「ゲーム業界の大手は、会社の売上高を比べれば順位が分かる」。決算の数字は会社ごとにまとまって発表されるため、そう考える就活生もいるかもしれません。ところが、ソニーグループやバンダイナムコホールディングスの売上高には、音楽や映画、玩具の売上も入っています。ゲームの会社の大きさは、ゲーム事業の売上で比べる必要があります。
2026年10月時点で最新の有価証券報告書から、ゲーム事業の外部顧客への売上高を取り出して並べると、1位はソニーグループの4兆5,700億円、2位は任天堂の2兆3,130億円です。3位のネクソンは4,751億円で、任天堂の5分の1ほどの規模です。
本記事では、上位10社のゲーム事業の売上と、ゲーム事業を担う会社の社員の年収を有価証券報告書の原文から並べ、ランキングが分かりにくい理由、会社を見比べる視点、自分で確かめる手順まで、就活キャリア研究所の視点で順を追ってお伝えします。
ゲーム業界の大手企業ランキング上位10社
ゲーム業界の上場会社を、ゲーム事業の外部顧客への売上高で並べると、上位10社は次のとおりです。億円未満は切り捨てています。
- ソニーグループ:4兆5,700億円
- 任天堂:2兆3,130億円
- ネクソン:4,751億円
- バンダイナムコホールディングス:4,707億円
- コナミグループ:3,702億円
- セガサミーホールディングス:3,266億円
- サイバーエージェント:2,163億円
- スクウェア・エニックス・ホールディングス:1,728億円
- カプコン:1,442億円
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント:932億円
対象は、家庭用ゲーム機やPC、スマートフォン向けのゲームを作って売る事業を持つ東証上場の会社で、10社とも2026年9月末時点でプライム市場に上場しています(日本取引所グループ)。ゲームを主な中身とする事業区分の数字を並べ、事業区分が1つだけの任天堂とガンホー、地域で区分を分けているネクソンは、会社全体の売上高を使いました。ネクソンは売上高ではなく売上収益を載せているため、その額です。
決算期は、サイバーエージェントが2025年9月期、ネクソンとガンホーが2025年12月期、ほかの7社が2026年3月期です。ハピネットのビデオゲーム事業は、ゲーム機やソフトを量販店などへ販売する事業で、ゲームソフトの企画・制作も行っています。東証の業種分類が卸売業のため、この事業の売上高1,190億円は順位に入れていません(ハピネット有価証券報告書)。
ゲーム機を作る2社
ソニーグループのゲーム&ネットワークサービス分野は、ゲームソフトや追加コンテンツの制作・販売、ネットワークサービス、家庭用ゲーム機の製造・販売を含みます。2026年3月期の外部顧客向けの売上高は、デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツが2兆4,153億円、ネットワークが7,631億円、ハードウェア・その他が1兆3,916億円です(ソニーグループ有価証券報告書)。
任天堂は2025年6月にNintendo Switch 2を発売し、2026年3月期の販売台数は1,986万台でした。売上高は前の期の1兆1,649億円から98.6%増え、このうち映像コンテンツやロイヤリティなどのIP関連収入等が735億円です(任天堂有価証券報告書)。
売上高3,000億円台から4,000億円台の4社
ネクソンは、PCオンラインゲームとモバイルゲームの制作・開発、配信を行う会社で、本店は東京都港区にあります。売上収益4,751億円のうち4,006億円を韓国の区分が占め、日本の区分は55億円です(ネクソン有価証券報告書)。
バンダイナムコホールディングスのデジタル事業は、家庭用ゲームとネットワークコンテンツの企画・開発・販売・配信などを行います。2026年3月期は、家庭用ゲームの新作「ELDEN RING NIGHTREIGN」などが世界でヒットしました(バンダイナムコホールディングス有価証券報告書)。
コナミグループのデジタルエンタテインメント事業は、モバイルゲーム、家庭用ゲーム、カードゲームなどを扱い、区分の売上高は前の期から21.5%増えました(コナミグループ有価証券報告書)。セガサミーホールディングスのエンタテインメントコンテンツ事業には、家庭用などのゲームのほか、アミューズメント機器、アニメーション映画、玩具も入ります(セガサミーホールディングス有価証券報告書)。
売上高900億円台から2,000億円台の4社
サイバーエージェントのゲーム事業は、スマートフォン向けゲームなどを手がける区分で、Cygamesなどの連結子会社が担っています(サイバーエージェント有価証券報告書)。スクウェア・エニックス・ホールディングスのデジタルエンタテインメント事業は、売上高が前の期から16.3%減りました。HDゲームは新作と過去作の販売で増収でした。一方、多人数参加型のオンラインRPG(MMO)は前の期に「ファイナルファンタジーXIV」の拡張パッケージを発売した反動で減収となり、スマートデバイスやPCブラウザ向けのコンテンツも既存タイトルの弱含みなどで減収でした(スクウェア・エニックス・ホールディングス有価証券報告書)。
カプコンのデジタルコンテンツ事業は、家庭用ゲームとモバイルコンテンツの開発・販売を行う区分です(カプコン有価証券報告書)。ガンホー・オンライン・エンターテイメントは「パズル&ドラゴンズ」などのスマートフォンゲームを主力とし、事業区分は1つだけです(ガンホー・オンライン・エンターテイメント有価証券報告書)。
ゲーム業界のランキングが分かりにくい3つの理由
ゲーム業界の順位が分かりにくいのは、会社全体の売上高にゲーム以外の事業が入り、ゲームの区分に入る中身も会社ごとに違い、決算期もそろっていないからです。
会社全体の売上高にゲーム以外が入るから
ソニーグループのセグメント情報で、事業区分の売上高を合わせた連結合計は12兆4,796億円です。ゲーム&ネットワークサービス分野の外部顧客向けの売上高は、その4割に届きません。音楽、映画、イメージセンサーなどの事業もあるためです(ソニーグループ有価証券報告書)。
バンダイナムコホールディングスでは、玩具やカードなどを扱うトイホビー事業の外部顧客への売上高が6,461億円で、デジタル事業の4,707億円を上回ります(バンダイナムコホールディングス有価証券報告書)。サイバーエージェントでは、インターネット広告事業の4,388億円がゲーム事業の2倍あまりです(サイバーエージェント有価証券報告書)。会社全体の売上高で並べると、ゲーム事業の大きさとは違う順位になります。
ゲームの区分に入る中身が会社ごとに違うから
同じゲームの事業区分でも、入っている中身は同じではありません。コナミグループの区分にはカードゲームが、セガサミーホールディングスの区分にはアニメーション映画や玩具が入ります。ソニーグループの数字には家庭用ゲーム機とネットワークサービスの売上が、任天堂の数字にはIP関連収入等が入っています。
業務用のアミューズメント機器の扱いも分かれます。セガサミーホールディングスは、ゲームの区分に入れています。コナミグループはアーケードゲーム事業に、スクウェア・エニックス・ホールディングスとバンダイナムコホールディングスはアミューズメント事業に入れ、ゲームの区分とは分けています(コナミグループ有価証券報告書)(スクウェア・エニックス・ホールディングス有価証券報告書)(バンダイナムコホールディングス有価証券報告書)。
決算期がそろっていないから
決算期がずれると、同じ1年分の売上でも対象の期間が違います。サイバーエージェントの2025年9月期は3月決算の7社より半年早く、ネクソンとガンホーの2025年12月期は3か月早く締めた1年間の売上です。
3位のネクソンと4位のバンダイナムコホールディングスの差は、43億円あまりしかありません。バンダイナムコのデジタル事業に事業区分の間の取引58億円を足した4,765億円で比べると、順位は入れ替わります(バンダイナムコホールディングス有価証券報告書)。順位が近い会社は、どの期のどの数字かをそろえてから比べましょう。
ゲーム大手を見比べる4つの視点

ゲーム大手の違いは、売上の順位に加えて、次の4つを見比べると見えてきます。
- 年収の対象:報告書の平均年間給与が、どの会社の社員の数字かを見る
- 働く会社:ゲームを作る社員が、どの子会社や国にいるかを見る
- 売上の中身:ダウンロードやネットワークなど、何で稼ぐかを見る
- 年齢と勤続:平均年間給与と並べて見る
年収の対象
有価証券報告書の平均年間給与は、報告書を出した会社自身の従業員の平均です。持株会社では、特定の事業に属さない管理部門などの社員の数字になります。スクウェア・エニックス・ホールディングスは、従業員が26人で、平均年間給与は1,315万577円です(スクウェア・エニックス・ホールディングス有価証券報告書)。
2026年3月31日以後に終わる事業年度の報告書から、主として子会社の経営管理を行う会社は、従業員が最も多い国内の連結子会社(最大人員会社)の平均年間給与も載せることになりました。その会社の人数が連結の過半数に届かないときは、次に多い会社も載ります(金融庁)。スクウェア・エニックス・ホールディングスの最大人員会社である株式会社スクウェア・エニックスは、従業員が3,235人で、平均年間給与は782万5,997円です。
ソニーグループの最大人員会社は、半導体のソニーセミコンダクタマニュファクチャリングです(ソニーグループ有価証券報告書)。ゲーム事業を担うソニー・インタラクティブエンタテインメントの年収は、ソニーグループの報告書には載っていません。
働く会社
ゲームを作る社員が、報告書を出した会社ではなく子会社にいる会社もあります。サイバーエージェントのゲーム事業の従業員は2,996人で、そのうちサイバーエージェント自身で働くのは49人です。サイバーエージェント自身の従業員2,588人のうち1,646人はインターネット広告事業の社員で、平均年間給与913万8,000円は、広告の社員が6割を超える会社の数字です(サイバーエージェント有価証券報告書)。
ネクソンの連結の従業員9,834人のうち、8,342人は韓国の区分で働いています。報告書を出したネクソン自身の従業員は233人です(ネクソン有価証券報告書)。応募先が持株会社なのか子会社なのかを募集要項で確かめてから、どの年収の数字を見るかを決めましょう。
売上の中身
同じゲームの売上でも、何で稼ぐかは会社ごとに違います。カプコンのデジタルコンテンツ事業では、ダウンロード販売が1,256億円、パッケージ販売が162億円、モバイルコンテンツが23億円です(カプコン有価証券報告書)。
ゲーム機を売る2社では、ゲーム機の売れ行きで売上の中身が変わります。ソニーグループは、ハードウェア・その他の売上高が前の期の1兆5,832億円から1兆3,916億円に減った一方、ネットワークの売上高は6,698億円から7,631億円に増えました(ソニーグループ有価証券報告書)。任天堂のゲーム専用機のデジタル売上高は4,076億円で、前の期から25.0%増えました(任天堂有価証券報告書)。
年齢と勤続
ゲーム事業を担う会社の社員の平均年間給与を高い順に並べ、平均年齢と平均勤続年数を添えると次のとおりです。バンダイナムコスタジオ、コナミデジタルエンタテインメント、セガ、スクウェア・エニックスの4社は、持株会社の報告書に載る最大人員会社の数字です。
- カプコン:985万2,000円(38.1歳・11.2年)
- 任天堂:982万4,708円(40.5歳・14.6年)
- バンダイナムコスタジオ:969万8,000円(41.5歳・13.4年)
- ネクソン:910万4,000円(40.1歳・8.1年)
- コナミデジタルエンタテインメント:889万699円(39.8歳・14.0年)
- セガ:883万236円(40.8歳・13.4年)
- スクウェア・エニックス:782万5,997円(41.3歳・9.1年)
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント:757万円(41歳10か月・10年2か月)
ネクソンとガンホーは2025年12月31日時点、ほかの6社は2026年3月31日時点の数字です。ガンホーの平均には、臨時従業員や休職者など、通期で常勤でない人は入っていません(ガンホー・オンライン・エンターテイメント有価証券報告書)。
1位のカプコンと2位の任天堂の差は、3万円に届きません。平均勤続年数はネクソンの8.1年から任天堂の14.6年まで開きがあるので、平均年間給与は平均年齢や平均勤続年数と並べて読みましょう。
有価証券報告書でゲーム大手を確かめる手順

ゲーム大手の売上と年収は、金融庁のEDINETで公開されている有価証券報告書を開けば、次の3つの手順で確かめられます。
金融庁のEDINETで会社名を入れて書類を検索し、事業年度が最も新しい有価証券報告書を開きます(金融庁)。
経理の状況の注記にある「セグメント情報」の表で、ゲームの事業区分の「外部顧客への売上高」の行を見ます。行の名前は会社によって「外部顧客に対する売上高」などと少し違います。区分ごとの事業の中身は、同じ注記の「報告セグメントの概要」に書かれています。
「従業員の状況」で、提出会社の平均年間給与と、持株会社なら最大人員会社の欄を確かめます。続けて「関係会社の状況」で、ゲーム事業を担う子会社と、議決権の所有割合を見ます。
「従業員の状況」は、2026年3月31日以後に終わる事業年度の報告書から、「第1 企業の概況」から「第4 提出会社の状況」に移りました(金融庁)。2025年9月期のサイバーエージェントと、2025年12月期のネクソンとガンホーの報告書では、前の位置に載っています。
上場していないゲーム会社の働き方は、厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」で社名を検索すると分かる場合があります(厚生労働省)。掲載されていない会社もあります。
ゲーム業界の大手企業でよくある質問
- ゲームの売上が一番大きい会社はどこですか
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ソニーグループです。2026年3月期のゲーム&ネットワークサービス分野の外部顧客向けの売上高は4兆5,700億円で、2位の任天堂の2兆3,130億円の2倍近くあります(ソニーグループ有価証券報告書)。
- ポケモンの会社はランキングに入りますか
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入りません。株式会社ポケモンは東証に上場しておらず、有価証券報告書を出す会社でもないため、同じ数字で比べられません。任天堂は株式会社ポケモンの議決権の32%を持ち、持分法適用関連会社にしています(任天堂有価証券報告書)。
- コーエーテクモやMIXIは入っていますか
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入っていません。2026年3月期の外部顧客への売上高は、MIXIのデジタルエンターテインメント事業が838億円(MIXI有価証券報告書)、コーエーテクモホールディングスのエンタテインメント事業が822億円です(コーエーテクモホールディングス有価証券報告書)。どちらも、10位のガンホーの932億円に届きません。
- サイバーエージェントのゲームはどの会社が作っていますか
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ゲーム事業の連結子会社には、議決権の64.5%を持つCygamesや、90.0%を持つColorful Paletteなどがあります。サイバーエージェントの2025年9月期の報告書では、Cygamesの売上高は1,375億円です(サイバーエージェント有価証券報告書)。
ゲームの売上と年収の対象をそろえて比べよう
ゲーム業界の大手をゲーム事業の売上で並べると、ソニーグループの4兆5,700億円と任天堂の2兆3,130億円が抜きん出ています。3位のネクソンから10位のガンホーまでは、4,000億円台から900億円台に並びます。会社全体の売上高にはゲーム以外の事業が入るため、事業区分の数字で比べるのが近道です。
年収も、持株会社の管理部門などの平均か、ゲームを作る会社の社員の平均かで意味が変わります。気になる会社の有価証券報告書を開き、セグメント情報と「従業員の状況」の最大人員会社の欄を自分の目で読んでから比べてください。

