愛媛で入ってはいけない運送会社一覧|文書警告と巡回指導の見方

「愛媛で入ってはいけない運送会社を、誰かが一覧にしていないだろうか」。転職先を探し始めたとき、まずこう考える人もいるでしょう。求人票はどの会社も似た書き方で、外から違いが見えにくいからです。ところが、行政処分を受けた運送会社の名前と処分の内容は国と四国運輸局が公開しており、愛媛県で絞り込めば過去5年分を自分で調べられます。

四国運輸局の集計では、令和7年度に愛媛運輸支局の管内で行政処分等の対象になった営業所は35か所で、内容を延べで数えると、車両使用停止が23件、文書警告が31件でした(四国運輸局)。35か所のうち30か所は、点呼の実施や記録の不備を理由に処分を受けた、軽貨物の1つの事業者の営業所です(四国運輸局)。ただし記録に名前が出るのは、監査で違反が見つかった会社だけです。記録のない会社の管理の様子は、面接での質問と公開情報を組み合わせて確かめます。

本記事では、文書警告と車両使用停止の違いから、愛媛県トラック協会が行う巡回指導、11月1日に変わる最低賃金まで、就活キャリア研究所の視点で順にお伝えします。

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目次

愛媛の運送会社が外から見分けにくい3つの理由

愛媛の運送会社が外から見分けにくいのは、事業者の数が多いうえに、処分の情報が複数の窓口に分かれ、賃金の下限も年度の途中で変わるからです。

事業者の数が四国で最も多いから

四国運輸局の集計では、愛媛県のトラック事業者は令和5年度に785者でした。徳島県の438者、香川県の666者、高知県の470者を上回り、四国4県で最も多い数です(四国運輸局)。

一般社団法人愛媛県トラック協会の会員も、令和8年5月27日時点で733社です(愛媛県トラック協会)。これだけ会社が多いと、求人票の給与欄と休日欄を見比べるだけでは、管理の違いまでは分かりません。

処分の情報が3か所に分かれているから

運送会社の処分や違反の記録は、担当する役所ごとに別々の場所で公開されています。運送事業の監査で見つかった違反に対する処分は、四国運輸局が年度ごとの集計と月ごとの個別の状況を掲載しています(四国運輸局)。国土交通省も、全国の処分を事業者名から検索できる形で公開しています(国土交通省)。

労働時間や賃金をめぐる労働基準法などの違反は、愛媛労働局が公表事案として掲載しています(愛媛労働局)。掲載される期間も違い、四国運輸局は原則として処分等を行った日から5年間です(四国運輸局)。労働局の公表事案は、送検した事案などを公表日から概ね1年間掲載します(厚生労働省)。片方の記録に名前がなくても、もう片方に載っていることがあるため、両方を見ておく必要があります。

最低賃金が11月1日に変わるから

愛媛労働局は令和8年9月17日、愛媛県最低賃金を60円引き上げて時間額1,093円とし、11月1日から効力が生じると発表しました。10月31日までは、令和7年12月1日から適用されている時間額1,033円が下限です(愛媛労働局)。

この最低賃金は、産業別の特定最低賃金が適用される人を除き、臨時、パート、アルバイトを含む県内のすべての労働者に適用されます(愛媛労働局)。10月に出ている求人の時給が、11月1日からは下限を下回ることも起こりえます。応募の時期が改定をまたぐときは、11月以降の時給がいくらになるのかを確かめておきましょう。

入ってはいけない運送会社に共通する4つの特徴

愛媛で運送会社を見極める4つの視点を示した図(処分の説明・運行管理者・巡回指導・賃金の下限)

入ってはいけない運送会社かどうかは、公開されている処分の記録と、その記録や管理の体制を会社が具体的に説明できるかで見分けられます。愛媛で応募先を選ぶときに確かめたい特徴は、次の4つです。

  1. 行政処分の内容を説明できない
  2. 運行管理者の人数が車両数に見合わない
  3. 巡回指導の結果を答えられない
  4. 賃金が11月の改定に追いついていない

行政処分の内容を説明できない

処分の記録を読むときは、まず処分の重さを見分けます。国土交通省の基準では、一般貨物と特定貨物の事業者に対する行政処分は、軽いものから順に自動車等の使用停止処分、事業停止処分、許可の取消処分の3つです。これに至らないものとして勧告と警告があり、処分と合わせて「行政処分等」と呼ばれます(国土交通省)。

四国運輸局の令和7年度分の集計を愛媛運輸支局の行で見ると、「行政処分等を受けた事業者数」は35、件数は車両使用停止23件と文書警告31件の計54件でした。許可の取消し、事業の停止、文書勧告、口頭注意は0件です(四国運輸局)。月ごとの個別の資料と合わせて見ると、表の「事業者数」は会社の数ではなく処分等を受けた営業所の数で、1つの事業者が複数の営業所で処分を受ければ、その営業所の数だけ数えられています。愛媛の35か所を会社の数にすると6社です。また、1回の処分で車両使用停止と文書警告を同時に受けた営業所は両方の列に1件ずつ入るため、件数の計は35より多くなります(四国運輸局)。

処分には違反点数も付きます。違反の内容に応じて決まる処分日車数の10日車までごとに1点が付き、点数は地方運輸局の管轄区域ごとに3年間累計されます。一定の条件をすべて満たす営業所では、点数は2年で消えます。累計が51点以上80点以下になると原則として管轄区域内の営業所が事業停止処分の対象になり、81点以上になると原則として許可の取消処分になります(国土交通省)。

四国運輸局は、累積点数が20点を超える貨物自動車運送事業者の一覧も掲載しており、令和8年6月30日時点で2事業者が載っています(四国運輸局)。面接で処分歴を尋ねたときに、いつ、どの違反で、その後に何を改めたのかを具体的に答えられるかどうかが分かれ目です。

運行管理者の人数が車両数に見合わない

運行管理者の人数は、営業所の車両数から法令で決まります。貨物自動車運送事業輸送安全規則は、営業所ごとに、被けん引自動車を除く車両数を30で割った数に1を足した人数以上の選任を求めています。割った数の端数は切り捨てるため、29両までなら1人、30両から59両なら2人です。ただし5両未満の営業所で、地方運輸局長が安全の確保に支障がないと認めた場合は除かれます。この決まりは一般貨物と特定貨物の事業者に対するもので、軽貨物の事業には当てはまりません(e-Gov法令検索)。

同じ規則は、運行管理者の業務として、勤務時間の範囲内での乗務割の作成、点呼とその記録、休憩や睡眠のための施設の管理、運転者への指導と監督などを定めています(e-Gov法令検索)。事業者は、選任した運行管理者に2年に1回の講習を受けさせなければなりません(国土交通省)。営業所の車両数と運行管理者の人数を尋ねてこの式に当てはめると、点呼や乗務割に手が回る体制かどうかの見当がつきます。

巡回指導の結果を答えられない

巡回指導は、行政処分とは別に、トラック事業者の法令順守を確かめる仕組みです。愛媛県トラック協会は、四国運輸局長から地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の指定を受け、貨物自動車運送事業法第39条に基づいて事業者への巡回指導を行っています(愛媛県トラック協会)。

協会の説明では、巡回指導の前に事業者は自主点検表、営業所や休憩所、仮眠室、車庫の平面図、労働者と車両の一覧表などを用意します。当日は適正化事業指導員が38の指導項目について帳票類を確かめます。改善が必要とされた項目は巡回指導の日から30日以内に改善報告書を出す決まりで、3か月以内に出さない事業所は愛媛運輸支局による監査などの対象になります(愛媛県トラック協会)。

巡回指導は行政処分ではないため、指摘された項目は国や四国運輸局の処分の一覧には載りません。だからこそ「直近の巡回指導で指摘はありましたか、改善報告は出しましたか」という質問は、処分の記録には出ない管理の様子を知る手がかりになります。

賃金が11月の改定に追いついていない

提示された賃金が最低賃金を満たすかは、最低賃金の対象になる部分だけで計算します。対象は毎月支払われる基本的な賃金で、時間外や休日の割増賃金、賞与、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などは含めません(厚生労働省)。固定残業代も時間外労働に対して払われる賃金なので、除いてから計算します。

月給制なら、対象になる月給を1か月平均の所定労働時間で割った額を、最低賃金の時間額と比べます。歩合給は、その期間の歩合給の総額を、歩合給を得るために働いた総労働時間で割って比べます(厚生労働省)。11月1日以降に働いた分は、10月以前に入社した人も含めて、1,093円と比べます。

愛媛の公的な情報で会社を確かめる手順

愛媛で入ってはいけない運送会社一覧について公開されている情報を確かめている場面のイラスト

応募先の社名が決まったら、次の3つの手順で、運輸行政の処分と労働基準法などの違反の記録を順に調べます。

STEP1

国土交通省の行政処分情報の検索で、事業の種類に一般貨物か軽貨物、都道府県に愛媛県を選び、事業者名を入れて調べます。過去5年間の処分等が載り、都道府県は営業所の所在地で選ぶ形です。掲載は処分の翌月末が目安です(国土交通省)。

STEP2

四国運輸局の行政処分等の状況のページで、トラック事業者の年度ごとの集計と、月ごとの個別の資料、累積点数が20点を超える事業者の一覧に目を通します(四国運輸局)。

STEP3

愛媛労働局の労働基準関係法令違反に係る公表事案を開き、社名がないかを確かめます。令和8年9月30日に更新された一覧が置かれています(愛媛労働局)。

3つとも何も出てこなくても、違反がなかったとは限りません。国の検索は過去5年分、労働局の公表事案は概ね1年分しか載らず、監査や監督指導を受けていない会社はそもそも記録に出ないからです。逆に記録があった会社も、すぐに候補から外すより、何を改めたかを面接で尋ねてから判断するほうが確かです。

Gマークの認定は全体の3割台

Gマークは、輸送の安全確保に積極的に取り組むトラックの事業所を認定する制度です。国が指定した全日本トラック協会が38の評価項目を設け、令和7年12月末時点で29,206事業所が認定を受けています。これは全事業所の34.4%で、国土交通省は認定事業所の事故割合が未取得の事業所の半分以下だと説明しています(国土交通省)。

認定は事業所ごとで、有効期間は新規が2年、初回の更新が3年、2回目以降の更新が4年です。愛媛県内の認定事業所は、愛媛県トラック協会のページから全日本トラック協会の都道府県別一覧に進み、愛媛県を選ぶと確かめられます(愛媛県トラック協会)。

愛媛運輸支局とGメンの窓口

愛媛県内のトラック事業の手続きは、松山市森松町1070番地の愛媛運輸支局が窓口で、2階に輸送・監査部門があります(四国運輸局)。一般貨物自動車運送事業は国の許可、軽自動車で運ぶ貨物軽自動車運送事業は運輸支局長への届出で始める事業です(四国運輸局)。

運送会社の法令違反の原因が荷主や元請の側にある場合は、トラック・物流Gメンが荷主や元請への是正指導を担います。軽貨物の事業も対象で、愛媛運輸支局の輸送・監査部門も問い合わせ先の一つです(四国運輸局)。

監督指導で多い違反と拘束時間の上限

全国の労働基準監督署などが令和7年にトラックの事業場3,175か所を監督指導したところ、80.8%にあたる2,564事業場で労働基準関係法令の違反が見つかりました(厚生労働省)。この監督指導は違反が疑われる事業場を対象にしたものなので、すべての運送会社の違反率を表す数字ではありません(厚生労働省)。

監督指導で多かった違反

トラックの3,175事業場のうち、自動車運転者の労働時間の基準である改善基準告示の違反は1,812事業場、57.1%でした。違反の中身は、1日あたりの最大拘束時間が1,408事業場で最も多く、休息期間が1,017事業場、1か月や1年の総拘束時間が936事業場と続きます。労働基準関係法令の違反では、労働時間が1,269事業場、割増賃金の支払が605事業場でした(厚生労働省)。違反は、拘束時間と休息の取り方に集中しています。

改善基準告示が定める拘束時間の上限

2024年4月から、トラック運転者の1日の拘束時間は13時間以内が基本で、延長しても最大15時間です。休息期間は勤務の終了後に継続11時間以上を与えるよう努めることが基本で、継続9時間を下回ってはいけません。1か月の拘束時間は原則284時間以内、1年は原則3,300時間以内です(厚生労働省)。

例外もあります。労使協定を結べば、1年のうち6か月までは1か月310時間、1年3,400時間まで延ばせますが、284時間を超える月は連続3か月までです。1週間の運行がすべて走行距離450キロメートル以上の長距離貨物運送で、休息期間を住所地以外で取る場合は、週2回まで最大拘束時間を16時間、休息期間を継続8時間以上にできます。その場合は運行の終了後に継続12時間以上の休息期間を与えます(厚生労働省)。

面接では、代表的な便の出庫時刻と帰着時刻、労使協定で1か月の拘束時間を310時間まで延ばす月があるかを尋ねておきましょう。答えを上の数字に当てはめれば、無理のある運行計画かどうかを自分で判断できます。

愛媛の運送会社選びでよくある質問

愛媛県で運送会社を選ぶときによく寄せられる4つの疑問に答えます。

愛媛で処分を受けた運送会社の一覧はありますか

あります。国土交通省の行政処分情報の検索で都道府県に愛媛県を選ぶと、過去5年間に処分等を受けた事業者を調べられます(国土交通省)。四国運輸局も、月ごとの個別の資料と年度ごとの集計を掲載しています(四国運輸局)。

文書警告を受けた会社は避けるべきですか

文書警告だけで避ける必要はありません。警告は行政処分に至らないものとして扱われ、車両の使用停止や事業停止より軽い位置づけです(国土交通省)。違反の内容と、その後に何を改めたかを面接で尋ねてから判断しましょう。

愛媛県の最低賃金はいくらですか

令和8年10月31日までは時間額1,033円で、11月1日から1,093円に上がります(愛媛労働局)。地域別最低賃金は毎年見直されるため、応募の時点で全国の一覧を確かめてください(厚生労働省)。

Gマークがない会社は避けたほうがよいですか

Gマークがないことだけで避ける理由にはなりません。認定を受けているのは全事業所の34.4%で、未取得の事業所のほうが多いからです(国土交通省)。処分の記録や運行管理者の人数とあわせて判断しましょう。

処分の記録と巡回指導の答えで選ぼう

愛媛で入ってはいけない運送会社を名指しした公的な一覧はありません。それでも、行政処分を受けた事業者は国土交通省と四国運輸局が、送検などの事案は愛媛労働局が公開しており、愛媛県で絞り込んで自分で調べられます。令和7年度に愛媛運輸支局の管内で行政処分等の対象になった35か所のうち30か所は1つの事業者の営業所で、件数の多さだけでは会社ごとの違いは分かりません。

記録を調べたら、面接では処分の中身と改めたこと、営業所の車両数と運行管理者の人数、直近の巡回指導で指摘された項目を尋ねてみてください。賃金は、11月1日からの最低賃金1,093円と比べて確かめます。求人票の言葉ではなく、公開された記録と会社の答えを物差しにして、自分が続けられる会社を選んでいきましょう。

この記事の著者情報

株式会社ネット風評被害対策 代表取締役 内村淳

ネット風評被害対策の専門家として15年以上の実績を持つ。
風評被害誹謗中傷対策・サジェスト対策・逆SEO対策・SNS炎上対応など、企業のWebリスク解決を累計10,000社以上支援。
ネット誹謗中傷対策に特化した法律事務所に1年間従事し、法的観点からの対応知見を習得。IT技術と法的アプローチの双方に携わってきた経験を持つ。
あらゆるネット風評被害対策支援に加え、企業向けコンサルティングや同業他社へのサービス提供も行う。
現在、日々進化するAI検索エンジンのアルゴリズムを徹底解析し、AI検索時代に適応した次世代の風評対策に注力している。

著書: 『AI時代のネット風評被害対策』(Kindle出版) ↗

発信活動: ネット風評被害対策に関する情報をnoteでも発信しています。 note ↗

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