「第一生命グループで年収がいちばん高いのは、中心にある第一生命保険だろう」。第一生命保険はグループで従業員数が最も多く、子会社の中で経常収益も最も大きいため、そう考える就活生は少なくありません。ところが、有価証券報告書に載っている2026年3月31日時点の平均年間給与は、第一生命保険が517万円です。持株会社の1,142万6千円の半分以下にとどまります。
第一生命保険の従業員46,447人のうち、36,891人は営業職です。また、持株会社の第一生命ホールディングス株式会社は、2026年4月1日に社名を株式会社第一ライフグループに変えました。2026年3月31日時点で、子会社198社と関連会社255社を持っています。
本記事では、主要4社の経常収益ランキングと2社の年収から、国内6社の女性管理職の割合、公開資料で自分で確かめる手順まで、就活キャリア研究所の視点で順にお伝えします。
第一生命ホールディングスの社名変更と子会社の数
第一生命ホールディングスは、グループを統括する保険持株会社です。2016年10月に、社名を第一生命保険株式会社から第一生命ホールディングス株式会社に変えて持株会社に移りました(EDINET)。生命保険事業は、第一生命保険株式会社などの子会社が営んでいます。株式は東京証券取引所のプライム市場に上場しており、証券コードは8750です(第一ライフグループ)。
2026年4月に第一ライフグループへ社名変更
第一生命ホールディングスは、2025年6月23日の定時株主総会の決議にもとづき、2026年4月1日に株式会社第一ライフグループへ社名を変えました。英語の社名もDaiichi Life Group, Inc.に変わり、グループのブランド名は「Daiichi Life」になっています(第一ライフグループ)。
同じ日に、子会社のネオファースト生命保険は第一ネオ生命保険に、アイペット損害保険は第一アイペット損害保険に社名を変えました。システム開発の第一生命テクノクロスも、第一ライフテクノクロスになっています。第一生命保険と第一フロンティア生命保険の社名は変わっていません。EDINETの有価証券報告書も、提出者名は株式会社第一ライフグループで表示されます。
子会社198社と関連会社255社
第124期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の有価証券報告書によると、グループは同社と子会社198社、関連会社255社で構成されています(EDINET)。子会社のうち111社が連結子会社です。残りの87社は規模が小さく重要性に乏しいとして、連結の範囲から外されています。連結の範囲に入らない主な子会社には、第一ライフテクノクロスがあります。
関連会社255社のうち244社には、持分法を適用しています。244社のうち78社は豪州のChallenger Limitedの傘下の会社で、105社は米国のDL ‒ Canyon Investments LLCの傘下の会社です。関連会社の数の多くは、海外の2つの会社の傘下にある会社です。
主要4社の経常収益ランキング
有価証券報告書が主たる子会社として業績を載せている4社のうち、経常収益が最も大きいのは第一生命保険です。第一フロンティア生命保険、Protective Life Corporation、TAL Daiichi Life Australia Pty Ltdが続きます。経常収益は保険料等収入と資産運用収益などを合わせた額で、有価証券報告書では売上高にあたる数字として扱われています。
- 第一生命保険 4兆6,991億円 経常利益6,528億円、当期純利益3,778億円。国内で生命保険事業を営み、資本金は600億円です。
- 第一フロンティア生命保険 3兆7,734億円 経常利益291億円、当期純利益186億円。国内で生命保険事業を営み、資本金は500億円です。
- Protective Life Corporation 2兆1,102億円 経常利益232億円、当期純利益199億円。米国バーミングハムの持株会社で、傘下の会社の数字を含みます。
- TAL Daiichi Life Australia Pty Ltd 約9,366億円 経常利益約549億円、当期純利益約397億円。豪州シドニーの持株会社で、傘下の会社が主に生命保険事業を営みます。
数字は、第一ライフグループの第124期の有価証券報告書から取りました(EDINET)。第一生命保険と第一フロンティア生命は2025年4月から2026年3月まで、プロテクティブは2025年1月から12月までの事業年度の数字です。TALの円の金額は、報告書の経常収益8,539百万豪ドル、経常利益501百万豪ドル、当期純利益362百万豪ドルを、報告書の換算レート1豪ドル=109.68円で円に直しました。
経常利益で並べ直した順位
同じ4社を経常利益で並べ直すと、第一生命保険の6,528億円が最も大きく、TALの約549億円、第一フロンティア生命の291億円、プロテクティブの232億円と続きます。経常収益で2位の第一フロンティア生命は、経常利益では3位です。
第一フロンティア生命の経常利益は、前の事業年度より41.6%減りました。報告書によると、円建ての商品の販売が増えたことと円安が進んだことで、責任準備金の戻入が繰入に変わり、経常費用が増えたことが主な要因です。4社の順位は、経常収益と経常利益で入れ替わります。
国内の生命保険3社の売り方
国内の生命保険3社は、商品を届ける窓口が違います。第一生命保険は、営業職の生涯設計デザイナーを中心にした多様なチャネルで商品を届けています。第一フロンティア生命保険は、銀行や証券会社などを販売チャネルにして、年金商品などを開発・販売しています。
第一ネオ生命保険は、銀行の窓口や来店型の保険ショップなどを通じて、医療保険などの第三分野の商品を中心に扱っています。本社は東京都品川区で、資本金は475億円です。
第一生命保険の生涯設計デザイナーは、第一アイペット損害保険のペット保険の販売や、ベネフィット・ワンの福利厚生サービスの提案もしています。同じグループの生命保険会社でも、商品を売る窓口は会社ごとに違います。
持株会社と第一生命保険の年収ランキング
有価証券報告書で平均年間給与が分かるのは、持株会社と、グループで従業員数が最も多い第一生命保険の2社で、持株会社が上回っています。数字はどちらも2026年3月31日時点の各社単体の値で、賞与と基準外賃金を含み、千円未満を切り捨てています。
- 第一生命ホールディングス 1,142万6千円 従業員702人、平均年齢39歳1か月、平均勤続年数10年11か月、平均年間給与の前の年度からの増減率はプラス9.4%。
- 第一生命保険 517万円 従業員46,447人、平均年齢47歳0か月、平均勤続年数12年3か月、平均年間給与の前の年度からの増減率はプラス13.2%。持株会社が議決権の100.0%を持つ連結子会社です。
2社の数字は、第一ライフグループの有価証券報告書の「従業員の状況」から取りました(EDINET)。表の社名は2026年3月31日時点のもので、持株会社は第一生命ホールディングス株式会社と書かれています。2社の差は625万6千円です。
702人が働く持株会社
持株会社の従業員702人には他社からの出向者が含まれ、出向者の平均勤続年数は各社での勤続年数を通算しています。前の年度末の490人から増えたのは、第一生命保険と第一フロンティア生命の運用を執行する機能を持株会社に集めたことなどによる、と報告書は説明しています。
持株会社では、2025年4月に職務内容に応じて報酬水準を決めるジョブ型人事制度を導入し、2026年4月時点で約420人がジョブ型に移っています。
第一生命保険の内勤職と営業職
有価証券報告書の「主要な設備の状況」は、第一生命保険の従業員を地域ごとに内勤職と営業職に分けて載せています。足し合わせると、内勤職は9,556人、営業職は36,891人で、営業職が全体の約8割を占めます。
報告書は、持株会社との平均給与の差の主な要因として、次の2つを挙げています。
- 賃金水準が相対的に低い定型業務に就く職掌が、一定の割合を占めていること
- 従業員の多数を占める生涯設計デザイナーのうち、入社年次が浅く賃金が相対的に低い人の割合が高いこと
517万円は、内勤職と営業職を合わせた平均です。報告書によると、定型業務の職掌については、2025年度に全社的な賃上げに加えてベースアップを行っています。
職種で違う給与の決め方
第一生命保険には主に内勤職と、生涯設計デザイナーを中心にした営業職があり、給与体系が違います。生涯設計デザイナーの給与は、営業成績に応じた歩合給が基本です。ただし2022年度から、入社5年目までは固定給と営業成績に連動した成果給を組み合わせた給与制度にしています。
内勤職では、一部の上位の職層で職務評価にもとづいて処遇の水準を決めています。アクチュアリーやファンドマネジャーなど高い専門性を持つ人には、スペシャリスト手当を支給しています。2027年4月には人事制度を改定し、職務評価にもとづく報酬体系をより多くの職層に広げる予定です。応募する職種が内勤職か営業職かで、給与の決まり方が変わります。
ほかの子会社の年収が載らない理由
第一ライフグループの有価証券報告書の「関係会社の状況」には、関係会社のうち有価証券報告書を提出している会社はないと書かれています。第一フロンティア生命やベネフィット・ワンなどの年収は、有価証券報告書では比べられません。応募する会社の募集要項で、給与の額と賞与の扱いを確かめます。
第一生命の子会社を見る4つの目安

第一生命の子会社を比べるときは、有価証券報告書と金融庁の名簿で確かめられる次の4つを見ます。
- 事業の区分
- 議決権の割合
- 免許と登録の種類
- 女性管理職と賃金の差異
事業の区分
第一ライフグループの事業は、国内保険事業、海外保険事業、その他事業の3つのセグメントに分かれています。2026年3月31日時点の連結の従業員60,138人は、次のように分かれます。
- 国内保険事業:48,222人
- 海外保険事業:9,670人
- その他事業:2,246人
第一生命保険、第一フロンティア生命、第一ネオ生命、第一アイペット損害保険は国内保険事業に入り、ベネフィット・ワンと、投資運用業のバーテックス・インベストメント・ソリューションズはその他事業に入ります。
第一ライフグループが実質的な利益の指標にしているグループ修正利益は、2026年3月期に5,515億円でした。内訳は国内保険事業が4,137億円、海外保険事業が1,277億円、その他事業が99億円です(報告書の表では、内訳を足した5,513億円と合計の5,515億円に2億円の差があります)。第一ライフグループは、2030年度に利益に占める海外保険事業の比率を50%に、アセットマネジメント事業を含む非保険領域の比率を10%規模にすることを目指しています。グループの計画では、海外の会社と保険以外の会社の利益の比重を高めます。
議決権の割合
有価証券報告書の「関係会社の状況」の表は、連結子会社と持分法適用関連会社に分けて、社名と議決権の所有割合を載せています。表に社名がある連結子会社は、どれも所有割合が100.0%です。括弧の中の数字は子会社を通じた間接所有の割合で、プロテクティブやTALは括弧の中も100.0%です。
公式サイトのグループ会社一覧には、関連会社も並んでいます(第一ライフグループ)。一覧にあるアセットマネジメントOneは、第一ライフグループが議決権の49.0%を持つ持分法適用関連会社です。同じく一覧にあるAnd Doホールディングスは議決権の所有割合が15.6%、豪州のChallenger LimitedはTALを通じた所有で19.90%で、どちらも持分法適用関連会社です。グループ会社一覧に載っていても、子会社とは限りません。
免許と登録の種類
金融庁は、免許や登録などを受けた事業者の名簿を業種ごとに公開しています(金融庁)。第一生命グループの保険会社と持株会社は、次の4つの名簿に載っています。
- 生命保険会社免許一覧(令和8年10月1日時点):第一生命保険、第一フロンティア生命保険、第一ネオ生命保険
- 損害保険会社免許一覧(令和8年10月19日時点):第一アイペット損害保険
- 少額短期保険業者登録一覧(令和8年10月20日時点):第一スマート少額短期保険
- 保険持株会社認可一覧(令和8年6月1日時点):株式会社第一ライフグループ
名簿の社名は、2026年4月1日に変わった後のものです。少額短期保険業者は、免許ではなく登録を受ける業者です。グループ会社の第一スマート少額短期保険は、令和3年3月12日に関東財務局長の登録を受け、2021年4月に営業を始めました。同じグループでも、会社ごとに受けている免許・登録・認可の種類が違います。
女性管理職と賃金の差異
有価証券報告書には、国内6社の管理職に占める女性の割合と、男女の賃金の差異が載っています。管理職に占める女性の割合が高い順に並べると、次のとおりです。
- ベネフィット・ワン:女性管理職46.9%、男女の賃金の差異60.1%
- 第一生命保険:女性管理職34.1%、男女の賃金の差異45.1%
- 第一アイペット損害保険:女性管理職23.9%、男女の賃金の差異56.4%
- 第一ネオ生命保険:女性管理職19.9%、男女の賃金の差異56.6%
- 第一フロンティア生命保険:女性管理職19.3%、男女の賃金の差異61.5%
- 第一ライフグループ:女性管理職17.7%、男女の賃金の差異58.6%
女性管理職の割合は2026年4月1日時点の値で、男女の賃金の差異は2026年3月期の全労働者の値です。男女の賃金の差異は、女性の平均年間賃金を男性の平均年間賃金で割った割合で、100%に近いほど差が小さいことを示します。報告書の表の社名は、2026年3月31日時点の社名で書かれています。
第一生命保険の男女の賃金の差異45.1%は、6社の中で最も低い値です。報告書は要因の1つとして、女性の割合が高い生涯設計デザイナーが従業員の多数を占め、入社年次の浅い人も一定数いることを挙げています。男性の育児休業取得率は、第一生命保険と第一フロンティア生命がともに116.7%で最も高く、第一アイペット損害保険が50.0%で最も低くなっています。取得率が100%を超えるのは、前の事業年度に配偶者が出産し、この事業年度に育児休業を取った男性も数えるためです。
公開資料で第一生命の子会社を確かめる手順

第一生命の子会社を自分で調べるときは、有価証券報告書と公式サイトのグループ会社一覧、金融庁の名簿を次の順に開きます。
金融庁のEDINETで、提出者名に「第一ライフグループ」、またはEDINETコード「E06141」を入れて有価証券報告書を開きます(EDINET)。「関係会社の状況」で議決権の所有割合と主要な事業の内容を、「従業員の状況」で持株会社と第一生命保険の平均年間給与を確かめます。同じ報告書のPDFは、同社サイトの有価証券報告書のページにも載っています(第一ライフグループ)。
第一ライフグループのグループ会社一覧で、地域や事業領域を選び、気になる会社の事業内容を見ます(第一ライフグループ)。そのうえで、STEP1の「関係会社の状況」に同じ社名があるかを照らし合わせ、連結子会社か持分法適用関連会社かを確かめます。
「関係会社の状況」の表に載るのは、連結子会社と持分法適用関連会社の主な会社だけです。表に社名がない会社は、その会社の公式サイトの会社概要で株主を確かめます。
この記事の数字は、2026年6月16日に提出された第124期の有価証券報告書と、2026年10月27日時点で金融庁が公開している名簿によるものです。翌年の有価証券報告書が出たら、同じ欄を開いて数字を見比べてください。
第一生命の子会社に関するよくある質問
- 第一生命ホールディングスの子会社は何社ありますか
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2026年3月31日時点で、子会社が198社、関連会社が255社です(EDINET)。子会社のうち111社が連結子会社で、87社は連結の範囲に入っていない非連結子会社です。
- 第一生命ホールディングスと第一ライフグループは同じ会社ですか
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同じ会社です。第一生命ホールディングス株式会社が、2026年4月1日に株式会社第一ライフグループへ社名を変えました。国税庁の法人番号公表サイトでは、法人番号8010001131752の変更履歴にこの変更が載っています(国税庁)。
- 第一生命保険の平均年収はいくらですか
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第一生命保険の平均年間給与は、2026年3月31日時点で517万円です。単体の従業員46,447人の平均で、平均年齢は47歳0か月、平均勤続年数は12年3か月です。内勤職と営業職で給与体系が違うため、職種ごとの額はこの数字からは分かりません。
- アセットマネジメントOneは第一生命の子会社ですか
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アセットマネジメントOneは子会社ではなく、持分法を適用している関連会社です。2026年3月31日時点で、第一ライフグループが持つ議決権の割合は49.0%です(EDINET)。
新しい社名で子会社の数字を確かめよう
第一生命ホールディングスは2026年4月1日に株式会社第一ライフグループへ社名を変え、2026年3月31日時点で子会社198社と関連会社255社を持っています。主要4社の経常収益では、第一生命保険の4兆6,991億円が最も大きく、第一フロンティア生命、プロテクティブ、TALが続きます。
平均年間給与は持株会社が1,142万6千円、第一生命保険が517万円で、第一生命保険の従業員の約8割は営業職です。ほかの子会社の年収は有価証券報告書に載らないため、事業の区分、議決権の割合、免許と登録の種類、女性管理職の数字で比べてみてください。新しい社名で有価証券報告書と金融庁の名簿を開くと、第一生命グループの中での会社の位置が分かります。

