「内装デザイン 大手 ランキング」と検索すると、乃村工藝社や丹青社といった名前が並ぶ一覧がいくつも出てきます。ただし、そこで表示される順位の多くは売上高や店舗デザインの受注実績を基準にしたものであり、就活生が知りたい「働きやすさ」や「配属後にどんな仕事に携われるか」までは教えてくれません。
就活キャリア研究所では、内装デザイン業界の大手企業を売上規模だけでなく、事業領域や平均年収、上場区分といった就活生が企業研究で実際に使える切り口から整理しました。ランキングを鵜呑みにするのではなく、自分の志望動機と照らし合わせながら読み進めてみてください。
内装デザイン業界とは|扱う仕事の範囲を整理する
内装デザインという言葉は幅広い意味で使われており、就活生が企業研究をする際にまず戸惑うポイントでもあります。同じ「内装デザイン」でも、百貨店や商業施設の空間を演出する仕事もあれば、オフィスの働きやすさを設計する仕事もあり、手がける現場も企業規模もまったく異なります。
商業施設・店舗デザインの領域
百貨店やショッピングセンター、博物館、イベント会場などの空間を企画・設計・施工する領域です。集客のための演出力が問われる仕事であり、後述する乃村工藝社や丹青社、スペース、船場、博展といった企業がこの分野の大手として名前があがります。
この領域は業界内で「ディスプレイ業界」「空間デザイン業界」とも呼ばれています。内装デザインという一般的な言葉よりも専門的な名称で語られる場面が多いことも、就活生が情報を探しにくい一因になっているようです。
オフィス空間デザインの領域
もう一方は、企業のオフィスや働く環境そのものを設計する領域です。オフィス家具を主力事業としてきたメーカーが、什器の販売だけでなくレイアウト設計や内装施工まで一括で請け負うようになったことで、この分野でも存在感を強めてきました。
内田洋行やオカムラ、コクヨといった企業がこちらの領域の大手にあたります。家具メーカーという印象が強いかもしれませんが、実際には内装デザイン・設計・施工までを担う部門を抱えている点は意外と知られていません。
内装デザイン業界の大手企業ランキング|上場5社の顔ぶれ

商業施設・店舗デザインの領域で大手とされる企業は、上場している会社に絞ると数がそれほど多くありません。ここでは証券コードを持つ上場企業のうち、業界内でも規模の大きい5社を取り上げます。上場企業であれば決算資料や有価証券報告書が公開されているため、就活生でも売上高や平均年収を自分の目で確認できる点が企業研究のうえで扱いやすいポイントです。
乃村工藝社|業界最大手
創業100年を超える、内装デザイン・空間デザイン業界の最大手です。東京証券取引所プライム市場に上場しており(証券コード9716)、連結売上高は1,626億7,900万円にのぼります(2025年2月期)。博覧会のパビリオンから商業施設、文化施設まで手がける領域は幅広く、業界内でも突出した事業規模を誇ります。
丹青社|文化施設に強みを持つ準大手
乃村工藝社と並んで業界の二強と称される企業です。東証プライム市場に上場しており(証券コード9743)、売上高は812億円です。博物館や科学館といった文化施設・公共施設の空間づくりを得意としており、平均年収は総合職で940万円前後という情報もあります。
スペース|店舗・イベント領域に強い企業
飲食店や商業施設の内装設計・施工に加え、展示会ブースの制作にも実績を持つ企業です。東証プライム市場に上場しており(証券コード9622)、平均年収は情報源によって幅がありますが、おおむね670万円台から880万円台で紹介されています。
船場|商業施設からオフィスまで領域を広げる企業
専門店や大型商業施設のデザインを主力としつつ、近年はオフィスや医療・介護施設、学校、空港といったインフラ施設にも事業領域を広げています。東証スタンダード市場に上場しており(証券コード6540)、事業の広がりという点では大手5社の中でも変化のスピードが速い企業といえるでしょう。
博展|イベント領域から空間デザインへ広がる企業
展示会やイベントの企画・運営を出発点に、空間デザインや建装・ディスプレイの領域まで事業を広げてきた企業です。東証グロース市場に上場しており(証券コード2173)、平均年収は677万円です。5社の中では比較的新興のポジションにあり、成長企業として就活生から注目されやすい存在です。
この5社を並べてみると、同じ「内装デザインの大手」という括りでも、市場区分(プライム・スタンダード・グロース)によって企業の成長段階や事業の安定性の傾向が異なることが見えてきます。プライム市場の2社は事業規模の大きさで選考倍率も高くなりやすい一方、グロース市場の企業では裁量権の大きさや若手の抜擢スピードを魅力として語る傾向がある、という違いも押さえておくと企業研究に厚みが増すはずです。
オフィス空間デザイン分野の大手企業も押さえておく
「内装デザイン 大手」を調べていると、先ほどの5社に加えてオフィス家具メーカー系の企業名も候補に挙がってきます。こちらは商業施設系の5社とは事業規模の桁が異なるため、同列に順位付けするより、別のジャンルとして押さえておくほうが企業研究としては正確です。
内田洋行
東証プライム市場に上場しており(証券コード8057)、売上高は3,370億5,500万円です(2025年7月期、前期比21.2%増)。オフィス関連家具の開発・製造・販売に加え、空間デザイン・設計・施工までを担う部門を持っています。平均年収は778万円です。
オカムラ
東証プライム市場に上場しており(証券コード7994)、売上高は3,290億3,100万円です(2026年3月期)。オフィス環境事業を主力に、商環境事業では店舗什器の製造・販売も手がけています。平均年収は737万円です。
コクヨ
文具メーカーのイメージを持つ就活生が多いかもしれませんが、近年はオフィス家具・空間デザインを手がけるファニチャー事業が収益を牽引しています。総売上高は3,570億円規模を見込んでおり、家具メーカーとしての枠を超えた事業展開を進めている企業です。
大手ランキングを就活の判断材料にする際の視点

売上高で並べたランキングは企業研究の入り口として役立ちますが、それだけで志望企業を決めてしまうと、入社後のミスマッチにつながりかねません。内装デザイン業界を志望するのであれば、次のような視点も併せて確認しておきたいところです。
- どの領域(商業施設・文化施設・オフィスなど)の実績が多い会社かを確認する
- 設計・デザイン職か施工管理職か、募集されている職種の内容を確認する
- 案件単位でチームを組む働き方か、部署固定の働き方かを確認する
- 大手だけでなく、専門分野に強い中堅・中小企業も比較対象に入れる
とりわけ見落とされがちなのが、案件単位の働き方です。内装デザイン業界の多くの企業は、施主(発注元)ごとにプロジェクトチームを組んで案件を進める体制を取っています。同じ会社の中でも、担当する案件によって働くペースや裁量の大きさがかなり異なるため、会社の規模よりも「自分がどの案件に配属されやすいか」を面接やOB・OG訪問で確かめるほうが、入社後の実感に近づけるはずです。
では、なぜこの確認がそれほど重要なのでしょうか。同じ大手企業に入社しても、大規模な商業施設の案件を任される部署と、小規模な店舗改装を数多くこなす部署とでは、働き方も身につくスキルもまったく異なるためです。会社名の知名度だけで選ぶと、実際の配属先とのギャップに悩む就活生が一定数いることも、業界研究を進めるうえで知っておいたほうがよいでしょう。
内装デザイン業界の選考で押さえておきたいポイント
内装デザイン業界の選考では、志望動機の説得力とあわせて、空間づくりに対する具体的な興味の持ち方が見られます。ここでは、企業研究を選考対策に落とし込むための考え方を整理します。
志望動機は「好きな空間」より「なぜそう感じたか」を語る
「好きな商業施設があるから」という志望動機は、内装デザイン業界の選考では珍しくありません。ただし、それだけでは他の応募者との差がつきにくいのも事実です。その空間が居心地よく感じられた理由を、動線や照明、素材の使い方といった具体的な要素にまで分解して語れるかどうかで、説得力は大きく変わってきます。
デザイン職以外の職種にも目を向ける
内装デザイン業界というと設計・デザイン職を思い浮かべがちですが、実際には施工管理職や営業職、プロジェクトマネジメント職など幅広い職種の募集があります。とくに施工管理職は、設計側と現場側の橋渡し役として案件全体を動かす重要なポジションであり、未経験からの採用枠が用意されている企業も少なくありません。
企業のIR資料を読んでおくと差がつく
上場企業を志望する場合、決算説明資料や有価証券報告書に目を通しておくと、面接で語れる話の質が変わってきます。売上高の推移だけでなく、どの事業セグメントが伸びているか、今後どの分野に力を入れようとしているかまで読み取っておくと、志望動機に会社の方向性への理解を織り込むことができるでしょう。
よくある質問
- 内装デザインとインテリアデザインの違いは何ですか
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厳密な使い分けが定まっているわけではありませんが、内装デザインは商業施設やオフィスなど空間全体の設計・施工を含むことが多く、インテリアデザインは家具や照明など空間を構成する要素の選定・提案に重心を置いて使われる傾向があります。企業によって定義が異なるため、求人票の業務内容欄を確認するとよいでしょう。
- 未経験・文系でも内装デザイン業界に入れますか
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設計・デザイン職は建築や空間デザインを学んだ人材が中心になりやすい一方、施工管理職や営業職、企画職では文系出身者や未経験者を採用する企業も多くあります。募集要項で職種ごとの応募条件を確認し、必要であれば入社後の研修制度についても選考時に質問しておくと安心です。
- 大手以外の企業も視野に入れるべきですか
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大手5社以外にも、特定の領域(ホテル内装、医療施設、住宅リノベーションなど)に強みを持つ中堅・中小企業は数多く存在します。大手は案件の規模が大きく分業体制が進んでいる一方、中堅・中小企業では一人が担当する範囲が広く、早い段階から裁量を持って動ける傾向があります。自分がどちらの働き方に向いているかも、企業選びの判断材料にしてみてください。
まとめ
内装デザイン業界の大手企業は、商業施設・文化施設を主戦場とする乃村工藝社・丹青社・スペース・船場・博展の5社と、オフィス家具メーカーを出自とする内田洋行・オカムラ・コクヨの3社という、性格の異なる2つのグループに分けて捉えると理解しやすくなります。
売上高や市場区分といった数字は企業研究の出発点にすぎません。どの領域の案件を主に手がけているか、どんな職種で募集されているか、そして自分がどんな働き方を望んでいるかまで掘り下げて比較してこそ、ランキングの数字が自分自身の就職活動に役立つ情報に変わっていきます。今回整理した8社を起点に、気になった企業の採用サイトやIR資料を実際に読みに行くところから、企業研究を一歩進めてみてください。

