「青森で入ってはいけない運送会社の一覧があれば、そこを避けるだけで済むのに」。ドライバーの求人を探している方の多くが、そう考えて検索します。検索結果に「一覧」をうたうまとめが並ぶため、どこかに答えの名簿があるように見えるのです。
ところが、国が公開している一覧は、行政処分や警告を受けた事業者の記録です。東北運輸局の集計では、令和7年度に青森運輸支局の管内で処分等を受けた一般貨物の事業者は15社でした。行政処分とは別に、青森県トラック協会が事業者を回って行う巡回指導では、最も多く「否」と判定された項目が点呼でした。
この記事では、特定の会社名を挙げることはしません。処分の一覧をどこで見てどう読むのか、面接で点呼と休息の管理をどう尋ねればよいのかを、国と労働局、業界団体が公開している情報をもとに、就活キャリア研究所の視点で順にお伝えします。
青森の運送会社が外から見分けにくい3つの理由
青森の運送会社が外から見分けにくいのは、処分の記録の読み方、冬の運行、海をまたぐ運行という3つの事情が、求人票にはほとんど現れないからです。
一般貨物と軽貨物で処分の表が分かれているから
トラックによる運送事業は、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業、貨物軽自動車運送事業の3つに分かれます。一般貨物と特定貨物は国土交通大臣の許可が必要で、軽自動車や二輪の自動車を使う貨物軽自動車運送事業は届出で始められます(e-Gov法令検索)。軽貨物の届出先は、営業所を置く県の運輸支局です(東北運輸局)。
東北運輸局が公開している令和7年度の処分の集計も、この区分に合わせて表が2つに分かれています(東北運輸局)。青森運輸支局の欄は、一般貨物の表が15事業者で、内訳は車両使用停止11件と警告4件です。軽貨物の表は44事業者となっていますが、軽貨物の個表と照らすと、この44件はどれも、東北6県すべてに営業所を持つ同じ1つの事業者が、県内の営業所ごとに受けた処分や警告でした。軽貨物の表の数字は、処分を受けた会社の数ではなく、営業所ごとの件数として読みましょう。
軽貨物の表にも「許可の取消」の列が並んでいますが、軽貨物は届出で始める事業です。法律が軽貨物の事業者に定める処分は、車両の使用停止と事業の停止までで、許可の取消しの定めはありません(e-Gov法令検索)。求人に「配送ドライバー」とだけ書かれていたら、まず応募先がどちらの区分の事業者なのかを確かめ、見る表を決めましょう。
県の全域が豪雪地帯に指定されているから
国土交通省がまとめた豪雪地帯の指定状況では、令和8年4月1日時点で県の全域が豪雪地帯に指定されているのは10道県で、青森県はその1つです(国土交通省)。雪の季節には同じ配送先でも所要時間が延びるため、夏と同じ運行計画のままでは拘束時間が長くなりやすくなります。
改善基準告示の運用を定めた厚生労働省の通達は、警報が出ている異常気象に遭遇し、運転中に正常な運行が難しくなった場合を「予期し得ない事象」の1つに挙げています。この対応に要した時間は、運転日報の記録に加えて気象情報の写しなどの客観的な資料で確かめられる場合に限り、1日の拘束時間、2日平均の運転時間、連続運転時間の計算から除くことができます(厚生労働省)。
ただし除いた時間も、休憩に当たらない限り労働時間として扱われ、勤務の後には通常どおりの休息期間を与えることになっています。大雪の日の遅れを誰がどう記録し、翌日の出発をどう組み直すのか。面接でこの2点を尋ねると、冬の管理が仕組みになっているかどうかが分かります。
北海道へのフェリーと県外への長距離が混ざるから
青森港は、本州と北海道を結ぶフェリーの拠点です。東北地方整備局青森港湾事務所の資料は、青森港から北海道へ渡る航路を、海上の距離112キロ・所要およそ3時間40分と短く、1日14往復28便が24時間動く航路と紹介し、令和5年10月には室蘭港と結ぶ航路(1日2便・約7時間)も開かれたとしています(国土交通省東北地方整備局)。
トラック運転者がフェリーに乗っている時間は、原則として休息期間として扱われ、与えるべき休息期間から差し引くことができます。ただし差し引いた後の休息期間は、2人乗務の場合を除き、下船してから勤務を終えるまでの時間の2分の1を下回ってはなりません。乗船時間が8時間(2人乗務なら4時間、隔日勤務なら20時間)を超える場合は、原則として下船した時刻から次の勤務が始まります(厚生労働省)。
陸路で県外へ向かう長距離にも、まずトラック運転者全体の基準が当てはまります。1日の拘束時間は13時間以内が基本で、延長しても15時間が限度です。休息期間は勤務の後に継続11時間以上を基本とし、継続9時間を下回ってはなりません(厚生労働省)。
2人乗務や隔日勤務には別の上限があり、長距離の運行にも例外があります。1週間の運行がすべて走行距離450キロ以上の長距離貨物運送で、休息を住所地以外の場所でとる場合は、週2回まで、拘束時間を16時間まで延ばし、休息期間を継続8時間以上にできます。休息期間のいずれかが9時間を下回ったときは、運行の終了後に継続12時間以上の休息期間を与えることになっています。同じ会社でも、フェリーで北海道へ渡る日と陸路で南へ走る日では、休息の数え方が変わります。
入ってはいけない運送会社に共通する4つの特徴

入ってはいけない運送会社に共通するのは、点呼や運行指示書のように、本来は記録に残るはずのものが整っていないことです。確かめておきたい4つを整理します。
- 点呼の記録が整っていない
- 運行指示書に休息の取り方が書かれていない
- 拘束時間と休息期間を管理できていない
- 処分の記録を説明できない
点呼の記録が整っていない
都道府県のトラック協会は、地方運輸局長から地方貨物自動車運送適正化事業実施機関に指定され、トラック運送事業者を巡回して指導しています(青森県トラック協会)。青森県トラック協会が公開している令和7年4月から令和8年3月までの集計では、「点呼の実施及びその記録、保存は適正か」という項目で、調べた345件のうち94件(27.2%)が「否」と判定されました。「否」の件数も割合も、全項目の中で最も多い数字です。
点呼は、貨物自動車運送事業輸送安全規則が定める義務です。乗務の前には、原則として対面かそれと同等と国が定めた方法で、酒気帯びの有無や、疾病・疲労・睡眠不足で安全に運転できないおそれがないかを確かめます。乗務の後にも報告を受け、点呼の記録は1年間保存します。アルコール検知器は営業所ごとに備えることになっています(e-Gov法令検索)。
一般貨物と特定貨物の事業者では、点呼は同じ規則が運行管理者の業務として定めています(e-Gov法令検索)。運行管理者は営業所ごとに、保有車両29両までは1名、以降は30両ごとに1名を追加して選任します(国土交通省)。軽貨物の事業者(バイク便を除く)では、点呼は営業所ごとに1人選任する貨物軽自動車安全管理者が行い、令和9年3月31日までは事業者内の人が行っても差し支えないとされています(国土交通省)。協会は、点呼の「否」の例として、休息期間を分割して取った際の点呼が行われていない、つまり回数が足りないケースを挙げています(青森県トラック協会)。
面接では「点呼は誰が、どこで、どの方法で行っていますか」と尋ねてみてください。早朝や深夜の出発について具体的に答えられるかどうかで、記録の整い方の見当がつきます。
運行指示書に休息の取り方が書かれていない
出発前と業務後の点呼を、どちらも対面やそれと同等の方法で行えない運行では、途中で少なくとも1回の点呼が必要です。一般貨物自動車運送事業者などは、こうした運行ごとに運行指示書を作り、運転者に持たせます。運行指示書には、運行の開始と終了の地点と日時、経路、休憩の地点と時間などを書き、運行の終了から1年間保存します(e-Gov法令検索)。
青森県トラック協会の集計では、運行指示書の項目で121件のうち30件(24.8%)が「否」となり、「否」の割合は点呼に次いで2番目に高い項目でした。協会は、分割して取った休息が運行指示書に書かれていない例を挙げています(青森県トラック協会)。
休息期間の分割は、業務の必要上、勤務の後に継続9時間以上の休息を与えるのが難しい場合に、当分の間、1か月程度を限度に全勤務回数の2分の1まで認められる特例です。分割した休息は1回が継続3時間以上で、2分割なら合計10時間以上、3分割なら合計12時間以上が必要です(厚生労働省)。営業所に戻らずに日をまたぐ運行がある会社なら、運行指示書の見本を見せてもらえるかを尋ねる価値があります。
拘束時間と休息期間を管理できていない
同じ巡回指導では、過労防止に配慮した勤務時間と乗務時間を定め、休憩や睡眠のための時間を適正に管理しているかという項目で、345件のうち72件(20.9%)が「否」でした(青森県トラック協会)。
労働基準監督署の監督でも、同じ傾向が出ています。厚生労働省によると、令和7年に全国の労働基準監督署などが法令違反の疑われるトラックの事業場3,175か所に監督指導を行い、改善基準告示の違反が1,812事業場(57.1%)で見つかりました。違反の内訳は、1日の最大拘束時間が1,408事業場(44.3%)、休息期間が1,017事業場(32.0%)です(厚生労働省)。違反が疑われる事業場を選んで行った監督の結果なので、すべての会社の違反率を表す数字ではありません。
青森労働局は令和8年10月9日、長時間労働が疑われる事業場に対する令和7年度の監督指導の結果を公表しました。運輸交通業の欄では、31事業場に監督指導を行い、26事業場で労働基準関係法令の違反が見つかり、違法な時間外労働は12事業場でした(青森労働局)。運輸交通業という区分全体の数字で、トラックの事業場だけを取り出したものではありません。
トラック運転者の1か月の拘束時間は原則284時間以内で、労使協定を結べば年6か月まで310時間以内に延ばせますが、284時間を超える月は連続3か月までです。自動車の運転業務の時間外労働は、令和6年4月から、臨時的な特別の事情がある場合でも年960時間が上限です(厚生労働省)。月の拘束時間の実績を、雪の時期とそれ以外の時期の両方で示してもらえるかを尋ねてみましょう。
処分の記録を説明できない
国土交通省は、一般貨物と特定貨物の事業者の法令違反に点数を付ける制度を設けています。車両の使用停止の処分日車数10日車までごとに1点が付き、点数は原則3年間累積します。同じ管轄区域の累積点数が51点以上80点以下になると区域内の営業所すべてが事業停止の対象になり、81点以上になると許可の取消しの対象になります。軽貨物の事業者には、この点数の定めはありません(国土交通省)。
東北運輸局は、累積点数が20点を超えている事業者の概要を公開しています。令和8年6月末時点の資料には東北6県で11の事業者が載り、そのうち青森運輸支局の管内は1事業者でした(東北運輸局)。応募先に処分歴があれば、いつ、どの違反で処分を受け、その後に何を改めたのかを尋ねてください。処分歴があること自体より、改めた中身を具体的に話せるかどうかが判断の分かれ目になります。
青森の公的な情報で会社を確かめる手順

応募先の会社は、国と労働局が公開している情報を使って、次の3つの手順で確かめられます。
応募先が一般貨物の許可を受けた事業者か、軽貨物の届出をした事業者かを、面接や会社の案内で確かめます。
公表事案は掲載期間が限られ、処分の個表も年度ごとに置かれています。一覧に名前がないことは、処分や違反がなかったことの証明にはなりません。個表で名前を見つけたときも、すぐに候補から外すのではなく、その後の改善を面接で尋ねる材料にしてください。
安全性優良事業所(Gマーク)の一覧
処分の一覧とは逆に、安全への取り組みを評価された事業所の一覧もあります。Gマーク制度は、法令の遵守状況、事故や違反の状況、安全への取り組みの3項目を点数にし、100点中80点以上で各項目の基準点も満たし、社会保険などに適正に加入している事業所を安全性優良事業所に認定する制度です(青森県トラック協会)。
Gマークの認定を受けた後も、2年から4年ごとに更新の審査があります(青森県トラック協会)。全日本トラック協会は都道府県別の一覧を公開しており、2025年12月16日時点の認定は29,210事業所で、全事業所数の34.4%です(全日本トラック協会)。認定は会社単位ではなく事業所単位なので、配属される営業所の名前で一覧を確かめてください。
青森で働く前に確かめたい賃金の計算
提示された賃金が法律の下限を満たしているかどうかは、最低賃金と照らせば自分で確かめられます。
10月29日からの最低賃金
青森県最低賃金は、令和8年10月29日から時間額1,090円になります。改定前の額は、令和7年11月21日に効力が発生した1,029円です(青森労働局)。
青森県最低賃金は、県内で働くすべての労働者と、県内で事業を営むすべての使用者に適用されます。最低賃金未満の賃金しか支払っていない使用者は差額を支払わなければならず、50万円以下の罰金も定められています(青森労働局)。
月給で比べるときは、臨時に支払われる賃金、賞与のように1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、時間外・休日・深夜の割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当を除いた額を、1か月の平均所定労働時間で割ります(厚生労働省)。求人票の固定残業代は所定労働時間を超える労働への支払いなので、比べる額に含めません。含めたまま割ると、時給が実際より高く出ます(e-Gov法令検索)。
歩合給の時給への換算
歩合給のように出来高払制で決まる賃金は、その賃金の総額を、その計算期間に働いた総労働時間で割って時間額に直し、最低賃金と比べます。基本給が日給で手当が月給のように組み合わさっている場合は、それぞれを時間額に直して合計します(厚生労働省)。
労働基準法は、出来高払制その他の請負制で使用する労働者について、労働時間に応じた一定額の賃金の保障を使用者に求めています(e-Gov法令検索)。歩合の割合が高い求人では、保障給がいくらで、歩合をどの数字から計算するのかを書面で確かめてください。雪で走れる距離が落ちる月の収入の見通しも、この2点が分かれば立てられます。
青森の運送会社選びでよくある質問
青森県で運送会社を選ぶときによく寄せられる4つの疑問に答えます。
- 処分を受けた運送会社はどこで調べられますか
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東北運輸局のトラック事業者の行政処分等の状況に、年度の集計と一般貨物・軽貨物の個表、累積点数が20点を超えている事業者の概要が置かれています(東北運輸局)。全国分は国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで調べられます(国土交通省)。
- 軽貨物と一般貨物は何が違うのですか
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始め方が違います。一般貨物は国土交通大臣の許可が必要で、軽自動車や二輪の自動車を使う軽貨物は届出で始められます(e-Gov法令検索)。東北運輸局の処分の集計も、一般貨物と軽貨物で表が分かれています。
- フェリーに乗っている時間は休息になりますか
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原則として休息期間として扱われ、与えるべき休息期間から差し引けます。ただし差し引いた後の休息期間は、2人乗務の場合を除き、下船から勤務終了までの時間の2分の1を下回ってはなりません。乗船時間が8時間(2人乗務なら4時間、隔日勤務なら20時間)を超えると、原則として下船した時刻から次の勤務が始まります(厚生労働省)。
- 青森県の最低賃金はいくらですか
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令和8年10月28日までは、令和7年11月21日に効力が発生した時間額1,029円です。令和8年10月29日からは時間額1,090円になります(青森労働局)。
一覧を探す前に点呼と休息の記録を尋ねよう
青森の運送会社を見分ける材料は、国と労働局、業界団体がすでに公開しています。処分の記録は一般貨物と軽貨物で表を分け、軽貨物の数字は営業所ごとの件数として読みます。巡回指導で「否」が多かった点呼と運行指示書、そして拘束時間と休息の管理は、面接で確かめられます。豪雪地帯の冬と、北海道へ渡るフェリーの日に休息をどう数えるのかも、この県で働くなら外せない質問です。
事業区分を確かめ、処分の個表と公表事案に目を通したうえで、点呼の方法、運行指示書の見本、雪の時期の拘束時間の実績を尋ねてみてください。一覧に名前がないことを安心の材料にするのではなく、記録を見せて説明できる会社を選んでいきましょう。

