事務の仕事に就くとき、あるいは別の会社へ移ろうと考えるとき、まず気になるのが「働きやすい会社をどう見分けるか」という点ではないでしょうか。
事務の仕事は、書類の作成やデータの入力、電話や来客への対応まで担当の幅が広く、会社によって任される範囲がまったく違います。募集の数が多い一方で、働きやすさの差も大きいため、選び方に迷いやすい職種です。
この記事では、働きやすい会社に共通する特徴と、その特徴を国が用意している制度や公的なデータで確認する具体的な方法について、就活キャリア研究所の視点で整理しました。
事務職で働きやすい会社を探すのが難しい理由
会社選びに入る前に、この分野が置かれている状況を押さえておくと、求人票の読み方が変わってきます。
同じ「事務」でも仕事の中身が違う
決まった手順を正確に進める仕事もあれば、部署の調整役として動く仕事もあります。求人票の「一般事務」という言葉だけでは、実際に何を担当するのかがほとんど読み取れません。入社後に想像との差を感じやすいのは、この曖昧さが原因になっていることが少なくありません。
長く続けられるかどうかが見えにくい
事務の仕事は、経験を積みながら長く続けたいと考えて選ぶ人が多い職種です。ところが、育児や介護と両立できる制度が実際に使われているかどうかは、求人票からは分かりません。制度があることと、使える雰囲気があることは別の話です。
求人票の条件だけでは実態が読み取りにくい
年間休日数や月給の欄は、あくまで会社が示した条件です。実際の残業時間や人の定着ぶりまでは書かれていないことがほとんどです。ただ、こうした情報は国の仕組みを使えば調べられる場合があります。
事務職が長く働ける会社に共通する特徴

求人票や面接だけでは判断しづらい会社の実態も、いくつかの共通したチェックポイントに注目すると見えてきます。ここでは代表的な特徴を整理します。
- 子育て支援の認定を受けている
- 人が長く続いている
- 残業時間が公開されている
- 担当する仕事の範囲が具体的に説明される
- 給与の内訳が明示されている
- 面接での質問に具体的な回答が返ってくる
子育て支援の認定を受けている
厚生労働省は、次世代育成支援対策推進法にもとづき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成して一定の基準を満たした企業を認定しています(厚生労働省)。くるみん認定に加えて、より高い水準の取り組みを行った企業への特例認定であるプラチナくるみん認定、令和4年4月1日の基準引き上げに伴って新たに設けられたトライくるみん認定があります。認定を受けた企業はマークを広告などに表示できるため、募集ページで見かけることもあります。
人が長く続いている
厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」では、新卒者等の採用・定着状況、男女の平均継続勤務年数の差異、男女別採用10年前後の継続雇用割合、従業員の平均年齢といった項目を調べられます(厚生労働省)。とくに男女の平均継続勤務年数の差異は、長く働き続けられる環境かどうかを測る手がかりになります。
残業時間が公開されている
同じサイトには、月平均所定外労働時間や、雇用管理区分ごとの一月当たりの労働者の平均残業時間も掲載されています(厚生労働省)。事務の募集では「残業は少なめ」と書かれていることが多いため、実際の数字と照らし合わせておくと落ち着いて判断できます。
担当する仕事の範囲が具体的に説明される
一日のうちどんな作業にどのくらいの時間を使うのか、繁忙期はいつなのか、誰と連携して進めるのかを面接で尋ねてみましょう。具体例が返ってくる会社は、受け入れる側の準備ができていると考えてよいでしょう。
公開されている情報で会社を確かめる具体的な方法

気になる会社が見つかったら、応募する前に公開されている情報をたどっておくと判断材料が増えます。次の3つのステップで確認してみてください。
厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」で、気になる会社の職場情報を検索します(厚生労働省)。男女の平均継続勤務年数の差異や月平均所定外労働時間を、複数の会社で並べて比べられます。
厚生労働省のくるみん認定のページで、認定の仕組みと種類を確認します(厚生労働省)。どんな基準で認定されるのかを知っておくと、募集ページのマークの意味が分かります。
会社選びに関するよくある質問
- くるみん認定とはどんな制度ですか
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次世代育成支援対策推進法にもとづき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成して一定の基準を満たした企業を厚生労働大臣が認定する制度です(厚生労働省)。より高い水準のプラチナくるみん認定と、令和4年4月1日に設けられたトライくるみん認定もあります。
- 人がどのくらい続いているかは調べられますか
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厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」に、男女の平均継続勤務年数の差異や男女別採用10年前後の継続雇用割合といった項目が掲載されています(厚生労働省)。
- 事務職は残業が少ないというのは本当ですか
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会社によって差が大きい部分です。「残業は少なめ」という表現をそのまま受け取らず、しょくばらぼの月平均所定外労働時間などの数字と照らし合わせてみましょう(厚生労働省)。
- 未経験でも事務職に応募できますか
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未経験を対象にした募集はあります。その場合は入社後に何から担当するのか、教えてもらえる体制があるのかを確かめておくと、入社後の見通しが立てやすくなります。
印象より「公開された数字」で選ぼう
事務職の会社選びでは、募集の言葉づかいや職場の雰囲気につい影響されがちです。ただ、長く続けられるかどうかを左右するのは、人の定着ぶりや残業の量といった、数字で表せる部分です。
公開されている事実は、誰でも同じ手順でたどれます。求人票の印象だけで決めてしまう前に、こうした事実を一つずつ確かめ、自分が続けられる働き方に近い会社を見極めていきましょう。

