「宮崎で行政処分を受けた運送会社の名前が分かれば、入ってはいけない会社はそれで見分けられる」。九州運輸局が、処分を受けたトラックの事業者の名前と違反の中身を月ごとに公開しているので、名前を集めれば足りると考えがちです。
ところが、令和3年10月分から令和8年9月分までの資料で、営業所の所在地が宮崎県の記録を数えると、目立つのは名前より違反の種類でした。過積載に限る一覧では、九州7県の48件のうち28件が宮崎県の営業所の分です。過積載を除く一覧の31件では、22件で勤務時間などの基準の違反が挙がっています。応募先が積む重さと勤務時間をどう管理しているかを確かめるほうが、名前を探すより見分ける近道になります。
処分の資料の読み方から、面接で尋ねたい積載量・勤務時間・指導・点呼の中身、令和8年10月24日から1,085円になった宮崎県最低賃金での賃金の確かめ方まで、九州運輸局と宮崎労働局などの公開情報をもとに、就活キャリア研究所の視点で順にお伝えします。
宮崎の処分の資料で会社を見分けにくい3つの理由
宮崎の運送会社の違いが処分の資料から見えにくいのは、軽貨物の46件がすべて1つの事業者の分で、本社と営業所の県が別々に書かれ、監査が事故や通知・情報などをきっかけに入るためです。
軽貨物の46件が1つの事業者の分だから
九州運輸局は、トラックの事業者が受けた行政処分等を、過積載を除くもの、過積載に限るもの、軽貨物の3つの一覧に分けて月ごとに公開しています。軽貨物の一覧は令和7年度分からで、個別の事業者の処分等は5年間公表されます(九州運輸局)。
令和3年10月分から令和8年9月分までで、営業所の所在地が宮崎県の記録は、過積載を除く一覧に31件、過積載に限る一覧に28件、軽貨物の一覧に46件ありました。軽貨物の46件は、1つの事業者が県内の46の営業所ごとに受けたもので、どれも事業者自身からの報告をきっかけに監査が入り、点呼の違反が挙がっています(九州運輸局)。
令和7年度の集計表で、宮崎の「行政処分等を受けた事業者数」は59です(九州運輸局)。月ごとの資料と照らすと、このうち46は先の軽貨物の事業者の営業所の分でした。集計表の数字は、処分を受けた会社の数ではなく、営業所ごとの件数として読みましょう。
一般貨物自動車運送事業を始めるには国土交通大臣の許可が要り、三輪以上の軽自動車や二輪の自動車で運ぶ貨物軽自動車運送事業は届出で始められます(e-Gov法令検索)。求人票に「ドライバー」とだけ書かれていたら、応募先がどちらの区分の事業者かを先に確かめましょう。
本社と営業所の県が別々に書かれるから
処分の資料には、事業者の所在地と営業所の所在地が別々の欄に書かれます。過積載を除く一覧の31件のうち3件は、本社が北海道・大阪府・広島県にある事業者の、宮崎県内の営業所が受けたものでした。反対に、本社が宮崎県にある事業者が、鹿児島県の営業所で処分を受けた記録もあります(九州運輸局)。
九州運輸局の運輸要覧では、令和7年3月末時点の宮崎県の一般貨物の事業者は606で、このうち県内に本社がある事業者は464です(九州運輸局)。宮崎の営業所で働くなら、本社ではなく、配属される営業所の所在地で資料を探しましょう。
監査が事故や通知などをきっかけに入るから
令和7年4月分以降の資料には、監査に入ったきっかけが書かれています。過積載を除く一覧と過積載に限る一覧の宮崎県の記録23件では、きっかけは次の6つでした(九州運輸局)。
- 公安委員会からの過積載などの通知:9件
- 法令違反の疑いがある旨の情報:4件
- 適正化事業実施機関からの情報:3件
- 労働局からの通報:3件
- 死亡事故:3件
- 過積載運送の確認:1件
宮崎県の記録のうち、それより前のものには「監査実施」とだけ書かれ、きっかけは載っていません。適正化事業実施機関は、国土交通大臣が区域ごとに指定し、トラックの事業者に法令を守らせるための指導などを行う機関です(e-Gov法令検索)。処分は、事故や通知・情報などをきっかけに監査が入った結果なので、資料に名前がないことは違反がないことの証明にはなりません。
宮崎で避けたい運送会社に共通する4つの特徴

宮崎で避けたい運送会社に共通するのは、積む重さ、勤務時間、運転者への指導、点呼と記録という、法令で決められた管理が抜けていることです。処分の資料で違反に挙がった項目から、確かめたい4つを整理します。
- 過積載を前提に運行を組んでいる
- 勤務時間の基準を守らせていない
- 運転者への指導を省いている
- 点呼と記録が整っていない
過積載を前提に運行を組んでいる
一般貨物自動車運送事業者は、最大積載量を超えて積むことになる運送を引き受けること、その運送を前提に運行計画を作ること、運転者などに指示することを禁じられています(e-Gov法令検索)。道路交通法も、運転者が積載物の重量などの制限を超えて運転することを禁じ、自動車の使用者が過積載での運転を命じたり容認したりすることを禁じています(e-Gov法令検索)。
過積載に限る一覧の宮崎県の28件のうち24件は、違反が過積載の1件だけで、10日車から80日車の使用停止を受けていました。死亡事故をきっかけに監査が入った1件では、過積載を前提とした運行計画の作成と過積載の指示も違反に挙がり、7日間の事業停止を受けています(九州運輸局)。
国土交通省の指導の指針は、運転者に指導する内容の1つに「過積載の危険性」を挙げ、過積載が制動距離や安定性に与える影響と、事業者・運転者・荷主への処分を理解させるとしています(国土交通省)。面接では「積む重さを、いつ、誰が、何で確かめていますか」と尋ねてください。
勤務時間の基準を守らせていない
事業者は、国が告示で定める基準に従って運転者の勤務時間と乗務時間を定め、守らせなければなりません(e-Gov法令検索)。過積載を除く一覧の宮崎県の31件のうち22件でこの決まりの違反が挙がり、この一覧の違反の中で最も多い項目でした(九州運輸局)。
基準の中身は、厚生労働省の改善基準告示です。トラック運転者の1日の拘束時間は13時間以内が基本で、延長しても15時間が限度です。休息期間は継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回ってはなりません。1か月の拘束時間は284時間以内、1年は3,300時間以内が原則で、労使協定を結べば年6か月まで1か月310時間、1年3,400時間まで延ばせますが、284時間を超える月は連続3か月までです(厚生労働省)。
ただし、1週間の運行がすべて450km以上の長距離貨物運送で休息期間を住所地以外で取る場合や、休息期間の分割、2人乗務、隔日勤務、フェリーに乗る場合には、別の決まりがあります。連続運転時間は4時間までですが、サービスエリアなどに止められずやむを得ない場合は30分まで延ばせます(厚生労働省)。面接では「拘束時間がいちばん長い日は何時間ですか」と尋ねてみてください。
運転者への指導を省いている
事業者は、国が告示で定めるところにより運転者を指導・監督し、日時・場所・内容などを記録して営業所で3年間保存します(e-Gov法令検索)。過積載を除く一覧の31件のうち21件でこの指導と監督の違反が、14件で特別な指導か適性診断の違反が挙がっています(九州運輸局)。
一般貨物などの事業者が新たに雇い入れた運転者への特別な指導は、法令や安全な運転に関する事項が15時間以上、安全運転の実技が20時間以上です。乗務する前の3年間に、他の一般貨物などの事業者で運転者として常時選任されていた人は対象外です。四輪以上の軽自動車を使う軽貨物の事業者では、初めて乗務する運転者への指導は5時間以上で、実技は可能な限り行うものとされています。こちらは、前の3年間に他の一般貨物などの事業者で常時選任されていた人や、他の軽貨物の事業者で乗務していた人が対象外です。乗務前の3年以内に貨物軽自動車安全管理者講習を受けた人については、事業者は指導をしたものとみなせます(国土交通省)。入社後の指導の時間割と、添乗して教える人が誰かを尋ねましょう。
点呼と記録が整っていない
事業者は、運転者が運行の業務を始める前と終えた後に、対面か、国が対面と同等の効果があると定めた方法で点呼を行います。運行上やむを得ない場合は、電話などの方法も認められています。業務前の点呼では、酒気帯びの有無や、疾病・疲労・睡眠不足などで安全に運転できないおそれの有無を確かめます。一般貨物などの事業者は、運転者ごとに運転者等台帳を作り、営業所に備えます(e-Gov法令検索)。
過積載を除く一覧の31件のうち21件で点呼の違反が、20件で運転者等台帳の違反が挙がりました。軽貨物の46件も、すべて点呼の違反です(九州運輸局)。点呼と記録が整っていない会社では、働いた時間を後から確かめる手がかりが残りにくくなります。
宮崎の事故と長時間労働に関する公的な数字
宮崎の運送会社を選ぶ前に知っておきたい公的な数字は、県内の事業用トラックの重大事故、長時間労働の監督の結果、陸上貨物運送事業の労働災害の3つです。
県内の事業用トラックの重大事故
九州運輸局が管内の事業者からの報告をまとめた事故統計によると、令和7年の宮崎県の事業用トラックの重大事故は18件で、死者は11人、負傷者は10人でした。九州7県の事業用トラックの死者は52人です。宮崎県の件数は、令和3年から順に11件、12件、14件、19件でした(九州運輸局)。
ここでいう重大事故は、自動車事故報告規則で事業者に報告が求められる事故です。死者や重傷者を生じた事故のほか、車輪の脱落や、運転者の病気で運転を続けられなくなった事故なども含みます(九州運輸局)。
長時間労働が疑われる事業場の監督結果
宮崎労働局が令和6年度に長時間労働が疑われる124の事業場を監督した結果では、運輸交通業の21事業場のうち20事業場で労働基準関係法令の違反が、15事業場で違法な時間外労働が見つかりました。この監督は、時間外・休日労働が月80時間を超えていると考えられる事業場や、過労死等の労災請求があった事業場を対象にしたものです(宮崎労働局)。運輸交通業は道路貨物運送業を含む区分で、トラックの事業場だけの数ではありません(宮崎労働局)。
墜落と転落が多い陸上貨物運送事業の労働災害
宮崎労働局のまとめでは、令和7年の陸上貨物運送事業の休業4日以上の死傷者は149人で、死亡者は1人でした。事故の型別では墜落・転落が43人で最も多く、動作の反動などの27人、転倒の18人が続きます(宮崎労働局)。運転だけでなく、荷台での積み下ろしをどう行うかも面接で確かめておきたい点です。
九州運輸局と宮崎労働局の情報で確かめる手順

応募先の会社は、九州運輸局と宮崎労働局などが公開している情報を使って、次の3つの手順で確かめられます。
九州運輸局の「一般貨物自動車運送事業者一覧」(令和8年9月30日現在)で、応募先の営業所の名称と位置、車種ごとの車両の数を確かめます(九州運輸局)。
令和8年9月25日に更新された宮崎労働局の公表事案の一覧には、5件が載っています(宮崎労働局)。一覧に載るのは、労働基準関係法令違反の疑いで送検して公表した事案などで、掲載期間は公表日からおおむね1年です(厚生労働省)。送検に至らない違反は一覧に載らないので、載っていないことを安心の材料にはしないでください。
処分日車数と違反点数の読み方
輸送施設の使用停止の重さは「日車」で表され、10日車までごとに1点の違反点数が付きます。点数は事業者ごとに運輸局の管轄区域単位で累計され、累計の期間は原則3年間です(国土交通省)。
九州運輸局は、違反点数が21点以上の事業者を3か月ごとに公表しています(九州運輸局)。令和8年9月末時点の一覧には12の事業者が載り、このうち所在地が宮崎県の事業者は3つです。3つの主な違反事項には、どれも勤務時間等基準告示の遵守違反が挙がり、過積載運送や点呼未実施も並びます(九州運輸局)。
Gマークの認定の見方
全日本トラック協会は、トラック運送事業者の安全への取り組みを事業所単位で評価し、基準を満たした事業所を安全性優良事業所(Gマーク)に認定しています。2025年12月16日現在の認定は29,210事業所で、全事業所の34.4%にあたります(全日本トラック協会)。
同協会が公開している一覧(2026年10月1日更新)に載っている宮崎県の事業所は393で、このうち宮崎市が122、都城市が91です(全日本トラック協会)。認定は会社単位ではなく事業所単位なので、配属される営業所の名前で確かめてください。
宮崎県最低賃金1,085円で確かめる賃金
会社に雇われて働く場合、提示された賃金が法律の下限を満たしているかどうかは、宮崎県最低賃金と照らせば自分で確かめられます。最低賃金法の対象は、労働基準法第9条に定める労働者です(e-Gov法令検索)。業務委託の契約で運送を請け負う求人なら、まず雇用契約かどうかを確かめてください。
10月24日から1,085円になった宮崎県最低賃金
宮崎労働局長は、宮崎県最低賃金を1時間あたり1,085円とすることを決め、令和8年10月24日から効力が生じています(宮崎労働局)。厚生労働省の令和8年度の全国一覧では、改定前の1,023円から62円の引上げです(厚生労働省)。
ただし、使用者が都道府県労働局長の許可を受けた場合に限り、試の使用期間中の人などには最低賃金の減額の特例があります(e-Gov法令検索)。試用期間の賃金が1,085円を下回る求人では、この許可を受けているかを尋ねてください。
最低賃金と比べる時間額の出し方
月給で比べるときは、実際に支払われる賃金から次の6つを除きます(厚生労働省)。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 所定労働時間を超える労働に対する賃金(時間外割増賃金など)
- 所定労働日以外の日の労働に対する賃金(休日割増賃金など)
- 午後10時から午前5時までの労働に対する賃金のうち、通常の賃金を超える部分
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
残った額を1か月平均所定労働時間で割り、最低賃金と比べます(厚生労働省)。たとえば1か月平均所定労働時間が168時間の会社なら、6つを除いた月給が1,085円×168時間で182,280円以上あることが必要です。求人票の固定残業代は時間外労働への支払いにあたるので、比べる額に含めません。
歩合給のように出来高払制で決まる賃金は、その総額を、その賃金計算期間に出来高払制で働いた総労働時間で割って時間額に直します(厚生労働省)。労働基準法は、出来高払制その他の請負制で使用する労働者について、労働時間に応じた一定額の賃金を保障するよう使用者に求めています(e-Gov法令検索)。歩合の割合が高い求人では、保障給の額を書面で確かめてください。
宮崎の運送会社選びでよくある質問
宮崎県で運送会社を選ぶときに出てくる4つの疑問に答えます。
- 宮崎の運送会社の処分歴はどこで調べられますか
-
九州運輸局の「行政処分状況」のページで、宮崎県を含む九州7県の行政処分等を年度ごとの一覧で見られます。違反点数が21点以上の事業者の一覧も同じページにあります(九州運輸局)。全国分は、国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで調べられます(国土交通省)。
- 過積載は運転者も法律違反になりますか
-
なります。道路交通法は、車両の運転者が積載物の重量などの制限を超えて積載をして運転することを禁じています。あわせて、自動車の使用者が過積載での運転を命じたり容認したりすることと、使用者以外の人が運転者に過積載での運転を要求することも禁じています(e-Gov法令検索)。
- フェリーに乗っている時間は休息になりますか
-
改善基準告示では、フェリーの乗船時間は原則として休息期間として扱われ、与えるべき休息期間から差し引けます。ただし、差し引いた後の休息期間は、2人乗務の場合を除き、フェリーを降りてから勤務を終えるまでの時間の2分の1を下回ってはなりません。乗船時間が8時間を超える場合は、原則として下船した時刻から次の勤務が始まるものとされ、この時間は2人乗務では4時間、隔日勤務では20時間です(厚生労働省)。宮崎と神戸を結ぶカーフェリーを使う運行なら、休息の数え方を面接で確かめておきましょう(宮崎カーフェリー)。
処分の名前より積む重さと勤務時間の管理で選ぼう
令和3年10月分から令和8年9月分までの処分の資料では、九州7県の過積載の48件のうち28件が宮崎県の営業所の分でした。過積載を除く31件では22件で勤務時間などの基準の違反が挙がり、軽貨物の46件は1つの事業者の営業所の分でした。名前の有無だけでは、応募先の働き方は分かりません。
処分の資料と点数の一覧、公表事案、Gマークの認定に目を通したら、面接では積む重さを確かめる方法、拘束時間がいちばん長い日の時間、入社後の指導の時間割を尋ねてみてください。積載量と勤務時間の管理を記録と一緒に説明できる会社を選んでいきましょう。

