「家電量販店の大手といえば、ヤマダ、ビックカメラ、ヨドバシカメラ」。駅前や郊外で看板を見かける機会が多い順に、そう思い浮かべる人は多いはずです。ところが有価証券報告書の売上高で順位を付けると、ヨドバシカメラは顔ぶれに入らず、2位にはノジマが入ります。ヨドバシカメラは上場しておらず有価証券報告書を出していないこと、ノジマの売上高の約4割が携帯電話会社のショップを運営する事業の売上であることが理由です。
各社が金融庁のEDINETに提出した、2026年10月27日時点で最新の有価証券報告書で連結売上高を比べると、1位はヤマダホールディングスの1兆6,918億円、2位はノジマの9,828億円、3位はビックカメラの9,744億円です。ヤマダホールディングスとノジマは2026年3月期、ビックカメラは2025年8月期の数字です。1位は2位の約1.7倍ですが、ヤマダホールディングスの売上高のうち家電は1兆1,409億円で、ほかに住宅の4,000億円などが含まれています。
本記事では、家電量販店を運営する上場6社の売上高・店舗数・平均年間給与を有価証券報告書の原文から並べ、売上の中身の違いと、自分で確かめる手順までお伝えします。
家電量販店業界の大手企業ランキング上位6社
家電量販店業界の大手企業を連結売上高の大きい順に並べると、上位6社は次のとおりです。数字は各社の有価証券報告書にある「主要な経営指標等の推移」の連結の売上高で、億円未満を切り捨てています。
- ヤマダホールディングス:1兆6,918億円
- ノジマ:9,828億円
- ビックカメラ:9,744億円
- エディオン:7,937億円
- ケーズホールディングス:7,597億円
- Joshin:4,366億円
対象には、東京証券取引所に上場している会社のうち、家電量販店を自社やグループで運営し、ほかの上場会社の子会社ではない会社を選びました。6社とも、2026年9月末時点の東証上場銘柄一覧でプライム市場の銘柄です(日本取引所グループ)。決算期はビックカメラが2025年8月期で、ほかの5社は2026年3月期です。
同じくプライム市場に上場するコジマは、2025年8月期の売上高が2,827億円です(コジマ有価証券報告書)。ただし、ビックカメラが議決権の50.5%を持つ子会社で、コジマの売上高はビックカメラの連結売上高に含まれるため、6社とは別に扱っています(ビックカメラ有価証券報告書)。
売上高1兆円を超える1社
1位のヤマダホールディングスは、6社の中で連結売上高が1兆円を超える唯一の会社です。2020年10月に持株会社体制へ移り、株式会社ヤマダ電機から商号を変えました。家電の販売は子会社の株式会社ヤマダデンキが担い、グループは同社と連結子会社38社などで構成されています。事業はデンキ、住建、金融、環境の4つのセグメントとその他に分かれ、連結の従業員数は26,747人です(ヤマダホールディングス有価証券報告書)。
売上高7,000億〜9,000億円台の4社
2位のノジマから5位のケーズホールディングスまでの4社は、連結売上高が7,000億円台から9,000億円台に並んでいます。
ノジマは、同社と連結子会社29社などで構成され、家電の専門店のほかに携帯電話の販売店、インターネット、海外、パソコンの製造などの7つの報告セグメントを持っています。連結の従業員数は12,112人です(ノジマ有価証券報告書)。ビックカメラは、同社と子会社23社、関連会社3社で構成され、子会社にコジマやソフマップを持っています。連結の従業員数は12,039人です(ビックカメラ有価証券報告書)。
エディオンは、2002年3月にデオデオとエイデンが共同で株式移転を行って設立した会社です。2010年10月に2社の流れをくむエディオンEASTとエディオンWESTを吸収合併し、同社が自ら店舗を運営しています。連結子会社は12社、連結の従業員数は9,148人です(エディオン有価証券報告書)。ケーズホールディングスは、同社と子会社9社、フランチャイズ加盟店でグループを構成し、同社自身も店舗を運営しています。連結の従業員数は7,307人です(ケーズホールディングス有価証券報告書)。
売上高4,000億円台の1社
6位のJoshinは、2026年4月に上新電機株式会社から株式会社Joshinへ商号を変えた会社です。家電製品等の小売業とその付帯業務の単一の事業を営み、連結の従業員数は4,362人です(Joshin有価証券報告書)。
家電量販店のランキングが分かりにくい3つの理由
家電量販店のランキングが一覧ごとに食い違って見えるのは、決算の時期、売上高に含まれる事業、平均年収の対象が、会社ごとにそろっていないからです。
決算月が会社ごとに違うから
6社のうち、ビックカメラだけが8月決算です。2026年10月27日時点で最新のビックカメラの有価証券報告書は、2024年9月1日から2025年8月31日までの2025年8月期のものです。2026年3月期のほかの5社より、7か月早く終わる期間の数字です(ビックカメラ有価証券報告書)。
2位のノジマと3位のビックカメラの売上高の差は、約83億円です。2社の順位は、ビックカメラの2026年8月期の有価証券報告書が出た時点で、改めて比べ直す必要があります。
売上高に家電の店以外の事業が含まれるから
家電量販店を運営する会社の売上高には、家電の店以外の事業も含まれることがあります。ヤマダホールディングスの2026年3月期の外部顧客への売上高を製品とサービスで分けると、家電が1兆1,409億円、住宅が4,000億円、その他が1,507億円です。住建セグメントでは、戸建て住宅を中心とした住宅の販売や、バスやキッチンなど住宅設備機器の製造・販売を行っています(ヤマダホールディングス有価証券報告書)。
ノジマで外部顧客への売上高が最も大きいセグメントは、キャリアショップ運営事業の3,917億円です。家電の店を運営するデジタル家電専門店運営事業の3,365億円を上回ります。ほかに海外事業が866億円、VAIOがパソコンを企画・製造するプロダクト事業が649億円あります(ノジマ有価証券報告書)。ビックカメラの売上高にも、日本BS放送が営むBSデジタル放送事業の109億円が含まれています(ビックカメラ有価証券報告書)。
ノジマのデジタル家電専門店運営事業の3,365億円は、6位のJoshinの連結売上高4,366億円より小さい額です。連結売上高の順位は、家電の店の売上の順位と同じではありません。
平均年収がグループの一部の人の数字だから
有価証券報告書の「平均年間給与」は、報告書を出した会社自身の従業員の平均です。ヤマダホールディングスの平均年間給与は560万2,183円ですが、対象は持株会社である同社の従業員561人で、連結の26,747人のごく一部です。同じ報告書には、外国の会社を除く連結子会社で従業員数が最も多いヤマダデンキの数字も載っており、17,313人で476万342円です(ヤマダホールディングス有価証券報告書)。
子会社も店舗を運営する会社では、同じことが起きます。ケーズホールディングスの平均年間給与598万1,000円は同社の従業員2,260人の数字で、ギガスや関西ケーズデンキなどの子会社で働く人を含む連結の7,307人の約3割にあたります(ケーズホールディングス有価証券報告書)。平均年間給与は、どの会社の何人の数字なのかを確かめてから比べる必要があります。
家電量販大手の違いが表れる4つの視点

家電量販大手の違いは、売上高の順位よりも、次の4つを有価証券報告書で見比べると見えてきます。
- 商品の内訳:携帯電話などの商品が売上高に占める割合を見る
- 店舗の数:直営店とフランチャイズ店を分けて数える
- 出店の地域:店舗が全国にあるか、特定の地域に集まっているかを見る
- 年齢と勤続:年収と平均年齢・勤続年数を並べて見る
商品ごとの売上高の割合
売上高のうち携帯電話が占める割合は、会社によって大きく違います。携帯電話の売上高を分けて載せている5社の金額と、売上高に占める割合は次のとおりです。
- ノジマ:5,182億円(約53%)
- ビックカメラ:2,164億円(22.2%)
- エディオン:1,254億円(15.8%)
- ケーズホールディングス:1,032億円(約14%)
- Joshin:559億円(約13%)
ノジマの数字は、有価証券報告書の収益の内訳にある「携帯電話等販売」の区分の金額です(ノジマ有価証券報告書)。ビックカメラは2025年8月期、ほかの4社は2026年3月期の数字です(ビックカメラ有価証券報告書)。ヤマダホールディングスは商品別の内訳を家電・住宅・その他の3つで載せているため、携帯電話だけの売上高は分かりません。
携帯電話のほかにも、会社ごとの特徴が出ます。ケーズホールディングスとエディオンで携帯電話に次いで売上高が大きい品目はエアコンで、それぞれ1,017億円と885億円です(ケーズホールディングス有価証券報告書)(エディオン有価証券報告書)。Joshinでは、ゲーム・模型・玩具・楽器が690億円で、携帯電話の559億円やエアコンの465億円を上回り、品種の中で最も大きくなっています(Joshin有価証券報告書)。入社後に売り場でどの商品を担当するかは、面接で尋ねておきたい点です。
直営店とFC店の数
店舗数は、加盟した別の会社が運営するフランチャイズ(FC)店を含めるかどうかで大きく変わります。ヤマダホールディングスの2026年3月期末の直営店は海外を含めて957店舗で、そのうちヤマダデンキの直営店が928店舗です。FC店を含めたグループの店舗数は8,774店舗にのぼります(ヤマダホールディングス有価証券報告書)。
エディオンの1,180店舗のうち727店舗はFC店で、エディオンはFC契約先に家庭電化商品等を供給する立場です。直営は家電量販店422店舗、携帯電話専門店30店舗などです(エディオン有価証券報告書)。ケーズホールディングスは556店舗のうちFC店が4店舗で、ほとんどが直営店です(ケーズホールディングス有価証券報告書)。
ノジマには、デジタル家電専門店240店舗と通信専門店1店舗のほかに、携帯電話会社のショップなどが937店舗あり、そのうち284店舗はFC店です。海外にも115店舗あります(ノジマ有価証券報告書)。ビックカメラのグループのうち、ビックカメラ、コジマ、ソフマップの3社の店舗は、2025年8月31日時点で42店舗、139店舗、22店舗の計203店舗です。2025年8月期の有価証券報告書には、このほかに、携帯電話の販売代理店を営む子会社が携帯電話会社のショップを合わせて242店舗、子会社のじゃんぱらが中古スマートフォンなどの店を57店舗展開していることも書かれています(ビックカメラ有価証券報告書)。Joshinの2026年3月期末の店舗数は217店舗です(Joshin有価証券報告書)。
店舗数を入社後の勤務先の数として読むなら、FC店を除いた直営店の数で比べます。
店舗が集まる地域
店舗が全国にあるのか、特定の地域に集まっているのかも、会社ごとに違います。ヤマダホールディングスは47都道府県すべてに店舗を展開し、海外にも店舗があります(ヤマダホールディングス有価証券報告書)。エディオンは主に北海道・北陸・関東・中部・近畿・中国・四国・九州地方に展開しており、本店は広島市にあります(エディオン有価証券報告書)。
ビックカメラ、コジマ、ソフマップの203店舗は、首都圏を中心に関東地方に集中しています(ビックカメラ有価証券報告書)。ノジマもデジタル家電専門店を首都圏を中心に集中して出店しています(ノジマ有価証券報告書)。Joshinは関西・東海・関東・北信越エリアを主軸にしています(Joshin有価証券報告書)。
ケーズホールディングスは都道府県別の売上高を載せており、上位は茨城県の7.9%、千葉県の7.5%、北海道の7.2%です(ケーズホールディングス有価証券報告書)。希望する勤務地がある人は、異動がどの範囲で行われるかを面接で尋ねておきましょう。
平均年齢と平均勤続年数
平均年間給与は、平均年齢や平均勤続年数と並べて読むと意味が変わります。6社の数字は次のとおりです。ヤマダホールディングスは子会社のヤマダデンキの数字で、ビックカメラは2025年8月31日時点、ほかは2026年3月31日時点の数字です。
- Joshin:44.0歳・19.0年・619万3,000円
- ケーズホールディングス:43.2歳・17.5年・598万1,000円
- ビックカメラ:37.0歳・13.0年・560万2,047円
- ノジマ:35歳0か月・9年4か月・557万3,000円
- エディオン:43歳11か月・18年11か月・543万4,000円
- ヤマダデンキ:44.0歳・12.2年・476万342円
Joshinの平均年齢と平均勤続年数は出向を受け入れた人など860人を除いた数字で、平均年間給与はその人たちを含めた数字です(Joshin有価証券報告書)。ビックカメラの子会社のコジマは、2025年8月31日時点で、嘱託社員を除いて41.2歳・16.9年・551万8,000円です(コジマ有価証券報告書)。
平均年齢が同じ44.0歳のJoshinとヤマダデンキでも、平均勤続年数は6.8年違います。平均年齢が最も低いノジマは、2026年度の新卒入社の初任給を最高40万円へ引き上げたと有価証券報告書に書いています(ノジマ有価証券報告書)。平均年間給与だけで比べず、平均年齢と平均勤続年数を横に並べてから比べましょう。
有価証券報告書で家電量販大手を確かめる手順

次の3つの手順で、この記事と同じ数字にたどり着けます。
金融庁のEDINETで会社名を入れて書類を検索し、書類の種類が「有価証券報告書」で、事業年度が最も新しいものを開きます(金融庁)。同じ事業年度の訂正報告書が出ていれば、訂正された箇所もあわせて確かめます。たとえばケーズホールディングスは2026年10月16日に訂正報告書を出し、正規社員の2025年度の1か月当たり平均残業時間を3.8時間から4.5時間に直しています(ケーズホールディングス訂正報告書)。
「主要な経営指標等の推移」で連結の売上高と決算年月を確かめます。続けて「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」で、商品別の売上高と店舗数を確かめます。ノジマやヤマダホールディングスのように商品別の売上高を「経理の状況」の注記に載せている会社や、ビックカメラのように店舗数を「事業の内容」と「事業等のリスク」に載せている会社もあります。
「従業員の状況」で、提出会社の平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与を確かめます。2026年3月31日以後に終わる事業年度の報告書では、この項目が「第4 提出会社の状況」に移りました。子会社の経営管理を主な業務とする会社の報告書には、「最大人員会社」の数字も載ります(金融庁)。2025年8月期のビックカメラとコジマの報告書では、「第1 企業の概況」に載っています。
最大人員会社は、外国の会社を除く連結子会社のうち従業員数が最も多い会社です。その会社の従業員数が連結の従業員数の過半数を超えないときは、次に多い会社の数字も載ります(金融庁)。ヤマダホールディングスの報告書でヤマダデンキの数字が読めるのは、この決まりによるものです。
家電量販店業界の大手企業でよくある質問
家電量販店業界の大手企業について、就職活動で出やすい4つの疑問に、有価証券報告書の記載で答えます。
- ヨドバシカメラが順位に入っていないのはなぜですか
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ヨドバシカメラは東京証券取引所に上場しておらず、2026年9月末時点の東証上場銘柄一覧に名前がありません(日本取引所グループ)。金融庁のEDINETでも有価証券報告書が公開されていないため、この記事の物差しである連結売上高を確かめられません(金融庁)。
- ケーズデンキとケーズホールディングスは別の会社ですか
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ケーズホールディングスは、1997年11月に株式会社ケーズデンキへ、2007年2月に株式会社ケーズホールディングスへ商号を変えた会社です。社名に「ホールディングス」とありますが、商品は同社の本社で一括して仕入れ、同社とギガスや関西ケーズデンキなどの子会社6社、フランチャイズ加盟店の店舗を通じて販売しています(ケーズホールディングス有価証券報告書)。
- ベスト電器やマツヤデンキはどこの会社ですか
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どちらも、2021年7月にヤマダホールディングスの子会社である株式会社ヤマダデンキに吸収合併されています。ベスト電器は、2012年12月に当時のヤマダ電機が株式を取得し、2017年7月に完全子会社になっていました(ヤマダホールディングス有価証券報告書)。
- 家電量販店の売上高は減っていますか
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6社とも、最新の期の連結売上高は4期前を上回っています。エディオンは2022年3月期の7,137億円から2026年3月期の7,937億円に増えました(エディオン有価証券報告書)。ただしケーズホールディングスは2024年3月期に7,183億円まで減ってから7,597億円に戻しており、増え方は一直線ではありません(ケーズホールディングス有価証券報告書)。ノジマは5,649億円から9,828億円に増えていますが、この間にグループで携帯電話を販売するコネクシオやパソコンのVAIOを連結子会社にしています(ノジマ有価証券報告書)。
売上の中身と直営店の数を確かめて選ぼう
家電量販店業界の大手企業は、連結売上高で見るとヤマダホールディングスが1兆6,918億円で首位に立ち、ノジマとビックカメラが9,000億円台、エディオンとケーズホールディングスが7,000億円台、Joshinが4,000億円台に並びます。ただし、ヤマダホールディングスの売上高には住宅が、ノジマの売上高には携帯電話会社のショップの運営が含まれ、ビックカメラは決算月が違います。
会社ごとの違いが表れるのは、順位よりも売上の中身と店舗の持ち方です。携帯電話の割合はどれくらいか、直営店はいくつあるか、店舗はどの地域に集まっているか。気になる会社の有価証券報告書で商品別の売上高と店舗数を開き、自分が売る商品と働く地域を確かめてみてください。

