「損保の大手は、東京海上・MS&AD・SOMPOの3社」。東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOホールディングスは、どれも東証プライム市場に上場する保険の持株会社なので、そう覚えている人もいるでしょう。ところが、保険を引き受ける損害保険会社で比べると、2025年度の正味収入保険料が1兆円を超えるのは、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社です。MS&ADのグループには、このうち2社が入っています。
1位は東京海上日動火災保険の2兆5,963億円、2位は損害保険ジャパンの2兆3,115億円、3位は三井住友海上火災保険の1兆7,544億円、4位はあいおいニッセイ同和損害保険の1兆4,711億円です。4社を合わせると、日本損害保険協会に加盟する31社の合計の81.6%を占め、5位の日本地震再保険は2,909億円です。
本記事では、上位10社の顔ぶれから、ランキングが分かりにくい理由、大手を見比べる視点、公開資料で確かめる手順まで、就活キャリア研究所の視点で順にお伝えします。
損害保険業界の大手企業ランキング上位10社
日本損害保険協会に加盟する31社を、2025年度(2026年3月期)の正味収入保険料の大きい順に並べると、上位10社は次のとおりです。この記事の金額は、億円未満を切り捨てています。
- 東京海上日動火災保険:2兆5,963億円
- 損害保険ジャパン:2兆3,115億円
- 三井住友海上火災保険:1兆7,544億円
- あいおいニッセイ同和損害保険:1兆4,711億円
- 日本地震再保険:2,909億円
- 共栄火災海上保険:2,029億円
- ソニー損害保険:1,888億円
- トーア再保険:1,744億円
- AIG損害保険:1,623億円
- 日新火災海上保険:1,619億円
数字は、各社の「会社概要と主な経営指標等」に載る単体の数字です。上位4社の合計8兆1,335億円は、31社の合計9兆9,725億円の81.6%に当たります。正味収入保険料は一般の企業の売上高に当たり、お客様から受け取った保険料に再保険の収支を加え、積立保険の満期返戻金などの原資に当たる収入積立保険料を除いたものです。
(参考:損害保険会員会社各社の会社概要と直近決算状況(2025年度)(日本損害保険協会)、損害保険会員会社の決算概況 2025(令和7)年度(日本損害保険協会))
金融庁の免許一覧(2026年10月19日時点)には、損害保険会社35社と、外国損害保険会社等21社が載っています。この順位には、損害保険会社のうち協会に加盟していないChubb損害保険など4社と、外国損害保険会社等の21社は入っていません。
1兆円を超える4社
東京海上日動火災保険は、2004年10月に東京海上火災保険と日動火災海上保険が合併してできた会社です。損害保険ジャパンは、2014年9月に損保ジャパンと日本興亜損害保険が合併して損害保険ジャパン日本興亜となり、2020年4月に損害保険ジャパンに社名を変えました。
三井住友海上火災保険は、2001年10月に三井海上火災保険が住友海上火災保険と合併してできました。あいおいニッセイ同和損害保険は、2010年10月にあいおい損害保険がニッセイ同和損害保険と合併してできた会社です。
再保険を受け持つ2社
5位の日本地震再保険と8位のトーア再保険は、社名のとおり再保険の会社です。再保険とは、損害保険会社が引き受けた危険を分散するため、保険契約上の責任の一部または全てを他の損害保険会社に引き受けてもらうことです。2社とも、「会社概要と主な経営指標等」の国内代理店数の欄は「-」です。
日本地震再保険は、1966年に国内の損害保険会社20社の出資で設立され、同じ年に地震保険事業の免許を取った会社で、従業員は34人です。トーア再保険は、1947年4月に再保険専門会社として再発足した会社で、従業員は320人、国内の営業拠点は1か所です。正味収入保険料の順位と、働く人の数の順位は一致しません。
上位10社の残る4社
6位の共栄火災海上保険は、1942年に大東海上火災保険と大福海上火災保険が合併して創立し、1946年に相互会社に、2003年に株式会社に組織を変えました。7位のソニー損害保険は、1999年9月に損害保険業の免許を取り、同じ月に自動車保険のインターネットでの申込受付を始めた会社です。
9位のAIG損害保険は、2018年1月にAIU損害保険と富士火災海上保険が合併して生まれました。10位の日新火災海上保険は、1908年6月に帝国帆船海上保険として創業し、1943年7月に日新火災海上保険に社名を変えた会社です。2026年3月31日時点の従業員は、AIG損害保険が5,486人、共栄火災海上保険が2,636人、日新火災海上保険が2,060人、ソニー損害保険が1,691人です。
損保大手のランキングが分かりにくい3つの理由
損害保険会社のランキングが分かりにくいのは、売上高の代わりに正味収入保険料を使い、上場しているのは持株会社で、2027年4月には2社の合併が予定されているからです。
売上高の代わりに正味収入保険料を使うから
東京海上日動火災保険や共栄火災海上保険などの有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」には、売上高の欄がなく、正味収入保険料が載っています。決算書の経常収益には、保険料のほかに資産運用で得た収益も入ります。
協会加盟31社の2025年度の合計では、経常収益12兆8,947億円のうち、資産運用収益が2兆4,215億円、正味収入保険料が9兆9,725億円でした。経常収益で並べると、保険の引受けの大きさだけでなく、資産運用の収益の大きさも順位に入ります。
上場しているのは持株会社だから
上位4社の親会社である東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOホールディングスは、東証プライム市場に上場しています。3社は国際財務報告基準(IFRS)で連結財務諸表を作っていて、連結の数字には海外の保険会社や生命保険の子会社も入っています。
3社の2026年3月期の連結の保険収益は、次のとおりです。
- 東京海上ホールディングス:7兆6,935億円
- MS&ADインシュアランスグループホールディングス:6兆4,360億円
- SOMPOホールディングス:5兆3,729億円
(参考:第24期 有価証券報告書(東京海上ホールディングス)、第18期 有価証券報告書(MS&ADインシュアランスグループホールディングス)、第16期 有価証券報告書(SOMPOホールディングス))
持株会社の平均年間給与も、損害保険会社とは別の数字です。2026年3月31日時点で、東京海上ホールディングスは1,339人の平均が1,487万1,103円で、従業員の大部分が子会社からの出向者です。MS&ADインシュアランスグループホールディングスは478人の平均が1,237万6,260円で、従業員は全員が子会社からの出向者です。SOMPOホールディングスは489人の平均が1,259万5,575円でした。
損害保険会社に入社する人が見るのは、持株会社の平均ではなく、入社する会社自身の報告書に載る平均年間給与です。
2027年4月に2社が合併する予定だから
三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、2027年4月1日に合併することに最終合意し、2026年2月13日に合併契約書を結びました。合併は株主総会の承認と関係当局の認可などが得られることを条件にしていて、新しい会社の名前は三井住友海上あいおい損害保険株式会社です。
2025年度の2社の正味収入保険料を単純に足すと3兆2,256億円で、東京海上日動火災保険の2兆5,963億円を上回ります。この額は2025年度の実績を足したもので、合併後の会社の見込みではありません。
損保大手を見比べる4つの視点

損害保険会社の違いは、正味収入保険料の順位よりも、次の4つを見比べると見えてきます。
- 保険の種目
- 代理店の数
- 平均年間給与
- 親会社
保険の種目
正味収入保険料のうち自動車保険が占める割合は、上位4社の間で43.0%から58.5%まで開きがあります。2025年度の自動車保険の正味収入保険料を、全体の正味収入保険料で割ると次のとおりです。
- あいおいニッセイ同和損害保険:58.5%
- 損害保険ジャパン:49.2%
- 東京海上日動火災保険:47.5%
- 三井住友海上火災保険:43.0%
同じ計算で、ソニー損害保険は89.9%になり、正味収入保険料の約9割が自動車保険です。火災保険や傷害保険の割合も、各社の「会社概要と主な経営指標等」の内訳で確かめられます。
代理店の数
2026年3月31日時点の国内代理店数は、損害保険ジャパンが37,122店、東京海上日動火災保険が36,739店、あいおいニッセイ同和損害保険が31,947店、三井住友海上火災保険が24,197店です。
ソニー損害保険は、インターネットと電話を通じた通信販売を行っているため、営業拠点を持っていません。代理店は436店ありますが、保険契約の締結の媒介だけを行い、契約の締結や保険料の受け取りの権限は持っていません。
平均年間給与
上位10社のうち、有価証券報告書を出している6社の平均年間給与を高い順に並べると、2026年3月31日時点で次のとおりです。どれも賞与と基準外賃金を含みます。
- トーア再保険:1,005万8,055円(42.1歳・15.6年)
- 東京海上日動火災保険:905万9,913円(42.6歳・13.1年)
- 三井住友海上火災保険:814万8,828円(42.2歳・14.8年)
- あいおいニッセイ同和損害保険:758万511円(44.6歳・16.4年)
- 損害保険ジャパン:741万6,687円(45.6歳・16.7年)
- 共栄火災海上保険:608万7,114円(46.8歳・13.1年)
(参考:第87期 有価証券報告書(トーア再保険)、第83期 有価証券報告書(東京海上日動火災保険)、第109期 有価証券報告書(三井住友海上火災保険)、第16期 有価証券報告書(あいおいニッセイ同和損害保険)、第83期 有価証券報告書(損害保険ジャパン)、第85期 有価証券報告書(共栄火災海上保険))
正味収入保険料で8位のトーア再保険は、従業員320人の平均で、上位4社のどの会社よりも高い額です。前の事業年度からの増減率は、損害保険ジャパンがプラス12.0%で最も大きく、東京海上日動火災保険はプラス0.2%でした。損害保険ジャパンは、東京海上日動火災保険より平均年齢が3.0歳上で、平均勤続年数が3.6年長い会社です。
日本地震再保険、ソニー損害保険、AIG損害保険、日新火災海上保険は有価証券報告書を出していないため、平均年間給与をこの方法では確かめられません。
親会社
上位10社のうち6社は、東証プライム市場に上場する持株会社が議決権の100%を持つ子会社です。東京海上ホールディングス、SOMPOホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングスの3社が持つ子会社は次のとおりです。
- 東京海上ホールディングス:東京海上日動火災保険、日新火災海上保険
- SOMPOホールディングス:損害保険ジャパン
- MS&ADインシュアランスグループホールディングス:三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険
ソニー損害保険は、ソニーフィナンシャルグループが議決権の100%を持つ子会社です。ソニーフィナンシャルグループは2020年8月31日に上場を廃止し、2025年9月29日に東証プライム市場に上場しました。
共栄火災海上保険は、全国共済農業協同組合連合会が株式の74.86%を持ち、農林中央金庫の6.69%、信金中央金庫の6.50%が続きます。トーア再保険は上場しておらず、大株主の上位には損害保険ジャパンの14.38%、あいおいニッセイ同和損害保険の10.70%、三井住友海上火災保険の8.48%が並びます。
公開資料で損保大手を確かめる手順

この記事の数字は、日本損害保険協会と金融庁が公開している資料で、誰でも同じものを開いて確かめられます。次の3つの手順でたどってください。
日本損害保険協会の「損害保険会員会社各社の会社概要と直近決算状況」を開き、会社名の下の「会社概要と主な経営指標等」のPDFを開きます。正味収入保険料と種目ごとの内訳、従業員数、国内代理店数が載っています。
金融庁のEDINETで損害保険会社の社名を検索し、有価証券報告書を開きます。上場していない東京海上日動火災保険なども報告書を出しています。「第4 提出会社の状況」の「従業員の状況」で平均年間給与を、「大株主の状況」で親会社を確かめます。
金融庁の「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」で「損害保険」の一覧を開き、志望する会社が損害保険会社の免許を受けているかを確かめます。
報告書の「従業員の状況」は、2026年3月31日以後に終わる事業年度から、「第1 企業の概況」ではなく「第4 提出会社の状況」に載っています。
有価証券報告書を出していない会社の働き方は、厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」で社名を検索すると分かる場合があります。掲載されていない会社もあります。
損害保険業界の大手企業でよくある質問
- 損害保険会社で一番大きいのはどこですか
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協会加盟31社の2025年度の正味収入保険料では、東京海上日動火災保険の2兆5,963億円が最も大きく、損害保険ジャパンの2兆3,115億円が続きます。持株会社の連結の保険収益でも、東京海上ホールディングスの7兆6,935億円が3社の中で最も大きい数字です。
- 損保大手4社で平均年収が最も高いのはどこですか
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東京海上日動火災保険です。2026年3月31日時点の平均年間給与は905万9,913円で、賞与と基準外賃金を含みます。三井住友海上火災保険は814万8,828円、あいおいニッセイ同和損害保険は758万511円、損害保険ジャパンは741万6,687円です。
- 三井住友海上とあいおいニッセイ同和はいつ合併しますか
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2027年4月1日の予定です。株主総会の承認と関係当局の認可などが得られることを条件に、2026年2月13日に合併契約書を結んでいます。新しい会社の名前は、三井住友海上あいおい損害保険株式会社です。
- 東京海上日動火災保険は上場していますか
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上場していません。株式の100%を東京海上ホールディングスが持ち、東証プライム市場に上場しているのは東京海上ホールディングスです。東京海上日動火災保険も有価証券報告書を出しているため、EDINETで平均年間給与や従業員数を確かめられます。
保険料の順位と入社する会社の年収を分けて比べよう
損害保険業界を2025年度の正味収入保険料で並べると、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社だけが1兆円を超え、5位の日本地震再保険の2,909億円とは大きな差があります。三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、2027年4月1日に合併する予定です。
順位の次に見たいのは、その会社の保険の種目と売り方、親会社、そして入社する会社自身の平均年間給与です。気になる会社の「会社概要と主な経営指標等」と有価証券報告書を開き、同じ年度の数字どうしで比べてください。

