「住友化学の上場子会社は、住友ファーマ、田岡化学工業、広栄化学、田中化学研究所の4社」。4社とも住友化学の子会社のまま東京証券取引所に株式を上場していたので、そう覚えている人もいるでしょう。ところが、田中化学研究所は2026年1月28日に、広栄化学は2026年7月30日に上場を廃止しました。2社とも株式交換で住友化学の完全子会社になるためで、4社のうち上場を続けているのは住友ファーマと田岡化学工業の2社です。
住友化学の2026年3月期の有価証券報告書で、「関係会社の状況」に社名が載る国内の子会社を2026年3月31日時点の資本金で並べると、1位は日本シンガポール石油化学の238億7,700万円、2位は住友ファーマの224億円です。住友ファーマの資本金は2026年4月の公募増資で713億2,100万円に増え、3月31日時点で1位の日本シンガポール石油化学を上回ります。平均年間給与が報告書で分かる子会社では、住友ファーマの905万5,526円が最も高く、広栄化学の716万7千円、田岡化学工業の714万1,781円が続きます。3社とも、住友化学単体の958万5,195円を下回ります。
本記事では、資本金で並べた国内の子会社5社の顔ぶれから、年収が外から分かりにくい理由、子会社を比べる4つのポイント、公開資料で確かめる手順まで、就活キャリア研究所の視点で順にお伝えします。
住友化学の国内子会社の資本金ランキング
住友化学の国内子会社を2026年3月31日時点の資本金で並べると、上位2社が200億円を超え、3位の田中化学研究所は91億5,500万円です。2026年3月期の報告書の「関係会社の状況」に社名が載る国内の子会社5社の順位は、次のとおりです。
- 日本シンガポール石油化学:238億7,700万円、議決権79.67%
- 住友ファーマ:224億円、議決権51.81%
- 田中化学研究所:91億5,500万円、議決権100.00%
- 広栄化学:23億4,300万円、議決権55.95%
- 田岡化学工業:15億7,200万円、議決権50.91%
資本金と議決権の所有割合は、2026年3月31日時点の報告書の数字です。議決権の割合には、ほかの子会社を通じて持つ間接所有の分も含まれ、広栄化学は0.04%、田岡化学工業は0.29%が間接所有です。
住友ファーマの資本金は、2026年4月24日の公募増資で489億2,100万円増え、713億2,100万円になりました。増資の後の資本金で比べると、住友ファーマは3月31日時点で1位の日本シンガポール石油化学を上回ります。
住友化学の子会社は全部で179社あり、「関係会社の状況」の表に社名が載るのは25社です。残る154社は「その他154社」とまとめて書かれています。社名が載る25社のうち20社は米国や韓国、シンガポールなどの海外の会社で、資本金を外貨で載せているため、この順位には入れていません。
(参考:第145期 有価証券報告書(住友化学))
日本シンガポール石油化学は、シンガポールでエチレンやプロピレンなどを製造・販売するPCS(プライベート)リミテッドに投資する会社です。PCSは住友化学の子会社ではなく、報告書では関連会社等の表に載っています。
医薬品の住友ファーマ
住友ファーマは医療用医薬品の製造・販売を行う会社で、東京証券取引所プライム市場に上場しています。住友化学が1984年に稲畑産業と設立した住友製薬が、2005年10月に大日本製薬と合併して大日本住友製薬となり、2022年4月に住友ファーマに社名を変えました。
2026年3月31日時点で、住友化学は住友ファーマの自己株式を除く発行済株式の51.76%を持っていました。住友ファーマは2026年4月24日に公募増資で51,304,400株の新株を発行し、2026年9月30日時点で住友化学が持つ株式は、自己株式を除く発行済株式の45.84%です。増資の後も、住友ファーマが住友化学の連結子会社である点は変わりません。住友ファーマの半期報告書でも、2026年9月30日時点のグループの構成に親会社が含まれ、大株主の筆頭は住友化学です。
(参考:第207期 半期報告書(住友ファーマ))
2026年に上場をやめた2社
3位の田中化学研究所は、二次電池用の正極材料をつくる会社です。2016年10月に第三者割当による新株発行で住友化学の子会社になり、2026年1月28日に東京証券取引所スタンダード市場で上場廃止となりました。2026年1月30日の株式交換で、住友化学の完全子会社になっています。
4位の広栄化学は、医薬品や農薬の中間体・原料と、機能性化学品をつくる会社です。2026年6月25日の定時株主総会で株式交換が承認され、2026年7月30日に東京証券取引所スタンダード市場で上場廃止となりました。株式交換の効力発生日は2026年8月1日で、交換の比率は広栄化学の株式1株につき住友化学の株式4.91株です。
(参考:当社株式の上場廃止に関するお知らせ(田中化学研究所)、当社株式の上場廃止に関するお知らせ(広栄化学)、第69期 有価証券報告書(田中化学研究所))
上場を続ける田岡化学工業
5位の田岡化学工業は、精密化学品や樹脂添加剤などをつくる会社で、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。1934年10月に田岡染料製造として設立され、1955年5月に住友化学工業(2004年10月に住友化学へ社名を変更)が資本参加しました。
2026年3月31日時点で、住友化学は田岡化学工業の自己株式を除く発行済株式の50.58%を持つ筆頭株主です。
「関係会社の状況」に社名が載らない子会社
「その他154社」の中にも、資本金の大きい国内の子会社があります。住友化学の「国内グループ会社(五十音別)」の一覧では、住友共同電力が30億円、住化ポリカーボネートが24億円、サンリッツが13億2,500万円です。3社とも、報告書の「多様性に関する指標」の表に、国内の連結子会社として社名が載っています。
住友共同電力は電力と蒸気の供給、住化ポリカーボネートはポリカーボネートの製造・販売、サンリッツは光学機能性フィルムの開発・製造を行う会社です。一覧には、報告書の関連会社等の表に議決権の所有割合33.38%で載る住友精化のように、子会社ではない会社も並んでいます。一覧に載る会社が子会社かどうかは、報告書の表と見比べて確かめる必要があります。
(参考:国内グループ会社(五十音別)(住友化学))
住友化学の子会社の年収が分かりにくい3つの理由
住友化学の子会社の年収が外から分かりにくいのは、年収が載る報告書を出す子会社が3社だけで、最新の報告書がほかより1年古い会社があり、住友化学の年収も単体の社員の平均だからです。
年収が載るのは報告書を出す3社だけだから
有価証券報告書の「従業員の状況」に載る平均年間給与は、報告書を出した会社自身の従業員の平均です。住友化学の2026年3月期の報告書で、有価証券報告書の提出会社と書かれた子会社は、住友ファーマ、広栄化学、田岡化学工業の3社です。
「関係会社の状況」に社名が載るほかの22社は提出会社ではないため、日本シンガポール石油化学も、平均年間給与を報告書では確かめられません。住友共同電力など、「その他154社」に含まれる子会社の平均年間給与も、住友化学の報告書には載っていません。
最新の報告書が1年古い会社があるから
田中化学研究所は2026年3月期の有価証券報告書を出しておらず、最も新しいのは2025年3月期のものです。2025年3月31日時点の平均年間給与は576万3,216円で、従業員は361人、平均年齢は36.2歳、平均勤続年数は7.3年でした。
この数字は、住友化学の完全子会社になる前のものです。完全子会社になった後の田中化学研究所の年収は、報告書の数字では分かりません。広栄化学も、上場廃止の前の2026年6月25日に出した2026年3月期の報告書が、年収を確かめられる最も新しい報告書です。
住友化学の年収は単体の社員の平均だから
住友化学単体の平均年間給与は、2026年3月31日時点で958万5,195円です。従業員は6,465人で、平均年齢は42.4歳、平均勤続年数は16.7年、前の事業年度からの増減率はプラス17.1%でした。この金額は、賞与と基準外賃金を含みます。
連結の従業員は27,491人なので、子会社で働く人は差し引き21,026人で、海外の子会社で働く人も含みます。958万5,195円は住友化学で働く社員の平均で、子会社に入社した人の給与の目安にはなりません。
住友化学の子会社を比べる4つのポイント

住友化学の子会社は、報告書で確かめられる次の4つのポイントで比べられます。女性管理職の割合は、住友化学の報告書に国内の連結子会社39社の分が載っています。
- 平均年間給与
- 従業員数
- 上場の有無
- 女性管理職の割合
平均年間給与
報告書を出す子会社3社の平均年間給与は、2026年3月31日時点で次のとおりです。どれも賞与と基準外賃金を含みます。
- 住友ファーマ:905万5,526円(44.5歳・18.9年)
- 広栄化学:716万7千円(41.8歳・15.3年)
- 田岡化学工業:714万1,781円(40.8歳・14.3年)
(参考:第206期 有価証券報告書(住友ファーマ)、第165期 有価証券報告書(広栄化学))
広栄化学と田岡化学工業の差は2万5千円ほどで、平均年齢と平均勤続年数も近い数字です。住友ファーマの平均は、ほかの会社から出向して働く人を除いて計算しています。
前の事業年度からの増減率は、住友ファーマがプラス27.0%、田岡化学工業がプラス4.01%、広栄化学がプラス3.96%でした。住友ファーマの大きな伸びは、業績に連動する賞与の水準の変動、事業構造改革による人員構成の変化、処遇水準の見直しが重なった結果です。前の2024年度は、その前の年度の業績悪化で賞与の水準が大きく下がっていました。
従業員数
単体の従業員数は、2026年3月31日時点で住友ファーマが1,747人、田岡化学工業が412人、広栄化学が402人です。最も多い住友ファーマでも、住友化学単体の6,465人の3割に届きません。
住友ファーマの連結の従業員は3,123人で、前の連結会計年度末から709人減りました。中国とシンガポールの子会社などを、連結の範囲から外したことが主な理由です。
上場の有無
上場の有無は、入社した後も年収や従業員数を報告書で確かめ続けられるかどうかを分けます。金融商品取引所に株式を上場している会社は、金融商品取引法により、原則として事業年度ごとに有価証券報告書を提出しなければなりません。
2026年11月4日時点で、「関係会社の状況」に社名が載る国内の子会社5社のうち上場しているのは、プライム市場の住友ファーマと、スタンダード市場の田岡化学工業です。田中化学研究所と広栄化学は上場を廃止し、日本シンガポール石油化学は上場していません。
女性管理職の割合
管理職に占める女性の割合は、住友化学単体が9.2%です。報告書に載る国内の連結子会社39社では、住化技術情報センターの72.7%が最も高く、住化パートナーズの66.7%が続き、19社は0.0%でした。
この記事で取り上げた4社の割合は、次のとおりです。
- 住友ファーマ:15.4%
- 田岡化学工業:11.7%
- 広栄化学:8.0%
- 田中化学研究所:6.7%
田岡化学工業の自社の報告書では、女性管理職の割合は2026年5月時点の11.5%で、住友化学の報告書の11.7%と違います。男性の育児休業取得率も、自社の報告書では正規雇用労働者が60.0%、住友化学の報告書では100.0%です。同じ会社の数字が報告書によって違うときは、その会社自身の報告書の注記で、時点と計算のしかたを確かめましょう。
公開資料で住友化学の子会社を確かめる手順

住友化学の子会社を自分で調べるときは、住友化学の有価証券報告書、子会社自身の報告書、住友化学のグループ会社の一覧の順に開きます。
金融庁のEDINETで「住友化学」の有価証券報告書を開きます。「第1 企業の概況」の「関係会社の状況」で資本金と議決権の所有割合を、「第4 提出会社の状況」の「従業員の状況等」で住友化学単体の平均年間給与と、国内の連結子会社39社の女性管理職の割合などを確かめます。
同じEDINETで子会社の社名を検索し、その会社自身の有価証券報告書を開きます。平均年間給与は、住友ファーマ、田岡化学工業、広栄化学なら2026年3月期の報告書の「第4 提出会社の状況」に、田中化学研究所なら2025年3月期の報告書の「第1 企業の概況」に載っています。
2026年11月4日時点で、グループ会社の一覧の広栄化学のところには「東証スタンダード市場上場」と書かれています。広栄化学は2026年7月30日に上場廃止となっているため、上場の有無は各社のニュースリリースで確かめましょう。
住友ファーマの持分や資本金のように、報告書の数字は決算日の後に変わることがあります。上場している子会社なら、EDINETで9月30日時点の半期報告書を開くと、新しい大株主の状況と資本金が分かります。
住友化学の子会社に関するよくある質問
住友化学の子会社の数、上場の有無、住友ファーマとの関係、住友化学の年収について答えます。
- 住友化学の子会社は何社ありますか
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2026年3月期の有価証券報告書では、子会社は179社、関連会社等は35社で、合わせて214社の関係会社があります。子会社のうち「関係会社の状況」の表に社名が載るのは25社で、そのうち国内の会社は5社です。
- 住友化学の子会社で上場しているのはどこですか
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2026年11月4日時点で、報告書の「関係会社の状況」に社名が載る国内の子会社のうち上場しているのは、東京証券取引所プライム市場の住友ファーマと、スタンダード市場の田岡化学工業です。プライム市場に上場する住友精化は、住友化学の議決権の所有割合が33.38%で、報告書では関連会社等の表に載る会社です。子会社ではありません。
- 住友ファーマは公募増資の後も住友化学の子会社ですか
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子会社です。2026年4月の公募増資で、住友化学が持つ株式の割合は、2026年3月31日時点の51.76%から2026年9月30日時点の45.84%に下がりました。増資の後も住友化学の連結子会社である点は変わらず、2026年9月30日時点の大株主の筆頭も住友化学です。
- 住友化学の平均年収はいくらですか
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2026年3月31日時点の住友化学単体の平均年間給与は958万5,195円です。従業員6,465人の平均で、賞与と基準外賃金を含みます。前の事業年度からの増減率は、プラス17.1%でした。
子会社の年収は自社の報告書で確かめよう
2026年3月31日時点の資本金で住友化学の国内子会社を並べると、日本シンガポール石油化学の238億7,700万円と住友ファーマの224億円が上位に並び、住友ファーマの資本金は2026年4月の公募増資で713億2,100万円に増えました。平均年間給与が分かる子会社3社では住友ファーマの905万5,526円が最も高く、3社とも住友化学単体の958万5,195円を下回ります。
田中化学研究所と広栄化学は2026年に上場を廃止し、上場を続けるのは住友ファーマと田岡化学工業です。志望する子会社が決まったら、その会社自身の報告書を開き、上場しているかどうかと、数字がいつの時点のものかを確かめてください。

