経理の仕事に就くとき、あるいは別の会社へ移ろうと考えるとき、まず気になるのが「働きやすい会社をどう見分けるか」という点ではないでしょうか。
経理の仕事は、日々の記帳から月次の締め、年に一度の決算まで、時期によって忙しさの波がはっきり出ます。未経験から入る場合、どこまで任されるのか、繁忙期にどのくらい残業があるのかが分からないまま応募してしまいがちです。
この記事では、働きやすい会社に共通する特徴と、その特徴を国が用意している制度や公的なデータで確認する具体的な方法について、就活キャリア研究所の視点で整理しました。
経理の未経験転職で会社選びが難しい理由
会社選びに入る前に、この分野が置かれている状況を押さえておくと、求人票の読み方が変わってきます。
時期によって忙しさの波がある
月末や月初の締め、四半期ごとの区切り、年度末の決算と、経理には決まった山があります。この山のときにどのくらい残業が発生するのかは、求人票の平均的な数字からは読み取りにくい部分です。年間を通した平均だけを見て判断すると、入社後に想像との差を感じやすくなります。
任される範囲が会社の規模で変わる
人数の少ない会社では、記帳から決算まで一人で幅広く担当することがあります。一方で規模の大きな会社では、担当する工程が細かく分かれていることも珍しくありません。どちらが良いかは目指す方向によりますが、未経験から入る場合は教えてもらえる体制があるかどうかが分かれ目になります。
求人票の条件だけでは実態が読み取りにくい
年間休日数や月給の欄は、あくまで会社が示した条件です。実際の残業時間や人の定着ぶりまでは書かれていないことがほとんどです。ただ、こうした情報は国の仕組みを使えば調べられる場合があります。
未経験の経理が働きやすい会社に共通する特徴

求人票や面接だけでは判断しづらい会社の実態も、いくつかの共通したチェックポイントに注目すると見えてきます。ここでは代表的な特徴を整理します。
- 残業時間が公開されている
- 人が長く続いている
- 教育や資格取得の支援がある
- 任される範囲が具体的に説明される
- 給与の内訳が明示されている
- 面接での質問に具体的な回答が返ってくる
残業時間が公開されている
厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」では、月平均所定外労働時間や、雇用管理区分ごとの一月当たりの労働者の平均残業時間といった項目を調べられます(厚生労働省)。掲載されている会社であれば、面接に行く前に残業の実態を数字で押さえておけます。数字が出ている会社は、それを開示する姿勢があるという点でも判断材料になります。
人が長く続いている
同じサイトには、新卒者等の採用・定着状況、中途採用比率、男女の平均継続勤務年数の差異、従業員の平均年齢といった項目も並んでいます(厚生労働省)。経理は経験を積むほど任される範囲が広がる仕事なので、人が長く続いているかどうかは、育てる仕組みがあるかを測る手がかりになります。
教育や資格取得の支援がある
若者雇用促進法により、新卒者の募集を行う企業には、応募者などから求めがあった場合に、職業能力の開発・向上に関する状況を含む3つの類型ごとに1つ以上の情報を提供する義務があります(厚生労働省)。研修の有無や内容はこの類型に含まれるため、未経験から入る場合はとくに尋ねておきたい項目です。
任される範囲が具体的に説明される
入社してすぐ何を担当するのか、決算にはいつから関わるのか、誰に確認しながら進めるのかを、面接で具体的に尋ねてみましょう。「経験を積みながら覚えてもらいます」といった説明だけで具体例が出てこない場合は、受け入れの体制が固まっていない可能性も考えられます。
公開されている情報で会社を確かめる具体的な方法

気になる会社が見つかったら、応募する前に公開されている情報をたどっておくと判断材料が増えます。次の3つのステップで確認してみてください。
厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」で、気になる会社の職場情報を検索します(厚生労働省)。月平均所定外労働時間や平均継続勤務年数といった項目を、複数の会社で並べて比べられます。
応募先に対して、若者雇用促進法にもとづく職場情報の提供を求めます(厚生労働省)。職業能力の開発・向上に関する状況の類型に、研修の有無と内容が含まれます。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査で、職種や年齢層ごとの賃金の水準を確かめます(厚生労働省)。未経験からの提示額が世の中の水準からどのあたりに位置するのかを把握しておけます。
会社選びに関するよくある質問
- 未経験でも経理に転職できますか
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未経験を対象にした募集はあります。その場合は入社後にどこまで任されるのか、教えてもらえる体制があるのかを確かめておくと、入社後の見通しが立てやすくなります。
- 経理の残業時間はどこで調べられますか
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厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」に、月平均所定外労働時間や雇用管理区分ごとの一月当たりの労働者の平均残業時間といった項目が掲載されています(厚生労働省)。
- 研修の有無を会社に尋ねてもよいのですか
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かまいません。若者雇用促進法により、新卒者の募集を行う企業には、応募者などから求めがあった場合に、職業能力の開発・向上に関する状況を含む3つの類型ごとに1つ以上の情報を提供する義務があります(厚生労働省)。
- 決算期はどのくらい忙しくなりますか
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会社によって差が大きい部分です。決算の時期に何時間くらい残業が出るのか、休日出勤があるのかを面接で具体的に尋ねたうえで、公開されている残業時間の数字と照らし合わせてみましょう。
印象より「公開された数字」で選ぼう
経理の会社選びでは、募集の言葉づかいや面接の雰囲気につい影響されがちです。ただ、実際の働きやすさを左右するのは、繁忙期の残業の量や人の定着ぶりといった、数字で表せる部分です。
公開されている事実は、誰でも同じ手順でたどれます。求人票の印象だけで決めてしまう前に、こうした事実を一つずつ確かめ、自分が続けられる働き方に近い会社を見極めていきましょう。

