日本航空の子会社ランキング|事業の区分で分かれる139社の役割

「日本航空 子会社 ランキング」で検索すると、JALグループの会社を並べた一覧が表示されます。ところが複数の一覧を見比べると、航空会社、空港で旅客を迎える会社、整備の会社、貨物を扱う会社、カード会社が同じ列に並んでおり、何を基準に上下が付いているのか分からないことが少なくありません。

この読みにくさには理由があります。旅客機を一便飛ばすまでには、運航、整備、空港での旅客対応、手荷物と貨物の積み降ろし、機内食の搭載という工程が連なります。JALグループでは、この工程のそれぞれを別の会社が担当しています。会社の並びは格付けではなく、工程の分担表に近い形をしています。

この記事では、順位表の代わりに、事業の区分という切り口から会社の位置づけを読み解く方法を、就活キャリア研究所の視点で整理しました。使う資料は有価証券報告書と航空法という、誰でもたどれるものだけです。

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目次

日本航空の子会社ランキングが揃わない理由

順位表を読み比べる前に、このグループがどういう形をしているのかを押さえておくと、一覧が揃わない理由が見えてきます。

子会社139社のうち名前が載るのは一部

日本航空株式会社の第77期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の有価証券報告書によると、日本航空グループは同社と子会社139社、関連会社54社で構成されています(金融庁 EDINET)。報告書の「関係会社の状況」に社名と数字が並ぶのは、このうち主要な会社に限られます。二百近い会社のうちどれを取り上げるかの時点で、書き手ごとの判断が入っています。

会社の区分と報告する事業の区分が別

同じ報告書で、決算を報告する際の事業の区分は「フルサービスキャリア事業」「LCC事業」「マイル/金融・コマース事業」の三つとされ、旅行事業などは「その他」にまとめられています。これは商品の性格で切った区分であり、会社ごとの区分ではありません。

一方で「関係会社の状況」の欄には、特定の区分に分類できない会社について「(貨物郵便関係)」「(空港旅客関係)」「(グランドハンドリング関係)」「(整備関係)」「(旅客サービス関係)」といった主要な事業の内容が書かれています。会社は担当する工程で分かれ、決算の報告は商品の性格で分かれるという二層構造になっているため、社名を一列に並べても事業の姿は見えません。

出資の比率と子会社の区分が一致しない

関係会社の状況を見ると、インドネシアのPT. TAURINA TRAVEL DJAYAは議決権の所有割合が49.0パーセントでありながら連結子会社として記載され、報告書には「持分は100分の50以下ですが、実質的に支配しているため子会社としております」と注記されています。逆にジェットスター・ジャパン株式会社は50.0パーセントで持分法適用会社です。株式会社ロイヤリティマーケティングは15.0パーセントですが、実質的な影響力を持っているため関連会社として扱われています。持ち株比率だけを並べても、親子関係の線は引けません。

顔ぶれが数年単位で入れ替わっている

報告書の「沿革」を読むと、並びが動き続けてきたことが分かります。2014年10月に株式取得で株式会社北海道エアシステムを子会社化し、2021年6月に春秋航空日本株式会社を子会社化して同年11月にスプリング・ジャパン株式会社へ社名を変更、2022年3月に株式取得で株式会社JALUXを子会社化、2024年4月には株式会社ジャルセールスを吸収合併しています。検索で見つかる一覧に載っている会社名が、読んだ時点の顔ぶれと一致するとは限りません。一覧を読むときは、その資料がどの時点のものかを先に確かめてください。

一機を飛ばす工程ごとに会社が分かれる仕組み

なぜ似た名前の会社がいくつも並ぶのかは、航空運送という仕事の組み立て方を知ると具体的につかめます。

グループの航空会社は許可を受けた9社

第77期の報告書には、同社を含むグループ航空会社9社が、航空法に基づく本邦航空運送事業者として国土交通省から事業許可を受けて事業を運営していると記載されています。許可の有効期限その他の期限は法令等で定められておらず、許可の取消は航空法第119条、失効は同第120条にそれぞれ定められているという説明も添えられています(e-Gov法令検索)。

報告書が「事業の内容」の節で名前を挙げているのは、フルサービスキャリア事業の日本航空株式会社本体、株式会社ジェイエア、日本エアコミューター株式会社、株式会社北海道エアシステム、日本トランスオーシャン航空株式会社、琉球エアーコミューター株式会社と、LCC事業の株式会社ZIPAIR Tokyo、スプリング・ジャパン株式会社です。残る1社は、経営成績の説明でZIPAIR、スプリング・ジャパンと並べて「LCC3社」と書かれているジェットスター・ジャパン株式会社で、議決権の所有割合50.0パーセントの持分法適用会社です。旅客機を運航できるのは、国の許可を受けたこの9社だけです。

空港での仕事は地域ごとに別会社

空港のカウンターや搭乗口での旅客対応は、関係会社の状況で「(空港旅客関係)」と書かれた会社が担います。株式会社JALスカイのほか、株式会社JALスカイ大阪、株式会社JALスカイ九州、株式会社JALスカイ札幌、石川県小松市の株式会社JALスカイ金沢、宮城県名取市の株式会社JALスカイ仙台、JALスカイエアポート沖縄株式会社が並びます。

手荷物や貨物を機体に積み降ろす仕事は「(グランドハンドリング関係)」の区分で、株式会社JALグランドサービスと、大阪、九州、札幌の三社が置かれています。同じ名前が続くのは、担当する空港のある地域ごとに会社を分けているからです。報告書の住所欄では、JALグランドサービス大阪が大阪府豊中市、同九州が福岡市博多区、同札幌が北海道千歳市と、それぞれ担当する空港のある場所に本店が置かれています。勤務地の範囲や転勤の有無は、各社の募集要項で確かめてください。

整備と貨物と機内食も別の会社

機体とエンジンの整備は「(整備関係)」の区分で、株式会社JALエンジニアリング、車両や整備用器材を扱う株式会社JALエアテック、株式会社JALメンテナンスサービスが記載されています。貨物は「(貨物郵便関係)」の区分で、株式会社JALカーゴサービス、株式会社JALカーゴハンドリング、日航関西エアカーゴ・システム株式会社、株式会社JALカーゴサービス九州が担当します。機内食は「(旅客サービス関係)」の区分にJALロイヤルケータリング株式会社(報告書では社名変更前のジャルロイヤルケータリング株式会社として記載)があり、2026年4月1日付で社名を変更したと注記されています。

販売と金融と情報は別の区分に入る

旅客機に直接触れない仕事も、独立した会社に置かれています。航空券の予約と発券を受託する株式会社JALナビアはフルサービスキャリア事業、マイレージを運営する株式会社JALマイレージバンクとクレジットカードの株式会社ジャルカード、決済のJALペイメント・ポート株式会社、商事流通の株式会社JALUXはマイル/金融・コマース事業に区分されます。旅行商品の株式会社ジャルパック、システム開発のJALデジタル株式会社、沖縄県那覇市のJTAインフォコム株式会社は「その他」です。

持分法適用会社の顔ぶれを見ると、空港という場所を支える会社が並びます。空港施設株式会社が21.0パーセント、航空機用動力を供給する株式会社エージーピーが46.6パーセント、沖縄給油施設株式会社が50.0パーセント、名古屋エアケータリング株式会社が30.0パーセント、福岡エアーカーゴターミナル株式会社が40.0パーセントです。一社だけで抱え込まず、他社と分け合って運営する設備があることも、この業界の形の一つです。

JALグループの会社の位置づけを測る4つの目安

航空グループの子会社を見極める4つの視点を示した図(事業の区分・出資の比率・航空の許可・従業員数)

ここからは、公開資料のどこを見れば会社の位置づけが分かるのかを整理します。次の四つを順に確かめると、根拠の示されていない順位表に頼らずに、自分で会社の位置づけを確かめられます。

  1. 事業の区分と主要な事業の内容を確かめる
  2. 議決権の所有割合と連結の扱いを分ける
  3. 航空の許可を持つ会社かどうかを見る
  4. 従業員数で組織の大きさをつかむ

事業の区分で会社の役割が決まる

第77期の関係会社の状況では、会社ごとに担当する事業が一語で書かれています。株式会社ジェイエアと日本トランスオーシャン航空株式会社はフルサービスキャリア事業、株式会社ZIPAIR Tokyoとスプリング・ジャパン株式会社はLCC事業、株式会社JALマイレージバンクと株式会社ジャルカードはマイル/金融・コマース事業、株式会社ジャルパックとJALデジタル株式会社はその他です。

この一語が、その会社で働く人の仕事の枠組みをおおよそ決めます。同じグループでも、旅客機を運航する会社と、マイルを管理する会社と、旅行商品を企画する会社では、日々の仕事の相手も評価のされ方も異なります。

出資の比率で連結の扱いが分かれる

連結子会社の側では、株式会社ジェイエア、株式会社JALナビア、株式会社ZIPAIR Tokyo、株式会社JALマイレージバンク、株式会社JALスカイ、JALデジタル株式会社などが100.0パーセントです。日本トランスオーシャン航空株式会社は72.8パーセント、琉球エアーコミューター株式会社は間接保有で74.5パーセント、株式会社北海道エアシステムは57.4パーセント、株式会社JALUXは直接21.6パーセントと間接48.1パーセントを合わせて69.7パーセントと記載されています。

とりわけ見落とされがちなのが、比率の大小と連結の扱いが対応していない点です。49.0パーセントのPT. TAURINA TRAVEL DJAYAは連結子会社、50.0パーセントのジェットスター・ジャパン株式会社は持分法適用会社です。数字の大きさではなく、実質的に支配しているかどうかで区分が決まります。

航空の許可で仕事の枠組みが変わる

事業許可を受けた9社とそれ以外の会社では、日常の業務を縛る決まりの出どころが違います。航空法第104条は、許可を受けた会社に対して、航空機の運航と整備に関する運航規程・整備規程を定めて国土交通大臣の認可を受けることを義務づけています。機体の点検の周期や運航の記録の取り方は、この認可を受けた規程で決まります(e-Gov法令検索)。一方で空港旅客関係やグランドハンドリング関係の会社は、航空会社から業務を受託する形で同じ現場に入ります。同じ空港の同じ便に関わっていても、所属する会社によって守る決まりの出どころが違います。

会社の規模は従業員数の欄で確かめる

2026年3月31日時点の連結の従業員数は39,076名で、これに臨時雇用者の年間平均2,657名が外数で加わります。事業の区分ごとに見ると、フルサービスキャリア事業が29,231名と最も多く、その他が6,065名、LCC事業が2,046名、マイル/金融・コマース事業が1,734名です。外部収益はフルサービスキャリア事業が1,535,525百万円、その他が227,477百万円、マイル/金融・コマース事業が148,210百万円、LCC事業が101,302百万円で、連結では2,012,515百万円です。人の多い順と収益の大きい順は、上位二つが同じで三番目と四番目が入れ替わります。

提出会社である日本航空株式会社そのものは常勤社員14,627名で、平均年齢は40.2歳、平均勤続年数は14.9年、平均年間給与は10,112千円と記載されています。前の事業年度からの増減率は6.5パーセントです。報告書は参考情報として、グループ全体の職種ごとの平均年間給与も載せており、地上社員が7,002千円、運航乗務員が21,527千円、客室乗務員が6,327千円、全体では8,119千円です。グループ全体で見ると、職種によって金額の桁が変わります。

資本金の額も記載されていますが、規模の物差しとしては使いにくい項目です。日本トランスオーシャン航空株式会社が4,537百万円、JALロイヤルケータリング株式会社が2,700百万円である一方、株式会社JALマイレージバンクは40百万円、株式会社JALスカイ金沢は10百万円です。会社を立ち上げた経緯によって金額が決まるため、事業の大きさとは対応しません。

報告書の注記によれば、有価証券届出書または有価証券報告書を提出している関係会社は空港施設株式会社だけです。会社ごとの詳しい数字を追える範囲は限られているため、それ以外の会社については親会社の報告書に載る一行を丁寧に読むことになります。

公開資料でJALの子会社を確かめる手順

日本航空の子会社ランキングについて公開されている情報を確かめている場面のイラスト

気になる会社が見つかったら、次の三つの手順をたどると、その会社がグループのどこにいるのかを自分で確かめられます。

STEP1

EDINETの書類簡易検索で、提出者・発行者名に「日本航空」と入れて検索し、2026年6月22日提出の第77期有価証券報告書(書類管理番号 S100YFIO)を開きます(金融庁 EDINET)。目次から「4 関係会社の状況」を選ぶと、会社名と数字の表が出ます。連結子会社と持分法適用会社が別の見出しで並んでおり、気になる会社がどちらの表にあるかがまず分かります。

STEP2

その行の「セグメントの名称(主要な事業の内容)」と「議決権の所有割合」を読みます。区分名が書かれていれば決算の報告単位、括弧付きで整備関係や空港旅客関係と書かれていれば担当する工程です。同じ欄の「営業上の取引」には、親会社から何を受託しているかが並びます。

STEP3

「従業員の状況」で、事業の区分ごとの人数と提出会社の平均年齢や平均勤続年数を確かめます。あわせて「事業の内容」の節を読むと、その区分にどの会社が名指しで挙げられているかが分かり、工程の分担表がつながります。

日本航空の子会社に関するよくある質問

日本航空の子会社は何社ありますか

第77期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の有価証券報告書では、子会社139社および関連会社54社と記載されています(金融庁 EDINET)。会社数は毎期変わるため、調べるときは期を確かめてください。

JALスカイとJALグランドサービスはどう違いますか

関係会社の状況での区分が違います。株式会社JALスカイは「(空港旅客関係)」で、カウンターや搭乗口での旅客対応を担います。株式会社JALグランドサービスは「(グランドハンドリング関係)」で、手荷物や貨物の積み降ろしなど機体の周りの仕事を担います。

ジェットスター・ジャパンはJALの子会社ですか

子会社ではありません。第77期の関係会社の状況では、議決権の所有割合50.0パーセントの持分法適用会社として、LCC事業の区分に記載されています。営業上の取引の欄には運航整備の受託などが挙げられています。

出資比率が高い会社ほど中心的な会社ですか

そうとは限りません。議決権100.0パーセントの会社にはシステム開発の会社も空港での旅客対応の会社も含まれ、一方で57.4パーセントの株式会社北海道エアシステムは旅客機を運航しています。組織の大きさを知りたいときは、従業員の状況の欄にある事業の区分ごとの人数を見たほうが実態に近づきます。

事業の区分から会社の役割を読もう

JALグループの会社が工程ごとに分かれているのは、規模の差や格の差ではなく、旅客機を飛ばす仕事が運航、整備、空港、貨物、機内食という工程に分けて組み立てられているからです。この前提を知らずに社名を一列に並べても、上下の根拠はどこからも出てきません。

どの事業の区分に置かれているか、議決権の割合はどれだけか、航空の許可を持つ会社か、そこに何人が働いているか。この四つは有価証券報告書に必ず書かれており、誰が調べても同じ答えになります。会社の名前より先に、その会社が担っている工程を確かめてみてください。

この記事の著者情報

株式会社ネット風評被害対策 代表取締役 内村淳

ネット風評被害対策の専門家として15年以上の実績を持つ。
風評被害誹謗中傷対策・サジェスト対策・逆SEO対策・SNS炎上対応など、企業のWebリスク解決を累計10,000社以上支援。
ネット誹謗中傷対策に特化した法律事務所に1年間従事し、法的観点からの対応知見を習得。IT技術と法的アプローチの双方に携わってきた経験を持つ。
あらゆるネット風評被害対策支援に加え、企業向けコンサルティングや同業他社へのサービス提供も行う。
現在、日々進化するAI検索エンジンのアルゴリズムを徹底解析し、AI検索時代に適応した次世代の風評対策に注力している。

著書: 『AI時代のネット風評被害対策』(Kindle出版) ↗

発信活動: ネット風評被害対策に関する情報をnoteでも発信しています。 note ↗

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