理学療法士のホワイトな職場の見分け方|配置人数と単位数の調べ方

「リハビリの職場は、結局どこも忙しさは同じ」。転職を考えはじめた理学療法士の方から、そんな声が聞かれます。求人票に並ぶ職種名も給与の欄もどこか似通って見えるため、条件の欄では差がつかないという受け止め方が広がりやすいのです。

しかし、リハビリ職の一日を左右するのは、その勤務先がどの入院料やリハビリテーション料を国に届け出ているかです。届出の種類ごとに、置かなければならない療法士の人数や、1人が1日に行える単位数の上限が制度として定められています。そして届出の内容も、施設の体制も、誰でも調べられる形で公開されています。

この記事では、働きやすい職場に共通する見方と、それを公的な制度で裏づける方法を、就活キャリア研究所の視点で整理しました。制度の名前とたどり方まで示しますので、気になる勤務先があれば、そのまま同じ手順で確かめていただけます。

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目次

リハビリ職の職場が求人票から読み取りにくい理由

勤務先探しに入る前に、この分野の求人情報がどういう性質を持っているのかを押さえておくと、見るべき欄が変わってきます。

勤務先の種類で一日の流れが変わる

理学療法士が働く場所は、発症直後の患者に関わる急性期の病棟、在宅復帰を目指す回復期の病棟、長く暮らしを支える生活期の施設、介護保険の通所や入所のサービス、利用者の自宅へ出向く訪問リハビリテーションと幅があります。同じ「理学療法士」という募集でも、1日に受け持つ人数も、担当する期間の長さも、他職種との関わり方もそれぞれ違います。

求人票の職種名だけでは、入職後にどの現場を担当するのかまでは読み取れません。配属先の決め方、異動の周期、希望を伝える機会があるかどうかは、面接の場で確かめておきたい点です。

療法士の人数は届出の内容で下限が決まる

医療機関が診療報酬を算定するには、項目ごとに定められた施設基準を満たし、地方厚生局へ届け出る必要があります。その施設基準の中に、療法士を何人置くかという要件が書かれています。つまり、届け出ている入院料やリハビリテーション料の種類が分かれば、その職場に最低何人の療法士がいるのかが推し量れるということです(厚生労働省)。

ところが求人票には「リハビリスタッフ多数在籍」といった表現しか載っていないことも珍しくありません。人数そのものより、どの届出をしていて、そのために何人が専従として縛られているのかを聞くほうが、実態に近づけます。

教育体制の呼び方がそろっていない

「新人教育充実」「プリセプター制度あり」といった表現は多くの求人票で見かけますが、名称の付け方は各職場に任されています。誰が指導役を担い、年間で何時間の研修を用意しているのかという中身は、呼び名からは判断できません。研修の回数と、指導役が担当する新人の人数を具体的に尋ねると、形だけの制度かどうかが返答から伝わってきます。

働きやすい職場を見分けるときに見る点

リハビリの職場を見極める4つの視点を示した図(勤務先の種類・配置の人数・実施単位数・勤務環境)

求人票の見出しだけでは判断しづらい職場の状況も、いくつかの決まった項目に注目すると輪郭がつかめます。ここでは代表的な見方を挙げ、そのうち特に制度と数字で答え合わせができる4つを詳しく取り上げます。

  1. 勤務先の種類と担当する現場を説明できる
  2. 届け出ている入院料と療法士の配置を答えられる
  3. 1日の実施単位数に目安を置いている
  4. 勤務環境の改善に組織として取り組んでいる
  5. 記録や計画書を書く時間が勤務時間に入っている
  6. 研修の中身が文書で示されている

勤務先の種類と担当する現場を説明できる

病院であれば、どの病棟に配属される見込みなのか。介護保険のサービスを併設しているなら、そちらの勤務が回ってくるのか。この2点は入職後の一日の形を決めます。制度の上では、疾患別リハビリテーション料の施設基準で人数に数えられている専従の療法士が通所リハビリテーションや自立訓練に回れるのは、専従者以外の療法士が全員そうした業務に就いているなどの条件を満たし、かつ疾患別リハビリテーションを提供すべき患者がいない時間帯に限られます。専従者以外の療法士であれば、疾患別リハビリテーションに従事している時間帯を除いて、通所リハビリテーションや自立訓練を担当できます(厚生労働省)。

「病院の求人だと思って入ったら、週の半分は通所だった」という食い違いは、募集の段階で防げます。併設しているサービスの種類と、そこへの応援がどの程度あるのかを尋ねておきましょう。

届け出ている入院料と療法士の配置を答えられる

届け出ている入院料の名前が即座に出てくるかどうかは、採用担当者が現場の体制を把握しているかの手がかりになります。名前が分かれば、後から自分で施設基準を調べ、最低何人の療法士が必要なのかを確かめられます(厚生労働省)。

ここで押さえておきたいのは、施設基準の人数はあくまで下限だという点です。基準ちょうどの人数で運営している職場と、余裕を持って配置している職場では、急な欠員が出たときの負担のかかり方がまるで違います。基準の人数と実際の在籍人数を両方尋ねると、その差から余力が見えてきます。

1日の実施単位数に目安を置いている

疾患別リハビリテーション料では、専従の従事者1人あたりの実施単位数について、1日当たり18単位を標準とし、週当たりの実施単位数として108単位まで、1日当たりの実施単位数として24単位までが上限と定められています(厚生労働省)。1単位は20分以上の個別療法を行った場合を指すため(厚生労働省)、18単位はおよそ6時間分の個別の関わりに相当します。

「1日の平均単位数は何単位を目安にしていますか」という質問は、制度に沿った聞き方です。上限に近い数字が日常になっている職場では、記録や計画書を書く時間をどこで確保しているのかも、あわせて確かめておきたいところです。

勤務環境の改善に組織として取り組んでいる

2014年10月1日には、医療機関の勤務環境改善に関する改正医療法の規定が施行され、各医療機関が計画を立てて継続的に勤務環境の改善に取り組む仕組み、いわゆる勤務環境改善マネジメントシステムを導入することとされました。医師、看護師、薬剤師、事務職員など幅広い職種が協力して進める形が想定されています(厚生労働省)。

この枠組みに沿った取り組みがあるかどうかは、面接でそのまま尋ねられます。療法士は人数の多い職種ではないため、改善の話し合いの場にリハビリ部門の代表が入っているかどうかで、現場の声が届く職場かが分かります。

届け出の内容から人員配置を読み取る

ここからは、代表的な届出について、実際に定められている療法士の人数を見ていきます。いずれも厚生労働省が公開している令和8年度診療報酬改定の資料で確かめられる内容です(厚生労働省)。

回復期リハビリテーション病棟入院料の配置

回復期リハビリテーション病棟入院料1および2の施設基準では、リハビリテーション科を標榜したうえで、当該病棟に専任の医師1名以上、専従の理学療法士3名以上、作業療法士2名以上、言語聴覚士1名以上、専任の管理栄養士1名以上(入院料1を算定する場合)、在宅復帰支援を担当する専従の社会福祉士等1名以上を常勤で配置することとされています。入院料3、4および5では、専任の医師1名以上、専従の理学療法士2名以上、作業療法士1名以上が求められます(厚生労働省)。

提供するリハビリテーションの量にも基準があります。回復期リハビリテーションを要する状態の患者に対する1日当たりの提供単位数は平均3単位以上とされ、入院料5と回復期リハビリテーション入院医療管理料では2単位以上です(厚生労働省)。入院料1と入院料3では、常勤で配置することとされている理学療法士と作業療法士が1名ずつ少なくなるうえ、言語聴覚士は配置が望ましいという扱いに変わるため、同じ「回復期リハビリテーション病棟」という言葉でも体制の厚みは同じではありません。

疾患別リハビリテーション料の配置

脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の施設基準では、専任の常勤医師2名以上に加えて、専従の常勤理学療法士5名以上、専従の常勤作業療法士3名以上が求められ、言語聴覚療法を行う場合は専従の常勤言語聴覚士1名以上が必要です。しかもこれらの専従者が合わせて10名以上勤務していることとされ、専用の機能訓練室は内法で160平方メートル以上と定められています(厚生労働省)。

一方、運動器リハビリテーション料(Ⅰ)では専従の常勤理学療法士または専従の常勤作業療法士が合わせて4名以上、(Ⅱ)では専従の常勤理学療法士2名以上、専従の常勤作業療法士2名以上、あるいは両者を合わせて2名以上のいずれかを満たせばよいとされています(厚生労働省)。届出の区分が分かるだけで、リハビリ部門の規模がおおよそ見当のつく仕組みになっています。

病棟や介護サービスに置かれる療法士

地域包括医療病棟入院料の施設基準では、当該病棟に専従の常勤理学療法士、専従の常勤作業療法士または専従の常勤言語聴覚士が合わせて2名以上配置されていることとされています(厚生労働省)。急性期の病棟でもリハビリ職が病棟付きで配置される形が広がっており、病棟に常駐するのか、リハビリ室から出向くのかで一日の動き方が変わります。

介護保険のサービスでは、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション、介護老人保健施設などに理学療法士が関わります。これらの事業所の人員体制は、後述する介護サービス情報公表システムで調べられます(厚生労働省)。

労働条件の相場を先に知っておく

個別の職場を評価する前に、この分野の労働条件が全国でどのあたりに落ち着いているのかを知っておくと、求人票の数字をその場で位置づけられます。

医療、福祉の賃金は月315.7千円

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、医療、福祉に分類される一般労働者の賃金は年齢計で月315.7千円、前年からの増減率は3.0%でした。平均年齢は44.0歳、平均勤続年数は9.9年です(厚生労働省)。同じ調査は職種別の集計も公開しており、理学療法士や作業療法士を含む区分の数字を調べられます(厚生労働省)。

この水準を頭に入れておくと、提示された金額が高いのか低いのかを自分で判断できます。平均勤続年数が9.9年という数字は、この分野全体で人の入れ替わりが起きやすいことを示しています。応募先の平均勤続年数を尋ねて、この数字と比べてみてください。

年次有給休暇の取得率は68.4%

令和7年就労条件総合調査によると、医療、福祉の労働者1人平均の年次有給休暇は、平均付与日数17.7日、平均取得日数12.1日、平均取得率68.4%でした。全産業の平均取得率は66.9%です(厚生労働省)。

リハビリの現場では、担当を代わる人がいなければ休みが取りにくくなります。取得率の数字そのものより、休んだ日の担当患者を誰がどう引き継ぐのかという運用を聞いたほうが、実際に休めるかどうかが分かります。

週の所定労働時間は39時間23分

同じ調査で、医療、福祉の1企業平均の所定労働時間は1日7時間51分、週39時間23分と集計されています。全産業の平均はそれぞれ7時間49分、週39時間24分です(厚生労働省)。数字の上では全産業とほぼ変わりません。

とりわけ見落とされがちなのが、記録や計画書の作成にかかる時間の扱いです。実施単位数に数えない業務として、リハビリテーションの記録時間や個別療法のために移動する時間が制度上も区別されています(厚生労働省)。これらの時間が所定労働時間の中に収まる前提で予定が組まれているのかは、必ず確かめておきたい点です。

公開されている情報で職場を確かめる手順

理学療法士のホワイトな職場の見分け方について公開されている情報を確かめている場面のイラスト

気になる勤務先が見つかったら、応募の前に公開情報をたどっておくと、面接で聞くべきことがはっきりします。次の3つの段階で確かめてみてください。

STEP1

医療情報ネットで病院や診療所の基本情報を調べます(厚生労働省)。医療機能情報提供制度は、住民や患者による医療機関の選択を支援する目的で平成18年の第五次医療法改正により導入された仕組みで、都道府県知事が病院等から報告を受けた情報を分かりやすい形で提供しています。従来は都道府県ごとに運用されていた検索システムが集約され、全国統一の医療情報ネットとして2024年4月から運用が始まりました(厚生労働省)。診療科目のほか、対応可能な疾患や治療内容、医療従事者の専門性に関する事項まで報告項目に含まれています。

STEP2

介護保険のサービスが候補に入っているなら、介護サービス情報公表システムで事業所を調べます(厚生労働省)。介護サービス情報の公表制度は介護保険法に基づき平成18年4月に始まった仕組みで、利用者が事業所や施設を比較して選べるよう、都道府県が情報を提供しています(厚生労働省)。職員の体制や研修の実施状況も公表の対象です。

STEP3

厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」に掲載がある法人であれば、月平均所定外労働時間や平均継続勤務年数を事前に確認しておけます(厚生労働省)。そのうえで面接や見学の場で、届け出ている入院料、療法士の在籍人数、1日の平均単位数、記録を書く時間の扱いの4点を尋ねます。数字が即答されるか、後日回答になるか、あるいは答えが返ってこないか。その反応自体が判断材料になります。

都道府県の支援センターが相談窓口になっている

都道府県は、勤務環境の改善に取り組む医療機関を支援する拠点として医療勤務環境改善支援センターを設置しており、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーが無料で相談に応じています。47都道府県の窓口と連絡先は一覧で公開されています(厚生労働省)。

これは医療機関に向けた仕組みであって、働く側が直接使う窓口ではありません。ただ、勤務先がこうした支援を受けた経験があるかどうかを尋ねれば、改善に手をつけている職場かを推し量る手がかりになります(厚生労働省)。

理学療法士の職場選びでよくある質問

最後に、理学療法士が勤務先を選ぶときによく寄せられる疑問を整理しておきます。

1日の単位数に上限はありますか

あります。疾患別リハビリテーション料では、専従の従事者1人あたり1日当たり18単位を標準とし、週当たり108単位まで、1日当たり24単位までが上限と定められています(厚生労働省)。1単位は20分以上の個別療法を行った場合を指します(厚生労働省)。面接では平均して何単位を目安にしているかを尋ねてみてください。

病院の療法士の人数はどこで分かりますか

個別の病院ごとに人数がそのまま公表される仕組みはありませんが、届け出ている入院料やリハビリテーション料の種類が分かれば、施設基準から最低人数を割り出せます(厚生労働省)。医療情報ネットで病院の規模と診療科目を確かめたうえで(厚生労働省)、在籍人数を直接尋ねるのが確かな進め方です。

介護保険の事業所も同じように調べられますか

調べられます。介護サービス情報の公表制度により、都道府県が事業所の情報を提供しています(厚生労働省)。通所リハビリテーションや訪問リハビリテーション、介護老人保健施設なども介護サービス情報公表システムから探せます(厚生労働省)。

理学療法士は毎年何人が新しく資格を取得していますか

2026年2月23日に実施された第61回理学療法士国家試験では、受験者12,436人に対して合格者は11,156人、合格率は89.7%でした。同じ日の第61回作業療法士国家試験は受験者5,426人、合格者4,947人、合格率91.2%です(厚生労働省)。この合格者数は新しく資格を取得した人数であり、離職や引退を差し引いた働き手の増減とは別の数字です。

雰囲気ではなく配置と単位数で選ぼう

見学で受ける印象や、スタッフの表情の穏やかさは、たしかに大切な手がかりです。ただ、働き続けられるかどうかを最後に決めるのは、1日に何単位を担当することになるのか、その人数で回せる体制なのかという、制度に照らして確かめられる部分ではないでしょうか。

ここまで挙げた制度と調査は、誰でも同じ手順でたどれます。医療情報ネットで病院を調べ、介護サービス情報公表システムで事業所を調べ、届け出ている入院料から必要な療法士の人数を割り出す。そのうえで在籍人数と1日の平均単位数を面接で尋ね、自分が続けられる働き方に近い職場を選んでいきましょう。

この記事の著者情報

株式会社ネット風評被害対策 代表取締役 内村淳

ネット風評被害対策の専門家として15年以上の実績を持つ。
風評被害誹謗中傷対策・サジェスト対策・逆SEO対策・SNS炎上対応など、企業のWebリスク解決を累計10,000社以上支援。
ネット誹謗中傷対策に特化した法律事務所に1年間従事し、法的観点からの対応知見を習得。IT技術と法的アプローチの双方に携わってきた経験を持つ。
あらゆるネット風評被害対策支援に加え、企業向けコンサルティングや同業他社へのサービス提供も行う。
現在、日々進化するAI検索エンジンのアルゴリズムを徹底解析し、AI検索時代に適応した次世代の風評対策に注力している。

著書: 『AI時代のネット風評被害対策』(Kindle出版) ↗

発信活動: ネット風評被害対策に関する情報をnoteでも発信しています。 note ↗

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