「サブコン 大手5社」で検索すると、サイトによって挙げられる企業がバラバラなことに気づきます。ある記事は高砂熱学工業や大気社を中心とした空調系の顔ぶれを並べ、別の記事はきんでんや関電工を含めた電気系混じりのランキングを示しています。結論から言うと、この表記のゆれには理由があります。
この記事では、就活生や若手の転職者に向けて、「大手5社」がどの企業群を指すことが多いのかを整理したうえで、各社の売上高や平均年収を有価証券報告書ベースで比較します。志望動機を固める前に押さえておきたい視点も後半でまとめました。
サブコンとは何か、ゼネコンとの違いを先に整理
大手5社の顔ぶれを見る前に、サブコンという言葉の意味を確認しておきます。サブコンは「サブコントラクター」の略で、電気設備や空調設備、給排水衛生設備といった建物の設備工事を専門に担う企業を指します。
電気設備・空調設備を専門に担う「専門工事会社」
建物を建てる工程では、躯体をつくるゼネコン(総合建設会社)と、内部の設備を仕上げるサブコンとで役割が分かれています。電気系サブコンは配電盤や照明、通信設備を、空調系サブコンは冷暖房や換気、給排水の設備を担当するのが基本的な分業です。同じ設備工事でも扱う専門領域が異なるため、就職活動で比較する際は電気系なのか空調系なのかを最初に意識しておくと、企業研究がぶれにくくなります。
ゼネコンの「下請け」と言い切るのは正確ではない
サブコンはゼネコンから工事の一部を請け負う立場にあるため、「下請け」と表現されることが多くあります。ただし、この呼び方はやや実態を単純化しています。大手サブコンの多くは特定の技術分野で高いシェアを持ち、ゼネコンが単独では対応できない専門工事を担う存在です。発注元との力関係は工事内容や案件規模によって変わるため、下請けだから立場が弱いと一律に捉えると、就職後のイメージとずれる可能性があります。
「サブコン大手5社」は空調・管工事系を指すのが基本

複数の上位記事を確認すると、「サブコン大手5社」という表現が指す企業群には、実は2つの系統があることがわかります。ひとつは空調・管工事系サブコンの最大手5社を指す用法で、もうひとつは電気系を含めた売上規模の大きい企業を混在させた用法です。この違いを知らずに情報を集めると、比較している対象がずれてしまいます。
空調・管工事系サブコン大手5社の顔ぶれ
建設業界で大手5社と言うとき、最も広く使われているのは高砂熱学工業、大気社、三機工業、ダイダン、新日本空調の5社です。いずれも空調設備工事や管工事を主力とし、東京証券取引所プライム市場に上場しています。管工事業に特化した専門メディアでもこの5社が定番の括りとして扱われており、業界内での認識としても定着した分類と言えます。
きんでんや関電工が「5社」に含まれるケースもある理由
一方で、電気系サブコン最大手のきんでんや関電工を含めて大手5社と紹介するサイトも見られます。これは、電気系・空調系を区別せず単純に売上高や知名度で並べ替えた結果と考えられます。きんでんと関電工はいずれも売上高で空調系5社を上回る規模を持つため、業界全体の大手という括りに入れれば、この2社が上位に来るのは自然な流れです。どちらの分類も間違いではありませんが、比較する軸が電気系か空調系かで変わることは押さえておくべきポイントです。
空調系サブコン大手5社の売上高と平均年収を比較
ここからは、空調・管工事系のサブコン大手5社について、各社の有価証券報告書に基づく売上高と平均年収を紹介します。数値はいずれも2025年3月期のものです。平均年収が高い順に並べると、次のようになります。
- 大気社(平均年収1,181万円)
- 高砂熱学工業(平均年収1,129万円)
- 三機工業(平均年収1,078万円)
- ダイダン(平均年収1,066万円)
- 新日本空調(平均年収985万円)
高砂熱学工業
空調設備工事業界で売上高トップに立つのが高砂熱学工業です。2025年3月期の連結売上高は3,816億円で、前期比5.0%の増収となりました。平均年収は1,129万円で、5社の中では大気社に次ぐ水準です。半導体工場やデータセンターなど、高度な温湿度管理が求められるクリーンルーム分野に強みを持ち、設備投資が活発な業界からの受注が業績を押し上げています。詳細は高砂熱学工業のIR資料で確認できます。
大気社
大気社は自動車の塗装設備で国内首位、世界でも上位に位置する会社です。平均年収は1,181万円と、空調系サブコン大手5社の中で最も高い水準にあります。塗装ブースや空調システムの設計・施工を軸に、自動車メーカーの生産設備投資と連動して業績が動く点が特徴です。大気社のIR情報から業績推移を確認できます。
三機工業
三機工業は三井グループに属する総合設備会社で、空調・給排水・電気設備まで幅広い工事に対応します。2025年3月期の連結売上高は前期比14.1%増の2,531億円となり、5社の中でも高い成長率を示しました。平均年収は1,078万円です。特定の工事分野に偏らず総合力で受注を積み上げるスタイルが、ここ数年の増収傾向につながっていると見られます。三機工業の財務ハイライトで推移を確認できます。
ダイダン
ダイダンは総合設備工事を手がける企業で、2025年3月期の売上高は2,627億円、平均年収は1,066万円です。平均年収は前期の905万円から160万円以上上昇し、2025年3月期に初めて1,000万円台に乗りました。官公庁案件から民間の大型施設まで、幅広い発注元との取引実績を持つ点が特徴です。ダイダンのIR情報に業績推移が公開されています。
新日本空調
新日本空調は、前身企業である東洋キヤリア工業の1930年創業から数えて90年以上の歴史を持つ空調設備工事の専業会社です。2025年3月期の売上高は1,377億円で前期比7.6%の増収、平均年収は985万円でした。5社の中では売上規模・平均年収ともに最も小さい水準ですが、増収率は5社の中でも高い部類に入ります。新日本空調の有価証券報告書から詳細を確認できます。
電気系サブコンの二強、きんでんと関電工の位置づけ

「大手5社」という表現に電気系サブコンが含まれているケースを見かけたときのために、代表格であるきんでんと関電工の実態も押さえておきます。両社とも空調系5社を上回る売上規模を持ち、電力会社グループという背景も持っています。
きんでん
きんでんは関西電力グループの中核を担う電気設備工事会社です。2025年3月期の連結売上高は7,050億円、平均年収は888万円で、電気系サブコンの中でも最大規模を誇ります。平均勤続年数は19.7年と長く、腰を据えて技術を磨ける環境がうかがえます。きんでんの有価証券報告書で詳細を確認できます。
関電工
関電工は東京電力グループを主要な取引先とする電気設備工事会社です。2025年3月期の売上高は6,718億円、平均年収は906万円で、電気系サブコンの中でも上位の年収水準にあります。首都圏のインフラ更新工事や再生可能エネルギー関連の設備投資を追い風に、業績を伸ばしている点が近年の特徴です。関電工のIR情報から決算資料を確認できます。
サブコン大手5社で働くメリットとデメリット
数値だけでは見えてこない、働く側から見た大手5社の特徴も整理しておきます。専門性の高さと待遇の良さが評価される一方、業界特有の負荷も存在します。
メリット:専門性と年収を早期に積み上げやすい
大手5社はいずれも特定分野で高いシェアを持つため、若手のうちから大規模プロジェクトの設計・施工管理に関わる機会が多いという特徴があります。専門性の高い技術を早期に習得できる環境は、施工管理技士などの資格取得にもつながりやすく、キャリアの早い段階で市場価値の高いスキルを身につけられる点は大きな魅力です。平均年収の水準も業界内では高めに位置します。
デメリット:繁忙期の負荷と転勤リスク
一方で、工期が決まっている工事案件を扱う以上、竣工前の繁忙期には残業や休日出勤が発生しやすい傾向があります。全国規模でプロジェクトを抱える会社ほど、転勤の可能性が高まるため、勤務地の希望が強い人は募集要項や面接で配属方針を具体的に確認しておく必要があります。
就活生がサブコン大手5社を志望する前に確認すべき視点
有価証券報告書の数字は魅力的に映りますが、就活生がそのまま鵜呑みにすると入社後のギャップにつながりかねません。志望動機を固める前に、次の3点を確認しておくことをおすすめします。
有価証券報告書の平均年収は入社直後の水準ではない
各社が開示する平均年収は、在籍する全社員の平均値であり、平均年齢は40歳を超えているケースがほとんどです。新卒や第二新卒で入社した直後の年収は、この数字より大きく下回るのが一般的です。年収データは将来到達しうる水準として参考にし、初任給や若手のモデル年収は別途、採用ページや説明会で確認するのが確実です。
施工管理と技術営業では求められる資格が違う
大手5社の求人は、現場で工程を管理する施工管理職と、顧客との折衝を担う技術営業職に大きく分かれます。施工管理職では管工事施工管理技士や電気工事施工管理技士といった国家資格が評価されやすく、技術営業職ではむしろ提案力やコミュニケーション能力が問われる場面が増えます。志望する職種によって、面接で語るべき経験やアピールポイントは変わってきます。
配属エリアは本社所在地に偏りやすい
大手5社はいずれも全国に支店網を持ちますが、大型案件や本社機能は東京・大阪といった本社所在地の周辺に集中する傾向があります。地方勤務を希望する場合も、転勤を前提としたキャリアパスになりやすいため、配属の実態は説明会や社員訪問で個別に確認しておくと安心です。
よくある質問
サブコン大手5社について、就活生から寄せられることの多い質問をまとめました。
- サブコン大手5社の中で平均年収が最も高いのはどこですか
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2025年3月期の有価証券報告書によると、平均年収が最も高いのは大気社の1,181万円です。次いで高砂熱学工業の1,129万円、三機工業の1,078万円と続きます。
- 電気系サブコンと空調系サブコン、どちらを志望すべきですか
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どちらが優れているというものではなく、扱う工事分野が異なります。配電・通信設備に関心があれば電気系、冷暖房やクリーンルームなど温湿度環境に関心があれば空調系が候補になります。両方の企業説明会に参加し、実際の工事内容を比較したうえで判断することをおすすめします。
- 大手5社以外にもサブコンはありますか
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あります。空調・管工事系だけでも朝日工業社や日比谷総合設備、テクノ菱和など、電気系でも九電工やユアテック、中電工など、上場・非上場を問わず有力な企業が多数存在します。大手5社はあくまで代表的な括りのひとつとして参考にしてください。
まとめ:大手5社を軸に自分に合うサブコンを絞り込む
「サブコン大手5社」は、多くの場合、高砂熱学工業・大気社・三機工業・ダイダン・新日本空調という空調・管工事系の5社を指します。一方で、きんでんや関電工といった電気系の大手を含めて紹介するサイトも存在するため、比較対象がどちらの系統かを意識することが情報収集の第一歩になります。
売上高や平均年収は各社の規模感をつかむ材料として有用ですが、実際の配属や働き方は職種や勤務地によって大きく変わります。企業研究の段階では、決算資料の数字と合わせて、説明会や社員訪問で得られる現場の情報も突き合わせながら、自分に合うサブコンを絞り込んでいくとよいでしょう。

