ENEOSホールディングス子会社ランキング|中核5社のセグメント売上高

「ENEOSの子会社は数が多すぎて、どこが中心なのか分からない」。グループの会社一覧には、製油所の会社からガソリンスタンドの運営会社、合成ゴムのメーカー、道路舗装の会社までが並び、一覧を見ただけでは会社の大きさの順番は読み取れません。ところが、有価証券報告書に載っている事業の区分(セグメント)ごとの売上高で並べると、中核の子会社5社が担う事業にははっきりした順番が付きます。

2026年3月期のセグメントの売上高(セグメント間の内部売上高を含む)で1位になるのは、ENEOS株式会社が中核となる石油製品ほかセグメントで、10兆3,953億円です。2位のENEOS Power株式会社が中核となる電気セグメントの約30倍にあたります。また、有価証券報告書に平均年間給与が載っている子会社は、ENEOS株式会社と株式会社ENEOSモビリニアの2社だけです。

本記事では、中核5社の順位から、社名が変わってきた経緯、議決権や年収の数字の読み方、自分で確かめる手順まで、ENEOSホールディングスの第16期有価証券報告書と公式のグループ企業一覧をもとに、就活キャリア研究所の視点で順に整理します。

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目次

ENEOSの子会社が分かりにくい3つの理由

ENEOSグループの子会社が分かりにくいのは、2010年から2026年までの間に、社名の変更、事業ごとの会社の分け直し、上場による子会社からの離脱が続いたからです。

持株会社の社名が2回変わったから

ENEOSホールディングスは、2010年4月1日にJXホールディングス株式会社として設立されました(ENEOSホールディングス)。新日本石油株式会社と新日鉱ホールディングス株式会社が、株式移転によって共同で作った持株会社です。2017年4月に東燃ゼネラル石油株式会社を株式交換で完全子会社にしたうえで、社名をJXTGホールディングス株式会社に変え、2020年6月にENEOSホールディングス株式会社へ改めました。

事業会社の側も社名が変わっています。2010年7月、新日本石油株式会社が株式会社ジャパンエナジーと新日本石油精製株式会社を合併し、JX日鉱日石エネルギー株式会社になりました。その後、2016年1月にJXエネルギー株式会社、2017年4月に東燃ゼネラル石油株式会社を吸収合併してJXTGエネルギー株式会社となり、2020年6月にENEOS株式会社へ社名を変えています(ENEOSホールディングス)。古い資料に出てくるJXTGエネルギーは、2020年6月以降のENEOS株式会社のことです。

事業ごとに会社を分け直したから

2024年4月、ENEOS株式会社の電気・都市ガス事業は吸収分割でENEOS Power株式会社に移り、機能材事業も同じく吸収分割で株式会社ENEOSマテリアルに移りました。同じ月に、株式会社ENEOSマテリアルとENEOSリニューアブル・エナジー株式会社は、ENEOS株式会社からの現物配当によってENEOSホールディングスの子会社になっています。2025年1月には、JX石油開発株式会社がENEOS Xplora株式会社に社名を変えました。

公式のグループ企業一覧(2025年4月1日時点)は、事業ごとの主要な事業会社を5社に整理しています(ENEOSホールディングス)。2024年3月以前の資料では、同じ事業でもENEOS株式会社の一部門や子会社として書かれていることがあります。

JX金属が子会社から外れたから

金属事業を担うJX金属株式会社は、2025年3月19日に東京証券取引所プライム市場に上場しました。上場にあわせてENEOSホールディングスが持つ株式の一部を売り出したため、JX金属は子会社から持分法適用会社に変わりました(ENEOSホールディングス)。持分法適用会社とは、子会社としてすべてを連結するのではなく、持っている株式の割合に応じた利益だけを連結決算に取り込む会社です。2026年3月31日時点の議決権の所有割合は42.4%でした。その後、2026年6月に期間が終わったJX金属の自己株式の公開買付けに株式の一部を応募して売り、売却後の所有割合は35.28%です(ENEOSホールディングス)。

グループの会社の数も動いています。第16期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の有価証券報告書は、企業集団をENEOSホールディングスと子会社476社、持分法適用会社等149社と記載しています。連結対象会社は、2025年3月末から13社減りました。JX金属を「ENEOSの子会社」として並べた一覧は、上場より前の情報で作られています。

セグメントの売上高で並べたENEOSの子会社ランキング

中核5社を、それぞれが中心となるセグメントの第16期の売上高で並べると、1位はENEOS株式会社の石油製品ほかセグメントです。5社は、公式のグループ企業一覧が事業ごとの主要な事業会社として挙げる会社です。セグメントの売上高は、その事業に属するグループ会社を合わせた連結の数字で、セグメント間の内部売上高を含み、各社の単体の売上高とは違います。

  1. ENEOS株式会社 石油製品ほかセグメントの売上高10兆3,953億円:石油精製販売、基礎化学品、潤滑油、ガス、水素を扱います。
  2. ENEOS Power株式会社 電気セグメントの売上高3,492億円:発電、電力の調達・販売、都市ガスなどを扱います。
  3. 株式会社ENEOSマテリアル 機能材セグメントの売上高3,390億円:合成ゴムや二次電池材料などを扱います。
  4. ENEOS Xplora株式会社 石油・天然ガス開発セグメントの売上高2,167億円:資源の探鉱・開発や二酸化炭素の回収・貯留などを扱います。
  5. ENEOSリニューアブル・エナジー株式会社 再生可能エネルギーセグメントの売上高487億円:風力、太陽光、バイオマスの発電を扱います。

2位と3位の差は小さく、セグメント間の内部売上高を除いた外部顧客への売上高で比べると、機能材が3,365億円、電気が3,322億円となり、順位が入れ替わります。

営業利益で並べると、順位はさらに大きく変わります。石油製品ほかが2,924億円、石油・天然ガス開発が508億円、電気が220億円、機能材が111億円で、再生可能エネルギーは9億円の営業損失でした(ENEOSホールディングス)。セグメントの売上高で4位のENEOS Xploraの石油・天然ガス開発が、営業利益では2位に入ります。

道路舗装などの建設事業は、どの報告セグメントにも入らず「その他」の区分に集められています。「その他」の売上高は5,200億円です。同じ区分の営業利益928億円には、持分法適用会社になったJX金属などの利益の取り込み分が含まれます。

ENEOS株式会社

ENEOS株式会社は石油製品ほかセグメントの中核会社で、ENEOSホールディングスが議決権の100.0%を直接持っています。有価証券報告書は、同社を国内最大の燃料油販売シェアを持つ会社と紹介しています。資本金は300.0億円です。

この会社は単体の数字も開示されており、日本の会計基準による売上高は8兆4,576億円、経常利益は1,830億円、当期純利益は1,368億円です。セグメントの10兆3,953億円はIFRSで集計したグループの数字で、日本基準の単体の数字とは範囲も基準も違います。

ENEOS Power株式会社

ENEOS Power株式会社は、2024年4月にENEOS株式会社の電気・都市ガス事業を吸収分割で引き継いだ会社です。発電事業と電気の小売を主な事業とし、2025年3月に全面運開した五井火力発電所の供給力を生かして電力の販売を強化しています。議決権の所有割合は100.0%です。

電気セグメントの従業員数は319人で、中核5社のセグメントの中で最も少ない人数です。資本金も1.0億円にとどまります。資本金の額や人数だけで事業の大きさを判断すると、セグメントの売上高の順位を読み違えます。

株式会社ENEOSマテリアル

株式会社ENEOSマテリアルは、2022年にJSR株式会社のエラストマー事業の買収が完了したことで事業を始めた会社です(ENEOSホールディングス)。2024年4月にはENEOS株式会社の機能材事業も引き継ぎました。主にタイヤ材料に使われる合成ゴムとその関連製品、高機能化学品を作って販売しています。

機能材セグメントの従業員数は3,218人で、中核5社のセグメントの中ではENEOS株式会社の石油製品ほかに次ぐ人数です。2025年11月には、四日市工場で高機能タイヤ材料のS-SBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)の生産能力を1万トン分増やすことを決めています。

ENEOS Xplora株式会社

ENEOS Xplora株式会社は、2025年1月にJX石油開発株式会社から社名を変えた会社です。石油・天然ガスの開発・生産・販売に加え、二酸化炭素を回収・有効利用・貯留する事業にも取り組んでいます。議決権の所有割合は100.0%です。

資本金は376.2億円です。石油・天然ガス開発セグメントの従業員数は1,203人です。

ENEOSリニューアブル・エナジー株式会社

ENEOSリニューアブル・エナジー株式会社は、ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社から社名を変えた会社で、太陽光・陸上風力・バイオマスの発電所を開発し、電気を販売しています。中核5社のうち、議決権の所有割合が100%でないのはこの会社だけで、割合は95.8%です。資本金は287.4億円です。

再生可能エネルギーセグメントの従業員数は569人です。第16期には風力・太陽光の発電所14か所が運転を始め、営業損失は前の期の169億円から9億円まで縮まりました。

ENEOSの子会社の序列を測る4つの目安

ENEOSの子会社を見極める4つの視点を示した図(事業の区分・議決権・従業員数・平均年収)

ENEOSの子会社の位置づけは、次の4つの目安を有価証券報告書と公式の会社一覧で確かめると、自分で並べ直せます。

  1. 事業の区分
  2. 議決権の所有割合
  3. 従業員数
  4. 平均年間給与

事業の区分

ENEOS株式会社のグループ会社は、石油の備蓄から製品の販売まで、事業の段階ごとに分かれています。ENEOS株式会社のグループ会社のページ(2025年4月時点)は、国内の主要グループ会社を次の6つに分けています(ENEOS株式会社)。

  • 石油備蓄
  • 石油精製・化学
  • 石油輸送
  • 石油製品販売・流通
  • 流通
  • 設備・工事

たとえば鹿島石油株式会社は石油精製・化学、ENEOSオーシャン株式会社は石油輸送、株式会社ENEOSモビリニアは石油製品販売・流通に入っています。ENEOSホールディングスのグループ企業一覧は、ENEOSファイナンス株式会社などの共通機能会社と並べて、道路や舗装の工事を手がける株式会社NIPPOを載せています(ENEOSホールディングス)。

議決権の所有割合

有価証券報告書の関係会社の状況には、子会社ごとに議決権の所有割合が載っています。中核5社は、ENEOSリニューアブル・エナジーの95.8%を除いて100.0%です。一方、ENEOS株式会社の傘下には、鹿島石油株式会社の72.2%、株式会社ジャパンガスエナジーの51.0%のように、ほかの株主がいる子会社もあります。

割合の横にある括弧の数字は、グループの別の会社を通じて持つ間接所有の割合です。鹿島石油は72.2%のすべてが間接所有で、株式会社NIPPOも100.0%のすべてが間接所有です。LPガスを販売するENEOSグローブ株式会社は、所有割合が50.0%でも子会社の表に載っています。割合の大きさだけでは、子会社かどうかは決まりません。

従業員数

2026年3月31日時点の連結の従業員数は34,099人です。セグメント別の人数は次のとおりで、このほかにENEOSホールディングスとENEOS株式会社の合同組織に1,207人が所属しています。

  • 石油製品ほか:20,108人
  • その他:7,475人
  • 機能材:3,218人
  • 石油・天然ガス開発:1,203人
  • 再生可能エネルギー:569人
  • 電気:319人

有価証券報告書は、グループで従業員数が最も多い会社をENEOS株式会社(7,539人)、次に多い会社を株式会社ENEOSモビリニア(3,015人)と記載しています。ENEOSモビリニアにはこのほかに臨時従業員が年間平均で8,716人おり、その多くはパートタイマーやアルバイトです。

平均年間給与

有価証券報告書に平均年間給与が載っているのは、ENEOSホールディングスと、従業員数の多い子会社2社だけです。2026年3月31日時点の数字は次のとおりです。

  • ENEOSホールディングス:11,376,982円(1,207人・平均43歳9ヵ月)
  • ENEOS株式会社:10,049,765円(7,539人・平均40歳9ヵ月)
  • 株式会社ENEOSモビリニア:5,880,470円(3,015人・平均43歳0ヵ月)

ENEOSホールディングスの1,207人は、ENEOS株式会社との合同組織に所属する従業員です。ENEOSモビリニアは、2025年4月に株式会社ENEOSフロンティアが株式会社ENEOSジェネレーションズと株式会社ENEOSジェイクエストを統合し、社名を改めた会社です(ENEOSモビリニア)。

有価証券報告書は、グループ各社の平均年間給与には一定の差があり、主な要因は各社の事業内容と人員構成の違いだと説明しています。同じENEOSの名前が付いていても、ENEOS株式会社とENEOSモビリニアの平均年間給与には約417万円の開きがあります。

公開資料でENEOSの子会社を確かめる手順

ENEOSホールディングス子会社ランキングについて公開されている情報を確かめている場面のイラスト

志望先の子会社がグループのどこにいるのかは、次の3つの手順で確かめられます。

STEP1

ENEOSホールディングスのグループ企業一覧で、志望先がどの事業の主要な事業会社か、または個別事業会社・共通機能会社かを確かめます(ENEOSホールディングス)。ENEOS株式会社の傘下の会社は、ENEOS株式会社のグループ会社のページに事業の段階ごとに載っています(ENEOS株式会社)。

STEP2

ENEOSホールディングスの有価証券報告書を開き、「関係会社の状況」で議決権の所有割合と主要な事業の内容を、「従業員の状況」でセグメント別の人数と平均年間給与を確かめます(ENEOSホールディングス)。過去の期の報告書は、金融庁のEDINETで会社名から探せます(金融庁)。

STEP3

志望先の会社概要を開き、従業員数の時点と数え方を有価証券報告書と見比べます。たとえばENEOSモビリニアの会社概要は、従業員数を約3,000名(2026年4月1日時点)としています(ENEOSモビリニア)。

働き方の数字は、厚生労働省の職場情報総合サイトで社名から調べられます(厚生労働省)。月平均所定外労働時間や年次有給休暇の取得率など、企業が公表した項目が会社ごとに載っています。

ENEOSの子会社に関するよくある質問

ENEOSグループの子会社について、企業研究でよく出てくる疑問を4つ取り上げます。

ENEOSホールディングスとENEOS株式会社の違いは?

ENEOSホールディングスは、子会社とグループ会社の経営管理を行う持株会社で、東京証券取引所プライム市場と名古屋証券取引所プレミア市場に上場しています(ENEOSホールディングス)。ENEOS株式会社は、石油製品と石油化学製品の製造・販売を行う事業会社で、ENEOSホールディングスが議決権の100.0%を持つ子会社です。

JX金属はENEOSの子会社?

2026年3月31日時点では子会社ではなく、持分法適用会社です。2025年3月19日の上場にあわせてENEOSホールディングスが株式の一部を売り出し、子会社から外れました。議決権の所有割合は2026年3月31日時点で42.4%でした。2026年6月に期間が終わった公開買付けで株式の一部を売った後の所有割合は35.28%です。

NIPPOはENEOSグループの会社?

株式会社NIPPOは、2026年3月31日時点でENEOSホールディングスの子会社です。議決権の所有割合は100.0%で、すべてグループの別の会社を通じた間接所有です。アスファルト舗装や土木工事は、報告セグメントに入らない「その他」の区分に含まれています。

ENEOSの子会社は何社ある?

第16期の有価証券報告書は、ENEOSホールディングスを持株会社とする企業集団を、子会社476社と持分法適用会社等149社と記載しています。関係会社の状況に社名が載る子会社は42社で、残りは「その他434社」とまとめられています。

社名より事業の区分で子会社を選ぼう

ENEOSグループは、石油製品、電気、機能材、石油・天然ガス開発、再生可能エネルギーの事業ごとに中核会社を置き、ENEOS株式会社の下には精製・輸送・販売などの会社が連なる形になっています。セグメントの売上高では、ENEOS株式会社が中核となる石油製品ほかが飛び抜けています。ただ、中核5社が担うセグメントで比べると、営業利益ではENEOS Xploraの石油・天然ガス開発が2番目に入り、従業員数ではENEOSマテリアルの機能材が2番目に入ります。物差しを変えると、順位も変わります。

社名にENEOSが付くかどうかではなく、その会社がどの事業の中核なのか、議決権をどれだけ持たれているのか、有価証券報告書に人数や年収が載っているのかを確かめてみてください。志望先の名前を、まず公式のグループ企業一覧と有価証券報告書の関係会社の状況で探してみよう。

この記事の著者情報

株式会社ネット風評被害対策 代表取締役 内村淳

ネット風評被害対策の専門家として15年以上の実績を持つ。
風評被害誹謗中傷対策・サジェスト対策・逆SEO対策・SNS炎上対応など、企業のWebリスク解決を累計10,000社以上支援。
ネット誹謗中傷対策に特化した法律事務所に1年間従事し、法的観点からの対応知見を習得。IT技術と法的アプローチの双方に携わってきた経験を持つ。
あらゆるネット風評被害対策支援に加え、企業向けコンサルティングや同業他社へのサービス提供も行う。
現在、日々進化するAI検索エンジンのアルゴリズムを徹底解析し、AI検索時代に適応した次世代の風評対策に注力している。

著書: 『AI時代のネット風評被害対策』(Kindle出版) ↗

発信活動: ネット風評被害対策に関する情報をnoteでも発信しています。 note ↗

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