就活の適性検査対策を進めるなかで、「デザイン思考テスト」という耳慣れない名前の検査を目にして戸惑った人は少なくないでしょう。SPIや玉手箱のように暗記や計算のスピードで測る検査とは異なり、あらかじめ用意された正解が存在しない点が最大の特徴です。本記事では、デザイン思考テストがどのような仕組みで構成され、何を評価しているのか、そして限られた対策期間でどこに力を入れればよいのかを、テストの構造に沿って整理します。
デザイン思考テストとは何か 課題解決力を測る新しい適性検査
デザイン思考テストは、ビジネス上の課題に対して独自の解決策を考え出す「創造的問題解決」の力、いわゆるデザイン思考力を測定するために開発された適性検査です。デザイン思考テストの公式サイトでも、AIの時代に必要とされる課題解決力を測る、決まった正解のない検査として紹介されています。ビジネスの現場では、決まった手順をたどれば必ず正解にたどり着くという課題ばかりではありません。むしろ、前提条件があいまいなまま考えを組み立て、限られた時間の中で説得力のある提案をまとめる力が問われる場面のほうが多いはずです。デザイン思考テストは、そうした「答えのない問い」に向き合う力そのものを可視化しようとする検査だと捉えると理解しやすくなります。
従来の適性検査との違い
SPIや玉手箱をはじめとする従来型の適性検査は、言語や非言語の分野で決まった正解を素早く導き出す力を測るものが中心です。知識量や処理スピードが評価の軸になっており、対策本を繰り返し解くことで得点が伸びやすいという特徴があります。一方でデザイン思考テストは、単一の正解を導く力ではなく、与えられた課題に対してどれだけ多様な切り口でアイデアを発想できるか、そしてその発想の質を自分自身や他人がどう見極められるかという、いわば「発想力」と「目利き力」の両方を評価対象にしています。暗記だけでは太刀打ちできない検査だからこそ、事前に構造を理解しておく価値は大きいといえるでしょう。
AIが普及した時代に問われる力
生成AIが文章や企画のたたき台を瞬時に作れるようになった今、多くの企業が採用選考で重視し始めているのは、情報を右から左に処理する力ではなく、あいまいな状況から課題を見つけ出し、独自の視点で解決策を提示する力です。デザイン思考テストが近年注目を集めている背景には、こうした採用側の価値観の変化があると考えられます。裏を返せば、対策の方向性さえ間違えなければ、暗記が得意でない人にとってもむしろ得点を伸ばしやすい検査だという見方もできるでしょう。
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創造セッションと評価セッション 2段階で進むテストの流れ

デザイン思考テストは、大きく分けて「創造セッション」と「評価セッション」という性質の異なる2つのパートで構成されています。まずはそれぞれのセッションで具体的に何が求められるのかを押さえておきましょう。
創造セッションで問われること
創造セッションでは、提示されたお題やシチュエーションに対して、自分なりのアイデアや解決策を次々と考え、文章として入力していきます。ここで見られているのは、ひとつの正解を導き出す力ではなく、限られた時間の中でどれだけ幅広い切り口からアイデアを発想できるかという点です。似たような発想を言い換えただけの案を数だけ並べても評価にはつながりにくく、視点の異なるアイデアをどれだけ用意できるかが分かれ目になります。
評価セッションで問われること
評価セッションでは、他の受検者が創造セッションで出したアイデアを読み、その内容の良し悪しを判断していく作業が中心になります。ここで測られているのは自分自身の発想力ではなく、他人のアイデアを的確に見極める「目利き力」だという点を見落とさないようにしましょう。創造セッションの対策ばかりに気を取られ、評価セッションを軽視してしまうと、総合的な得点で伸び悩む原因になりかねません。
2つのスコアとテスト結果の読み方
デザイン思考テストの結果は、大きく「創造力スコア」と「評価力スコア」という2つの軸で示される仕組みになっています。それぞれが何を意味しているのかを理解しておくと、自分の得意・不得意の傾向をつかみやすくなります。
創造力スコアの見方
創造力スコアは、創造セッションで出したアイデアの量と多様性、そして着眼点のユニークさをもとに算出されるスコアです。思いついたアイデアを片っ端から書き出すことよりも、視点の異なる案をバランスよく用意できているかどうかのほうが評価に直結しやすいとされています。似た発想の言い換えを量産するよりも、立場や切り口を変えて考え直す習慣のほうが得点の伸びにつながりやすいでしょう。
評価力スコアの見方
評価力スコアは、他の受検者のアイデアに対する判断がどれだけ的確かつ一貫しているかをもとに算出されます。評価セッションで意識しておきたい視点を整理すると、次の3つに集約できるでしょう。
- アイデアの独自性だけでなく、課題に対する的確さも合わせて見る
- 好みの印象だけで判断せず、判断の理由を自分の中で言語化しておく
- 評価の基準がセッションの前半と後半でぶれないよう、一貫した目線を保つ
評価セッションは受検者にとって受け身の作業に見えがちですが、実際には自分自身の価値観や判断基準の一貫性が数値として表れる工程です。丁寧に読み込み、根拠を持って判断する姿勢が求められます。
得点を伸ばすための対策の考え方

デザイン思考テストは知識を暗記して臨む検査ではないため、直前の詰め込みだけでは得点を伸ばしにくい面があります。とはいえ、事前に取り組み方の型を知っておくだけでも、本番での落ち着き方は大きく変わってくるはずです。ここでは、対策の進め方を3つの段階に分けて整理します。
日常の中で「もし自分だったらどうするか」と考える習慣をつけましょう。ニュースや身近な不便を題材に、思いついたことをメモに書き出してみることが第一歩です。
書き出したアイデアを友人やゼミの仲間に見せ、率直な感想と改善点をもらいましょう。自分だけで完結させず、他人の目を通す経験を積んでおくことが大切です。
入力のしやすさも軽視できません。制限時間の中で考えをまとめて文章にする作業は、タイピングの速さと文章の分かりやすさが両方問われます。短い文で要点を伝える練習をしておくと、本番で焦りにくくなるでしょう。
アイデアの数だけを追い求める対策は、評価セッションでの伸び悩みにつながりやすい点に注意が必要です。創造セッションと評価セッションは表裏一体の関係にあるため、両方をバランスよく意識しておくことが遠回りに見えて最も確実な対策になります。
デザイン思考テストが使われやすい業界の傾向
デザイン思考テストは、すべての就職活動で一律に課される検査ではありません。どのような業界・職種で導入される傾向が強いのかを知っておくと、対策にかける時間配分を判断しやすくなります。
新規事業提案力を重視する業界で採用されやすい
デザイン思考テストは、総合商社や金融、コンサルティングファームなど、既存の枠組みにとらわれない新規事業の立案力や、答えのない課題への向き合い方を重視する業界での導入が目立ちます。決まった業務フローをこなす力よりも、変化の激しい事業環境の中で自ら課題を見つけ、周囲を巻き込みながら解決策を形にしていく力が問われる職種ほど、この検査との相性がよいと考えられているためでしょう。
志望業界から対策の優先度を判断する
志望する業界がこうした傾向に当てはまる場合は、早い段階からデザイン思考テストの出題形式に慣れておく価値があります。一方で、専門知識や資格の有無が重視される業界を中心に志望している場合は、他の適性検査や専門科目の対策を優先し、デザイン思考テストについては選考案内が届いた段階で仕組みを確認する程度でも十分間に合うことが多いはずです。
デザイン思考テストに関するよくある質問
最後に、デザイン思考テストについてよく寄せられる疑問に答えます。
- デザイン思考テストの対策本はありますか
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デザイン思考テストの出題形式や考え方を解説した書籍が市販されています。ただし、暗記中心の対策本とは性質が異なり、読むだけで得点が伸びるものではありません。考え方の型を知る入り口として活用しつつ、実際に自分の手でアイデアを出し、他人に評価してもらう練習と組み合わせることが大切です。
- 受検にあたって特別な準備は必要ですか
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多くの適性検査と同様、受検の案内には推奨環境や所要時間が明記されていることが一般的です。事前に案内をよく確認し、落ち着いて考えをまとめられる環境と時間を確保しておくと安心でしょう。
- 結果が振るわなかった場合、選考に大きく影響しますか
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デザイン思考テストの結果をどこまで重視するかは、企業や選考のフェーズによって異なります。一つの検査結果だけで合否がすべて決まるわけではなく、面接など他の選考要素と合わせて総合的に判断されるのが一般的な考え方です。結果に一喜一憂しすぎず、自分の発想や判断の癖を振り返る材料として活用する姿勢のほうが、その後の選考にも良い影響を与えやすいでしょう。
まとめ
デザイン思考テストは、正解が一つに定まらない課題に対して、発想の幅と判断の的確さの両方を測る適性検査です。創造セッションでアイデアの多様性を、評価セッションで他人の発想を見極める目を試されるという2段階の構造を理解しておくだけでも、本番での取り組み方は大きく変わってくるはずです。
対策の中心に据えるべきは、暗記ではなく、日常の中で考え、書き出し、他人からの反応をもらうという地道な積み重ねです。志望する業界の傾向も踏まえながら、無理のない範囲で準備を進めていきましょう。

