「玩具業界の大手といえば、ガンプラのバンダイナムコグループと、トミカのタカラトミー」。どちらも子どもの頃から売り場で目にしてきた商品を持つ会社なので、そう考える人は少なくありません。ところが、上場会社の有価証券報告書で連結売上高を並べると、2位に入るのはおもちゃの卸売りを主力とするハピネットです。1位のバンダイナムコホールディングスも、売上高の半分ほどはゲームやアミューズメントなど、おもちゃ以外の事業によるものです。
この記事では、2026年10月時点で公開されている最新の有価証券報告書をもとに、おもちゃを主な事業とする上場5社を連結売上高の順に並べます。あわせて、会社ごとの平均年間給与がどの範囲の社員の数字なのか、決算期の違う会社をどう比べるかを、就活キャリア研究所の視点で整理します。
先に押さえておきたいのは、売上高と平均年間給与では集計の範囲が違うことです。売上高は子会社を含めたグループ全体(連結)の数字で、平均年間給与は有価証券報告書を出した会社1社(単体)の社員の数字です。この2つを分けて読むと、ランキングの順位と、自分が働くかもしれない会社の姿を取り違えずに済みます。
連結売上高で見る玩具業界の大手企業ランキング
玩具業界の大手企業を連結売上高で並べると、1位はバンダイナムコホールディングスで、5社の中で唯一1兆円を超えています。対象にしたのは、おもちゃの企画・製造・卸売りを主な事業とする東京証券取引所の上場会社のうち、連結売上高の大きい次の5社です。数字はいずれも各社の最新の有価証券報告書から取りました(金融庁 EDINET)。
- バンダイナムコホールディングス:約1兆3,482億円(2026年3月期)
- ハピネット:約4,391億円(2026年3月期)
- タカラトミー:約2,705億円(2026年3月期)
- ブシロード:約578億円(2026年6月期)
- 壽屋:約168億円(2026年6月期)
市場区分は有価証券報告書の提出日時点で、上位3社がプライム市場、ブシロードがグロース市場、壽屋がスタンダード市場です。
2位のハピネットはメーカーではなく、おもちゃを小売店などに販売する卸売りの会社です。同社の有価証券報告書では、バンダイナムコホールディングスが議決権の26.5%(うち間接所有0.3%)を持つ「その他の関係会社」と記載されています(ハピネット 有価証券報告書)。メーカーと卸の売上高には同じ商品が重なって入りうるため、5社の数字を足しても業界全体の大きさにはなりません。
大手5社の事業の特徴と平均年間給与
大手5社は、おもちゃとの関わり方がそれぞれ違います。各社の平均年間給与は、5社とも賞与と基準外賃金を含んだ、有価証券報告書を出した会社(提出会社)の社員の数字です。
バンダイナムコホールディングス
バンダイナムコホールディングスは、子会社96社と関連会社17社を束ねる持株会社です。グループには、トイホビー事業、デジタル事業、映像音楽事業、アミューズメント事業があります(バンダイナムコホールディングス 有価証券報告書)。
おもちゃを扱うトイホビー事業では、ガンプラ(ガンダムシリーズのプラモデル)やコレクターズフィギュア、一番くじが好調でした。トレーディングカードゲームやガシャポン(カプセルトイ)も業績に貢献し、「たまごっち」関連商品は国内外で人気になったと報告されています。持株会社の従業員は80人で、平均年齢44.6歳、平均勤続年数16.7年、平均年間給与は983万8,000円です(2026年3月31日時点)。
ハピネット
ハピネットは、おもちゃやトレーディングカード、雑貨を、量販店や専門店、コンビニエンスストア、ネット通販などへ販売する卸売りの会社です。玩具事業のほか、ビデオゲーム事業、映像音楽事業、おもちゃの自動販売機やカプセル玩具の専門店を運営するアミューズメント事業を持っています。
2026年3月期の会社全体の販売実績のうち、アマゾンジャパン合同会社向けが14.3%、株式会社セブン-イレブン・ジャパン向けが10.9%を占めています。提出会社の従業員は512人で、平均年齢39歳1か月、平均勤続年数13年5か月、平均年間給与は768万9,000円です(ハピネット 有価証券報告書)。
タカラトミー
タカラトミーは、子会社34社と関連会社3社でグループを構成するおもちゃメーカーです。2026年3月期は、トレーディングカードゲーム「デュエル・マスターズ」や、大人向けの「トミカ」、アジアでの「BEYBLADE X」などが伸び、売上高は過去最高になりました。
提出会社の従業員は630人で、平均年齢42.1歳、平均勤続年数12.7年、平均年間給与は1,038万2,618円です。前の期より12.8%増えており、報告書は2024年7月に導入した人事制度の改定と、業績連動賞与の増加を主な理由に挙げています(タカラトミー 有価証券報告書)。
ブシロード
ブシロードは、2007年5月にトレーディングカードゲーム事業を展開する目的で設立された会社です。「ヴァイスシュヴァルツ」や「カードファイト!! ヴァンガード」などのカードゲームを出しており、デジタルゲーム、音楽ライブ、女子プロレスの事業も持っています。トレーディングカードは、日本玩具協会の玩具市場の統計でも「カードゲーム・トレーディングカード」として玩具の分野の1つに数えられています(日本玩具協会)。
提出会社の従業員は275人で、平均年齢32.4歳、平均勤続年数4.7年、平均年間給与は499万1,175円です。平均年齢は5社の提出会社の中で最も若くなっています(ブシロード 有価証券報告書)。
壽屋
壽屋は、フィギュアやプラモデル、雑貨などのホビー関連品を企画・製造・販売する会社です。アニメやゲームのキャラクターの商品と自社オリジナルの商品があり、原型の製作やデザインは本社で行い、製造は主に中国の製造会社に委託しています。
提出会社の従業員は204人で、平均年齢38.8歳、平均勤続年数11.2年、平均年間給与は544万3,000円です。連結子会社には、中国の上海寿屋進出口有限公司と米国のKotobukiya America Inc.があります(壽屋 有価証券報告書)。
玩具業界の大手を比べる4つのポイント

玩具業界の大手を比べるときは、次の4つのポイントを押さえると数字の読み違いを防げます。4つとも、有価証券報告書の中で確かめられます。
- 連結と単体を分けて読むこと
- 持株会社と事業会社の給与を分けること
- 決算期と数字の定義をそろえること
- おもちゃの売上の割合を確かめること
連結と単体を分けて読むこと
売上高は子会社を含めた連結の数字ですが、平均年間給与は提出会社1社の社員の数字です。たとえばタカラトミーの連結の従業員は2,574人で、平均年間給与の対象になる提出会社の従業員は630人です。ハピネットは連結1,113人に対して提出会社512人、ブシロードは連結850人に対して提出会社275人です。
グループ会社に入社する場合、その会社の給与は親会社の平均年間給与とは別のものです。応募先が提出会社そのものか、そのグループ会社かを、募集要項の会社名で確かめておきましょう。
持株会社と事業会社の給与を分けること
持株会社が有価証券報告書を出している場合、平均年間給与は持株会社で働く少数の社員の数字です。バンダイナムコホールディングスの提出会社の従業員80人は、連結の従業員11,457人の1%に満たない人数です。
同社の報告書には、グループで従業員が2番目に多い会社として、おもちゃを扱う株式会社バンダイの数字も載っています。従業員902人、平均年齢38.3歳、平均勤続年数13.4年、平均年間給与は987万4,000円です(2026年3月31日時点)。おもちゃづくりの現場で働く人の姿を知りたいなら、持株会社より事業会社の数字が手がかりになります。
決算期と数字の定義をそろえること
3月期の会社と6月期の会社では、集計の期間が3か月ずれます。ブシロードと壽屋は2025年7月から2026年6月まで、ほかの3社は2025年4月から2026年3月までの1年間の数字です。
前の期と比べるときは、数字の定義が変わっていないかも見ます。ブシロードは2026年6月期から、それまで2つあった報告セグメントをエンタテインメント事業の1つにまとめました。壽屋は同じ期から連結財務諸表を作り始めたため、連結売上高には前の期の数字がありません。壽屋の提出会社単体の売上高は、2025年6月期と2026年6月期のどちらも約165億円です。
おもちゃの売上の割合を確かめること
会社全体の売上高のうちおもちゃがどれだけを占めるかは、有価証券報告書のセグメント情報で確かめられます。2026年3月期の外部顧客への売上高で見ると、バンダイナムコホールディングスのトイホビー事業は6,461億8,000万円で連結売上高の約48%、ハピネットの玩具事業は1,924億1,700万円で約44%です。
区分が分かれていない会社もあります。タカラトミーは、単一の製品・サービスの区分が売上高の90%を超えるとして、製品ごとの内訳を省いています。ブシロードは、カードゲームと音楽ライブやプロレスなどを1つのエンタテインメント事業として報告しています。区分の名前だけを見て、売上がすべておもちゃだと読まないようにしましょう。
日本玩具協会の数字で見る大手5社に関わる3つの分野
日本玩具協会によると、2025年度(2025年4月から2026年3月まで)の国内の玩具市場規模は1兆1,664億円で、前年度の106.3%でした。2021年度から5年連続で過去最高を更新しています(日本玩具協会)。この数字は希望小売価格をもとに集計したもので、各社の売上高とは計算のしかたが違うため、そのまま比べることはできません。
カードゲーム・トレーディングカード
金額で最も大きく伸びたのはカードゲーム・トレーディングカードで、前年度より359億円増えて3,384億円になりました。2017年以降8年連続で拡大し、玩具市場全体の約30%を占めています(日本玩具協会)。
大手5社のうち、タカラトミーは「デュエル・マスターズ」を、ブシロードは複数のカードゲームを出しています。バンダイナムコグループもトイホビー事業でトレーディングカードゲームを扱い、ハピネットはトレーディングカードを卸売りしています。この分野は、メーカーと卸の両方で5社のうち4社が関わっています。
ホビー
ホビーは前年度より115億円増えて1,960億円でした。プラモデル、ホビーR/C、鉄道模型、フィギュアなど、市場を構成するすべての中分類が前年を上回り、プラモデルでは「ガンプラ」の伸びが大きかったとされています(日本玩具協会)。フィギュアとプラモデルを主力にする壽屋も、この分野の会社です。
ハイテク系トレンドトイ
ハイテク系トレンドトイは前年度比115.5%で、大ヒット商品となった「Tamagotchi Paradise」の貢献に加え、新製品の投入も市場を伸ばしたとされています(日本玩具協会)。バンダイナムコホールディングスの有価証券報告書でも、「Tamagotchi Paradise」などの「たまごっち」関連商品が国内外で人気となったと書かれています。
公開されている情報で玩具メーカーを確かめる手順

気になる玩具メーカーが見つかったら、次の3つの手順で、売上高と社員の数字を自分で確かめられます。
金融庁のEDINETで社名を入れて検索し、最新の有価証券報告書を開きます(金融庁 EDINET)。同じ期の訂正報告書が並んでいたら、何を訂正したのかを確かめます。
報告書の「従業員の状況」で、連結の従業員数と、提出会社の従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与を確かめます。持株会社の報告書では、同じ欄に従業員の多いグループ会社の数字が載っていないかも見ておきます。続けて「セグメント情報」で、事業ごとの外部顧客への売上高を確かめます。
日本玩具協会の玩具市場規模のページで、分野ごとの伸びを確かめます(日本玩具協会)。2015年度から2025年度までの調査結果のデータも公開されているので、志望する会社の主力商品がどの分野に入り、その分野が何年続けて伸びているかを見ておくと、面接で市場の動きと結びつけて話せます。
玩具業界の就職でよくある質問
玩具業界の大手企業を調べるときによく出る疑問を4つ取り上げます。
- ゲーム会社やキャラクター会社が入っていないのはなぜ?
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この記事では、おもちゃの企画・製造・卸売りを主な事業とする上場会社に絞って並べたためです。ゲーム機やゲームソフト、クレーンゲームの景品、キャラクターの使用許諾を主な事業とする会社は、売上高の中身が違うので同じ順位表に入れていません。気になる会社があれば、EDINETで有価証券報告書のセグメント情報を開くと、おもちゃの売上がどれだけあるかを確かめられます(金融庁 EDINET)。
- 上場していない玩具メーカーはどう探す?
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日本玩具協会の会員一覧が手がかりになります。2026年7月29日時点で正会員の企業会員は181社で、上場していないメーカーも載っています(日本玩具協会)。上場していない会社は有価証券報告書を出していないことが多いため、厚生労働省の職場情報総合サイトで、残業時間や有給休暇の取得率などを公表していないかを社名で調べてみてください(厚生労働省)。
- 6月決算の会社の数字はいつ新しくなる?
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6月期のブシロードと壽屋の次の有価証券報告書(2027年6月期)は、原則として2027年9月末が提出期限です。上場会社など有価証券報告書を出す義務のある国内の会社は、原則として事業年度が終わってから3か月以内に提出することが、金融商品取引法で定められています(e-Gov法令検索)。2026年6月期の報告書は、ブシロードが2026年9月28日に、壽屋が2026年9月24日に提出しました。3月期の3社は2026年6月に提出しており、次の期の提出期限は原則として2027年6月末です。
- 平均年間給与は新卒の給料の目安になる?
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平均年間給与は、新卒の給料の目安にはなりません。賞与を含めた1年間の支給額を、年齢も勤続年数もさまざまな社員で平均した数字だからです。今回の5社の提出会社でも、平均年齢は32.4歳から44.6歳まで開きがあります。新卒で入社したときの給与は、各社の募集要項に書かれた初任給で確かめましょう。
売上高の順位と働く会社の数字を分けて読もう
玩具業界の大手5社を連結売上高で並べると、バンダイナムコホールディングス、ハピネット、タカラトミー、ブシロード、壽屋の順になります。ただし5社の間には、メーカーと卸、持株会社と事業会社、3月期と6月期といった違いがあり、同じ物差しで並んでいるのは売上高だけです。
志望先を考えるときは、順位を入り口にして、応募する会社そのものの「従業員の状況」とセグメント情報を開いてみてください。おもちゃのどの分野で、どの会社の社員として働くのかが見えてくれば、売上高の順位よりも確かな判断材料になるはずです。

