「建設機械の大手はコマツと日立建機」。ところが、建設機械メーカーの業界団体に入っている上場企業を会社全体の売上高で並べると、2位はクボタになります。クボタの売上の大半は農業機械とエンジンで、建設機械は約2割です。反対に、建設機械の売上で4位に入るコベルコ建機は上場していないため、上場企業の一覧には名前が出てきません。
日本建設機械工業会の正会員のうち、会社自身か親会社が東証に上場している会社を、2026年10月27日時点で最新の有価証券報告書にある建設機械の売上高で並べると、1位は小松製作所(コマツ)の3兆7,961億円です。2位は日立建機の1兆2,685億円で、1兆円を超えるのはこの2社だけです。3位のクボタは6,253億円、6位の竹内製作所は2,252億円です。
本記事では、上位6社の建設機械の売上高と、従業員数・平均年間給与を有価証券報告書の原文から並べ、ランキングが分かりにくい理由、会社を見比べる視点、自分で確かめる手順まで、就活キャリア研究所の視点で順を追ってお伝えします。
建設機械業界の大手企業ランキング上位6社
建設機械業界の大手企業を、建設機械の売上高の大きい順に並べると、上位6社は次のとおりです。億円未満は切り捨てています。
- 小松製作所(コマツ):3兆7,961億円
- 日立建機:1兆2,685億円
- クボタ:6,253億円
- コベルコ建機:3,894億円
- タダノ:3,494億円
- 竹内製作所:2,252億円
建設機械以外の事業も持つ会社は、有価証券報告書の事業ごとの売上の表から、建設機械の区分の外部顧客への売上を取りました。コマツは「建設機械・車両」、日立建機は「建設機械ビジネス」、コベルコ建機は親会社の神戸製鋼所の「建設機械」のセグメントです。クボタは製品別の表にある「建設機械」の売上です。タダノと竹内製作所は建設機械を主な事業とする会社なので、連結の売上高を並べています。
決算期は、コマツ・日立建機・神戸製鋼所が2026年3月期、クボタとタダノが2025年12月期、竹内製作所が2026年2月期です。
対象にしたのは、日本建設機械工業会の正会員60社(令和8年10月現在)のうち、会社自身か親会社が2026年9月末の東証上場銘柄一覧に載っている会社です(日本建設機械工業会)(日本取引所グループ)。住友建機と住友重機械建機クレーンは、住友重機械工業の報告書で建設機械の売上が分けて書かれていないため、順位に入れていません(住友重機械工業有価証券報告書)。ダンプトラックなどの特装車を主力とする新明和工業と極東開発工業も、報告書で事業を特装車として書いているため入れていません(金融庁)。
建設機械の売上が1兆円を超える2社
小松製作所(コマツ)は、建設機械・車両、リテールファイナンス、産業機械他の3つの事業を持ち、同社と連結子会社211社、持分法適用会社39社でグループを構成しています。会社全体の売上高は4兆1,327億円で、その9割強を建設機械・車両が占めます。連結の従業員67,279人のうち、61,960人がこの事業に属しています(小松製作所有価証券報告書)。
日立建機は、同社と連結子会社81社、関連会社20社で構成されています。報告セグメントは、建設機械ビジネスと、鉱山の設備や機械の部品とサービスを扱うスペシャライズド・パーツ・サービスビジネスの2つです。会社全体の売上収益は1兆4,054億円で、連結の従業員は25,304人です(日立建機有価証券報告書)。
2,000億円台から6,000億円台の4社
クボタの建設機械は、ミニバックホーやホイールローダ、コンパクトトラックローダなどです。建設機械は農業機械やエンジンと同じ「機械」セグメントに入っており、製品別の表で売上が分けて書かれています(クボタ有価証券報告書)。
コベルコ建機は、神戸製鋼所の子会社です。神戸製鋼所の建設機械セグメントは子会社20社と関連会社6社で構成され、油圧ショベルやミニショベル、クローラクレーンなどを扱っています。このセグメントの連結の従業員は6,872人です(神戸製鋼所有価証券報告書)。
タダノは、建設用クレーン、車両搭載型クレーン、高所作業車などを作る会社です。2025年にマニテックス・インターナショナルとタダノインフラソリューションズを連結子会社にしたことが主な理由で、連結の従業員は前の期末より1,081名増え、5,997名になりました(タダノ有価証券報告書)。
竹内製作所は、ミニショベル、油圧ショベル、クローラーローダーを主要な製品とする会社で、同社と連結子会社4社で構成されています。連結の従業員は1,366人です(竹内製作所有価証券報告書)。
売上高が数百億円の専門メーカー
東証に上場する正会員には、売上高が数百億円で、作る機械の種類を絞った専門メーカーもあります。発電機や溶接機のデンヨーは722億円(デンヨー有価証券報告書)、高所作業車のアイチコーポレーションは596億円です(アイチコーポレーション有価証券報告書)。
建設用クレーンと油圧ショベルの加藤製作所は563億円(加藤製作所有価証券報告書)、コンプレッサや発電機のAIRMANは556億円です(AIRMAN有価証券報告書)。道路舗装機械の酒井重工業は275億円で(酒井重工業有価証券報告書)、5社とも2026年3月期の連結の売上高です。
建設機械のランキングが分かりにくい3つの理由
建設機械のランキングが一覧ごとに食い違うのは、売上高がどの範囲の数字か、上場していない会社をどう扱うか、社名や決算期がいつのものかがそろっていないからです。
会社全体の売上高で並べると順位が変わるから
クボタの2025年12月期の売上高は、会社全体で3兆188億円あります。会社全体で並べれば、日立建機の1兆4,054億円を上回って2位です。ところが製品別に見ると、農業機械・エンジンが2兆33億円で、建設機械は6,253億円と全体の約2割です(クボタ有価証券報告書)。
神戸製鋼所も、会社全体の売上高2兆4,365億円のうち、建設機械は3,894億円で16%ほどです(神戸製鋼所有価証券報告書)。会社全体の売上高で並べた一覧は、建設機械の事業の大きさの順にはなりません。
働く人で見ても同じです。クボタの提出会社の従業員15,897人のうち、機械セグメントは11,569人で、ここには農業機械やエンジンの仕事をする人も含まれます(クボタ有価証券報告書)。建設機械の仕事を志望するなら、どの事業に配属されうるかを説明会で確かめておきましょう。
上場していない大手の建機会社があるから
建設機械の大手には、上場企業の子会社として事業を行う会社があります。コベルコ建機は神戸製鋼所が議決権の100%を持つ子会社です(神戸製鋼所有価証券報告書)。住友建機と住友重機械建機クレーンも、住友重機械工業が議決権の100%を持つ子会社です。
住友重機械工業の報告書では、住友建機の油圧ショベルと道路機械、住友重機械建機クレーンの建設用クレーンが、運搬荷役機械や物流システム、駐車場システムと同じ「ロジスティックス&コンストラクション」セグメントにまとめられています(住友重機械工業有価証券報告書)。建設機械だけの売上は、この報告書からは分かりません。
ヤンマー建機も日本建設機械工業会の正会員ですが、EDINETの提出者の一覧では有価証券報告書の提出義務がない会社とされています(金融庁)。上場企業だけで作ったランキングに名前がなくても、その会社が小さいとは限りません。
社名と決算期がそろっていないから
社名が変わった会社や、変わる予定の会社があります。AIRMANは、2025年4月に北越工業から商号を変えた会社です(AIRMAN有価証券報告書)。日立建機は、2027年4月にランドクロス株式会社へ社名を変える予定だと報告書に書いています(日立建機有価証券報告書)。
決算期もそろっていません。タダノは2022年4月からの第75期を経過期間とし、決算日を3月31日から12月31日に変えました(タダノ有価証券報告書)。クボタも12月決算で、竹内製作所は2月決算です。同じ「最新の報告書」でも、対象の期間は会社によって最大で3か月ずれます。
古い一覧で北越工業という名前を見たら、2025年4月に社名を変えたAIRMANのことです。決算期の違う会社を比べるときは、報告書の表紙にある事業年度を確かめてください。
建設機械大手を見比べる4つの視点

建設機械大手の違いは、売上高の順位よりも、次の4つを見比べると見えてきます。
- 得意な機械:油圧ショベルか、クレーンか、ミニショベルかを見る
- 海外の売上:日本の外で売る割合を見る
- 働く人の数:連結と提出会社の人数を見る
- 年齢と勤続:平均年間給与と並べて見る
得意な機械
日本建設機械工業会の出荷金額の統計で、機種別に最も金額が大きいのは油圧ショベルです。2025年度は油圧ショベルが1兆2,393億円、ミニショベルが4,615億円、建設用クレーンが3,629億円でした(日本建設機械工業会)。
コマツ、日立建機、コベルコ建機は、いずれも油圧ショベルを主要な製品に挙げています。コマツはそのほかに、ブルドーザー、ダンプトラック、林業機械、地下鉱山機械まで手がけます。クボタはミニバックホー、竹内製作所はミニショベルを製品の最初に挙げ、タダノは建設用クレーンの売上が2,071億円と全体の6割ほどを占めます(タダノ有価証券報告書)。
主力の機械が違えば、入社後に関わる製品も変わります。志望する会社が決まったら、どの機械の開発や営業に人を置いているかを説明会で尋ねておきましょう。
海外の売上
建設機械は、作られた分の多くが海外へ出ていく製品です。日本建設機械工業会の統計では、2025年度の出荷金額3兆5,216億円のうち、輸出が2兆4,518億円で約7割を占めました(日本建設機械工業会)。
コマツは報告書の中で、海外売上げ比率を約9割、日本以外で働く社員を約7割としています(小松製作所有価証券報告書)。日立建機は売上収益のうち日本向けが2,240億円で、16%ほどです(日立建機有価証券報告書)。タダノの海外売上高比率は64.1%です(タダノ有価証券報告書)。
とりわけ海外の比重が大きいのが、竹内製作所です。売上高2,252億円のうち日本の顧客向けは13億円で、1%に届きません。米国向けだけで1,252億円と、半分を超えます(竹内製作所有価証券報告書)。
海外の売上が大きいと、業績は為替の動きにも左右されます。コマツの報告書は、海外売上高の主要な部分が為替の変動の影響を受け、通常は円高がマイナス、円安がプラスに働くと書いています。海外で働く社員が多い会社を志望するなら、語学を使う仕事や海外赴任の機会も説明会で尋ねてみてください。
働く人の数
連結の従業員数は、コマツが67,279人、日立建機が25,304人、タダノが5,997人、竹内製作所が1,366人です。報告書を出した会社自身の従業員にあたる提出会社の人数に絞ると、コマツは12,435人、日立建機は5,926人、タダノは1,755人、竹内製作所は764人です。
連結と提出会社の差は、国内外の子会社で働く人の数です。タダノでは、連結の5,997名のうち1,913名が欧州のセグメントに属しています(タダノ有価証券報告書)。新卒で親会社に入るなら、同じ会社で働くのは提出会社の人数のほうです。
年齢と勤続
有価証券報告書の平均年間給与は、提出会社の従業員の平均で、グループ全体の平均ではありません。主な建設機械メーカー10社の平均年間給与を高い順に並べ、平均年齢と平均勤続年数を添えると次のとおりです。
- コマツ:902万4,576円(41.7歳・17.1年)
- クボタ:860万9,216円(39.9歳・14.3年)
- 日立建機:774万4,000円(41.1歳・15.2年)
- AIRMAN:695万9,480円(37.80歳・13.80年)
- タダノ:694万9,736円(40.8歳・15.1年)
- アイチコーポレーション:691万2,000円(44.4歳・19.9年)
- 竹内製作所:689万6,000円(36.59歳・9.78年)
- デンヨー:679万8,740円(38.4歳・12.6年)
- 酒井重工業:618万8,516円(39歳10か月・13年1か月)
- 加藤製作所:600万1,000円(40.9歳・13.9年)
クボタとタダノは2025年12月31日現在、竹内製作所は2026年2月28日現在、ほかの7社は2026年3月31日現在の数字です。クボタの数字には、農業機械や水・環境の事業で働く人も含まれます。コベルコ建機は有価証券報告書を出していないため、この中に入りません。
竹内製作所は平均年齢が36.59歳、平均勤続年数が9.78年で、10社の中で最も若い会社です。平均年間給与の差には年齢と勤続年数の差も入っているので、3つの数字を並べて読んでください。
有価証券報告書で建設機械大手を確かめる手順

この記事の数字は、日本建設機械工業会、日本取引所グループ、金融庁が公開している資料で、誰でも同じものを開いて確かめられます。次の3つの手順でたどってください。
日本建設機械工業会の正会員一覧で、気になる会社が正会員かを確かめます(日本建設機械工業会)。次に日本取引所グループの東証上場銘柄一覧で、その会社か親会社が上場しているかを確かめます(日本取引所グループ)。一覧は毎月第3営業日の午前9時以降に、前月末の内容が掲載されます。
金融庁のEDINETで会社名を入れて書類を検索し、事業年度が最も新しい有価証券報告書を開きます(金融庁)。「経理の状況」のセグメント情報で、建設機械の区分の外部顧客への売上を確かめます。クボタのように、製品別の表に建設機械の売上が出ている会社もあります。
子会社に応募するときは、親会社の報告書の「関係会社の状況」で、親会社が持つ議決権の割合を確かめます。続けて「従業員の状況」を開き、子会社ごとの数字が載っていないかを見ます。
親会社の報告書の「従業員の状況」には、連結子会社ごとの、管理職に占める女性労働者の割合や男女の賃金の差異が載っていることがあります。神戸製鋼所の報告書では、コベルコ建機の管理職に占める女性労働者の割合は3.8%です(神戸製鋼所有価証券報告書)。住友重機械工業の報告書では、住友建機の同じ割合は0.6%です(住友重機械工業有価証券報告書)。
コベルコ建機と住友建機の平均年間給与は、親会社の報告書には載っていません。厚生労働省の職場情報総合サイトで社名を検索し、会社が平均継続勤務年数や月平均所定外労働時間などを公表していないかも見ておきましょう(厚生労働省)。
建設機械業界の大手企業でよくある質問
建設機械業界の大手企業について、就職活動で出やすい4つの疑問に、有価証券報告書と日本建設機械工業会の数字で答えます。
- 建設機械で売上高が一番大きい会社は?
-
小松製作所(コマツ)です。2026年3月期の建設機械・車両の売上高は3兆7,961億円で、2位の日立建機の建設機械ビジネス1兆2,685億円の3倍近くあります(小松製作所有価証券報告書)。
- 日立建機は日立製作所の子会社?
-
子会社ではありません。2026年3月31日現在の大株主は、1位がHCJIホールディングスで自己株式を除く発行済株式の25.99%、2位が日立製作所で18.36%です。日立建機の報告書の関係会社の状況には親会社の欄がなく、HCJIホールディングスや伊藤忠商事などが「その他の関係会社」として書かれています(日立建機有価証券報告書)。
- 建機レンタルの会社はランキングに入る?
-
この記事の順位には入っていません。カナモトとニシオホールディングスは、東証の33業種区分でサービス業に分類され(日本取引所グループ)、日本建設機械工業会の正会員一覧にも載っていません。竹内製作所やデンヨーの報告書には、製品の販売先としてレンタル会社が書かれています(竹内製作所有価証券報告書)(デンヨー有価証券報告書)。
- 建設機械の出荷は増えている?
-
2026年8月の建設機械の出荷金額は2,618億円で、前年同月より5.1%増え、10カ月続けて増加しました。内需は760億円、外需は1,859億円です(日本建設機械工業会)。2025年度の合計も、前年度より3.7%増えています(日本建設機械工業会)。
建設機械の売上で並べてから年収を比べよう
建設機械業界の大手企業は、建設機械の売上高で見ると、コマツと日立建機の2社が1兆円を超えます。クボタ、コベルコ建機、タダノ、竹内製作所の4社は、2,000億円台から6,000億円台に並びます。コベルコ建機のように、上場企業の子会社として事業を行う大手もあります。
順位の次に見たいのは、その会社がどの機械を作り、どの国で売り、何人で働いているかです。年収を比べるときは、提出会社の数字か、平均年齢と平均勤続年数はどうかを確かめてください。気になる会社と、その親会社の有価証券報告書を開き、セグメント情報と「従業員の状況」を自分の目で読んでみてください。

