「ゼネコンの大手ランキングは、スーパーゼネコンと呼ばれる5社が上から5位までを占めるはず」。鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設、竹中工務店の5社は、どこも連結売上高が1兆円を超えるため、そう考える人もいるでしょう。ところが、上場している会社を連結売上高で並べると、5位は長谷工コーポレーションです。竹中工務店は株式を上場していないため、上場会社の順位には入りません。
日本建設業連合会の法人会員で東京証券取引所に上場する43社を、2026年10月時点で公開されている最も新しい有価証券報告書の連結売上高で並べると、1位は鹿島建設の3兆672億円、2位は大林組の2兆5,862億円、3位は大成建設の2兆890億円、4位は清水建設の2兆578億円です。5位の長谷工コーポレーションは1兆2,731億円、10位の西松建設は3,960億円でした。
本記事では、上位10社の売上高から、ランキングが分かりにくい理由、大手を見比べる4つの視点、有価証券報告書で確かめる手順まで、就活キャリア研究所の視点で順を追ってお伝えします。
ゼネコン業界の大手企業を売上高で並べた順位
ゼネコン業界の大手企業を連結売上高の大きい順に並べると、上位10社は次のとおりです。決算期は10社とも2026年3月期で、億円未満は切り捨てています。
- 鹿島建設:3兆672億円
- 大林組:2兆5,862億円
- 大成建設:2兆890億円
- 清水建設:2兆578億円
- 長谷工コーポレーション:1兆2,731億円
- 五洋建設:7,943億円
- 戸田建設:6,457億円
- 熊谷組:4,876億円
- 安藤・間:4,396億円
- 西松建設:3,960億円
対象は、日本建設業連合会の法人会員のうち、日本取引所グループの東証上場銘柄一覧(2026年9月末)で建設業に分類される43社です。日本建設業連合会の法人会員は、一定規模以上の総合建設業者です。数字は各社の有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」に載る連結売上高です。
(参考:会員(日本建設業連合会)、東証上場銘柄一覧(日本取引所グループ))
売上高が2兆円を超える4社
売上高が2兆円を超えるのは、鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設の4社です。前の期と比べると、鹿島建設は5.3%、清水建設は5.8%増え、大林組は0.2%、大成建設は3.0%減りました。4社のうち3兆円を超えるのは鹿島建設だけです。
大林組は、国内建築事業の売上高が1兆3,371億円から1兆1,387億円へ14.8%減った一方、海外土木事業は34.2%増えて3,360億円になりました。全体の売上高がほぼ横ばいでも、国内と海外、建築と土木で中身は大きく動いています。
次の期以降の売上につながる連結受注高は、大林組が3兆90億円で前の期より9.3%減り、大成建設は2兆4,362億円で前の期とほぼ同じでした。受注高は、報告書の「生産、受注及び販売の状況」に載っています。
売上高が5,000億円を超える3社
5位から7位は、長谷工コーポレーション、五洋建設、戸田建設です。長谷工コーポレーションは、マンションなどの企画・設計から施工までを行う総合建設業を営み、売上高は前の期から8.1%増えました。
五洋建設は、国内土木、国内建築、海外建設の3つの事業を持ち、売上高は9.2%増えました。戸田建設は売上高が10.1%増え、単体の次期繰越工事高は1兆733億円です。単体の当期完成工事高4,823億円の2倍を超える工事を抱えて次の期に入っています。
売上高が5,000億円に満たない3社
8位から10位は、熊谷組、安藤・間、西松建設です。熊谷組は売上高が前の期から2.2%減り、安藤・間は3.4%、西松建設は8.0%増えました。
西松建設の報告セグメントは、土木、建築、国際、アセットバリューアッド、地域環境ソリューションの5つです。連結の従業員3,442人のうち、477人が不動産の賃貸・販売や資産管理などを行うアセットバリューアッド事業で働いています。11位は東亜建設工業の3,586億円で、10位との差は370億円あまりです。
ゼネコン大手のランキングが分かりにくい3つの理由
ゼネコン大手のランキングが分かりにくいのは、上場していない大手があり、連結売上高に建設以外の売上が入り、会計基準や連結の範囲が会社ごとに違うからです。
上場していない大手があるから
竹中工務店は株式を上場していませんが、有価証券報告書を出しています。2025年12月期の連結売上高は1兆6,147億円で、上場会社の順位に加えると、清水建設と長谷工コーポレーションの間の5位に入ります。決算期が12月のため、3月期の10社とは対象の期間が3か月ずれます。
日本建設業連合会の法人会員142社のうち、東京証券取引所に上場しているのは43社です。竹中工務店のほかにも、上場していない会社や、上場会社の子会社として会員になっている会社が入っています。
持株会社の傘下にいる大手もあります。インフロニア・ホールディングスは、前田建設工業、前田道路、前田製作所の完全親会社として2021年10月に設立された持株会社で、2025年12月に三井住友建設を完全子会社にしました。三井住友建設は、2026年10月1日に社名をアルソシア建設に変えています。2026年3月期の連結売上高は1兆1,248億円で、日本建設業連合会の法人会員そのものではないため、上の43社には入れていません。
連結売上高に建設以外の売上が入るから
連結売上高には、建設工事のほかに、不動産の分譲や建物の管理の売上も入ります。長谷工コーポレーションの連結売上高1兆2,731億円のうち、不動産関連事業が2,902億円、管理運営事業が1,585億円で、合わせて35%ほどを占めます。
大成建設でも、不動産の売買や賃貸などを行う開発事業の売上高が1,441億円あります。連結売上高の順位は、建設工事の量の順位と同じとは限りません。工事の量を比べたいときは、各社の報告書のセグメントごとの売上高か、単体の完成工事高を見ます。
会計基準と連結の範囲が会社ごとに違うから
上位10社と竹中工務店は、日本の会計基準で連結財務諸表を作っています。インフロニア・ホールディングスは国際財務報告基準(IFRS)で作っているため、同じ「売上高」でも、もとになる会計基準が違います。
連結の範囲が期の途中で変わる会社もあります。インフロニア・ホールディングスの2026年3月期の連結売上高に三井住友建設が入るのは、取得日の2025年9月18日以降の分だけです。前の期から32.7%増えた売上高には、この子会社が加わった分が入っています。
ゼネコン大手を見比べる4つの視点

ゼネコン大手の違いは、売上高の順位よりも、次の4つの視点で見比べると見えてきます。1つ目から3つ目は、各社の報告書の「生産、受注及び販売の状況」とセグメント情報で確かめられます。
- 土木と建築の割合
- 官公庁と民間の割合
- 海外の割合
- 平均年収と平均年齢
土木と建築の割合
土木と建築の割合は、会社ごとに大きく違います。大成建設の連結売上高は、建築事業が1兆2,485億円で6割ほど、土木事業が6,797億円で3割ほどです。五洋建設は単体の完成工事高7,402億円のうち、土木工事が3,696億円、建築工事が3,705億円で、ほぼ半分ずつです。
単体の数字で見ると、清水建設は建設事業の売上高1兆4,896億円のうち建築工事が1兆1,908億円で8割ほど、熊谷組は完成工事高3,730億円のうち建築工事が2,571億円で7割ほどです。長谷工コーポレーションは、単体の建設工事の売上高5,537億円のうち、住宅が5,386億円で97%を占めます。道路やトンネル、港の工事に関わりたいのか、ビルやマンションを建てたいのかで、選ぶ会社は変わります。
官公庁と民間の割合
発注者が国や自治体などの官公庁か、民間の会社かも、会社ごとに違います。単体の完成工事高に占める官公庁の割合は、五洋建設が37.3%、鹿島建設が20.7%です。長谷工コーポレーションは、単体の建設工事の売上高のうち官公庁の分が1.7%です。
五洋建設は、連結売上高の15.0%が国土交通省、11.4%がシンガポール政府、10.7%が防衛省向けです。工事の受注方法は、報告書の「受注方法別比率」に特命と競争に分けて載っています。
海外の割合
海外の売上の割合は、鹿島建設と大林組で3割を超えます。鹿島建設は連結売上高の35.6%にあたる1兆917億円が海外関係会社の売上で、大林組は海外建築事業と海外土木事業を合わせた8,439億円が連結売上高の32.6%です。
五洋建設は単体の完成工事高の23.9%が海外で、そのうち95.0%が東南アジアです。海外で働きたい人は、海外の売上の割合と地域を報告書で確かめてから説明会に臨みましょう。
平均年収と平均年齢
有価証券報告書の平均年間給与は、報告書を出した会社単体の従業員の平均で、グループ全体の平均ではありません。上位10社の平均年間給与を高い順に並べ、平均年齢を添えると次のとおりです。
- 鹿島建設:1,245万4,406円(41.2歳)
- 大林組:1,239万3,648円(42.0歳)
- 大成建設:1,191万134円(42.3歳)
- 安藤・間:1,063万3,244円(46.3歳)
- 西松建設:1,061万8千円(43.8歳)
- 清水建設:1,043万1千円(43.7歳)
- 長谷工コーポレーション:1,039万9,403円(39.4歳)
- 戸田建設:1,038万2,444円(44.27歳)
- 五洋建設:935万8,808円(41.3歳)
- 熊谷組:917万9,351円(44.0歳)
どれも2026年3月31日時点の数字で、賞与や手当を含みます。清水建設の数字は契約社員を除く11,235人の平均です。平均年齢が7歳近く違う会社どうしでは、平均年間給与の差をそのまま同じ年齢での差と読まないようにしましょう。
前の期からの増減率は、大成建設のプラス12.6%が10社で最も高く、戸田建設のプラス10.33%が続きます。減ったのは長谷工コーポレーションのマイナス1.7%だけでした。清水建設の増減率は、2024年5月1日以降に採用した人を除いて計算しています。戸田建設で、期間の定めなく基幹業務に就く総合職とエリア総合職だけの平均年間給与は1,066万33円です。
有価証券報告書でゼネコン大手を確かめる手順

この記事の数字は、金融庁のEDINETで各社の有価証券報告書を開けば、誰でも同じものを確かめられます。次の3つの手順でたどってください。
金融庁のEDINETで会社名を入れて書類を検索し、事業年度が最も新しい有価証券報告書を開きます。「主要な経営指標等の推移」で連結売上高を、「セグメント情報」で事業ごとの売上高を確かめます。
同じ報告書の「生産、受注及び販売の状況」で、単体の完成工事高や受注工事高を開きます。多くの会社は、土木と建築、官公庁と民間、国内と海外に分けた表を載せています。
「従業員の状況」で、単体の平均年間給与、平均年齢、平均勤続年数を確かめます。2026年3月期の報告書では、この項目は「第4 提出会社の状況」の「5 従業員の状況等」にあります。
比べるときは、単体の数字と連結の数字を混ぜないようにします。鹿島建設の単体の完成工事高は1兆6,136億円で、連結売上高3兆672億円の半分あまりです。連結には海外の子会社や国内の関係会社の売上が入り、単体には入りません。
建設業許可と監督処分の確かめ方
建設業許可の有無と業種は、国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで社名から調べられます。許可を受けた業種と、一般建設業か特定建設業かが分かります。
建設業者への監督処分は、国土交通省のネガティブ情報等検索サイトの建設業者の欄で、商号から調べられます。掲載されるのは処分から5年分で、情報はおおむね1か月に1度更新されます。何も出てこなくても、5年より前に処分を受けたことがないとは限りません。
ゼネコン業界の大手企業でよくある質問
- スーパーゼネコンとはどの会社ですか
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一般に、鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設、竹中工務店の5社を指す呼び方です。上場している4社はどれも連結売上高が2兆円を超え、竹中工務店は1兆6,147億円です。次に大きい長谷工コーポレーションは1兆2,731億円です。
- 竹中工務店の平均年収は分かりますか
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分かります。竹中工務店は上場していませんが有価証券報告書を出しており、2025年12月31日時点の単体の平均年間給与は1,152万7,044円です。従業員は7,907人、平均年齢は44.6歳、平均勤続年数は18.9年です。
- 前田建設工業の平均年収は分かりますか
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分かります。前田建設工業は持株会社インフロニア・ホールディングスの子会社で、持株会社の報告書に、従業員が最も多い子会社として数字が載っています。2026年3月31日時点の平均年間給与は1,048万5千円、従業員は3,375人、平均年齢は43.8歳です。単体の売上高は5,203億円です。
- 三井住友建設は上場していますか
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上場していません。インフロニア・ホールディングスの公開買付けを経て、2025年12月23日に同社の完全子会社になり、2026年10月1日に社名をアルソシア建設に変えました。東証上場銘柄一覧(2026年9月末)にも載っていません。2026年3月31日時点の平均年間給与は920万2千円、従業員は2,846人です。
売上高の中身と給与の範囲を分けて比べよう
日本建設業連合会の法人会員で上場する43社を連結売上高で並べると、鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設の4社が2兆円を超え、5位の長谷工コーポレーションが1兆2,731億円で続きます。上場していない竹中工務店や、持株会社の傘下にいる前田建設工業は、この順位には出てきません。
順位の次に見たいのは、土木と建築、官公庁と民間、国内と海外の割合と、単体の平均年間給与と平均年齢です。気になる会社の有価証券報告書を開き、売上高の中身と給与の対象を自分の目で確かめてから比べてください。

