「診療放射線技師の職場は、CTやMRIの装置が新しい病院を選べば間違いない」。病院の紹介ページでは導入した装置が目を引くため、そう考える人もいるでしょう。ところが、働きやすさを分けるのは装置の新しさより、被ばく線量を測って本人に知らせているか、夜間の勤務をどう組んでいるか、2021年に広がった業務の研修を受けさせているかです。
このうち線量の測定と記録、本人への通知、6か月以内ごとの健康診断は、規則で事業者の義務と決まっています。診療放射線技師の人数や、技師の配置を条件とする届出の有無は、医療情報ネットや地方厚生局の名簿で誰でも確かめられます。夜間の体制と研修の費用は、面接で尋ねて確かめます。
本記事では、診療放射線技師の職場が比べにくい理由から、働きやすい職場に共通する特徴、届出で分かる技師の配置、自分で確かめる手順まで、就活キャリア研究所の視点で順を追ってお伝えします。
診療放射線技師の職場が比べにくい3つの理由
診療放射線技師の職場が比べにくいのは、職場によって扱う検査の種類と量が大きく違い、2021年に業務の範囲が広がり、被ばくの管理のしかたが外から見えないからです。
扱う検査の種類と量が職場で違うから
2023年10月1日時点で病院で働く診療放射線技師は常勤換算で46,794.6人、一般診療所は11,212.1人でした。
検査の量の差も大きく、2023年9月の1か月に64列以上のマルチスライスCTで検査をした一般病院は2,469施設で、1施設あたり834.3人を検査しています。体外照射の放射線治療をした一般病院は768施設で、一般病院の10.9%にとどまります。同じ診療放射線技師の求人でも、一般撮影が中心の職場と、CTや放射線治療を担う職場では、一日の仕事が大きく変わります。
(参考:令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況(厚生労働省))
2021年10月に業務の範囲が広がったから
2021年10月1日に施行された省令の改正で、診療放射線技師が行える行為が広がりました。改正前は除かれていた、造影剤注入装置をつなぐための静脈路の確保が対象に入り、確保された動脈路に造影剤注入装置をつなぐ行為や、核医学検査で放射性医薬品を投与する装置をつなぐ行為なども加わっています。
2024年4月1日より前に免許を受けた人などは、放射性同位元素を体内に入れて行う照射をする前に、厚生労働大臣が指定する研修を受けなければなりません。日本診療放射線技師会はこの研修を「告示研修」として行っています。2024年12月31日時点で実技研修を修了したのは29,934名で、令和2年の調査の診療放射線技師数56,845名に対して52.7%です。
(参考:告示研修のご案内(日本診療放射線技師会))
被ばくの管理のしかたが外から見えないから
診療放射線技師が受ける放射線の量には、法令で上限が決まっています。放射線業務従事者の実効線量は、5年間につき100ミリシーベルトかつ1年間につき50ミリシーベルトが限度です。妊娠する可能性がないと診断された人を除く女性は、3か月間につき5ミリシーベルトが限度で、妊娠と診断された後は別の限度があります。
眼の水晶体の限度は、2021年4月1日に施行された改正で、5年間につき100ミリシーベルトかつ1年間につき50ミリシーベルトになりました。病院や診療所で放射線診療に従事する人の限度も、医療法施行規則で同じ値に決まっています。
エックス線装置などを備える病院や診療所の管理者は、同じ規則により、診療用放射線の安全利用のための責任者を置き、放射線診療に従事する人への研修を行わせなければなりません。患者の被ばく線量の管理と記録が義務になるのは、全身用のCTや循環器用のエックス線透視診断装置など厚生労働大臣が定める8種類の装置と、核医学で使う放射性同位元素を用いた診療です。ただ、限度の中で防護具をどう使い、線量計をどこに着け、測った結果や院内の研修をどう扱うかは職場ごとに違い、求人票からは分かりません。
ホワイトな診療放射線技師の職場に共通する4つの特徴

働きやすい診療放射線技師の職場は、次の4つを面接で具体的に説明できます。1つ目と2つ目は規則で決まった義務で、3つ目と4つ目は職場ごとの取り決めです。
- 測った線量を本人に知らせている
- 6か月ごとの健康診断を行っている
- 夜間と休日の体制を説明できる
- 告示研修と認定資格の取得を支えている
測った線量を本人に知らせている
事業者は、電離放射線障害防止規則により、管理区域で働く放射線業務従事者の線量を測り、3か月ごとや1年ごとの合計を記録して30年間保存し、本人に遅滞なく知らせなければなりません。記録は、5年間保存した後に厚生労働大臣が指定する機関へ引き渡すこともできます。
放射線業務従事者は、管理区域の中で放射線測定器を着けなければなりません。着ける場所は、男性と妊娠する可能性がないと診断された女性は胸部、それ以外の女性は腹部です。透視の介助などで頭や首が最も多く放射線を受けるおそれがあるときは、その部位にも着けます。
国家公務員として働く職員には、人事院規則10-5により、各省各庁の長が、測った線量を本人に知らせることになっています。自分の線量の記録をいつ、どの形で受け取れるかを尋ねて、すぐに答えが返ってくる職場は、被ばくの管理を決まった手順で回しています。
6か月ごとの健康診断を行っている
放射線業務に常時従事して管理区域に立ち入る労働者には、雇い入れや配置替えの際と、その後6か月以内ごとに1回、医師による健康診断を行うことになっています。健康診断の項目は次の5つです。
- 被ばく歴の有無の調査と評価
- 白血球数と白血球百分率の検査
- 赤血球数と、血色素量またはヘマトクリット値の検査
- 白内障に関する眼の検査
- 皮膚の検査
6か月以内ごとの定期の健康診断では、医師が必要でないと認めれば、被ばく歴の調査と評価以外の4つの検査の全部または一部を省けます。前の年の実効線量が5ミリシーベルトを超えず、その年も超えるおそれがない人の定期の健康診断では、医師が必要と認めない限り、この4つの検査を行わなくてかまいません。省いた年でも、被ばく歴の調査と評価は6か月以内ごとに行われます。
夜間と休日の体制を説明できる
夜間や休日の勤務には、ふだんの勤務として交代で入る夜勤、労働基準監督署長の許可を受けた宿日直、緊急の呼び出しに応じる当番などがあります。宿日直の許可を受けられるのは、宿日直中の業務が、一般の宿日直の業務のほかは、特殊な措置を必要としない軽度または短時間のものに限られる場合です。許可は、職種や時間帯、業務の種類を限って与えられることもあります。
(参考:医師、看護師等の宿日直許可基準について(厚生労働省))
宿日直中にふだんと同じ業務をすることが常態になっていれば、許可は与えられません。まれにふだんと同じ業務をした時間には、時間外労働の手続きをとり、割増賃金を支払うことになっています。夜間に緊急の撮影が何件ほどあり、その時間がどう扱われるかを尋ねると、当直の中身が分かります。
告示研修と認定資格の取得を支えている
日本診療放射線技師会の告示研修は、オンデマンドの基礎研修と会場での実技研修の2段階です。受講料は、基礎研修が会員0円・非会員10,000円、実技研修が会員10,000円・非会員20,000円で、学習時間は基礎研修が700分、実技研修が385分です。基礎研修の申込期間は2027年3月31日までです。
同会は、放射線機器管理士、放射線管理士、医療画像情報精度管理士など6つの認定資格を設けており、どれも5年ごとに更新します。受講料を誰が払い、研修や試験の日を勤務として扱うかを文書で示せる職場は、技師が学び続けることを前提にしています。
施設基準の届出で分かる診療放射線技師の配置
診療報酬の施設基準には、診療放射線技師の配置を条件にした届出があり、病院がどの届出をしているかで、技師が最低限どの部門に何人いるかが分かります。ここで取り上げる基準は、2026年6月1日から適用されている令和8年度改定のものです。
CT撮影及びMRI撮影
128列以上か64列以上128列未満のマルチスライスCTで届け出る場合はCT撮影の部門に、3テスラ以上のMRIで届け出る場合はMRI撮影の部門に、専従の診療放射線技師が1名以上勤務していることが条件です。これらの装置では、画像診断管理加算2、3、4のいずれかの届出も必要です。届出には、装置の種類にかかわらず、CT撮影とMRI撮影に係る安全管理責任者の氏名を書き、装置と造影剤注入装置の保守管理計画を添えます。
16列以上64列未満のCTや、1.5テスラ以上3テスラ未満のMRIなどで届け出る場合には、この専従の条件はありません。名簿の「(C・M)」だけでは、専従の技師がいる病院かどうかは分かりません。装置の種類は、面接や病院のサイトで確かめましょう。
ポジトロン断層撮影
PETやPET-CTの届出では、核医学診断の経験が3年以上で所定の研修を終えた常勤医師が1名以上いることに加え、診断撮影機器ごとに、PET製剤の取扱いに専門の知識と経験がある専任の診療放射線技師が1名以上いることが条件です。核医学に関わりたい人は、この届出がある病院で、担当の技師が何人いるかを尋ねてみてください。
放射線治療専任加算
放射線治療専任加算の届出では、放射線治療を専ら担当する常勤の医師と、放射線治療を専ら担当する常勤の診療放射線技師が配置されていることが条件です。医師も技師も、放射線治療の経験が5年以上ある人に限られます。
放射線治療を専ら担当する常勤の医師がいない病院が届け出る遠隔放射線治療計画加算では、放射線治療を担当する常勤の診療放射線技師が2名以上いて、そのうち1名は放射線治療を専ら担当し、5年以上の経験があることが求められます。放射線治療の経験を積みたい人は、これらの届出がある病院なら、5年以上の経験を持つ先輩がいると見当を付けられます。
救急外来医学管理料
夜間の体制の手がかりになるのが、救急外来医学管理料の届出です。名簿に「(救外1)」と載る届出では、救急外来を受診した患者の検査などに必要な薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師が常時、病院内に配置されていることが条件です。年間の救急搬送件数が原則1,500件以上であることなども条件です。
「(救外2)」の届出でも、救急外来を受ける時間帯に常にCT撮影ができる体制が条件ですが、撮影を行う医療従事者は緊急呼出し当番で確保してもかまいません。(救外1)なら技師が夜間も病院内にいる体制、(救外2)なら呼び出しで対応する体制もありうる、と読み分けられます。
公開されている情報で診療放射線技師の職場を確かめる手順

診療放射線技師の人数と届出の種類は、厚生労働省と地方厚生局の公開情報で確かめられます。気になる職場が見つかったら、次の3つの手順で調べてみてください。
厚生労働省の医療情報ネットで病院名を検索し、人員配置の情報で診療放射線技師の人数を確かめます。病院や診療所が都道府県に報告する人員配置の職種には、診療放射線技師が含まれています。
病院の所在地を受け持つ地方厚生局のサイトで、施設基準の届出受理医療機関名簿を開きます。令和8年9月1日時点の関東信越厚生局の名簿では、CT撮影及びMRI撮影は「(C・M)」、放射線治療専任加算は「(放専)」、救急外来医学管理料1と救急外来緊急検査対応加算1は「(救外1)」という略称で載っています。ポジトロン断層撮影は「(ポ断)」、PET-CTにあたるポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影は「(ポ断コ複)」です。
厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」で、病院を運営する法人の名前を検索し、働き方に関する数字が載っていないかを見ます。載っていない法人もあります。
STEP2の名簿で略称が分からないときは、同じページにある略称の一覧で届出の名前を確かめます。提示された給与が世の中の水準のどのあたりにあるかは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査で、職種ごとの賃金を見て見当を付けられます。
診療放射線技師の職場選びでよくある質問
- 診療放射線技師は毎年何人が資格を取っていますか
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2026年2月19日に実施された第78回診療放射線技師国家試験では、受験者3,506人のうち2,670人が合格し、合格率は76.2%でした。新卒者の合格率は83.8%です。
- 健診車で働くことはできますか
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できます。診療放射線技師は、病院か診療所の外で業務を行わないのが原則ですが、多数の人の健康診断を一度に行う場合には例外があります。胸部エックス線検査とマンモグラフィー検査は医師の立会いがなくても行え、それ以外のエックス線検査は医師または歯科医師の立会いの下で行います。胸部エックス線検査のうちCTを使うものは立会いのない例外に入らず、どの場合も百万電子ボルト未満のエックス線に限られます。
- 資格がない人がエックス線を照射できますか
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できません。診療放射線技師法により、医師、歯科医師、診療放射線技師でない人は、放射線を人体に照射することを業としてはなりません。診療放射線技師も、医師または歯科医師の具体的な指示を受けなければ照射できず、照射したときは照射録を作り、指示した医師または歯科医師の署名を受けます。
- 妊娠したら被ばくの限度は変わりますか
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変わります。妊娠と診断された放射線業務従事者は、出産までの間、内部被ばくによる実効線量が1ミリシーベルト、腹部表面に受ける等価線量が2ミリシーベルトを超えないようにすることになっています。妊娠中にどの検査を担当するかの取り決めは職場ごとに違うため、面接で尋ねておきましょう。
装置より線量の記録と夜間の体制で選ぼう
診療放射線技師の職場は、扱う検査の種類と量が大きく違い、2021年10月には業務の範囲も広がりました。被ばくの限度は法令で決まっていますが、線量の伝え方や健康診断の進め方、夜間の勤務の組み方、研修の費用の扱いは、職場ごとに差が出ます。
医療情報ネットで技師の人数を見て、地方厚生局の名簿で(C・M)や(放専)などの届出を確かめる。そのうえで、線量の記録の受け取り方、当直の中身、告示研修と認定資格の費用の扱いを面接で尋ね、自分が続けられる職場を選んでいきましょう。

