自動車運送事業は、営業所を置く県の運輸支局長への届出で始められます(東北運輸局)。

求人票ではどちらも「配送ドライバー」と書かれることがあり、区分までは読み取れないことがあります。許可の事業と届出の事業では、会社に求められる管理の体制が違うため、区分が分からないまま面接に臨むと尋ねるべきことを取り違えます。

処分の情報が3か所に分かれているから

運送会社の処分や違反の記録は、担当する役所ごとに別々の場所で公開されています。東北運輸局は、一般貨物と軽貨物の令和7年度分の集計、月ごとの個表、累積点数が20点を超える事業者の概要を掲載しています(東北運輸局)。国土交通省も、全国の処分を事業者名から検索できる形で公開しています(国土交通省)。

労働時間や賃金をめぐる労働基準法などの違反は、岩手労働局が公表事案として掲載しています(岩手労働局)。公表事案は、送検した事案などを公表日から概ね1年間掲載する決まりです(厚生労働省)。運輸の処分の記録に名前がなくても、労働局の公表事案に載っていることがあるため、両方を見ておく必要があります。

最低賃金の改定が12月1日だから

岩手県最低賃金は、令和8年12月1日から時間額1,090円になります(岩手労働局)。11月30日までは改定前の1,031円で、引き上げ額は59円です(厚生労働省)。

岩手労働局によると、地域別最低賃金は産業や職業の種類を問わず、原則として県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます(岩手労働局)。秋に出ている求人の時給が、12月1日からは下限を下回ることも起こりえます。入社が12月をまたぐときは、改定後の時給を確かめておきましょう。

入ってはいけない運送会社に共通する4つの特徴

岩手で運送会社を見極める4つの視点を示した図(事業の区分・安全責任者・処分の説明・賃金の下限)

入ってはいけない運送会社かどうかは、事業の区分と安全の責任者、処分の記録について、会社が具体的に説明できるかで見分けられます。岩手で応募先を選ぶときに確かめたい特徴は、次の4つです。

  1. 事業の区分と契約の形を説明できない
  2. 安全を管理する責任者が決まっていない
  3. 行政処分の内容を説明できない
  4. 賃金が12月の改定を織り込んでいない

事業の区分と契約の形を説明できない

採用の担当者が自社の事業区分を即答できるかは、管理の様子を映します。許可の事業なら、許可の区分と営業所の場所、車庫の位置をその場で説明できるはずです。届出の軽貨物の事業なら、雇用契約で働くのか、業務委託の契約で働くのかを書面で確かめます。

業務委託という名前の契約でも、労働基準法上の労働者に当たるかどうかは、契約の形式や名称にかかわらず、働き方の実態を踏まえて総合的に判断されます。厚生労働省は令和6年11月1日に合わせて、労働者に当たる可能性があると考えるフリーランスの相談窓口を全国の労働基準監督署に設けると発表しました(厚生労働省)。報酬の決め方と、仕事の指示を誰から受けるのかを書面で示せない会社は、応募の前に立ち止まって考えたほうがよいでしょう。

安全を管理する責任者が決まっていない

安全を管理する責任者は、事業の区分ごとに法令で決まっています。一般貨物と特定貨物の事業者は、営業所ごとに、被けん引自動車を除く車両数を30で割った数に1を足した人数以上の運行管理者を選任します。割った数の端数は切り捨てるため、29両までなら1人、30両から59両なら2人です。ただし5両未満の営業所で、地方運輸局長が安全の確保に支障がないと認めた場合は除かれます(e-Gov法令検索)。

軽貨物の事業者は、令和7年4月から、営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を選任しなければなりません。一人で事業を行っている場合も対象で、三輪の軽自動車や二輪の自動車で運ぶバイク便の事業は除かれます。安全管理者には選任の前に講習を、選任後も2年ごとに定期講習を受けさせます。令和7年3月末までに経営の届出をした事業者は令和9年3月までに講習を受けさせて選任すればよく、4月以降に届け出た事業者は速やかに行う必要があります(国土交通省)。一般貨物か特定貨物の事業も営む事業者が、その運行管理者を安全管理者にする場合は、講習を受けずに選任でき、運行管理者でいる間は定期講習も要りません(e-Gov法令検索)。

令和7年3月末までに届け出た事業者なら、令和8年10月時点で安全管理者をまだ選任していなくても、それだけで違反とはいえません。それでも「安全管理者は誰で、いつ講習を受けましたか」と尋ねたときに名前と予定が出てくるかどうかで、安全への構えが見えてきます。

行政処分の内容を説明できない

処分の記録を読むときは、件数と処分の重さを分けて見ます。東北運輸局の令和7年度分の集計を岩手運輸支局の行で見ると、「行政処分等を受けた事業者数」は一般貨物が17、軽貨物が53でした。内訳は一般貨物が車両使用停止15件と警告2件、軽貨物が車両使用停止47件と警告6件で、許可の取消しや事業の停止はありません(東北運輸局)。

月ごとの個表と合わせて見ると、表の「事業者数」は会社の数ではなく処分等を受けた営業所の数で、1つの事業者が複数の営業所で処分を受ければ、その営業所の数だけ数えられています。岩手の軽貨物の53か所は、点呼の実施や記録の不備を理由に処分を受けた1つの事業者の営業所です(東北運輸局)。一般貨物の17か所は16社の営業所でした(東北運輸局)。

国土交通省の基準では、一般貨物と特定貨物の事業者に対する行政処分は、軽いものから順に自動車等の使用停止処分、事業停止処分、許可の取消処分です。警告はこれに至らないものとして扱われます。これらの事業者には、違反の内容に応じて決まる処分日車数の10日車までごとに1点の違反点数が付き、管轄区域ごとに原則3年間累計されます。累計が81点以上になると、原則として許可の取消処分です(国土交通省)。

東北運輸局が公表している累積違反点数20点超の事業者の概要には、令和8年6月末時点で東北6県の11事業者が載り、そのうち5事業者が岩手運輸支局の管内です。主な違反行為には、輸送の安全の確保に関する事項の違反や、過労運転の防止措置の違反が並んでいます(東北運輸局)。面接で処分歴を尋ねたときに、いつ、どの違反で、その後に何を改めたのかを答えられるかが分かれ目です。

賃金が12月の改定を織り込んでいない

提示された賃金が最低賃金を満たすかは、最低賃金の対象になる部分だけで計算します。対象は毎月支払われる基本的な賃金で、時間外や休日の割増賃金、賞与、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などは含めません(厚生労働省)。固定残業代も時間外労働に対して払われる賃金なので、除いてから計算します。

月給制なら、対象になる月給を1か月平均の所定労働時間で割った額を時間額と比べます。歩合給は、その期間の歩合給の総額を、歩合給を得るために働いた総労働時間で割って比べます(厚生労働省)。12月1日以降も働き続けるなら、比べる相手は1,090円です。

岩手の公的な情報で会社を確かめる手順

岩手で入ってはいけない運送会社一覧について公開されている情報を確かめている場面のイラスト

応募先の社名が決まったら、次の3つの手順で、運輸行政の処分と労働基準法などの違反の記録を順に調べます。

STEP1

国土交通省の行政処分情報の検索で、事業の種類に一般貨物か軽貨物、都道府県に岩手県を選び、事業者名を入れて調べます。過去5年間の処分等が載り、都道府県は営業所の所在地で選ぶ形です。掲載は処分の翌月末が目安です(国土交通省)。

STEP2

東北運輸局のトラック事業者の行政処分等の状況を開き、一般貨物と軽貨物の集計と月ごとの個表、累積点数が20点を超える事業者の概要に目を通します(東北運輸局)。

STEP3

岩手労働局の監督課のお知らせのページで、書類送検などの公表に社名がないかを探します。公表から一定の期間が過ぎた事案は、令和8年9月30日に更新された「労働基準関係法令違反に係る公表事案」にまとめられています(岩手労働局)。

3つとも何も出てこなくても、違反がなかったとは限りません。国の検索は過去5年分、労働局の公表事案は概ね1年分しか載らず、監査や監督指導を受けていない会社はそもそも記録に出ないからです。逆に記録があった会社も、すぐに候補から外すより、何を改めたかを面接で尋ねてから判断するほうが確かです。

岩手運輸支局と岩手県トラック協会

岩手県内の貨物運送事業の問い合わせ先は、紫波郡矢巾町流通センター南2丁目8-5にある岩手運輸支局の輸送・監査部門です。軽貨物の届出用紙もここで用意されています(東北運輸局)。会社の説明に出てくる手続きの窓口が実在の支局と合っているかを確かめるときに使えます。

公益社団法人岩手県トラック協会は、2025年3月31日時点で会員627社、車両12,875両の団体です(岩手県トラック協会)。

軽貨物の求人で確かめたい安全対策と働き方

軽貨物の求人では、令和7年4月から強化された安全対策を会社が実際に行っているかと、冬の運行や拘束時間の扱いを確かめます。

令和7年4月に加わった4つの安全対策

貨物軽自動車安全管理者の選任と講習のほかに、令和7年4月から軽貨物の事業者に加わった安全対策は次の4つです(国土交通省)。

  1. 初任運転者などへの特別な指導と適性診断
  2. 業務の記録の作成と1年間の保存
  3. 事故の記録の作成と3年間の保存
  4. 死傷者を生じた事故などの国土交通大臣への報告

このうち初任運転者などへの指導と適性診断、業務の記録の2つは、バイク便の事業には求められていません。特別な指導と適性診断の対象は、過去に一度も特別な指導や適性診断を受けていない初任運転者、65歳以上の高齢者、死者または負傷者が生じた事故を引き起こした運転者です。令和7年3月末までに経営の届出をした事業者は、令和10年3月までに行えばよいとされています(国土交通省)。初めて軽貨物の仕事に就く人は、この指導と適性診断を受ける段取りがあるかを尋ねておきましょう。

雪道の運行と点呼の進め方

軽貨物の事業者は、一人で事業を行っている場合でも、乗務の前後に運転者へ必要な事項を確かめて指示をする点呼を行います。異常気象のときは、台風の接近時に必要に応じて運行を中止したり、雪道で冬用タイヤを着けたりして、輸送の安全を確保する措置を講じなければなりません(国土交通省)。

面接では、誰が何時に点呼をするのか、冬用タイヤの費用を誰が持つのかを尋ねましょう。自分の車両を使う業務委託の契約では、タイヤ代や燃料代が報酬から引かれるのか、自分で負担するのかで手元に残る額が変わります。

拘束時間の上限と監督指導の結果

軽貨物の事業者も、運転者の拘束時間を1年3,300時間以内、1か月284時間以内、1日13時間以内に収めます。1日の上限は15時間で、休息期間は継続11時間以上を与えるよう努めることを基本に、9時間を下回ってはいけません。一人で事業を行う場合も、自分でこの範囲の勤務時間を決めて守る必要があります(国土交通省)。これらの原則の数字は、雇用されて働くトラック運転者に当てはまる厚生労働省の改善基準告示と同じです(厚生労働省)。

令和7年に全国の労働基準監督署などが監督指導したトラックの事業場3,175か所のうち、改善基準告示の違反は1,812事業場で、1日の最大拘束時間の違反が1,408事業場と最も多くなっています。この監督指導は違反が疑われる事業場を対象にしたものなので、すべての運送会社の違反率ではありません(厚生労働省)。出庫と帰着の時刻を尋ねて上の数字に当てはめれば、無理のある運行かどうかを自分で判断できます。

岩手の運送会社選びでよくある質問

岩手県で運送会社を選ぶときによく寄せられる4つの疑問に答えます。

岩手で処分を受けた運送会社の一覧はありますか

あります。国土交通省の行政処分情報の検索で都道府県に岩手県を選ぶと、過去5年間に処分等を受けた事業者を調べられます(国土交通省)。東北運輸局も、一般貨物と軽貨物の個表を月ごとに掲載しています(東北運輸局)。

軽貨物の会社も国の許可を受けていますか

軽貨物の事業は許可ではなく、運輸支局長への届出で始められます。許可が要るのは、普通トラックなどで運ぶ一般貨物自動車運送事業と特定貨物自動車運送事業です(東北運輸局)。

岩手県の最低賃金はいくらですか

令和8年11月30日までは時間額1,031円で、12月1日から1,090円に上がります(岩手労働局)。地域別最低賃金は毎年見直されるため、応募の時点で全国の一覧を確かめてください(厚生労働省)。

業務委託でも最低賃金は守られますか

働き方の実態によります。最低賃金法は、対象の労働者を、労働基準法第9条に定める労働者から家事使用人などを除いた人としています(e-Gov法令検索)。業務委託の契約でも、労働基準法上の労働者に当たるかは、契約の形式や名称にかかわらず実態で判断されます(厚生労働省)。迷ったときは、最寄りの労働基準監督署に尋ねましょう。

区分と処分の記録を確かめてから応募しよう

岩手で入ってはいけない運送会社を名指しした公的な一覧はありません。それでも、行政処分を受けた事業者は国土交通省と東北運輸局が、送検などの事案は岩手労働局が公開しており、岩手県で絞り込んで自分で調べられます。令和7年度に岩手運輸支局の管内で処分等の対象になった軽貨物の53か所は1つの事業者の営業所で、件数の多さだけでは会社ごとの違いは分かりません。

記録を調べたら、面接では事業の区分と契約の形、運行管理者か貨物軽自動車安全管理者の名前、処分の中身と改めたことを尋ねてみてください。賃金は、12月1日からの最低賃金1,090円と比べて確かめます。求人票の言葉ではなく、公開された記録と会社の答えを物差しにして、自分が続けられる会社を選んでいきましょう。

この記事の著者情報

株式会社ネット風評被害対策 代表取締役 内村淳

ネット風評被害対策の専門家として15年以上の実績を持つ。
風評被害誹謗中傷対策・サジェスト対策・逆SEO対策・SNS炎上対応など、企業のWebリスク解決を累計10,000社以上支援。
ネット誹謗中傷対策に特化した法律事務所に1年間従事し、法的観点からの対応知見を習得。IT技術と法的アプローチの双方に携わってきた経験を持つ。
あらゆるネット風評被害対策支援に加え、企業向けコンサルティングや同業他社へのサービス提供も行う。
現在、日々進化するAI検索エンジンのアルゴリズムを徹底解析し、AI検索時代に適応した次世代の風評対策に注力している。

著書: 『AI時代のネット風評被害対策』(Kindle出版) ↗

発信活動: ネット風評被害対策に関する情報をnoteでも発信しています。 note ↗

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