印刷業界の大手企業ランキング|売上高上位7社と年収の読み方

「印刷業界の大手といえばTOPPANと大日本印刷」。業界研究を始めたばかりでも、この2社の名前は知っているという人は多いはずです。ところが印刷業界の大手企業ランキングを調べると、3位から下に並ぶ会社も、添えられた平均年収の数字も、一覧ごとにそろっていません。どこまでを印刷業界に含めるのか、どの決算のどの範囲の数字を使うのかが、一覧ごとに違うためです。

各社が金融庁のEDINETに提出した、2026年10月10日時点で最新の有価証券報告書で連結売上高を比べると、1位はTOPPANホールディングスの1兆8,050億円、2位は大日本印刷の1兆5,125億円で、どちらも2026年3月期の数字です。3位の共同印刷は982億円で、2位の大日本印刷と比べても15分の1ほどの規模です。平均年間給与は、持株会社の数字か事業会社の数字かで意味が変わるため、どの会社の欄かを確かめてから比べる必要があります。

本記事では、印刷を主な事業とする上場企業7社の売上高・従業員数・平均年間給与を有価証券報告書の原文から並べ、数字の読み方と自分で確かめる手順まで、就活キャリア研究所の視点で順を追ってお伝えします。

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目次

印刷業界の大手企業ランキング上位7社

印刷業界の大手企業を連結売上高の大きい順に並べると、上位7社は次のとおりです。数字は、2026年10月10日時点で最新の各社の有価証券報告書にある「主要な経営指標等の推移」の連結売上高で、億円未満を切り捨てています。

  1. TOPPANホールディングス:1兆8,050億円(2026年3月期)
  2. 大日本印刷:1兆5,125億円(2026年3月期)
  3. 共同印刷:982億円(2026年3月期)
  4. 日本創発グループ:869億円(2025年12月期)
  5. 中本パックス:496億円(2026年2月期)
  6. 朝日印刷:446億円(2026年3月期)
  7. 竹田iPホールディングス:344億円(2026年3月期)

対象には、有価証券報告書の「事業の内容」で印刷を事業の中心に置いている上場企業と、印刷会社を傘下に持つ持株会社を選びました。決算期は日本創発グループが2025年12月期、中本パックスが2026年2月期で、残る5社は2026年3月期です。

ほかの一覧で上位に挙がることのあるNISSHAは、2017年10月に日本写真印刷株式会社から商号を変えた会社で、2025年12月期の売上高は1,948億円です。ただし事業を産業資材、ディバイス、メディカルテクノロジーに分けて説明しているため、7社には入れていません(NISSHA有価証券報告書)。

同じ理由で、シュリンクラベルなどのパッケージングシステムを主な事業とするフジシールインターナショナルも外しています。2026年3月期の売上高は2,177億円です(フジシールインターナショナル有価証券報告書)。

売上高1兆円を超える2社

TOPPANホールディングスと大日本印刷は、どちらも連結売上高が1兆円を超え、3位以下を大きく引き離しています。

TOPPANホールディングスは、2023年10月に持株会社体制へ移り、商号を凸版印刷株式会社から変えた会社です。2026年3月31日現在、連結子会社247社などでグループを構成し、情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクスの3つの事業分野を持っています。連結の従業員数は54,371人です(TOPPANホールディングス有価証券報告書)。

大日本印刷は、同社と子会社145社、関連会社27社でグループを構成し、スマートコミュニケーション、ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクスの3部門で事業を行っています。連結の従業員数は36,360人です(大日本印刷有価証券報告書)。2社とも、書籍や雑誌の印刷にとどまらず、包装材や半導体用のフォトマスクまで手がけている点が共通しています。

売上高800億〜900億円台の2社

3位の共同印刷と4位の日本創発グループは、連結売上高がそれぞれ982億円と869億円です。

共同印刷は、同社と子会社16社、関連会社1社で構成され、製版・印刷・製本とこれに関連する事業を中心にしています。事業は情報コミュニケーション、情報セキュリティ、生活・産業資材の3部門に分かれ、連結の従業員数は3,136人です(共同印刷有価証券報告書)。

日本創発グループは、日経印刷や東京リスマチック、研精堂印刷などを連結子会社に持つ純粋持株会社です。グループは同社と子会社59社、関連会社11社で構成され、事業は「クリエイティブサービス事業」の単一セグメントとしています。連結の従業員数は4,038人です(日本創発グループ有価証券報告書)。

売上高300億〜400億円台の3社

5位から7位の中本パックス、朝日印刷、竹田iPホールディングスは、連結売上高が300億円台から400億円台に並んでいます。

中本パックスは、グラビア印刷による印刷加工に、コーティング、ラミネート、成型の加工を組み合わせた製品の販売を主な事業としています。用途は食品関連のほか、IT・工業材、医療・医薬、建材、生活資材に分かれ、連結の従業員数は883人です(中本パックス有価証券報告書)。

朝日印刷は、印刷包材の製造・販売と包装システム(機械)の販売を主たる事業とし、連結の従業員数は1,760人です(朝日印刷有価証券報告書)。竹田iPホールディングスは、情報コミュニケーション、ソリューションセールス、半導体関連マスク、不動産賃貸の4つのセグメントを持つ持株会社です。子会社の竹田印刷株式会社が商業印刷を中心とする各種印刷などを担い、連結の従業員数は929人です(竹田iPホールディングス有価証券報告書)。

印刷業界のランキングが分かりにくい3つの理由

印刷業界のランキングが一覧ごとに食い違うのは、平均年収がどの会社の数字か、いつの決算か、どこまでを業界に含めるかがそろっていないからです。

持株会社の平均年収はグループの一部の人の数字だから

有価証券報告書の「平均年間給与」は、報告書を出した会社自身の従業員の平均で、グループ全体の平均ではありません。TOPPANホールディングスの平均年間給与は868万2,435円ですが、対象は提出会社である同社の従業員1,430人で、連結の従業員数54,371人のうちの一部です(TOPPANホールディングス有価証券報告書)。

同じ報告書には、グループで従業員数が最も多い会社としてTOPPAN株式会社の数字も載っており、7,896人で平均年間給与は779万7,990円です。次に多いTOPPANコミュニケーションプロダクツ株式会社は、4,521人で598万3,081円です。どちらも2026年3月31日現在の数字で、TOPPAN株式会社は2026年4月にTOPPANエッジ株式会社などを合併しています。

竹田iPホールディングスでも、持株会社の44人の平均541万9,000円とは別に、最も従業員数の多い竹田印刷株式会社の335人の平均532万7,000円が記載されています(竹田iPホールディングス有価証券報告書)。持株会社の年収を「その会社の年収」として比べると、グループで働く人の大半とは違う、一部の人の数字を見ることになります。

決算期と数字の名前が会社ごとに違うから

「最新の有価証券報告書」といっても、決算の締めの月は会社ごとに違います。上位7社でも、日本創発グループは12月末、中本パックスは2月末、ほかの5社は3月末に締めており、日本創発グループとほかの5社では比べている1年間が3か月ずれます。

数字の名前も同じとは限りません。開示書類の作成支援を主な事業とするプロネクサスは、国際会計基準(IFRS)で連結財務諸表を作っており、連結経営指標等の表には「売上高」ではなく「売上収益」の行があります(プロネクサス有価証券報告書)。売上高の行が見当たらないときは、表の注記で会計基準を確かめてください。

どこまでを印刷業界に含めるかが違うから

印刷業界の仕事は、書籍や雑誌の印刷だけではありません。日本印刷産業連合会の会員団体である印刷工業会は、大手および中堅印刷会社などで組織する団体で、会員は77社です。加盟会社の出荷品は、出版印刷、教科書印刷、商業印刷、証券、紙器、軟包材、建材、エレクトロニクス部品、情報関連などにわたると紹介されています(日本印刷産業連合会)。包装材やラベル、開示書類まで含めるかどうかで、一覧に並ぶ会社は入れ替わります。

印刷産業の事業所は、小さなところが大半です。個人経営を除いた集計で、2025年6月1日現在、事業所の97.2%は従業者100人未満です。一方で、従業者100人以上の2.8%の事業所が、2024年の製造品出荷額等の40.3%を占めています(日本印刷産業連合会)。

印刷大手を見比べる4つの視点

印刷大手を見比べる4つの視点を示した図(事業の区分・売上の推移・働く人数・平均年齢)

印刷大手の違いは、売上高の順位よりも、次の4つを有価証券報告書で見比べると見えてきます。4つとも同じ報告書の中で確かめられます。

  1. 事業の区分:どの事業に人が多いかを見る
  2. 売上の推移:5期分の増減を見る
  3. 働く人数:臨時従業員の数え方まで見る
  4. 平均年齢:年収と勤続年数を合わせて見る

事業の区分ごとの従業員数

事業の区分ごとの従業員数を見ると、同じ印刷大手でもどの事業に人を置いているかが分かります。TOPPANホールディングスの連結従業員54,371人のうち、情報コミュニケーション事業分野が30,124人、生活・産業事業分野が19,336人、エレクトロニクス事業分野が3,342人で、本社部門や基礎研究部門などの「全社(共通)」が1,569人です。大日本印刷の36,360人は、スマートコミュニケーション部門が17,487人、ライフ&ヘルスケア部門が12,268人、エレクトロニクス部門が4,260人で、「全社(共通)」が2,345人です。

大日本印刷の報告書では、ライフ&ヘルスケア部門に食品や日用品などの包装材料が、エレクトロニクス部門に半導体製造用フォトマスクなどが挙げられています。志望する仕事が出版物や販促物なのか、包装材なのか、電子部品の部材なのかによって、見るべき区分は変わります。

5期分の売上高の推移

「主要な経営指標等の推移」には5期分の数字が並ぶため、伸びている会社か、横ばいの会社かが一目で分かります。TOPPANホールディングスは2022年3月期の1兆5,475億円から2026年3月期の1兆8,050億円へ、大日本印刷は同じ期間に1兆3,441億円から1兆5,125億円へ増えています。共同印刷は2025年3月期の999億円から、2026年3月期は982億円に減りました。

日本創発グループは、2021年12月期の546億円から2025年12月期の869億円まで伸びています。ただし同社は2025年12月期の報告書で、従業員数が462人増えた主な要因を、7社を新たに連結の範囲に含めたことと注記しています。売上高の伸びが既存の事業によるものか、会社を加えた分なのかは、注記や「関係会社の状況」とあわせて読むと手がかりが得られます。

臨時従業員を含めた働く人数

従業員数の欄の括弧内に臨時従業員の人数を外数で書く会社は多いものの、数え方は会社ごとに違います。TOPPANホールディングスはパートタイマーを含めて派遣社員を除き、大日本印刷は雇用契約期間に6か月以上の定めのある従業員を臨時従業員としています。中本パックスはパートタイマーと派遣社員を含め、1日8時間に換算した年間の平均人員を記載しています。

2026年3月期の臨時従業員は、TOPPANホールディングスが5,094人、大日本印刷が19,849人です。括弧内の数字は定義がそろっていないので、会社の規模は括弧の外の就業人員で比べ、括弧内は各社の注記を読んでから使ってください。

平均年齢と平均勤続年数

平均年間給与は、平均年齢や平均勤続年数とあわせて読むと意味が変わります。2026年3月期の報告書では、大日本印刷が44.8歳・20.7年で861万246円、共同印刷が45.6歳・16.3年で671万1,000円、朝日印刷が37.4歳・14.3年で503万1,000円です。2026年2月期の中本パックスは、41.9歳・14.4年で545万5,000円です。

朝日印刷の37.4歳は、7社の提出会社の中で最も低い平均年齢です。平均年齢が低い会社は、若い社員が多いぶん平均年間給与が低く出ることがあります。年収の差がそのまま待遇の差とは限らないので、年齢と勤続年数を並べてから比べてください。

有価証券報告書で印刷大手を確かめる手順

印刷業界の大手企業ランキングについて公開されている情報を確かめている場面のイラスト

この記事の数字は、金融庁のEDINETで誰でも同じ報告書を開いて確かめられます。次の3つの手順でたどってください。

STEP1

金融庁のEDINETで会社名を入れて書類を検索し、書類の種類が「有価証券報告書」で、事業年度が最も新しいものを開きます(金融庁)。同じ事業年度の「有価証券報告書の訂正報告書」が出ていれば、訂正された箇所もあわせて確かめます。

STEP2

「第一部 企業情報」の「主要な経営指標等の推移」で、連結経営指標等の売上高、従業員数、決算年月を5期分確かめます。すぐ下に提出会社の経営指標等が続くため、連結の表と取り違えないようにしてください。

STEP3

「従業員の状況」で、提出会社の従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与を確かめます。持株会社の報告書では、「最大人員会社の状況」に従業員数が最も多い子会社の数字が載っていることがあります。

同じ「従業員の状況」には、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異も記載されています。日本創発グループのように、提出会社が法律による公表義務の対象ではないとして記載を省略し、連結子会社の数字を載せている会社もあります(日本創発グループ有価証券報告書)。

印刷業界の大手企業でよくある質問

印刷業界の大手企業について、就職活動で出やすい4つの疑問に、有価証券報告書と業界団体の数字で答えます。

印刷業界で売上高が一番大きい会社はどこですか

TOPPANホールディングスです。2026年3月期の連結売上高は1兆8,050億円で、2位の大日本印刷は1兆5,125億円です(TOPPANホールディングス有価証券報告書)。3位の共同印刷は982億円で、上位2社とは大きく離れています。

TOPPANと大日本印刷はどちらの年収が高いですか

2026年3月31日現在の提出会社の平均年間給与は、TOPPANホールディングスが868万2,435円、大日本印刷が861万246円です。ただしTOPPANホールディングスは持株会社で、対象は1,430人です。事業会社どうしで比べるなら、TOPPAN株式会社の779万7,990円と大日本印刷の861万246円を並べるほうが、同じ種類の数字になります(大日本印刷有価証券報告書)。

TOPPANホールディングスとTOPPANは別の会社ですか

別の会社です。凸版印刷株式会社は2023年10月に持株会社体制へ移り、商号をTOPPANホールディングス株式会社に変えて、吸収分割で各事業を連結子会社3社に引き継ぎました。TOPPAN株式会社はそのグループで従業員数が最も多い会社で、2026年4月にTOPPANエッジ株式会社とTOPPANデジタル株式会社を合併しています(TOPPANホールディングス有価証券報告書)。

印刷業界ではどれくらいの人が働いていますか

日本印刷産業連合会の「印刷産業Annually Report」2026年度版によると、個人経営を除いた集計で、2025年6月1日現在の印刷産業の事業所数は12,766、従業者数は235,064人です。2024年の製造品出荷額等は4兆9,780億円でした(日本印刷産業連合会)。

売上高の順位と年収の範囲を分けて読もう

印刷業界の大手企業は、連結売上高で見るとTOPPANホールディングスと大日本印刷の2社が1兆円を超え、共同印刷から竹田iPホールディングスまでの5社が300億円台から900億円台に並びます。順位そのものは、対象にする会社を決めてから有価証券報告書の連結売上高を並べれば、誰が調べても同じになります。

分かりにくいのは、順位に添えられた平均年収のほうです。持株会社の数字か事業会社の数字か、決算はいつか、平均年齢は何歳か。気になる会社の有価証券報告書を開き、売上高の順位と平均年間給与の範囲を分けて確かめてみてください。

この記事の著者情報

株式会社ネット風評被害対策 代表取締役 内村淳

ネット風評被害対策の専門家として15年以上の実績を持つ。
風評被害誹謗中傷対策・サジェスト対策・逆SEO対策・SNS炎上対応など、企業のWebリスク解決を累計10,000社以上支援。
ネット誹謗中傷対策に特化した法律事務所に1年間従事し、法的観点からの対応知見を習得。IT技術と法的アプローチの双方に携わってきた経験を持つ。
あらゆるネット風評被害対策支援に加え、企業向けコンサルティングや同業他社へのサービス提供も行う。
現在、日々進化するAI検索エンジンのアルゴリズムを徹底解析し、AI検索時代に適応した次世代の風評対策に注力している。

著書: 『AI時代のネット風評被害対策』(Kindle出版) ↗

発信活動: ネット風評被害対策に関する情報をnoteでも発信しています。 note ↗

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