就職活動でメーカーやIT企業の求人を見ていると、「研究職」と「開発職」という2つの職種名が並んでいることに気づきます。どちらも理系出身者に人気の高い職種ですが、両者の違いを具体的に説明できる人は案外少ないものです。「研究職は難しそうで、開発職は実践的」といった漠然としたイメージだけで進路を決めてしまうと、入社後に「思っていた仕事と違う」というギャップに直面しかねません。
この記事では、就活キャリア研究所が研究職と開発職の仕事内容の違いを整理したうえで、それぞれの中に存在する種類や、向いている人の特徴、就活で押さえておきたいポイントまで具体的に解説します。エントリーシートの職種選択で迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
研究職と開発職は何が違うのか

研究職と開発職の違いを一言でまとめると、「新しい知見や技術を生み出す仕事」か「その知見や技術を製品として世に送り出す仕事」かという役割の違いになります。総務省が定める日本標準職業分類でも、研究者と技術者は別の中分類として扱われており、研究者は自然科学系研究者・人文社会科学系等研究者に、技術者は製造技術者(開発)や製造技術者(開発を除く)などに区分されています。統計上の分類からも、両者が異なる役割を担う職種として整理されていることが分かります。
研究職は「知見や技術を発見すること」が仕事の中心
研究職の主な役割は、まだ世の中に存在しない物質や理論、技術の種を見つけ出すことです。実験やデータ分析を積み重ねながら仮説を検証し、新しい発見や知見を積み上げていく仕事といえます。成果がすぐに製品化されるとは限らず、何年もかけて1つのテーマを追いかけることも珍しくありません。
開発職は「発見された技術を製品へ落とし込む」仕事
一方の開発職は、研究職が積み上げた知見や、社内外にすでに存在する技術を土台にして、実際に販売できる製品やサービスへと形にしていく役割を担います。コストや納期、量産のしやすさといった現実的な制約と向き合いながら、市場に出せる完成度まで仕上げる仕事という点が、研究職との大きな違いです。
研究職の仕事内容と2つの種類
ひと口に研究職といっても、扱うテーマの性質によって「基礎研究」と「応用研究」の2つに大きく分かれます。どちらを担当するかによって、日々の仕事の進め方や求められる視点はかなり異なってきます。
基礎研究は未知の理論や原理を探る仕事
基礎研究とは、学術的な知識をもとに、まだ解明されていない現象や原理そのものを明らかにしていく研究です。大学や公的な研究機関で行われることが多く、企業においても中長期的な技術の種をまく目的で取り組まれています。成果がすぐに利益へつながるとは限らないため、じっくりと腰を据えて取り組む姿勢が求められる分野です。
応用研究は基礎研究の成果を実用化に近づける仕事
応用研究は、基礎研究で得られた理論や発見を、実際の製品や技術に活かせる形へと磨き上げていく研究です。基礎研究よりも実用化までの距離が近く、コストや品質、開発スピードといった実務的な要素も意識しながら研究を進めていく点が特徴といえるでしょう。企業の研究職では、こちらの応用研究を担当するケースが多く見られます。
開発職の仕事内容と3つの種類
開発職も、担当する業務の範囲によって「研究開発職」「技術開発職」「商品開発職」の3つに分けて語られることが多い職種です。求人票の職種名だけでは判断しづらいため、募集要項に記載されている具体的な業務内容まで確認しておくと安心です。
研究開発職は研究と開発の両方を担う
研究開発職は、研究職としての知見の探求と、開発職としての実用化の両方を1つの部署やチームで担当する職種です。特に組織規模がそれほど大きくない企業や、研究部門と開発部門を明確に分けるほどの人員体制を持たない企業で見られる形態といえます。同じ「研究開発職」という肩書きでも、企業によって研究寄りか開発寄りかの比重は変わってきます。
技術開発職は技術を製品化できる形に磨く仕事
技術開発職は、既存の技術やすでに確立された理論を、実際の製品に組み込める形へと応用していく仕事です。新素材の量産手法を確立したり、既存技術を別の製品分野へ転用したりと、技術そのものを磨き上げていく役割を担います。
商品開発職は市場のニーズを形にする仕事
商品開発職は、市場調査やマーケティングの視点も取り入れながら、実際に消費者や取引先へ届ける製品そのものを企画・設計していく仕事です。技術面だけでなく、価格帯やパッケージ、販売戦略まで含めて検討する場面が多く、技術者とマーケティング担当者の橋渡し役を担うことも少なくありません。
研究職・開発職に向いている人の特徴

研究職と開発職では求められる資質に重なる部分もありますが、仕事の進め方が異なるぶん、向いている人の傾向にも違いが見られます。自分の性格や興味関心と照らし合わせながら確認してみましょう。
研究職に向いている人の特徴
1つのテーマを長期間かけて掘り下げることに苦痛を感じない人は、研究職での仕事を続けやすい傾向があります。仮説と検証を繰り返す中で、思うような結果が出ない期間が続くこともあるため、探究心を持ち続けられるかどうかが1つの分かれ目になるでしょう。
開発職に向いている人の特徴
納期やコストといった制約の中で、限られた条件から最適な答えを組み立てていく作業を楽しめる人は、開発職に向いているといえます。設計部門や製造部門、営業部門など、社内の異なる立場の人たちと調整しながら仕事を進める場面も多いため、周囲と協力しながら物事を前に進める姿勢も欠かせません。
研究職・開発職に共通して求められる資質
研究職・開発職のどちらを志望する場合でも、粘り強く物事に取り組む姿勢と、専門知識を分かりやすい言葉で周囲に伝えるコミュニケーション能力は共通して重視されます。専門性の高さだけでなく、その専門性を他部署や取引先にも伝わる形で説明できるかどうかが、選考でも評価されやすいポイントです。
研究職・開発職の就活で押さえておきたいポイント
研究職・開発職を志望する場合、専攻していた研究内容と、応募する職種で求められる業務がどれだけ結びついているかを、自分の言葉で説明できる状態にしておくことが欠かせません。就活を進めるうえで整理しておきたい流れを3つのステップにまとめます。
大学や大学院での研究テーマ、実験の進め方、直面した課題とその乗り越え方を、専門外の人にも伝わる言葉で言語化しておきます。研究職・開発職の選考では、専門知識そのものよりも、課題にどう向き合ったかという過程を重視する企業が多く見られます。
志望する企業がどのような開発領域に力を入れているかを、採用サイトの技術紹介ページや有価証券報告書などから確認し、自分の研究分野や興味とどこが重なるかを整理します。同じ「開発職」でも企業によって扱う技術領域は大きく異なるため、企業ごとの違いを把握しておくと志望動機に説得力が生まれます。
OB・OG訪問やインターンシップに参加し、研究職・開発職として働く社員から、実際の1日の業務の流れや、研究職と開発職の間で行われている連携の様子を聞いておきます。求人票だけでは分からない、現場ならではの働き方を知る機会になるはずです。
よくある質問
- 研究職と開発職、どちらの年収が高いですか
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業界や企業規模、役職によって差が大きく、一概にどちらが高いと言い切れるものではありません。同じ研究開発部門の中でも、マネジメント職に就くかどうかで水準は変わってきます。志望企業の有価証券報告書や採用情報に記載されている給与モデルを確認したうえで、個別に比較することをおすすめします。
- 文系出身でも研究職・開発職を目指せますか
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研究職は自然科学系の専門知識を求められる求人が中心のため、文系出身者が挑戦できる求人は限られる傾向にあります。一方の開発職、特に商品開発職では、マーケティングや企画の視点が重視される求人もあり、文系出身者を積極的に採用している企業も存在します。募集要項で応募条件を丁寧に確認しておきましょう。
- 研究開発職と研究職・開発職はどう違いますか
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研究開発職は、研究職としての知見探求と、開発職としての実用化の両方を1つの部署で担う職種です。研究部門と開発部門を明確に分けていない企業に多く見られる形態で、企業によって研究寄りか開発寄りかの比重は異なります。
仕事の中心を見極めて、自分に合う職種を選ぼう
研究職と開発職の違いは、「新しい知見や技術を生み出す仕事」か「その成果を製品として形にする仕事」かという役割の違いに集約されます。研究職の中にも基礎研究と応用研究、開発職の中にも研究開発職・技術開発職・商品開発職といった種類があり、同じ職種名でも企業によって業務の中身は変わってきます。
就活を進めるうえでは、求人票の職種名だけで判断せず、自分の研究経験や興味と、企業が実際に担当してほしい業務の中身がどれだけ重なっているかを確認する姿勢が大切です。OB・OG訪問やインターンシップも活用しながら、納得できる職種選びにつなげていきましょう。

