平均初任給を学歴別データで確認|5年の伸び率と入社後の推移

「初任給、結局いくらが平均なんだろう」と、求人票の数字を見比べながら考えたことのある人は多いはずです。学歴や業種によって金額は変わりますし、額面と手取りの差にとまどう新社会人も少なくありません。

この記事では、厚生労働省が公表している令和6年の最新調査をもとに、学歴別の平均初任給と、直近5年間で数字がどう動いたのかを具体的に確認します。あわせて、初任給という一時点の金額だけで就職先を判断してしまう危うさについても、入社後の賃金の伸びを示すデータを交えて考えていきます。

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目次

初任給の「額面」と「手取り」はどこが違うのか

就職活動の中で目にする初任給の数字は、そのほとんどが手取り額ではなく総支給額、いわゆる額面です。求人票の初任給欄と、実際に口座へ振り込まれる金額との間にずれを感じる新入社員が毎年一定数いるのは、このギャップが正しく共有されていないことも一因と考えられます。

求人票に載っている初任給は総支給額(額面)

求人票や採用ページに記載される初任給は、基本給に諸手当を加えた総支給額を指すのが一般的です。基本給だけを見て高い・低いを判断すると、固定残業代や地域手当がどこまで含まれているかを見落としてしまうことがあります。内定後は求人票の但し書きまで確認し、何がいくら含まれているのかを把握しておくと安心です。

手取りが額面より少なくなる理由と1年目だけの特例

額面から差し引かれるのは、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、そして所得税です。これらは毎月の給与から自動的に控除されるため、初めて給与明細を受け取った新入社員が「思ったより少ない」と感じやすい部分でもあります。

一方で、住民税は前年の所得をもとに計算される仕組みのため、新卒1年目は前年にほとんど所得がなく、原則として住民税がかかりません。2年目の6月以降に住民税の控除が始まると、額面が変わっていなくても手取りが目減りして感じられる点は、あらかじめ知っておいて損はないでしょう。

学歴別に見る初任給の平均額

学歴別(高校・専門・短大・大学・大学院)の平均初任給を比較したインフォグラフィック

厚生労働省が実施している賃金構造基本統計調査では、新規学卒者の賃金を学歴別に毎年公表しています。令和6年賃金構造基本統計調査による全国・男女計の初任給は、次のとおりです。

高校・専門学校・高専短大卒の初任給

高校卒は19万7,500円、専門学校卒は22万2,800円、高専・短大卒は22万3,900円となっています。前年からの伸び率で見ると、高校卒は5.7%の増加で、他の学歴と比べても高い伸びとなっている点が特徴です。

大学卒・大学院卒の初任給

大学卒は24万8,300円、大学院卒は28万7,400円で、前年比はそれぞれ4.6%、4.1%の増加でした。高校卒との差額は約5万円ですが、この差は学歴そのものというより、就く職種や求められる専門性の違いが背景にあると見るほうが実情に近いはずです。

学歴別に金額の高い順で並べると、次のようになります。

  1. 大学院卒 28万7,400円
  2. 大学卒 24万8,300円
  3. 高専・短大卒 22万3,900円
  4. 専門学校卒 22万2,800円
  5. 高校卒 19万7,500円

この5年で初任給はどう動いたか、伸び率から見える採用市場の変化

令和6年の数字だけを切り取ると前年からの伸び率の高さに目が行きますが、直近5年間の推移を並べてみると、採用市場でここ数年に何が起きているのかがより具体的に見えてきます。人手不足を背景に賃上げの機運が高まってきたことは各種の報道でも繰り返し取り上げられており、その流れが初任給の水準にもはっきりと表れている格好です。

大卒初任給は5年で約1割上昇

大学卒の初任給は、令和2年の22万6,000円から令和6年の24万8,300円へと、5年間で約1割上昇しました。年ごとの伸び率を厚生労働省の公表値で追うと、令和3年はマイナス0.3%とほぼ横ばい、令和4年は1.4%増、令和5年は3.9%増、令和6年は4.6%増と、上昇のペースが年を追うごとにはっきりと加速しています。

高卒初任給の伸び率が大卒を上回った意味

高校卒の初任給は、令和2年の17万7,700円から令和6年の19万7,500円へと、5年間で1割強上昇しました。伸び率の推移は令和3年1.1%、令和4年0.8%、令和5年3.1%、令和6年5.7%で、令和6年には大卒の伸び率(4.6%)を上回っています。

高卒者を採用する機会の多い業種ほど人手不足の圧力が強く、初任給を引き上げてでも人材を確保しようとする動きが強まっていると読み取れるデータです。学歴による初任給の差は依然としてありますが、その差が縮まる方向に動いている点は、今後の採用市場を見るうえで押さえておきたい変化といえます。

初任給は入社後の伸びしろとセットで見ておきたい

給与明細を手にしたスーツ姿の新入社員がオフィスのデスクで前向きな表情を見せているイラスト

初任給の金額だけを比べて就職先を決めるのは、実はあまり合理的な判断とはいえません。同じ調査には年齢階級別の賃金データも含まれており、入社後にどれくらい賃金が伸びていくのかを大まかにつかむことができます。

20代前半・後半・30代前半で賃金はどう伸びるか

令和6年調査で大学卒の賃金を年齢階級別に見ると、20~24歳の平均は25万800円、25~29歳は28万3,900円、30~34歳は32万5,200円でした。20~24歳の平均は新卒の初任給とほぼ同水準ですが、25~29歳にかけて約13%、30~34歳にかけてさらに約15%、賃金の水準が押し上がっています。

これは特定の個人の給与を追跡した数字ではなく、その年齢層に属する労働者全体の平均値である点には注意が必要ですが、初任給のあとにどの程度の伸びしろが見込めるかを考えるうえでの参考にはなります。

初任給の一時点だけで就職先を判断しない

初任給が高い企業や業種は魅力的に映りますが、昇給のペースや評価制度、賞与の水準まで含めて数年単位で見ないと、本当の待遇差は見えてきません。求人票の初任給欄だけで比較を終えるのではなく、面接や説明会の場で昇給モデルや数年後の年収レンジを具体的に質問してみることをおすすめします。

初任給の平均額を比較するときに注意したいこと

ここまで見てきた数字は、あくまで全国・男女計の平均値です。実際の初任給は、企業規模や業種、勤務地によって幅があり、平均額のとおりに支給されるとは限りません。

企業規模による賃金の差

令和6年調査で全労働者(学歴計)の賃金を企業規模別に見ると、大企業36万4,500円、中企業32万3,100円、小企業29万9,300円と、規模が大きいほど平均賃金が高くなる傾向があります。これは全年齢を含めた労働者全体の平均であり、新卒の初任給そのものの数字ではありませんが、初任給の段階でも同じ傾向の差が生じやすいことは、複数の民間調査でも指摘されています。

業種による賃金の差

同じ調査を産業別に見ると、電気・ガス・熱供給・水道業が43万7,500円で最も高く、次いで金融業・保険業が41万600円となっています。反対に宿泊業・飲食サービス業は26万9,500円で、業種による差は月額で15万円以上に及びます。学歴や企業規模が同じでも、どの業種に就くかによって賃金水準が変わってくる背景には、こうした産業構造上の差があります。

反対に、平均額を下回っているからといって、その企業の待遇が見劣りするとは一概にいえません。福利厚生や住宅手当、賞与の水準まで含めた年収ベースで比較しないと、初任給の数字だけでは実態を見誤ってしまいます。求人票を見る際は、初任給の金額と合わせて、諸手当の内訳や賞与の実績を確認する習慣をつけておくとよいでしょう。

初任給の使い道を考えるときに大切にしたい視点

初めての給与をどう使うかは、金額そのものと同じくらい関心を持たれるテーマです。ここで意識しておきたいのは、初任給を一回限りの臨時収入としてではなく、毎月続く収入の初回として捉える視点です。

お世話になった家族への贈り物や、自分へのささやかなご褒美に使うこと自体は自然なことです。ただし、初任給の全額を使い切ってしまうと、翌月以降の生活費や急な出費への備えが手薄になりかねません。使う金額と、先々のために残しておく金額を、最初の給与を受け取った段階であらかじめ決めておくことが、その後の家計を安定させる分かれ目になります。

初任給を受け取ってから最初の数か月で整えておきたいこと

初めての給与を受け取ったタイミングは、お金の使い方の土台を作る良い機会でもあります。次の3つのステップを、入社から数か月のうちに一度試しておくと、その後の家計管理がぐっと楽になります。

STEP1

給与明細で手取り額と控除項目を確認する

STEP2

家賃や通信費などの固定費と、自由に使えるお金を仕分けする

STEP3

少額からでよいので、先取りで貯蓄する仕組みを作る

最初の数か月で手取りの実感値と支出のリズムをつかんでおくと、賞与や昇給があったときにも慌てずに家計を調整できるようになります。

初任給に関するよくある質問

就活生や新社会人からよく寄せられる質問を、Q&A形式でまとめました。

初任給はいつもらえますか

多くの企業では、入社した月の給与支払い日にまとめて支給されます。ただし締め日と支払い日の関係によっては、入社翌月にずれ込む企業もあります。求人票や入社時の説明で、支払い時期を事前に確認しておくと安心です。

初任給と手取りの差はどれくらいありますか

差の大きさは加入する社会保険や住んでいる地域によって変わるため一律には言えませんが、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税が額面から差し引かれます。多くの場合、入社1年目は前年の所得がないため住民税がかからず、2年目以降に比べると手取りの目減りはやや小さくなる傾向があります。

高卒と大卒で初任給はどれくらい違いますか

厚生労働省の令和6年調査では、高校卒の初任給が19万7,500円、大学卒が24万8,300円で、その差は約5万円です。学歴だけで差が生まれるというより、就く職種や求められる専門性の違いも背景にあると考えられます。

大企業と中小企業で初任給はどのくらい違いますか

新規学卒者に限定した企業規模別の統計は限られていますが、全労働者の平均で見ると大企業と小企業の間には月額6万円超の差があります。新卒採用でも同様の傾向がうかがえますが、規模だけで語れない研修制度や昇給スピードまで含めて比較することが大切です。

まとめ

令和6年の調査では、大学卒の初任給は24万8,300円、高校卒は19万7,500円で、いずれも前年から大きく伸びました。5年間の推移を見ると上昇のペースは加速しており、特に高卒初任給の伸び率が大卒を上回った点は、採用市場の変化を映す象徴的な数字といえます。

一方で、初任給はあくまで入社時点の金額にすぎません。年齢階級別の賃金データが示すとおり、入社後数年でどれだけ伸びるかという視点を持つことで、就職先選びの解像度は大きく上がります。企業規模や業種によっても水準に幅があるため、平均額はあくまで比較の出発点として使うのが実用的です。

平均額という一つの物差しだけに頼らず、企業ごとの昇給モデルや待遇の全体像を確認しながら、納得のいく選択をしていきましょう。

この記事の監修者

株式会社ネット風評被害対策 代表取締役 内村淳

大学卒業後、サッカー選手を経て、大手風評対策会社に入社。
3年半にわたりナショナルクライアントを含む数々の炎上事案・ブランドイメージ毀損対策に従事。
その後、ネット誹謗中傷対策に特化した法律事務所に1年間従事し、法的観点からの対応知見を習得。
IT技術と法的アプローチの双方に携わってきた経験を持つ。
現在は15年以上の経験とノウハウをもとにネット風評被害対策専門会社を設立。あらゆるネット風評被害対策支援に加え、企業向けコンサルティングや同業他社へのサービス提供も行う。
日々進化するAI検索エンジンのアルゴリズムを徹底解析し、AI検索時代に適応した次世代の風評対策に注力している。

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