「コンサルタント」という言葉は、就活情報サイトや会社説明会で頻繁に目にする職種の一つです。ただ、その中身は一つではありません。企業の経営方針そのものを扱うファームもあれば、業務システムの導入を支援するファームもあり、同じ「コンサルタント」という肩書きでも日々の仕事はまったく異なります。
就活キャリア研究所では、コンサルタントの種類を分野別に整理し、それぞれの仕事内容や向いている人の特徴、そして就活生が種類を見極めるために確認すべきポイントまでをまとめました。業界研究を「なんとなく」で終わらせないための材料として役立ててください。
コンサルタントの種類を知ることが就活で意味を持つ理由
コンサルティング業界を志望する学生の多くは、まず「コンサル即ち戦略系」というイメージから入りがちです。しかし実際の業界はそれよりずっと幅広く、扱う領域によって求められるスキルも選考対策も変わってきます。種類を知らないまま志望動機を書くと、面接で「なぜこの会社を選んだのか」を問われた際に、説得力を持たせにくくなるでしょう。
「総合」と「専門」という大きな分かれ目
コンサルティングファームは、まず「総合系」と「専門系」という大きな軸で分けて捉えると、全体像をつかみやすくなります。総合系は経営戦略から業務改善、システム導入まで幅広い領域を一社でカバーするファームを指し、アクセンチュアやデロイト トーマツ コンサルティングなどが代表例です。専門系は特定の領域に特化したファームで、財務ならKPMG FAS、組織や人事ならマーサージャパンといった会社名を挙げると分かりやすいでしょう。
この分かれ目を先に押さえておくと、後述する分野別の種類が「総合系のどの部門に相当するのか」あるいは「独立した専門系ファームなのか」という位置づけで整理できるようになります。
分野別に見るコンサルタントの主な種類

ここからは、就活生が業界研究で目にする機会の多い6つの分野を取り上げます。分野ごとにクライアントの課題も働き方も異なるため、自分の興味や強みと照らし合わせながら読んでみてください。
戦略系コンサルタント
戦略系コンサルタントは、企業の経営陣が抱える「どの事業に投資すべきか」「どの市場に参入すべきか」といった経営レベルの意思決定を支援する立場です。マッキンゼー・アンド・カンパニーやボストン コンサルティング グループ、ベイン・アンド・カンパニーといった外資系ファームが代表的で、少人数のチームで極めて高い論理的思考力を求められる領域として知られています。
就活生の間では「コンサル即ち戦略系」というイメージが根強いですが、実際にはコンサルティング業界全体のごく一部を占めるに過ぎません。狭き門である一方、ケース面接など独自の選考プロセスが敷かれている点も特徴です。
総合系コンサルタント
総合系コンサルタントは、経営戦略の立案からその実行支援、さらにはシステム導入までを一気通貫で手がける点に特徴があります。アクセンチュアやデロイト トーマツ コンサルティング、PwCコンサルティングなどが該当し、扱う業界も製造業から金融、公共まで多岐にわたる点も見逃せません。
戦略系に比べて採用人数が多く、新卒でも入社しやすい間口の広さがあります。ただし部門によって仕事内容の差が大きいため、配属先次第で戦略立案に近い仕事をする人もいれば、システム開発の現場に近い仕事をする人もいる点は押さえておきたいところです。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、企業の業務課題をシステムやデジタル技術で解決する役割を担います。総合系ファームのIT部門のほか、日本IBMやNTTデータといった企業でも、この領域のコンサルティングサービスが提供されているのが実情でしょう。
昨今はDXという言葉とともに求人数が増えている分野でもあります。ではなぜ、開発職と混同されやすいのでしょうか。プログラミングそのものよりも、業務の流れを理解したうえで最適なシステムの要件を整理する力が重視される点にこそ、この職種の本質があると考えてください。
財務・会計系コンサルタント
財務・会計系コンサルタントは、企業の合併や買収、事業再生の場面で、企業価値の算定や財務デューデリジェンスを担う専門職です。KPMG FASやデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーといった会計系ファームが代表的で、公認会計士資格を持つ社員も多く在籍しています。
会計知識をベースにするため文系・理系を問わず参入しやすい一方、数字を扱う場面が多いことから、数値分析への苦手意識がある人にはハードルを感じやすい領域かもしれません。
組織・人事系コンサルタント
組織・人事系コンサルタントは、評価制度の設計や組織風土の改革、人材開発といったテーマを扱います。マーサージャパンやコーン・フェリー、リクルートマネジメントソリューションズなどが代表的な会社として挙げられるでしょう。
人と組織の課題に向き合う仕事のため、数値だけでなく従業員の心理や行動の変化にも目を配る必要があります。「人と組織に興味がある」という動機が、そのまま志望理由になりやすい分野だと言えるでしょう。
シンクタンク系コンサルタント
シンクタンク系コンサルタントは、官公庁や自治体からの受託調査、政策提言、そして民間企業向けのコンサルティングを並行して手がける点が特徴です。野村総合研究所や三菱総合研究所といった会社が代表例で、社会全体の動きを俯瞰する調査業務に携わる機会も少なくないでしょう。
民間企業のみを相手にする総合系や戦略系とは異なり、公共性の高いテーマに関わる比率が高い点は、志望動機を考えるうえで大きな判断材料になるはずです。
誰を相手にするかで見えてくるコンサルティングの違い
分野別の分類と並んで、就活生が見落としがちなのが「誰に対してサービスを提供するのか」という視点です。同じ戦略系ファームの中でも、案件によって相手にするクライアントの階層は異なります。
経営層向けと現場責任者向けの違い
経営層向けの案件では、社長や役員クラスを相手に、全社の方針を左右するテーマを扱います。一方で現場責任者向けの案件では、部長や課長クラスを相手に、特定の業務プロセスの改善といった、より具体的なテーマを扱う場面が増えます。
就活の面接では「どちらの階層を相手にする仕事をしたいか」を問われることも珍しくありません。経営視点の抽象的な議論に魅力を感じるのか、現場に近い具体的な改善に手ごたえを感じるのか、自分の志向をあらかじめ言語化しておくと答えやすくなります。
官公庁・自治体を対象とするコンサルティング
民間企業だけでなく、官公庁や自治体を対象とするコンサルティング案件も存在します。前述のシンクタンク系ファームがこの領域を得意としているほか、総合系ファームの中にも公共部門専門のチームを持つ会社が存在するでしょう。
民間企業向けの案件に比べて意思決定のプロセスが長く、成果が見え始めるまでの時間軸も異なります。公共性の高い仕事に携わりたいという志向がある人にとっては、見落とせない選択肢の一つになるでしょう。
就活生がコンサルタントの種類を見極めるためのチェックポイント

分野やクライアントの違いが分かったところで、次に気になるのは「実際にどう見極めればよいのか」という実践的な部分でしょう。ここでは求人票の読み方と、OB・OG訪問での質問の仕方を取り上げます。
求人票や募集要項で確認したい記載
求人票を読む際は、会社名や「コンサルティング」という職種名だけで判断せず、事業内容の欄に書かれている具体的なサービス領域まで目を通す習慣をつけましょう。「戦略立案」「業務改善」「システム導入」といった言葉がどの順番で、どの比重で書かれているかによって、その会社が力を入れている領域が見えてきます。
また、募集職種が「コンサルタント」なのか「アナリスト」なのかによっても、入社直後に任される仕事の粒度は変わってくることが少なくありません。新卒採用でどの職位からスタートするのかも合わせて確認しておくと安心です。
OB・OG訪問で種類の違いを聞き出す質問
OB・OG訪問では、「どんな案件を担当していますか」という質問に加えて、「その案件のクライアントは経営層と現場のどちらが多いですか」「一つの案件にどのくらいの期間携わりますか」といった具体的な質問を用意しておくと、パンフレットだけでは分からない働き方の解像度が上がるでしょう。
複数の分野のファームを訪問できる機会があるなら、同じ質問を横並びで投げかけてみるのが有効な方法です。回答の違いそのものが、分野ごとの働き方の違いを体感する材料になるはずです。
種類によって変わる仕事内容とキャリアパス
分野が違えば、日々の仕事内容だけでなく、入社後のキャリアパスの描かれ方にも違いが出てきます。ここでは多くのファームに共通する階層構造を確認しておきましょう。
アナリストからパートナーに至る昇進の流れ
コンサルティングファームの多くは、アナリストまたはコンサルタントという役職からスタートし、経験を積むとマネージャー、その上のプリンシパルやパートナーへと階層が上がっていく構造を取っています。階層が上がるほど、自ら手を動かして分析する比重は減り、クライアントとの関係構築やチームのマネジメントに携わる比重が増えていく傾向にあるでしょう。
新卒で入社した場合、最初の数年間は分野を問わず、資料作成やデータ分析といった実務を通じて基礎を固める期間になることが多いようです。どの分野を選んでも、この初期の実務経験が後のキャリアの土台になる点は共通していると考えてよいでしょう。
自分に合うコンサルタントの種類を見つける考え方
ここまで分野別の特徴を見てきましたが、最後に「では自分はどの種類に向いているのか」を考えるための手がかりを整理します。次の3つの手順で考えてみると、判断の軸を整理しやすくなります。
興味の方向性を確認する。経営層の意思決定に関わりたいのか、現場の業務改善に携わりたいのか、あるいは人と組織の課題に向き合いたいのか、まずは大きな方向性を洗い出してみましょう。
自分の強みと照らし合わせる。論理的に物事を整理する力、数字への抵抗感の無さ、対人調整力など、これまでの経験の中で発揮してきた強みを、先ほど整理した分野の特徴と重ね合わせてみてください。
気になる分野のファームを複数比較する。会社の規模、クライアントの層、キャリアパスの違いを見比べたうえで、志望先の優先順位をつけていきましょう。
強みの棚卸しから逆算する
分野選びに迷ったときは、志望する分野から逆算するのではなく、自分がこれまでの活動の中でどんな場面にやりがいを感じてきたかを棚卸しすることから始めると、判断の軸がぶれにくくなります。数字を扱うことに苦を感じなかった経験があるなら財務系、人との対話を通じて課題を解決した経験があるなら組織・人事系というように、過去の経験と分野の特徴を照らし合わせてみましょう。
一つの分野に決め打ちする必要はありません。むしろ迷っている段階では、複数の分野の説明会やOB・OG訪問に足を運び、比較したうえで志望先を絞り込んでいく進め方のほうが、結果として納得感のある選択につながりやすいはずです。
コンサルタントの種類に関するよくある質問
- コンサルタントの種類によって年収の水準は変わりますか
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分野やファームの規模によって水準に差が出ること自体は一般的に知られていますが、具体的な金額は年度や会社によって変動するため、正確な数字は各社の求人票や採用ページ、就職情報サイトで確認することをおすすめします。分野を比較する際は、金額だけでなく評価制度や昇進のスピードもあわせて見ておくと判断材料が増えるでしょう。
- 未経験の新卒でも入りやすい種類はありますか
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総合系ファームは採用人数が多く、業界未経験の新卒でも応募しやすい間口の広さがあります。一方で戦略系や財務系は専門性の高さから選考のハードルが上がりやすい傾向にあるため、志望する場合はケース面接対策や会計知識の習得など、早めの準備を意識しておくとよいでしょう。
- 種類を選び間違えると入社後にどうなりますか
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分野ごとに求められる思考の使い方や仕事のペースが異なるため、イメージと実際の仕事内容にずれがあると、早い段階で働き方への違和感につながることがあります。入社前にOB・OG訪問やインターンを通じて、日々の業務の粒度まで具体的に確認しておくことが、このずれを減らす一番の方法だと言えるでしょう。
まとめ
コンサルタントという職種は一つの型に収まるものではなく、戦略系、総合系、IT系、財務・会計系、組織・人事系、シンクタンク系という具合に、分野ごとに扱うテーマもクライアントの階層も異なります。この違いを知らずに「コンサル」という言葉だけで志望先を選んでしまうと、面接での説得力を欠いたり、入社後にイメージとのずれを感じたりする原因になりかねません。
求人票の読み方やOB・OG訪問での質問の仕方を工夫しながら、複数の分野を比較したうえで志望先を絞り込んでいきましょう。分野別の違いを自分の言葉で説明できるようになったとき、業界研究は「なんとなく」の段階を抜け出し、就活における確かな武器になっているはずです。

