求人票や内定通知に「年間休日107日」と書かれていると、多いのか少ないのか、そもそも普通の範囲に入るのか、判断に迷う就活生や転職検討中の方は少なくありません。友人が受けた別の企業は120日と書かれていた、といった比較情報が耳に入ると、なおさら不安になるものです。
就活キャリア研究所では、年間休日107日という数字を感覚だけで評価するのではなく、法律上の位置づけや全国平均との差、そして求人票の裏側にある働き方の実態まで踏まえて判断する視点をお伝えします。内訳の考え方から、内定を承諾する前に確認しておきたいポイントまで整理しました。
年間休日107日の内訳とは|働き方によって数え方が変わる

年間休日107日という一つの数字であっても、その中身は勤務形態によって大きく異なります。まずは代表的な二つのパターンで、どのように107日という日数が積み上がっているのかを見ていきましょう。
シフト制勤務での内訳パターン
小売業や飲食サービス、医療・介護など、曜日を固定せずにシフトを組む職場では、月ごとに休日数が変動するかたちで年間107日に落ち着くケースが見られます。たとえば月8日から9日の休みを基本としつつ、繁忙期には休日がやや少なくなり、閑散期には多めに休める、というような年間を通じた調整の結果として107日に着地する場合です。
この場合、土日や祝日に休めるとは限らず、平日にまとまった休みが入ることも珍しくありません。休日数だけを見て「少ない」と決めつける前に、休みが固定曜日なのか、繁忙期にどれだけ偏るのかを確認しておくことが、入社後の生活イメージを大きく左右します。
完全週休二日制での内訳パターン
毎週必ず2日の休みがある完全週休二日制の場合、単純計算では年間104日前後になります。これに祝日や年末年始・夏季休暇の一部を組み合わせると、107日という数字に届く設計は十分にあり得ます。逆にいえば、完全週休二日制でありながら107日にとどまっている企業は、祝日の一部を出勤日にしていたり、夏季休暇や年末年始休暇を短めに設定していたりする可能性が考えられます。
同じ107日でも、シフト制で積み上げた107日と、完全週休二日制から祝日休みを削って着地した107日とでは、体感の休みやすさがまったく違います。求人票の「休日形態」の欄や、面接での確認を通じて、どちらのタイプに近いのかを見極める視点を持っておきましょう。
年間休日107日は違法なのか|105日ラインとの関係
「107日は少ないと聞くけれど、法律的には問題ないのか」という疑問は、就活生からよく寄せられます。この疑問に答えるには、労働基準法が定めている労働時間の上限から逆算される、いわゆる105日ラインを知っておく必要があります。
105日という数字の根拠
労働基準法第32条は、労働時間の上限を1日8時間・週40時間までと定めています。1週間に働ける日数は40時間÷8時間で5日間となり、1年をおよそ52週として計算すると年間の労働日数は260日です。365日からこの260日を差し引くと105日となり、これが「1日8時間勤務の会社が法定労働時間を超えないために最低限確保すべき休日数」として広く引用されている数字です(HR NOTE「労働基準法に基づく年間休日の最低ライン」)。
ここで注意したいのは、労働基準法のどこかに「年間休日は105日以上」と直接明記されているわけではないという点です。あくまで週40時間という労働時間規制から間接的に導かれる目安であり、105日という数字そのものに法的な拘束力があるわけではありません。
107日という日数が示す位置づけ
105日ラインを踏まえると、年間休日107日は理論上の最低水準を2日ほど上回っている状態です。つまり、1日8時間・週40時間という法定労働時間の枠内に収まる設計として、破綻はしていないと考えられます。休日数だけを理由に「この会社は違法な働き方をさせている」と判断するのは早計です。
ただし、これは休日数の話に限った位置づけであって、労働時間や残業の運用まで含めて適法かどうかは別問題です。次で触れるように、休日数以上に注意すべき点が実務上は存在します。
休日数より注意したい残業の実態
年間休日107日という数字だけを見て安心してしまうと、実際の負担感を見誤ることがあります。105日ラインの計算は、あくまで1日8時間労働を前提にした理論値であり、恒常的な残業が発生している職場では、休日数が法定水準を満たしていても、実質的な拘束時間はかなり長くなります。
逆に、年間休日が107日でも、残業がほとんどなく、休日出勤も稀な職場であれば、体感の余裕は数字以上に大きいこともあるでしょう。休日数は判断材料の一つにすぎず、月あたりの残業時間や休日出勤の頻度とあわせて評価する姿勢が欠かせません。
年間休日107日は平均と比べて多い?少ない?
105日という法律上の目安に対して107日が上回っていることは分かりました。では、実際に働いている人たちの平均と比べるとどうなのか、公的な統計を確認しておきましょう。
全国平均116.6日との差
厚生労働省の調査によると、令和6年の年間休日総数は労働者1人平均で116.6日、企業平均でも112.4日となっており、いずれも過去最多を更新しています。あわせて年次有給休暇の取得率も66.9パーセントと、こちらも過去最高の水準です(厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」)。
この労働者1人平均116.6日という数字と107日を単純に比較すると、その差はおよそ9日から10日です。年間休日107日は、法定の理論値である105日はクリアしているものの、全国平均と比べるとやや少なめの部類に入る、というのが統計上の位置づけになります。
業種による休日設定の傾向
年間休日の日数は、業種の商慣習によっても傾向が変わります。土日祝日に来客が集中する小売業やサービス業、24時間体制での対応が求められる医療・介護、宿泊業などでは、シフト制を前提とした休日設計になりやすく、107日前後の水準が採用されている例も見られます。
一方で、取引先の休業日に合わせて業務が動く製造業やBtoB中心の企業では、完全週休二日制と祝日休みを組み合わせて120日前後を確保しているケースが多い傾向にあります。志望する業界の商慣習を踏まえたうえで107日という数字を眺めると、単純な「少ない・多い」以上の情報が見えてきます。
年間休日107日の求人で見落としがちな3つのチェックポイント

年間休日107日という数字そのものよりも、その数字の周辺にある条件を確認したかどうかで、入社後の満足度は大きく変わります。求人票を読む際に見落としがちな3つの視点を整理しておきましょう。
- 有給休暇は実際に消化できる環境か
- 残業時間とセットで負担感を見ているか
- 「カレンダー通り」という言葉の中身を確認したか
有給休暇は実際に消化できる環境か
年間休日107日という所定休日に加えて、有給休暇をどれだけ実際に取得できるかは、体感の休みやすさを左右する大きな要素です。全国平均の取得率が66.9パーセントまで上がってきているとはいえ、企業ごとの差は依然として大きく、繁忙期には有給を申請しづらい職場も残っています。
説明会や面接の場では、有給休暇の取得率や、直近の入社何年目の社員がどの程度消化しているかを尋ねてみるとよいでしょう。所定休日が107日であっても、有給を計画的に消化できる環境であれば、実質的な休みの日数は平均に近づきます。
残業時間とセットで負担感を見る
前の章でも触れた通り、105日という理論値は1日8時間労働を前提にしています。年間休日107日の求人であっても、月の残業時間が多い職場では、休日1日あたりの疲労回復にかかる負担が増え、休日の少なさ以上に体力面での消耗を感じやすくなります。
求人票に残業時間の目安が明記されている場合はもちろん、記載がない場合でも、面接の逆質問で「配属予定の部署の月平均残業時間」を確認しておくと、休日数と労働時間を掛け合わせた実態に近づけます。
「カレンダー通り」という言葉の中身
求人票でよく見かける「休日はカレンダー通り」という表現は、土日祝日が基本的に休みであることを示す一方、祝日の一部が出勤日として除かれているケースも含まれます。年間休日107日という数字とセットでこの表現が使われている場合、どの祝日が休みで、どの祝日が出勤になり得るのかまで確認しておくと、入社後の予定の立てやすさが変わってきます。
特に長期休暇の扱いは要注意です。夏季休暇や年末年始休暇が年間休日107日の中に含まれているのか、それとも別途特別休暇として付与されるのかによって、まとまった休みが取りやすいかどうかの印象は大きく変わります。
年間休日107日の内定とどう向き合うか|就活生・転職者向けの判断軸
年間休日107日という条件を前にしたとき、就活生や転職検討中の方が実務上どう判断すればよいのか、具体的な考え方を整理します。
給与や仕事内容とのトレードオフで考える
年間休日が平均より少なめの企業では、その分を月給や賞与、あるいは繁忙期の手当という形で報いる設計にしている場合があります。休日数だけを切り離して評価するのではなく、給与水準や仕事内容、キャリアで得られる経験といった要素とあわせたトータルの条件として捉える視点が必要です。
逆に、年間休日107日でありながら給与水準も業界平均並みという場合は、休日の少なさに見合う対価が十分に用意されていない可能性を疑ってみてもよいでしょう。休日数は単独の合否基準ではなく、待遇全体のバランスを見るための入り口として扱うのが実践的な使い方です。
面接・逆質問で休日について確認するコツ
面接の場で「休日は多いですか」と直接尋ねると、待遇ばかりを気にしている印象を与えかねません。働き方への関心として自然に伝わる聞き方を選ぶことが、確認の質を上げるコツです。
たとえば「繁忙期と閑散期で、休日の取りやすさにどのくらい差がありますか」「有給休暇は皆さんどのタイミングで取得されていますか」といった質問であれば、休日制度の実態を具体的に把握しながら、業務理解を深めようとする姿勢としても伝わります。回答の際に社員の表情や言葉に迷いがあるかどうかも、あわせて観察しておくとよいでしょう。
よくある質問
- 年間休日107日は違法ですか
-
労働基準法の週40時間・1日8時間という規定から逆算される理論上の最低ラインは105日とされており、107日はこれを上回っています。休日数だけを理由に違法と判断することはできません。ただし、休日数が適正でも残業や休日出勤の運用に問題がある場合は別の論点になるため、あわせて確認しておくと安心です。
- 年間休日107日と120日、どちらが一般的ですか
-
厚生労働省の調査では、労働者1人平均の年間休日総数は116.6日となっており、120日はこの平均をやや上回る水準、107日は平均をやや下回る水準にあたります。どちらか一方が標準というより、107日は平均よりやや少なめ、120日は平均よりやや多めの企業に多い日数だと理解しておくとよいでしょう。
- 求人票に「年間休日107日」とあったら何を確認すべきですか
-
休日形態がシフト制か完全週休二日制か、有給休暇の取得率、月あたりの残業時間の目安、そして「カレンダー通り」という表記がある場合はその祝日の扱いまで確認しておくと、入社後のイメージと実態のずれを減らせます。面接の逆質問で具体的に聞いておくことをおすすめします。
まとめ
年間休日107日は、労働基準法の週40時間規定から導かれる105日という理論上の最低ラインを上回っており、この点だけを見て違法性を疑う必要はありません。一方で、厚生労働省の調査による全国平均116.6日と比べると、9日から10日ほど少なめの水準にあることも事実です。
大切なのは、107日という数字だけで一喜一憂するのではなく、シフト制か完全週休二日制かという内訳、有給休暇の消化しやすさ、残業時間の実態、そして「カレンダー通り」という言葉の中身まで含めて、条件全体を確認する姿勢です。休日数を切り口に働き方への理解を深めておけば、内定を承諾するかどうかの判断も、納得感を持って下せるはずです。

