「ヤマトホールディングス 子会社 ランキング」で検索すると、傘下の会社を並べた一覧がいくつも表示されます。ところが見比べると、載っている社名も並び順もそろっていません。宅急便を運ぶ会社の次に自動車整備の会社が来たり、海外の会社だけが抜け落ちていたりと、何を基準に上下が付いているのかが読み取れないことが少なくありません。
そろわない理由ははっきりしています。ヤマトグループは宅急便の会社だけで成り立っているわけではなく、倉庫、通関、車両整備、電力、コールセンターまで業種の違う会社が並んでいます。しかも決算で報告する事業の区分は4つしかありません。会社の数と区分の数が合っていないところに、書き手ごとの判断が入り込みます。
この記事では、順位表の代わりに、事業の区分という切り口から会社の位置づけを読み解く方法を、就活キャリア研究所の視点で整理しました。使う資料は有価証券報告書と公式のグループ会社一覧、それに国土交通省の公開情報という、誰でもたどれるものだけです。
ヤマトの子会社ランキングが揃わない理由
順位表を読み比べる前に、このグループがどういう形をしているのかを押さえておくと、一覧がそろわない理由が見えてきます。
子会社45社と関連会社12社で構成されている
ヤマトホールディングス株式会社の第161期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の有価証券報告書によると、ヤマトグループは同社および子会社45社、関連会社12社により構成されています(ヤマトホールディングス)。合わせて58法人です。報告書の「関係会社の状況」に社名が記載されているのは主要な会社だけで、残りは「その他16社」「その他2社」といった形でまとめられています。五十数社のうちどれを取り上げるかの時点で、書き手ごとの判断が入っています。
報告する事業の区分は4つしかない
同じ報告書では、報告する事業の区分としてエクスプレス事業、コントラクト・ロジスティクス事業、グローバル事業、モビリティ事業の4つが挙げられ、これに当てはまらないものが「その他」にまとめられています。これは提供するサービスの性格で切った区分であり、会社ごとの区分ではありません。
実際、ヤマト運輸株式会社は1社でエクスプレス事業とコントラクト・ロジスティクス事業とグローバル事業の3区分にまたがって記載されています。会社は法人単位で分かれ、決算の報告は顧客に届けるサービス単位で分かれるという二層構造になっているため、社名を一列に並べても事業の姿は見えません。
資料によって載っている社名が違う
公式のグループ各社一覧と有価証券報告書の記載も、完全には一致しません。グループ各社一覧には株式会社スワン、ヤマトグループ健康保険組合、公益財団法人ヤマト福祉財団、社会福祉法人ヤマト自立センターまで載っています(ヤマトホールディングス)。一方の有価証券報告書には、YMT-GB投資事業有限責任組合やIS鳥栖開発2号特定目的会社のように、事業会社とは形の違う組織も関係会社として並びます。
会社の入れ替わりも続いています。第161期の報告書には、2026年4月1日付でRH株式会社が子会社のレッドホースコーポレーション株式会社を吸収合併して同日付で商号を変更したこと、2026年9月1日付でヤマトクレジットファイナンス株式会社の株式をすべて譲渡することが2026年5月14日の取締役会で承認されたことが注記されています。順位表を読むときは、まずその一覧がいつ時点のものかを確かめてください。
宅急便の外側に広がる事業の区分
ここからは、4つの事業区分と「その他」に、それぞれどんな会社が置かれているのかを順に見ていきます。区分ごとに仕事の中身がまるで違うため、志望先を絞るうえでの手がかりになります。
エクスプレス事業は許可を受けた運送の集まり
第161期の報告書では、エクスプレス事業を「個人および法人のお客様に対し、宅急便を中心とした国内輸配送サービスを提供する」区分と説明し、サービスの種類として個人および法人顧客向け宅配事業、貨物自動車運送事業、ロールボックスパレット貸切輸送事業を挙げています。主要な会社はヤマト運輸株式会社、沖縄ヤマト運輸株式会社、ヤマトボックスチャーター株式会社、ヤマトマルチチャーター株式会社、ボックスチャーター株式会社、Sustainable Shared Transport株式会社などです。
ここで押さえておきたいのが、トラックで他人の荷物を有償で運ぶ一般貨物自動車運送事業には、会社ごとに国の許可が要るという点です。貨物自動車運送事業法は、一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は国土交通大臣の許可を受けなければならないと定めています。軽自動車や二輪で荷物を運ぶ貨物軽自動車運送事業は同じ法律の別の区分で、許可ではなく国土交通大臣への届出と定められています(e-Gov法令検索)。同じ法律は、営業所で集めた荷物を仕分けして積み合わせ、別の営業所へ運び、そこでも配達に必要な仕分けを行う運送を定期的に行う形を「特別積合せ貨物運送」と呼んで区別しています。許可と届出のどちらで営む事業かによって、会社が国に対して負う手続きの重さが変わります。
コントラクト・ロジスティクス事業は倉庫と不動産
コントラクト・ロジスティクス事業は、報告書では「法人顧客の課題解決や事業成長を支援するソリューションを提供する」区分とされ、サービスの種類は3PL事業と不動産事業です。主要な会社としてヤマト運輸株式会社、株式会社ナカノ商会、IS鳥栖開発2号特定目的会社が挙げられています。荷物を運ぶ仕事というより、顧客の物流そのものを預かって設計し直す仕事です。
グローバル事業は通関と海外の配送
グローバル事業のサービスの種類は、法人顧客向け運送事業、物流センターの企画運営業、輸出入通関事業、航空運送代理店業です。主要な会社には神戸ヤマト運輸株式会社、湖南工業株式会社に加えて、YAMATO TRANSPORT U.S.A., INC.、YAMATO TRANSPORT EUROPE B.V.、YAMATO TRANSPORT(S)PTE.LTD.、雅瑪多運輸(香港)有限公司、TAIWAN YAMATO INTERNATIONAL LOGISTICS INC.といった海外の会社が並び、これに「その他16社」が続きます。社名の並びだけを見ると読みにくいところですが、事業の内容の欄を見ればどの会社も役割は同じだと分かります。
モビリティ事業は車両整備と電力
モビリティ事業は、報告書では「運送事業者様の安全運行と車両稼働時間の拡大に資する、稼働を止めない車両整備サービスを提供する。EVに使用する再エネ電力などを提供する」と説明され、サービスの種類は自動車整備事業、燃料販売事業、損害保険代理店業です。ヤマトオートワークス株式会社と、その岩手・北信越・四国・沖縄の各社、それにヤマトエナジーマネジメント株式会社が並びます。物流グループの中に整備工場と電力の会社があることは、社名の一覧だけでは伝わりません。
その他にITとコールセンターと金融が入る
4区分に当てはまらない会社は「その他」に置かれます。報告書では、ITシステムの開発および運用管理事業、コールセンター事業、金融サービス業がサービスの種類として挙げられ、ヤマトシステム開発株式会社、ヤマトコンタクトサービス株式会社、株式会社MY MEDICAなどが該当します。文系の総合職でも理系の技術職でも、入口はこの区分にもあります。
ヤマトの子会社を測る4つの目安

ここからは、公開資料のどこを見れば会社の位置づけが分かるのかを整理します。次の六つを順に確かめると、根拠の示されていない順位表に頼らずに自分で並べ替えられます。
- どの事業区分に置かれている会社かを確かめる
- 議決権の所有割合を確かめる
- 連結子会社か持分法適用関連会社かを分ける
- 区分ごとの営業収益と利益を見比べる
- 従業員数で組織の大きさをつかむ
- 資料の時点がいつかを確かめる
事業の区分で会社の役割が決まる
第161期の「関係会社の状況」では、会社ごとに事業の内容が一語で書かれています。沖縄ヤマト運輸株式会社とヤマトボックスチャーター株式会社はエクスプレス事業、株式会社ナカノ商会はコントラクト・ロジスティクス事業、神戸ヤマト運輸株式会社と湖南工業株式会社はグローバル事業、ヤマトオートワークス株式会社とヤマトエナジーマネジメント株式会社はモビリティ事業、ヤマトシステム開発株式会社とヤマトコンタクトサービス株式会社はその他です。
この一語が、その会社で働く人の日常をおおよそ決めます。同じグループでも、荷物を届ける会社と倉庫を設計する会社と車両を整備する会社では、求められる資格も一日の流れも別物です。順位より先に、この欄を読んでください。
議決権の所有割合で連結の扱いが分かれる
連結子会社の側では、ヤマト運輸、沖縄ヤマト運輸、ヤマトボックスチャーター、ヤマトマルチチャーター、神戸ヤマト運輸、ヤマトオートワークス、ヤマトエナジーマネジメント、ヤマトシステム開発、ヤマトコンタクトサービスがいずれも議決権の所有割合100パーセントです。これに対してボックスチャーター株式会社は55.87パーセント、Sustainable Shared Transport株式会社は81.40パーセント、株式会社ナカノ商会は87.74パーセント、YAMATO TRANSPORT(M)SDN.BHD.は60パーセント、ヤマトクレジットファイナンス株式会社は70パーセント、株式会社MY MEDICAは66パーセントと記載されています。
持分法適用関連会社の側は、RH株式会社が48.57パーセント、Packcity Japan株式会社が49パーセント、ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社が49.02パーセント、ヤマトリース株式会社が40パーセントです。五割を境に連結子会社と持分法適用関連会社が分かれているのが、このグループの特徴です。持株比率がそのまま関係の深さを表すわけではありませんが、ヤマトの場合は線が引きやすい並びになっています。
区分ごとの営業収益と利益は大きく違う
第161期のセグメント情報によると、外部顧客への営業収益は、エクスプレス事業が1,557,978百万円、コントラクト・ロジスティクス事業が164,602百万円、グローバル事業が97,552百万円、モビリティ事業が22,033百万円、その他が23,507百万円で、合計1,865,675百万円です。収益の八割以上をエクスプレス事業が占めています。
とりわけ見落とされがちなのが、収益の大きさと利益の大きさが対応していない点です。同じ期のセグメント利益は、エクスプレス事業が2,299百万円、コントラクト・ロジスティクス事業が6,217百万円、グローバル事業が8,150百万円、モビリティ事業が5,221百万円、その他が6,629百万円で、合計28,517百万円です。売上が最も大きいエクスプレス事業の利益が、グローバル事業やモビリティ事業を下回っています。順位表で上位に置かれがちな会社が、必ずしも稼ぎ頭とは限りません。
会社の規模は従業員数の欄で確かめる
2026年3月31日現在の連結の従業員数は174,696人で、その内訳はフルタイマー87,347人、パートタイマー87,349人です。区分ごとに見ると、エクスプレス事業が157,902人と大半を占め、コントラクト・ロジスティクス事業が7,603人、その他が4,407人、グローバル事業が2,770人、モビリティ事業が1,996人、全社が18人と続きます。
会社単位では、従業員数が最も多いのがヤマト運輸株式会社の76,882人で、平均年齢は45.9歳、平均勤続年数は17.3年、平均年間給与は6,096,295円と記載されています。集計の対象はフルタイマーで、パートタイマーは83,491人が別に示されています。一方、持株会社であるヤマトホールディングス株式会社自身の従業員数は18人で、平均年齢は36.4歳、平均勤続年数は10.3年、平均年間給与は12,483,061円です。報告書には、同社が純粋持株会社であるため所属する従業員は経営管理機能を担う人員を中心に配置していると注記されています。
資本金の額も記載されていますが、規模の物差しとしては使いにくい項目です。ヤマト運輸株式会社が50,000百万円である一方、ヤマトオートワークス株式会社は30百万円、ヤマトコンタクトサービス株式会社は20百万円、神戸ヤマト運輸株式会社と湖南工業株式会社は20百万円です。IS鳥栖開発2号特定目的会社は2,800百万円と、事業会社より大きい数字が並びます。金額の差がそのまま事業の大きさを表しているわけではありません。
第161期の注記には、ヤマト運輸株式会社およびYAMATO ASIA PTE.LTD.が特定子会社に該当すること、そのうちYAMATO ASIA PTE.LTD.は2023年2月17日の取締役会で清算が承認され、清算手続き中であること、ヤマト運輸株式会社の営業収益がエクスプレス事業の営業収益の90パーセント超であるため主要な損益情報等の記載を省略していることも書かれています。会社単位の細かい数字を追いたいときは、この注記が手がかりになります。
公開資料でヤマトの子会社を確かめる手順

気になる会社が見つかったら、次の三つの手順をたどると、その会社がグループのどこにいるのかを自分で確かめられます。
公式のグループ各社一覧で、社名と事業内容を確かめます(ヤマトホールディングス)。国内企業と海外企業、関連団体に分かれて掲載されており、各社に一行の説明が付いています。似た社名が並ぶときは、この説明の違いを先に読んでください。
有価証券報告書の「関係会社の状況」で、議決権の所有割合と事業の内容を確かめます(ヤマトホールディングス)。続けて「従業員の状況等」を見れば区分ごとの人数が、「セグメント情報」を見れば区分ごとの営業収益と利益が読み取れます。過去の期の報告書は金融庁のEDINETでも閲覧できます(金融庁)。
運送に関わる会社なら、国土交通省のGマーク制度のページも合わせて見ておきます(国土交通省)。安全性優良事業所の認定制度で、全日本トラック協会が38の評価項目を設定して認定しています。令和7年12月末現在で29,206事業所が認定を受けており、これは全事業所の34.4パーセントにあたります。
ヤマトの子会社に関するよくある質問
- ヤマトの子会社は何社ありますか
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第161期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の有価証券報告書では、ヤマトホールディングス株式会社および子会社45社、関連会社12社により構成されていると記載されています(ヤマトホールディングス)。会社数は毎期変わるため、調べるときは期を確かめてください。
- 宅急便以外にどんな会社がありますか
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自動車整備のヤマトオートワークス株式会社、電気事業のヤマトエナジーマネジメント株式会社、ITシステムのヤマトシステム開発株式会社、コールセンターのヤマトコンタクトサービス株式会社、従業員健康管理サービスの株式会社MY MEDICAなどがあります(ヤマトホールディングス)。
- 売上が一番大きい区分はどこですか
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エクスプレス事業です。第161期の外部顧客への営業収益は1,557,978百万円で、合計1,865,675百万円の大半を占めます。ただし同じ期のセグメント利益は2,299百万円で、グローバル事業の8,150百万円を下回っています。売上と利益は別に見てください。
- 持株会社と事業会社はどちらが待遇が良いですか
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数字だけで比べると誤解が生まれます。第161期の有価証券報告書では、持株会社であるヤマトホールディングス株式会社の平均年間給与は12,483,061円、ヤマト運輸株式会社は6,096,295円ですが、持株会社の従業員は18人で経営管理機能を担う人員が中心と注記されています。採用の入口も役割も別物です。
事業の区分から会社の役割を読もう
ヤマトグループの会社が業種ごとに分かれているのは、格の違いではなく、荷物を運ぶ、倉庫を預かる、通関を通す、車両を整備する、システムを動かすという役割の違いです。この前提を知らずに社名を一列に並べても、上下の根拠はどこからも出てきません。
どの事業区分に置かれた会社か、議決権の割合はどれだけか、その区分はいくら稼いでいるか、そこに何人が働いているか。この四つは有価証券報告書と公式のグループ各社一覧に書かれており、誰が調べても同じ答えになります。会社の順位より先に、その会社がどの区分に置かれているかを確かめてみてください。

