「大和証券グループの子会社でいちばん大きいのは大和証券だろう」。大和証券は連結子会社の中で従業員数が最も多く、グループの従業員14,984人の半数を超える人が働いているため、そう考えて調べ始める人は少なくありません。ところが、持株会社の有価証券報告書に載る関係会社の表で、国内の連結子会社のうち資本金の欄が最も大きいのは、大和証券オフィス投資法人の2,310億9,400万円です。大和証券の1,000億円の2倍を超えます。
投資法人は法律で社員を雇えないため、この順位はそのまま就職先の順位にはなりません。国内の株式会社に絞ると資本金の首位は大和証券で、営業収益が連結の1割を超える子会社2社を比べても、純営業収益は大和証券が米国の子会社の約8倍です。持株会社の有価証券報告書で平均年間給与が分かるのは、持株会社と大和証券の総合職だけです。
本記事では、資本金と収益で並べた子会社のランキング、年収が分かる2社の数字から、子会社を見るときの目安、公開資料で確かめる手順まで、就活キャリア研究所の視点で順にお伝えします。
大和証券グループの子会社を資本金と収益でランキング
大和証券グループの子会社の順位は、並べる数字によって入れ替わります。関係会社の表に社名が載る国内の連結子会社では、資本金の欄の首位は投資法人です。株式会社に絞った資本金と、営業収益の大きい2社の純営業収益では、大和証券が首位です。
持株会社の大和証券グループ本社が提出した第89期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の有価証券報告書によると、2026年3月末時点の連結子会社は138社、持分法適用会社は39社です。「関係会社の状況」の表に社名が載る連結子会社は18社で、残りは「その他120社」とまとめて書かれています(EDINET)。
資本金で並べた国内の株式会社
表に社名が載る国内の株式会社11社を資本金で並べると、大和証券が1,000億円で最も大きく、大和ネクスト銀行、大和アセットマネジメントが続きます。上位5社は次のとおりです。
- 大和証券 1,000億円 有価証券関連業、投資助言・代理業
- 大和ネクスト銀行 500億円 銀行業
- 大和アセットマネジメント 414億2,400万円 投資運用業、投資助言・代理業
- 大和PIパートナーズ 120億円 投資業
- 大和総研 38億9,800万円 情報サービス業
6位以下は、大和エナジー・インフラと大和証券リアルティが5億円、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントが2億円です。大和証券ビジネスセンター、大和証券ファシリティーズ、大和企業投資の3社は1億円です。
この表は2026年3月末時点のものです。2026年8月3日には、大和ネクスト銀行がオリックス銀行の発行済株式の全てを取得し、完全子会社にしました(大和証券グループ本社)。オリックス銀行の資本金は450億円で、表に加えると大和ネクスト銀行に次ぐ3番目に入ります。
営業収益が1割を超える2社
持株会社の報告書は、グループ内の取引を除いた営業収益が連結の営業収益の10%を超える子会社として、2社の損益を載せています。2026年3月期の営業収益で並べると、次の順になります。
- 大和証券 約5,476億円 東京都千代田区の有価証券関連業。純営業収益は約4,265億円、経常利益は約1,387億円です。
- 大和証券キャピタル・マーケッツアメリカInc. 約4,966億円 米国ニューヨーク市の有価証券関連業。純営業収益は約534億円、経常利益は約170億円です。
連結損益計算書では、営業収益から金融費用とその他の営業費用を差し引いた額が純営業収益です。大和証券は営業収益の約8割が純営業収益として残り、米国の会社は約1割にとどまります。2社の稼ぐ力を比べるなら、営業収益ではなく純営業収益を見ます。純営業収益では、大和証券が米国の会社の約8倍です。
資本金の欄が大きい2つの投資法人
表の国内の連結子会社には、株式会社のほかに投資法人が2つあります。大和証券オフィス投資法人の欄は2,310億9,400万円で国内の連結子会社で最も大きく、サムティ・レジデンシャル投資法人の欄は824億3,100万円で大和ネクスト銀行を上回ります。2つの額は、各投資法人が公表している出資総額と同じです(大和証券オフィス投資法人)(サムティ・レジデンシャル投資法人)。
投資信託及び投資法人に関する法律は、投資法人は使用人を雇用することができないと定め、登録投資法人に資産の運用に係る業務を資産運用会社へ委託するよう求めています(e-Gov法令検索)。大和証券オフィス投資法人の資産運用会社は、連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメントです(大和証券オフィス投資法人)。サムティ・レジデンシャル投資法人の資産運用会社はサムティアセットマネジメントで(サムティ・レジデンシャル投資法人)、持株会社の報告書では持分法適用関連会社として扱われています。
不動産の運用の仕事を志望するなら、投資法人ではなく資産運用会社の募集を探します。
年収が分かる2社のランキング
持株会社の有価証券報告書で平均年間給与が分かるのは、持株会社の大和証券グループ本社と大和証券の2社で、どちらも総合職の数字です。2026年3月31日時点の値を並べると、次のとおりです。
- 大和証券グループ本社 1,793万4,308円 従業員494人、平均年齢41.6歳、平均勤続年数15.2年。平均年間給与は前の事業年度より10.3%増えました。
- 大和証券 1,431万3,037円 従業員5,234人、平均年齢38.7歳、平均勤続年数15.4年。平均年間給与は前の事業年度より5.4%増えました。
2社の差は約362万円です。平均年間給与には、賞与と基準外賃金が含まれます(EDINET)。
表に載る社員の範囲
持株会社の494人は、全員が大和証券との兼務者です。平均勤続年数は、大和証券などでの勤続年数を通算しています。報告書の主要な経営指標に載る持株会社の従業員は624人で、こちらも全員が兼務者です。平均年間給与の表は、このうち総合職の494人の数字です。
大和証券の欄も、総合職の従業員だけを数えています。総合職以外を含めた大和証券の従業員数は、連結子会社の中で最も多く、連結会社の従業員数の半数を超えています。
金融庁が2026年2月20日に公布した改正内閣府令により、子会社の経営管理を主な業務とする会社の報告書には、外国の会社を除く連結子会社のうち従業員数が最も多い会社の平均年間給与なども載るようになりました。対象は、2026年3月31日以後に終わる事業年度の報告書です。その会社の従業員数が連結会社の過半数を超えないときは、次に多い会社も載ります(金融庁)。
大和証券は過半数を超えるため、表に載る子会社は大和証券だけです。大和アセットマネジメントや大和総研、大和ネクスト銀行の平均年間給与は、この報告書には載っていません。
女性管理職と男女の賃金の差異
持株会社の報告書には、持株会社と国内の5社について、管理職に占める女性の割合と男女の賃金の差異が載っています。6社の数字は次のとおりです。
- 大和証券グループ本社:女性管理職19.9%、全労働者の賃金の差異77.3%
- 大和証券:女性管理職24.9%、全労働者の賃金の差異64.5%
- 大和アセットマネジメント:女性管理職20.5%、全労働者の賃金の差異66.1%
- 大和総研:女性管理職15.6%、全労働者の賃金の差異74.5%
- 大和総研インフォメーションシステムズ:女性管理職9.0%、全労働者の賃金の差異79.4%
- 大和証券ビジネスセンター:女性管理職30.4%、全労働者の賃金の差異65.0%
女性管理職の割合は2025年度末、賃金の差異は2025年4月から2026年3月までの数字です。男女の賃金の差異は、男性の賃金の平均に対する女性の賃金の平均の割合です(厚生労働省)。
報告書は、差異の主な要因を、2009年度まで基幹職と事務職を分けたコース別採用を行い、相対的に賃金の低い事務職で女性の比率が高かったことと、管理職に占める女性の割合が低いことだと説明しています。大和証券では、総合職かつ管理職どうしで比べると90.1%になります。
大和証券グループの子会社を見る4つの目安

大和証券グループの子会社を比べるときは、有価証券報告書と金融庁の名簿で確かめられる次の4つを見ます。
- 部門の区分
- 議決権の割合
- 法人の種類
- 持分法の会社
部門の区分
大和証券グループの事業は、ウェルスマネジメント部門、アセットマネジメント部門、グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門の3つの報告セグメントと、その他に分かれます。2026年3月31日時点の連結の従業員14,984人を部門で分けると、次の4つになります。
- ウェルスマネジメント部門:5,877人
- その他:4,495人
- グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門:3,282人
- アセットマネジメント部門:1,330人
その他には、持株会社と大和証券の兼務者も含まれます。
2026年3月期の純営業収益は、ウェルスマネジメント部門が約2,957億円で最も大きく、グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門が約2,573億円、アセットマネジメント部門が約1,119億円です。
報告書の部門ごとの説明には、ウェルスマネジメント部門で大和証券と大和ネクスト銀行が、アセットマネジメント部門で大和アセットマネジメントや大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、大和PIパートナーズなどが出てきます。その他には、主に大和総研の業務が入ります。主要な設備の状況では、大和証券の本店のセグメントの欄に、ウェルスマネジメント部門、グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門、その他の3つが書かれています。大和証券に応募するときは、志望する職種がどの部門の仕事なのかを募集要項で確かめます。
議決権の割合
議決権の割合は、「関係会社の状況」の議決権の所有割合の欄で分かります。括弧の中は子会社を通じた間接所有の割合で、大和企業投資や大和PIパートナーズ、海外の5社は「100.0(100.0)」と書かれています。
表に社名が載る株式会社は、大和アセットマネジメントの80.0%を除いて100.0%です。報告書の沿革には、2024年5月にかんぽ生命保険と資産運用分野の資本業務提携契約を結び、大和アセットマネジメントで資本を受け入れたと書かれています。
2つの投資法人は42.0%と40.2%で、半分に届かなくても連結子会社です。サムティ・レジデンシャル投資法人の欄には、緊密な者や同意している者の割合として[15.1]が別に書かれています。財務諸表等規則は、議決権の40%以上50%以下を持つ場合でも、一定の要件に当たれば相手を子会社とすると定めています。要件には、緊密な関係にある者などの議決権と合わせて過半数になることや、自社の役員などが相手の取締役会などの構成員の過半数を占めることがあります(e-Gov法令検索)。
法人の種類
連結子会社には、株式会社と投資法人が混ざっています。株式会社の中でも、受けている登録や免許は会社ごとに違います。金融庁の金融商品取引業者登録一覧(令和8年9月30日現在)には、大和証券が関東財務局長(金商)第108号、大和アセットマネジメントが同第352号、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントが同第355号として載っています(金融庁)。
銀行免許一覧(令和8年9月24日現在)では、大和ネクスト銀行が業態「その他」の19行の1つ、オリックス銀行が「信託銀行」の13行の1つです。大和証券グループ本社は、将来は2行の合併を予定していると有価証券報告書に書いています。
持分法の会社
あおぞら銀行、三井住友DSアセットマネジメント、大和証券リビング投資法人は、大和証券グループの子会社ではなく持分法適用会社です。議決権の所有割合は、あおぞら銀行が23.9%、三井住友DSアセットマネジメントが23.5%、大和証券リビング投資法人が16.4%です。
あおぞら銀行は、2024年5月に資本業務提携契約を結んで持分法適用関連会社になりました。あおぞら銀行と大和証券リビング投資法人は、自ら有価証券報告書を出しています。持分法適用会社は、子会社の数にも、子会社の年収の比較にも入りません。
公開資料で大和証券グループの子会社を確かめる手順

大和証券グループの子会社を自分で調べるときは、EDINETの有価証券報告書、公式サイト、金融庁の名簿を次の順に開きます。
金融庁のEDINETで「大和証券グループ本社」の有価証券報告書を開き、「第1 企業の概況」の「関係会社の状況」で資本金、事業の内容、議決権の所有割合を確かめます。営業収益の大きい2社の損益は、同じ欄の注記にあります(EDINET)。
同じ報告書の「第4 提出会社の状況」にある「従業員の状況等」で、「提出会社及び最大人員会社の状況」の平均年間給与と、女性管理職の割合などを見ます。表の注記で、数字が総合職だけのものかどうかも確かめます(EDINET)。
大和証券グループ本社の「グループ会社概要一覧」で各社の所在地とサイトを確かめます(大和証券グループ本社)。続けて金融庁の「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」で、志望する会社がどの名簿に載っているかを探します(金融庁)。
グループ会社概要一覧には、有価証券報告書の表に社名が出ていない大和コネクト証券や大和ファンド・コンサルティングも載っています。オリックス銀行のように3月末より後に加わった会社も、この一覧で分かります。
この記事の数字は、大和証券グループ本社が2026年6月17日に提出した2026年3月期の有価証券報告書によるものです。翌年の報告書が出たら、同じ欄を開いて数字を見比べてください。
大和証券グループの子会社に関するよくある質問
- 大和証券グループの子会社は何社ありますか
-
2026年3月末時点で、連結子会社が138社、持分法適用会社が39社です(EDINET)。有価証券報告書の表に社名が載る連結子会社は18社です。この後、2026年8月3日にオリックス銀行が大和ネクスト銀行の完全子会社になりました。
- 大和証券は上場していますか
-
大和証券は、持株会社が議決権の100%を持つ子会社です。株式を上場しているのは大和証券グループ本社です。1961年10月に上場した大和証券は、1999年4月にホールセール証券業務を大和証券エスビーキャピタル・マーケッツに、リテール証券業務を新しい大和証券に譲渡して持株会社になり、社名を大和証券グループ本社に変えました。子会社の大和証券は、このとき営業を始めた会社で、2012年4月には、社名を変えながらホールセール証券業務を続けてきた大和証券キャピタル・マーケッツを吸収合併しています。
- 大和総研の平均年収は分かりますか
-
持株会社の有価証券報告書には、大和総研の平均年間給与は書かれていません。関係会社の表で有価証券報告書を出していると書かれた子会社は2つの投資法人だけなので、EDINETでも大和総研の給与は確かめられません。給与の水準は、会社説明会などで直接尋ねることになります。
- あおぞら銀行は大和証券グループの子会社ですか
-
あおぞら銀行は子会社ではなく、持分法適用会社です。大和証券グループ本社の議決権の所有割合は23.9%で、関係内容の欄には役員の兼任等が「有」と書かれています。
法人の種類と部門から子会社を選ぼう
大和証券グループの連結子会社は138社あり、関係会社の表の国内の連結子会社では、資本金の欄の首位が大和証券オフィス投資法人です。国内の株式会社に絞ると資本金の首位は大和証券で、営業収益の大きい2社の純営業収益でも米国の子会社の約8倍です。持株会社の報告書で年収が分かるのは持株会社と大和証券の総合職だけで、あおぞら銀行は子会社ではありません。
表の順位だけで志望先を決めず、その会社が株式会社か投資法人か、どの部門に入り、誰がどれだけの議決権を持っているかも、有価証券報告書と公式サイトで確かめてみてください。年収は総合職の平均であること、資本金の欄には社員を雇えない投資法人も並ぶことを確かめてから比べましょう。

