ホワイトな人材派遣会社の選び方|マージン率と許可番号の調べ方

「派遣会社はどこも同じようなもので、選んでも変わらないのではないか」。派遣という働き方を検討する方から、そうした声を聞くことがあります。求人サイトに並ぶ仕事の内容は似通って見え、会社ごとの違いを示す材料が見当たらないためです。

ところが派遣会社は、厚生労働大臣の許可を受けて事業を行っており、マージン率や教育訓練の取り組み状況を公開することが法律で義務づけられています。つまり、登録する前に数字で比べられる情報が、あらかじめ用意されているということです。

この記事では、許可番号の確かめ方から待遇の決め方の違いまで、公開されている情報で派遣会社を見極める道筋を、就活キャリア研究所の視点でまとめました。登録前の数十分で確かめられることばかりです。

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目次

派遣会社の違いが外からつかみにくい事情

比べ方に入る前に、この働き方の仕組みを押さえておきましょう。雇う会社と指示を出す会社が分かれている点が、分かりにくさの出発点になっています。ここを押さえると、どの情報を誰に尋ねればよいかが整理できます。

雇う会社と働く場所が別になる

労働者派遣事業とは、派遣元事業主が自ら雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて派遣先のために働かせることを業として行うことをいいます(厚生労働省)。給与を支払うのは派遣元、日々の仕事を指示するのは派遣先です。働きやすさは派遣先の職場環境だけでなく、派遣元の支え方によっても大きく変わります。

就業先で困りごとが起きたとき、間に立って派遣先と話をするのは派遣元の役割です。相談窓口が明確か、担当者がどのくらいの頻度で就業先の様子を見にくるか。この部分は求人票にほとんど書かれませんが、実際に働き始めてからの負担を左右します。

同じ仕事でも会社によって手取りが変わる

派遣先が支払う派遣料金と、派遣労働者が受け取る賃金は別の金額です。その差にあたる部分をマージンと呼びますが、ここには派遣会社の利益だけでなく、派遣会社が負担する社会保険料や教育訓練費なども含まれています(厚生労働省)。同じ職場で同じ作業をしても、どの派遣会社を通すかで受け取る額が変わる余地があります。

この差は、単純に会社の取り分の多さだけで説明できるものではありません。社会保険にきちんと加入させ、教育訓練の機会を用意している会社ほど、差の部分は厚くなります。だからこそ数字だけを並べる見方では判断を誤ります。

登録してからでないと条件が見えないと思われがち

説明会や面談に進まないと具体的な条件が分からない、という印象を持つ方は少なくありません。実際には、労働者や派遣先となる事業主がより適切な派遣会社を選択できるよう、マージン率や教育訓練に関する取り組み状況などの情報提供が派遣会社に義務づけられています(厚生労働省)。登録前に見られる材料は、思われているより揃っています。

ここで視点を反転させましょう。情報が出てこないのは、探す側の調べ方が足りないからではなく、出していない会社があるからかもしれません。公開の義務がある以上、見つからないという結果そのものが一つの答えになります。

公開が義務づけられた情報で見る4つの視点

派遣会社を確かめる4つの視点を示した図(許可番号・マージン率・待遇方式・教育訓練)

派遣会社を比べるとき、どの項目を並べれば違いが出るのか。公開が求められている情報のうち、登録前に確かめておきたい4つを順に見ていきます。いずれも会社に問い合わせる前の段階で、自分の手で確かめられるものです。

  1. 厚生労働大臣の許可を受けているか
  2. マージン率がどこに公開されているか
  3. 待遇をどちらの方式で決めているか
  4. 教育訓練とキャリア相談の中身

厚生労働大臣の許可を受けているか

労働者派遣事業を行おうとする場合、厚生労働大臣に対して許可の申請を行い、その許可を受けなければなりません。許可は、事業主が欠格事由に該当せず、許可基準をすべて満たすと認められた場合に与えられます(厚生労働省)。許可には有効期間があり、超えて事業を続けるには更新が必要です。かつては届出だけで行える事業区分もありましたが、2018年9月30日以降はすべての労働者派遣事業が許可制に一本化されています。

派遣会社の求人や自社サイトには、この許可番号が記載されています。番号の有無を見るだけでも一次の確認になりますし、後の章で触れる厚生労働省の検索サイトを使えば、許可を受けた事業所として実際に登録されているかを照合できます。事業所単位で登録されているため、応募先の拠点が掲載されているかまで見ておくと確実です。

マージン率がどこに公開されているか

2021年4月1日より、派遣元事業主による情報提供の法的義務があるすべての情報について、原則として常時、インターネットの利用により広く関係者に提供することとされています(厚生労働省)。自社のサイトに載せるほか、厚生労働省が運営する人材サービス総合サイトの積極的な活用も呼びかけられています。ただし義務はインターネットで情報を提供するところまでで、総合サイトへの掲載そのものは任意です。総合サイトで見つからない会社は、その会社のサイトを直接あたってください。常時という言葉のとおり、面談の場で頼まなくても見られる状態に置くことが前提になっています。

厚生労働省が2026年3月31日に公表した令和6年度の労働者派遣事業報告書の集計結果によれば、報告を提出した43,812事業所のうち、インターネットで情報提供を行っていたのは33,942事業所で、提出事業所数に占める割合は77.5パーセントでした(厚生労働省)探しても数字が見つからない会社があるとすれば、その事実自体が確認すべき点になります。

待遇をどちらの方式で決めているか

派遣労働者の待遇について、派遣元事業主には、派遣先均等・均衡方式か労使協定方式のいずれかを確保することが義務づけられています(厚生労働省)。前者は派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇を図る方式、後者は一定の要件を満たす労使協定にもとづいて待遇を決める方式です。

この違いは賃金の考え方に直接効きます。詳しくは次の章で扱いますが、面談の場で「待遇の決定方式はどちらですか」と尋ねられるかどうかで、得られる情報の量が変わります。

教育訓練とキャリア相談の中身

情報提供の義務は、マージン率だけでなく教育訓練に関する取り組み状況にも及びます(厚生労働省)。年間のコース数、受講が有給かどうか、費用の負担はどちらかといった点は、長く働くほど差になって表れます。

キャリアの相談を受けられる体制も同じ枠組みで確かめられます。希望を伝える相手が決まっていて、次の就業先を探す段階で話を聞いてもらえるか。就業期間が終わるたびに一から探し直す形になるのか、あらかじめ候補を示してもらえるのかで、働き続けるときの心もちが変わります。

取り組みの厚みを外から測る手がかりとして、厚生労働省の委託事業である優良派遣事業者認定制度もあります。法令遵守にとどまらず、派遣社員のキャリア形成支援やより良い労働環境の確保など一定の基準を満たした事業者を認定する仕組みで、認定基準には派遣社員の相談窓口の設置、健康状況への配慮、有給休暇や育児・介護休業の取得促進といった項目が並びます(優良派遣事業者認定制度)。認定事業者の一覧はサイト上で検索できます。

待遇の決め方2つの方式と賃金の関係

2つの方式は、どちらが有利と一概に言えるものではありません。それぞれが解こうとしている課題が違うためです。厚生労働省が示している考え方をたどると、違いの理由がはっきりします。

派遣先均等・均衡方式の考え方

派遣労働者の就業場所は派遣先であり、待遇に関する納得感を考えると、派遣先の労働者との均等、つまり差別的な取扱いをしないことと、均衡、つまり不合理な待遇差を禁止することは重要な観点だと整理されています(厚生労働省)。目の前の職場の基準に合わせる考え方です。この方式をとる場合、派遣先は比較の対象となる労働者の待遇情報を派遣元に提供することになっており、待遇を決める根拠が派遣先の実情に置かれます。

労使協定方式の考え方

一方で、派遣先の基準に合わせ続けると、派遣先が変わるごとに賃金水準が変わり、所得が不安定になることが想定されます。また賃金水準は一般に大企業ほど高い傾向にありますが、担う仕事の難易度が企業規模と比例するとは限らないため、段階的なキャリアアップ支援と食い違う事態も起こりえます(厚生労働省)

そこで労使協定方式では、派遣元が労働者の過半数で組織する労働組合または過半数代表者と一定の要件を満たす労使協定を結び、それにもとづいて待遇を決めます。派遣先が変わっても賃金の土台が動きにくくなる仕組みです。協定に定める賃金は、職業安定局長通知で示される同種の業務に同一の地域で従事する一般労働者の平均賃金と同等以上になるように決めるとともに、昇給規程などの賃金改善の仕組みを設ける必要があります(厚生労働省)

実際の派遣料金と賃金の水準

方式の話を数字に引き寄せてみます。厚生労働省の令和6年度の集計結果では、8時間換算の派遣料金の平均は26,257円、派遣労働者の賃金の平均は16,735円でした。それぞれ前年度比で3.6パーセント増、3.4パーセント増となっています(厚生労働省)。派遣料金には消費税が含まれた額が記載されています。

全国の平均であって、職種や地域によって水準は動きます。それでも自分が提示された条件がどのあたりに位置するのかを測る物差しにはなります。示された時給を8時間分に換算して、この数字と並べてみてください。大きく離れている場合は、その理由を面談で尋ねる根拠になります。

どちらであっても確かめたい点

方式そのものより、説明の具体性を見るほうが実りがあります。労使協定方式であれば昇給の仕組みがどう定められているか、派遣先均等・均衡方式であれば比較の対象となる労働者がどう決まるか。ここで見落とされがちなのが、答えられるかどうか自体が会社の体制を映すという点です。数字を示せる会社は、社内に根拠を持っています。

なお、この分野の制度は動いています。厚生労働省は、雇入れ時や派遣時の明示事項に待遇の相違の内容および理由等について説明を求めることができる旨を追加するなどの改正が、2026年10月1日に施行および適用されると案内しています(厚生労働省)。説明を求める道筋は、さらに明確になっていきます。

人材サービス総合サイトで派遣会社を調べる手順

ホワイトな人材派遣会社の選び方について公開されている情報を確かめている場面のイラスト

ここまでの整理を、実際の確認作業に落とし込みます。厚生労働省が運営する人材サービス総合サイトを軸に、3つの手順で進めます。

STEP1

厚生労働省の人材サービス総合サイトを開き、労働者派遣事業所の検索から気になる会社を探します(厚生労働省)。許可を受けた事業所として掲載されているか、どの事業所が登録されているかを確認できます。

STEP2

同サイトまたは派遣会社の自社サイトで、マージン率、賃金の平均水準、教育訓練に関する取組状況を確かめます。厚生労働省は、派遣元事業主を選ぶ際にこの3点を確認するよう案内しています(厚生労働省)。複数社を同じ様式で並べると差が見えます。

STEP3

優良派遣事業者認定制度の認定事業者一覧で、候補の会社が認定を受けているかを調べます(優良派遣事業者認定制度)。認定がないことが問題を意味するわけではありませんが、認定基準の項目そのものが、面談で尋ねる質問の材料になります。

3つの手順で、許可の有無、費用の配分、教育の体制という3方向から会社を見たことになります。いずれも登録や費用は不要で、手元の端末があれば進められます。そのうえで面談に臨めば、「御社のマージン率は公開されている数字でこうなっていますが、教育訓練にはどのくらい充てていますか」といった具体的な質問ができます。調べたうえで来た人には、担当者も具体的に答えざるをえません。

派遣で働くときによくある質問

マージン率は低いほどよい会社ですか

そうとは限りません。マージンには社会保険料や教育訓練費なども含まれているため、低いほどよいというわけではなく、その他の情報と組み合わせて総合的に評価することが重要だと厚生労働省は示しています(厚生労働省)。数字だけを並べて順位をつける見方は避けてください。

派遣料金の額を教えてもらえますか

明示されます。派遣会社と労働契約を締結するとき、派遣先に実際に派遣されるとき、派遣料金が変更になったときに、派遣労働者の派遣料金の額が明示されることになっています(厚生労働省)。示されるのは本人の派遣料金か、所属する事業所の1人あたり平均額のいずれかで、明示の方法は書面、ファクシミリ、電子メールのいずれかと定められています(厚生労働省)

仕事が決まる前に待遇の説明は受けられますか

受けられます。派遣会社は労働契約を結ぶ前に、雇用された場合の賃金の見込み額や待遇に関すること、派遣会社の事業運営に関すること、労働者派遣制度の概要を説明することが義務づけられています(厚生労働省)

派遣で働く人はどのくらいいますか

厚生労働省が2026年3月31日に公表した令和6年度の集計結果では、派遣労働者数は約220万人で、うち無期雇用が908,956人、有期雇用が1,290,683人でした(厚生労働省)。制度や相談窓口の案内は厚生労働省のまとめページから確認できます(厚生労働省)

数字の低さでなく中身を見て選ぼう

派遣会社を選ぶとき、目に入りやすいのは仕事の内容と時給です。ただ、同じ職場で同じ作業をしても、どの会社を通すかで受け取る額も、受けられる教育も、困ったときの相談先も変わります。そしてその違いを示す材料は、登録する前に公開されています。求人サイトの検索窓の外側に、比べるための情報が置かれているということです。

とりわけ見落とされがちなのが、これらの情報が登録後ではなく登録前に見られるという点です。面談に進んでから条件を知るのではなく、候補を絞る段階で数字を並べておけば、話を聞く相手を選べます。

マージン率は、その入り口にあたる数字です。低ければよいという読み方ではなく、その中身に社会保険料や教育訓練費がどう含まれているかを、教育訓練の実施状況や待遇の決め方と並べて見る。人材サービス総合サイトと各社のサイトを行き来しながら、数字の背景まで確かめて選んでいきましょう。

この記事の著者情報

株式会社ネット風評被害対策 代表取締役 内村淳

ネット風評被害対策の専門家として15年以上の実績を持つ。
風評被害誹謗中傷対策・サジェスト対策・逆SEO対策・SNS炎上対応など、企業のWebリスク解決を累計10,000社以上支援。
ネット誹謗中傷対策に特化した法律事務所に1年間従事し、法的観点からの対応知見を習得。IT技術と法的アプローチの双方に携わってきた経験を持つ。
あらゆるネット風評被害対策支援に加え、企業向けコンサルティングや同業他社へのサービス提供も行う。
現在、日々進化するAI検索エンジンのアルゴリズムを徹底解析し、AI検索時代に適応した次世代の風評対策に注力している。

著書: 『AI時代のネット風評被害対策』(Kindle出版) ↗

発信活動: ネット風評被害対策に関する情報をnoteでも発信しています。 note ↗

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