就職活動や転職活動で建設業界を調べていると、必ずと言っていいほど目にするのが「スーパーゼネコン」という言葉です。鹿島建設や大林組といった社名は知っていても、実際の年収水準や、なぜそこまで高い給与を実現できているのかを具体的な数字で説明できる人は多くありません。
この記事では、スーパーゼネコン5社の平均年収を比較しながら、年収が高くなる背景にある構造や、就職・転職に向けて準備しておきたいことまで整理します。企業研究の材料として、数字の裏側にある事情まで押さえておきましょう。
スーパーゼネコンとは何か、5社の条件と顔ぶれ
スーパーゼネコンとは、建設会社の中でも単体の売上高が突出して大きい上位グループを指す、業界内での呼び方です。法律で定義された正式な区分ではありませんが、建設業界の求人サイトや就職情報サイトでは共通して同じ5社を指す言葉として使われています。
単体売上高1兆円が線引きになる理由
一般的な目安として使われているのが、単体の売上高が1兆円を超えているかどうかという基準です。この基準を満たす鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設、竹中工務店の5社が完成工事高の上位を占め続けており、スーパーゼネコンと呼ばれています。
各社の連結売上高を見ても、鹿島建設が2兆9,118億円、大林組が2兆6,201億円、清水建設が1兆9,444億円、大成建設が1兆7,650億円、竹中工務店が1兆6,001億円と、建設・施工管理の転職情報サイトベスキャリ建設の集計でもいずれも2兆円前後から3兆円に迫る規模であることがわかります。
準大手・中堅ゼネコンとの規模の違い
建設業界では、売上規模によっておおむね4つの階層に分けて語られることが多くあります。1兆円超のスーパーゼネコン、3,000億円から1兆円程度の準大手ゼネコン、1,000億円から3,000億円程度の中堅ゼネコン、そして1,000億円未満の地場ゼネコンという区分です。
準大手には戸田建設や前田建設工業、長谷工コーポレーションなどが含まれますが、売上高でスーパーゼネコンの半分以下という会社も珍しくありません。この規模の差は、後述する年収の差にもそのまま表れています。
5社それぞれどのような強みを持っているか
単純な年収比較だけでなく、各社の特徴を押さえておくと就職活動の軸を考えるヒントになります。鹿島建設は1840年創業と最も歴史が長く、超高層建築のパイオニアとして業界トップの地位を保ち続けています。大林組は大阪で設立された経緯があり、西日本での実績を数多く持つ会社です。
大成建設はスーパーゼネコンの中で唯一の非同族経営という特徴があり、住宅事業も手がけています。清水建設は従業員数の規模が大きく、大規模プロジェクトを同時に複数手掛けられる体制を強みにしています。竹中工務店は東京タワーや日本武道館、あべのハルカスなど設計力を生かした実績で知られ、5社の中で唯一の非上場企業でもあります。
スーパーゼネコン5社の平均年収を比較する

各社が開示している数字をもとに、5社の平均年収を高い順に並べると次のようになります。年度によって多少の入れ替わりはありますが、大まかな水準感はつかめるはずです。
- 鹿島建設 平均年収は約1,180万円前後
- 大林組 平均年収は1,140万円程度
- 大成建設 平均年収は約1,010万円から1,060万円程度
- 竹中工務店 平均年収は約1,030万円程度
- 清水建設 平均年収は約980万円から1,010万円程度
鹿島建設が頭ひとつ抜けている理由
5社の中でも鹿島建設は、複数の年度で一貫して最も高い水準を維持しています。2026年3月期の決算では連結売上高が3兆円を超え、建設会社として初めて3兆円台に到達したことも話題になりました。売上規模の拡大が、そのまま給与水準の押し上げにつながっていると見てよいでしょう。
大林組も1,140万円前後と僅差で続いており、上位2社と残る3社の間には、はっきりとした差が生まれています。
有価証券報告書の年収を読むときに気をつけたいこと
ここで紹介した年収は、各社が有価証券報告書で開示している平均年間給与がもとになっています。これは新卒社員だけの数字ではなく、役職者から若手まで含めた全社員の単純平均です。平均年齢が高く、勤続年数の長い社員が多い会社ほど、この数字は実態より高めに出やすい構造になっています。
実は竹中工務店は株式を上場していません。それでも有価証券報告書を提出しているのは、株式の所有者数が一定数を超える発行会社には金融商品取引法上の開示義務が課されるためです。就職活動で企業を調べる際は、上場しているかどうかだけで情報開示の有無を判断しない方がよいという、意外と見落とされやすいポイントでもあります。
年収がここまで高くなる背景にあるもの
なぜスーパーゼネコンの年収は、同じ建設業界の中でもここまで突出しているのでしょうか。理由は一つではなく、いくつかの要素が重なり合っています。
単独では担いきれない大規模工事を独占している
超高層ビルや大規模な再開発、国家的なインフラ整備など、技術力と資本力の両方が求められる工事は、事実上スーパーゼネコンでなければ受注が難しい案件が数多くあります。案件単価が大きく利益率も確保しやすいため、給与に回せる原資も自然と厚くなります。
売上と利益の厚みが給与原資になっている
前述の通り、5社はいずれも連結売上高が1兆円台後半から3兆円規模に達しています。売上と利益の絶対額が大きいことは、賞与や手当を含めた年収水準を底上げする土台になっています。実際、竹中工務店や大林組では2026年4月に大幅なベースアップが実施されており、業績の好調さが賃金に還元される動きも続いています。
専門性の高さと平均年齢の高さが重なっている
施工管理や設計、構造計算など、スーパーゼネコンの仕事は高度な専門知識とマネジメント能力の両方を必要とします。加えて、社員の平均年齢が40代前半に達している会社が多く、年功的な給与カーブの影響で平均値そのものが押し上げられている面もあります。この数字がそのまま20代の年収というわけではない点は押さえておく必要があります。
20代・30代でどこまで年収が伸びていくのか
建設業界の転職メディアでは、スーパーゼネコンの20代の年収を500万円台から800万円程度、30代を700万円台から1,200万円程度とする目安が紹介されることがあります。幅が広いのは、施工管理か設計かといった職種や資格の有無、担当するプロジェクトの規模によって差が大きいためです。
入社直後は他業界の大手企業と同水準からのスタートですが、一級建築士や一級建築施工管理技士といった資格を取得し、現場での残業手当や役職手当が積み上がっていくことで、平均年収に近づいていくというのが一般的な伸び方です。20代のうちから資格取得を意識できるかどうかが、その後の年収の伸び方に直結します。
準大手・中堅ゼネコンとの年収差はどれくらいか
スーパーゼネコンと準大手ゼネコンの平均年収の差は、おおむね100万円から200万円程度とされています。ただし、すべての準大手が中堅並みというわけではありません。
長谷工コーポレーションや前田建設工業のように、平均年収が1,000万円を超える準大手も存在します。一方で、中堅ゼネコンになると800万円台を下回る会社が多くなる傾向があり、階層による差は準大手と中堅の間の方が大きく開いていることも少なくありません。年収だけで会社を選ぶのであれば、スーパーゼネコンかどうかよりも個社ごとの開示データを確認する方が確実です。
スーパーゼネコンへの就職・転職に向けて準備しておきたいこと

高い年収を実現している会社であるほど、当然ながら採用のハードルも上がります。新卒・中途を問わず、次のような準備を進めておくと、選考でも実務でも有利に働きます。
一級建築施工管理技士や建築士など、業務に直結する資格の取得を目指します。特に施工管理職では、資格の有無が任される現場の規模や昇格のスピードに直結します。
実務経験を3年以上積んでから転職活動に入ります。未経験者の中途採用は狭き門になりやすく、現場での経験年数が選考の判断材料として重視されます。
大規模プロジェクトへの参画実績やマネジメント経験を棚卸ししたうえで、転職活動を組み立てます。エージェントを活用しながら情報を集めることも有効な手段です。
よくある質問
スーパーゼネコンの年収について、就職活動や転職活動でよく寄せられる質問をまとめました。
- スーパーゼネコンは新卒でも年収1,000万円を狙えますか
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狙えません。ここで紹介した年収は全社員の平均値であり、新卒1年目からその水準に届くことはありません。資格取得や現場経験を重ねながら、年数をかけて平均年収に近づいていくのが実際の流れです。
- スーパーゼネコンの中で最も年収が高いのはどこですか
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直近の開示データでは鹿島建設が最も高く、1,180万円前後の水準です。大林組が1,140万円程度で続き、大成建設・竹中工務店・清水建設は1,000万円前後で拮抗しています。
- 竹中工務店は非上場なのに、なぜ年収データが公開されているのですか
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竹中工務店は株式を上場していませんが、株式の所有者数が一定数を超える発行会社に該当するため、金融商品取引法に基づき有価証券報告書の提出義務を負っています。そのため非上場であっても平均年収や平均年齢などの数字が公開されています。
まとめ
スーパーゼネコン5社の年収は、いずれも1,000万円前後から1,180万円程度という高水準にあります。ただし、この数字は全社員の平均であり、大規模工事の独占や売上規模の大きさ、社員の平均年齢の高さといった要因が積み重なった結果である点を理解しておくと、企業研究の解像度が一段上がります。
年収だけに注目するのではなく、資格取得や実務経験の積み方まで含めてキャリアを設計していくことが、スーパーゼネコンへの就職・転職を現実的な選択肢にする近道になります。

