「日産自動車 子会社 ランキング」で検索すると、傘下の会社を並べた一覧がいくつも表示されます。ところが中身を見比べると、車両を組み立てる会社、変速機やエンジンを作る会社、自動車ローンを扱う会社、販売の店舗を持つ会社が同じ列に並んでおり、何を基準に上下が付いているのかが読み取れません。
この読みにくさには理由があります。日産自動車のグループは、事業の区分としては自動車事業と販売金融事業の二つに分かれ、会社の区分としては車両・部品・金融・その他という並びで整理されています。さらに会社の数そのものが毎期動いており、売却や生産の終了が続いています。
この記事では、順位表の代わりに、有価証券報告書と日産自動車が公開している会社一覧という二つの資料から会社の位置づけを読み解く方法を、就活キャリア研究所の視点で整理しました。どちらも誰でもたどれる資料です。
日産の子会社ランキングが揃わない理由
順位表を読み比べる前に、このグループがどれだけの会社で構成されているのかを押さえておくと、一覧が揃わない理由が見えてきます。
連結の対象になる会社が二百社を超えている
日産自動車株式会社の第127期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の有価証券報告書によると、連結子会社は226社、持分法適用関連会社は36社です(日産自動車)。連結子会社の内訳は、国内が92社、在外が134社と記載されています。二百を超える会社のうちどれを取り上げるかの時点で、書き手ごとの判断が入ります。
社名が載るのは主要な会社だけ
報告書の「関係会社の状況」に社名が書かれているのは、国内と海外の主要な会社に限られます。国内では十数社を挙げたあとに「その他国内連結子会社78社」、海外では同じく主要な会社を挙げたあとに「その他在外連結子会社107社」とまとめられています。社名が公表されていない会社のほうが多いため、どの一覧も網羅にはなりません。
一年で会社の数が動いている
一つ前の第126期(2024年4月1日から2025年3月31日まで)の報告書では、連結子会社が231社(国内93社、在外138社)、持分法適用関連会社が35社でした。一年で連結子会社が5社減り、持分法適用関連会社が1社増えた計算になります。
第127期の沿革には、2025年7月にルノー日産オートモーティブインディア社の株式をルノーに売却したこと、2025年8月にインドネシア日産自動車会社の株式を売却したこと、2025年10月にアルゼンチン日産社のサンタ・イザベル工場で車両生産を中止したこと、2026年3月にメキシコ日産自動車会社のシバック工場で車両生産を中止したことが並んでいます。順位表を見るときは、その一覧がどの期の報告書に基づいているのかを先に確かめてください。
車両・部品・金融で分かれる会社の区分
会社の数が多くても、区分の仕組みが分かれば読み解けます。日産自動車が公開している会社一覧と、報告書の事業の区分を並べて見てみます。
公式の会社一覧は四つの区分で並ぶ
日産自動車は「日本の主要関係会社」というページで、国内の関係会社を車両会社、部品会社、金融会社、その他の四つに分けて掲載しています。2026年3月31日時点の内容です(日産自動車)。
車両会社には、日産自動車九州株式会社(持株比率100%・セレナ、エクストレイル、ローグを生産)、日産車体株式会社(50%・NV200バネット、特装車)、日産車体九州株式会社(50%・QX80、アルマーダ、パトロール、エルグランド、キャラバン)が挙がっています。部品会社は愛知機械工業株式会社(100%)、ジヤトコ株式会社(75%)、日産工機株式会社(97.73%)の三社、金融会社は日産グループファイナンス株式会社(100%)と株式会社日産フィナンシャルサービス(100%)の二社です。この一覧には順位が付いておらず、区分と主要生産車種で会社を探す作りになっています。
事業の区分は自動車と販売金融の二つ
会社の区分とは別に、報告書では事業の区分が二つに整理されています。第127期の自動車事業の売上高はセグメント間の内部売上高を含めて10兆9,201億円で、営業損失は2,929億円でした。これに対して販売金融事業の売上高は、同じくセグメント間の内部売上高を含めて1兆3,180億円、営業利益は2,979億円です。売上高では八倍以上の開きがある一方、利益の出方は逆になっています。
人数の比率も事業ごとに違います。2026年3月31日時点の連結の従業員数120,079人のうち、販売金融事業の従業員は4,361人と注記されています。会社の数でも人数でも自動車事業が大半を占め、販売金融事業は小さな人数で利益を積み上げる構造になっています。
持株比率と議決権の所有割合は別の数字
二つの資料を並べるときに気をつけたいのが、同じ会社でも数字が一致しない点です。日産自動車の会社一覧に載っている持株比率は、注記によると日産自動車出資分と日産自動車連結子会社出資分の合計です。一方、有価証券報告書に載っているのは議決権の所有割合で、間接所有分が括弧書きで添えられています。
実際、日産ネットワークホールディングス株式会社は会社一覧では持株比率96.16%ですが、報告書では議決権の所有割合100.00%(うち間接所有7.68%)です。ジヤトコ株式会社も会社一覧では75%、報告書では74.96%と書かれています。数字が食い違って見えるときは、どちらの物差しで測った値なのかを確かめてください。
日産グループの序列を測る4つの目安

ここからは、公開資料のどこを見れば会社の位置づけが分かるのかを整理します。次の四つを順に確かめると、根拠の示されていない順位表に頼らずに自分で並べ替えられます。
- 会社の区分と主要な事業の内容を確かめる
- 議決権の所有割合を確かめる
- 有価証券報告書を提出しているかを見る
- 従業員数で組織の大きさをつかむ
会社の区分で日々の仕事の枠組みが決まる
第127期の関係会社の状況では、会社ごとに主要な事業の内容が短い言葉で書かれています。日産車体株式会社は自動車及び部品製造・販売、日産自動車九州株式会社は自動車及び部品製造受託、愛知機械工業株式会社とジヤトコ株式会社と日産工機株式会社は自動車部品製造・販売です。
販売と金融の側も同じ書き方で分かれています。株式会社日産フィナンシャルサービスは小売金融及び卸売金融並びに自動車賃貸、日産ファイナンス株式会社はグループ会社向け金融、日産ネットワークホールディングス株式会社は国内販売ネットワークの事業管理並びに不動産の所有・賃貸借及び管理受託、日産部品中央販売株式会社は自動車補修部品の販売、株式会社日産カーレンタルソリューションはレンタカー事業と記載されています。同じ「日産」の名前が付いていても、この一語が示す仕事の中身は一社ずつ違います。
議決権の割合で連結の扱いが分かれる
連結子会社の側では、日産自動車九州と愛知機械工業がいずれも100.00%、日産工機が97.73%、日産部品中央販売が84.05%(うち間接所有37.81%)、ジヤトコが74.96%、日産車体が50.01%です。持分法適用関連会社の側では、東風汽車有限公司が50.00%、日産東京販売ホールディングス株式会社が38.04%、三菱自動車工業株式会社が26.68%、ルノーが15.26%と記載されています。
とりわけ見落とされがちなのが、比率の大小と連結の扱いが対応していない点です。台湾の裕隆日産汽車股份有限公司は議決権の所有割合が40.00%ですが、注記には実質的に支配しているため子会社としたと書かれています。ルノーについても、報告書は信託の仕組みに触れたうえで、2026年3月31日時点でルノーとルノーが受益者となる信託が日産自動車の発行済株式総数(自己株式を除く)のそれぞれ17.1%と18.7%を所有しており、その他の関係会社にも該当すると説明しています。数字の大きさではなく、支配しているかどうかで区分が決まります。
有価証券報告書を出している会社は数字を追える
第127期の注記では、有価証券届出書または有価証券報告書の提出会社として、日産車体株式会社、株式会社日産フィナンシャルサービス、日産東京販売ホールディングス株式会社、ルノー、三菱自動車工業株式会社の名前が挙げられています。会社ごとの詳しい数字を追いたいときは、この注記に名前のある会社から当たると資料が見つけやすくなります。
一方、事業の内容の欄には、国内の証券市場に上場している連結子会社は日産車体株式会社(東京)だけだと書かれています。報告書を出している会社と、上場している会社は同じではありません。なお海外の会社では、北米日産会社が連結売上高に占める割合の大きさから主要な損益情報を開示しており、売上高5,163,744百万円、経常利益169,007百万円、当期純損失143,413百万円、純資産額840,691百万円、総資産額7,680,764百万円と記載されています。
会社の規模は従業員数の欄で確かめる
2026年3月31日時点の連結の従業員数は120,079人で、臨時従業員の年間平均14,840人が外数で加わります。所在地別では日本が58,723人と最も多く、北米が37,036人(うち米国13,898人)、アジアが9,890人、欧州が8,948人、その他が5,482人です。
日産自動車自身の従業員数は23,174人で、平均年齢は40.9歳、平均勤続年数は14.9年、平均年間給与は8,571,467円、平均年間給与の対前事業年度増減率は4.3%の減少と記載されています。注記には、これらはすべて自動車事業の従業員だと添えられています。労働組合については、2026年3月末時点の組合員総数が日産自動車九州株式会社を含めて25,783名と書かれています。
資本金の額も記載されていますが、規模の物差しとしては使いにくい項目です。ジヤトコが29,935百万円、愛知機械工業が8,518百万円である一方、車両を組み立てている日産自動車九州は10百万円、日産グループファイナンスと日産ネットワークホールディングスはいずれも90百万円です。資本金の差がそのまま事業の大きさを表しているわけではありません。
公開資料で日産の関係会社を確かめる手順

気になる会社が見つかったら、次の三つの手順をたどると、その会社がグループのどこにいるのかを自分で確かめられます。
日産自動車の「日本の主要関係会社」で、その会社が車両会社、部品会社、金融会社、その他のどの区分に置かれているかを確かめます(日産自動車)。事業内容と住所と持株比率、車両会社であれば主要生産車種も同じ欄に載っています。
有価証券報告書の「関係会社の状況」で、議決権の所有割合と主要な事業の内容を確かめます(日産自動車)。続けて「従業員の状況等」を見れば、所在地ごとの人数と、日産自動車自身の平均年齢や平均勤続年数も読み取れます。
注記に名前のある会社については、金融庁のEDINETで会社名から書類を探します(金融庁)。その会社が自社で提出した報告書には、日産自動車の報告書には載っていない事業の内訳や従業員の内訳が書かれています。
資本関係の次に働き方の情報を見たいときは、厚生労働省の職場情報総合サイトが使えます(厚生労働省)。平均勤続年数や有給休暇の取得率など、企業が届け出た項目を会社名から確かめられます。
再編が続くグループで会社を選ぶ視点
日産自動車のグループは、順位表が作られた時点と志望先を決める時点で顔ぶれが変わることがあります。報告書に書かれている計画と過去の経緯を押さえておくと、変化の方向が読めます。
工場の数を減らす計画が示されている
第127期の報告書は、2025年5月に発表した経営再建計画「Re:Nissan」について、コスト構造の抜本的改革、市場戦略及び商品戦略の再定義、パートナーシップの強化の三つを柱とすると説明しています。固定費と変動費を合わせて総額5,000億円規模のコスト削減を目標に掲げ、2025年度末で固定費削減が2,000億円、変動費削減が550億円に達したと記載されています。
生産の面では、車両生産工場数を2027年度までに17から10に削減するという方針が示されています。工場の数が変われば、そこに紐づく製造受託の会社や部品の会社の役割も変わります。志望先が生産に関わる会社であれば、この記述は読んでおきたいところです。
部品会社の出入りは以前からある
沿革の欄を読むと、部品会社の再編が一度きりの出来事ではないことが分かります。1999年7月に富士工場関係の営業をトランステクノロジー株式会社へ譲渡し、同社は同年にジャトコ株式会社と合併してジヤトコ・トランステクノロジー株式会社となり、これが現在のジヤトコ株式会社です。2005年1月にはカルソニックカンセイ株式会社を子会社化しましたが、2017年3月に公開買付が成立し、保有する全株式をCKホールディングス株式会社に売却しています。
車両の側でも、2011年8月に九州工場を母体として日産自動車九州株式会社が設立されました。いま子会社である会社が二十年前も子会社だったとは限りません。沿革は一ページで読める分量なので、志望先の社名が出てくるかどうかを見ておくと背景がつかめます。
海外の会社には債務超過の注記がある
第127期の注記には、重要な債務超過会社として複数の海外の会社が挙げられています。2026年3月末時点の債務超過の金額は、欧州日産自動車会社が174,691百万円、日産サウスアフリカ会社が87,593百万円、アルゼンチン日産社が68,689百万円、ブラジル日産自動車会社が57,956百万円、タイ日産自動車会社が26,067百万円、英国日産自動車製造会社が20,017百万円、チリ日産自動車会社が14,531百万円と記載されています。
この注記があるからといって、その会社が近く無くなると決まっているわけではありません。ただ、海外の会社を志望先に含めるのであれば、表の数字だけでなく注記まで読んでおくほうが、面接で事業の状況を尋ねるときの材料になります。
日産の子会社に関するよくある質問
- 日産の子会社は何社ありますか
-
第127期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の有価証券報告書では、連結子会社が226社、持分法適用関連会社が36社と記載されています(日産自動車)。会社数は毎期変わるため、調べるときは期を確かめてください。
- 日産車体は日産の子会社ですか
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連結子会社です。第127期の関係会社の状況に、議決権の所有割合50.01%、主要な事業の内容は自動車及び部品製造・販売と記載されています。報告書の事業の内容の欄には、国内の証券市場に上場している連結子会社は日産車体株式会社だけだとも書かれています。
- 三菱自動車は日産の子会社ですか
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子会社ではなく持分法適用関連会社です。第127期では議決権の所有割合26.68%、関係内容は車両・部品の相互供給と共同開発と記載されています。ルノーも同じ表に15.26%で載っており、注記ではその他の関係会社にも該当すると説明されています。
- 資本金が大きい会社ほど規模も大きいですか
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そうとは限りません。車両を組み立てている日産自動車九州株式会社の資本金は10百万円で、部品会社のジヤトコ株式会社の29,935百万円を大きく下回ります。規模を知りたいときは、従業員の状況の欄にある人数を見たほうが実態に近づきます。
順位より資本関係と事業の区分で選ぼう
日産自動車のグループで会社が分かれているのは、格の差ではなく、車両を作る、部品を作る、金融を扱う、販売の網を支えるという役割の違いです。この前提を知らずに社名を一列に並べても、上下の根拠はどこからも出てきません。しかも会社の数は一年で二百三十一社から二百二十六社へ動いており、順位表はすぐに古くなります。
どの区分に置かれた会社か、議決権の割合はどれだけか、自社で有価証券報告書を出しているか、そこに何人が働いているか。この四つは日産自動車の会社一覧と有価証券報告書に書かれており、誰が調べても同じ答えになります。会社の名前より先に、その会社がどの区分の表に載っているかを確かめてみてください。

