富山で入ってはいけない運送会社一覧|入社後の指導と処分の記録で見分ける

「処分を受けた運送会社の名簿を見れば、富山で入ってはいけない会社が分かるはず」。トラックの事業者が行政処分を受けると、北陸信越運輸局が事業者の名前と違反の中身を月ごとに公開しているので、名簿を探せば済むと考えるのは自然なことです。

ところが、名簿に載る会社はごく一部です。富山県内に営業所を置く一般貨物の事業者は令和7年3月末で747者あり、令和8年4月分から9月分までの一覧に載った県内の営業所への一般貨物の処分は8件でした。そのうち6件では、事故を起こした運転者や新しく雇い入れた運転者などに受けさせる特別な指導と適性診断の義務違反が挙げられています。名簿に名前があるかより、入社した自分がこの指導と診断を受けられる会社かどうかを確かめるほうが、見分ける近道になります。

この記事では、特定の会社名を挙げることはしません。処分の一覧の読み方から、面接で入社後の指導と点呼、拘束時間をどう尋ねるか、賃金の確かめ方まで、国と富山労働局、業界団体が公開している情報をもとに、順にお伝えします。

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目次

富山の運送会社が外から見分けにくい3つの理由

富山の運送会社が外から見分けにくいのは、処分の一覧の作り方、事業の区分、冬の運行という3つの事情が、求人票にはほとんど現れないからです。

処分の一覧が4県分まとめて月ごとに出るから

北陸信越運輸局は新潟・長野・富山・石川の4県に運輸支局を置き、富山県全域は富山運輸支局の受け持ちです(北陸信越運輸局)。トラック事業者の行政処分等は、4県分が1つの表になって月ごとに公開されています(北陸信越運輸局)。富山の会社を探すときは、表の「営業所の所在地」の欄で富山県の行を拾います。

公開されている令和7年4月分から令和8年3月分までの一覧では、富山県内の営業所が受けた一般貨物の処分は2件でした。同じ期間の一覧には、軽貨物の事業者が県内の営業所で受けた処分や警告も18件並びますが、どれも同じ1つの事業者が営業所ごとに受けたものです(北陸信越運輸局)。軽貨物の件数は、処分を受けた会社の数ではなく、営業所の数として読みましょう。

令和8年4月分から9月分までの6か月では、県内の営業所への一般貨物の処分が8件ありました。8件のうち5件は、重傷事故か死亡事故をきっかけに監査が行われたものです。2件は富山労働局からの通報か労働局との合同監査が、残る1件は公安委員会からの通知がきっかけでした(北陸信越運輸局)。

一般貨物と軽貨物で始め方が違うから

トラックの運送事業は、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業、貨物軽自動車運送事業の3つに分かれます。一般貨物と特定貨物は国土交通大臣の許可が必要で、三輪以上の軽自動車や二輪の自動車を使う貨物軽自動車運送事業は届出で始められます(e-Gov法令検索)。

北陸信越交通・運輸統計年鑑によると、令和7年3月末に富山県内に営業所を置く一般貨物の事業者は霊柩を含めて747者、特定貨物の事業者は6者でした。富山運輸支局の管内の貨物軽自動車運送事業者は1,346者です(北陸信越運輸局)。求人に「配送ドライバー」とだけ書かれていたら、応募先がどの区分の事業者かを先に確かめましょう。処分の一覧でも、「事業の種類」の欄で一般貨物と軽貨物が分けて書かれています。

県の全域が豪雪地帯に指定されているから

国土交通省の資料では、令和8年4月1日時点で県の全域が豪雪地帯に指定されているのは10道県で、富山県はその1つです(国土交通省)。雪の季節は同じ配送先でも所要時間が延びるため、夏と同じ運行計画のままでは拘束時間が長くなりがちです。

改善基準告示には、事故や故障、災害など通常予期しない事象で遅れが出た場合の扱いがあります。客観的な記録が認められる場合に限り、1日の拘束時間、2日平均の運転時間、連続運転時間の計算から、対応に要した時間を除けます(厚生労働省)。厚生労働省の通達は、この事象の1つに、警報が出ている異常気象に遭遇して運転中に正常な運行が難しくなった場合を挙げています。運転日報の記録に加えて気象情報の写しなどの資料が要り、平常時の交通状況から予測できる渋滞は当たりません(厚生労働省)。

除いた時間も、休憩に当たらない限り労働時間として扱われ、1か月の拘束時間の計算からは除けません(厚生労働省)。大雪で遅れた日の記録を誰が残し、翌日の出発時刻をどう決め直すのか。この2点を面接で尋ねると、冬の管理が会社の仕組みになっているかが分かります。

富山で避けたい運送会社に共通する4つの特徴

富山で避けたい運送会社の4つの特徴を示した図(点呼の記録・拘束時間・初任の指導・処分の記録)

富山で避けたい運送会社に共通するのは、法律で記録を残すよう決められている点呼、勤務時間、運転者への指導が、記録として整っていないことです。

  1. 点呼の記録が整っていない
  2. 拘束時間と休息期間を管理できていない
  3. 入社した運転者への指導と診断を後回しにする
  4. 処分の記録とその後の改善を説明できない

点呼の記録が整っていない

点呼は、貨物自動車運送事業輸送安全規則が定める義務です。乗務の前には、対面かそれと同等の効果があると国が定めた方法で、酒気帯びの有無や、疾病・疲労・睡眠不足で安全に運転できないおそれがないかを確かめます。乗務の後にも報告を受け、点呼の記録は1年間保存します。アルコール検知器は営業所ごとに備えることになっています(e-Gov法令検索)。電話などの方法が認められるのは、遠隔地で乗務を始めたり終えたりする場合などで、早朝や深夜に点呼を行う人が営業所に出勤していないことは理由になりません(国土交通省)。

令和7年4月分から令和8年3月分までの一覧で、富山県内の営業所が受けた一般貨物の処分2件は、どちらも点呼の記録の違反を含んでいました(北陸信越運輸局)。富山県トラック協会の令和7年度の事業報告によると、適正化指導員(専任5名、兼任2名)が346か所の事業所を巡回しました。巡回指導では、点呼の実施と記録の保存、運転者への指導教育、勤務時間や乗務の管理を重点にしています(富山県トラック協会)。

面接では「早朝や深夜に出発する日の点呼は、誰がどの方法で行いますか」と尋ねてみてください。担当者と方法を具体的に答えられるかどうかで、記録の整い方の見当がつきます。

拘束時間と休息期間を管理できていない

トラック運転者の1日の拘束時間は13時間以内が基本で、延長しても15時間が限度です。14時間を超える回数は週2回までが目安とされています。休息期間は勤務の後に継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回ってはなりません。ただし、1週間の運行がすべて長距離貨物運送(勤務先を出発してから戻るまでの1回の運行の走行距離が450km以上)で、休息期間を住所地以外の場所で取る場合は、週2回に限り、1日の拘束時間を16時間まで延ばし、休息期間を継続8時間以上とすることができます。休息期間が9時間を下回った場合は、その運行を終えた後に継続12時間以上の休息期間が要ります。2人乗務や隔日勤務、休息期間を分けて取る場合などにも別の決まりがあります(厚生労働省)。

1か月の拘束時間は原則284時間以内、1年は3,300時間以内です。労使協定を結べば、年6か月まで1か月310時間、1年3,400時間まで延ばせますが、284時間を超える月は連続3か月までです。時間外労働は、臨時的な特別の事情がある場合でも年960時間が上限です(厚生労働省)。

全国では令和7年に、労働基準監督署などが法令違反の疑われるトラックの3,175事業場に監督指導を行い、1,812事業場(57.1%)で改善基準告示の違反が見つかりました。発表の別紙によると、違反の内容で最も多かったのは1日の最大拘束時間で、1,408事業場(44.3%)です(厚生労働省)。

富山労働局は令和8年9月24日、長時間労働が疑われる事業場に対する令和7年度の監督指導の結果を公表しました。監督を行った県内505事業場のうち、379事業場で労働基準関係法令の違反が見つかっています。別添資料の運輸交通業の欄では、21事業場のうち17事業場で違反が見つかり、うち11事業場で違法な時間外労働がありました(富山労働局)。長時間労働が疑われる事業場を選んだ監督の結果で、運輸交通業という区分全体の数字なので、トラックの会社すべての違反率を表すものではありません。

北陸信越運輸局の一覧でも、令和7年4月分から令和8年9月分までに富山県内の営業所が受けた一般貨物の処分10件のうち5件で、国土交通省が定める運転者の勤務時間と乗務時間の基準を守っていない違反が挙げられていました(北陸信越運輸局)。雪の時期とそれ以外の時期で、1か月の拘束時間の実績を示してもらえるかを尋ねましょう。

入社した運転者への指導と診断を後回しにする

貨物自動車運送事業輸送安全規則は、次の3つに当たる運転者に特別な指導を行い、国が認定した適性診断を受けさせることを事業者に求めています(e-Gov法令検索)。

  1. 死者または重傷者が出た事故(軽傷者が出た事故では、事故の前の3年間にも事故を起こしたことがある場合)を起こした運転者
  2. 運転者として新たに雇い入れた人
  3. 65歳以上の運転者

令和8年4月分から9月分までに富山県内の営業所が受けた一般貨物の処分8件のうち6件で、この特別な指導と適性診断の義務違反が挙げられていました(北陸信越運輸局)。

一般貨物と特定貨物の事業者が新たに雇い入れた運転者への特別な指導は、国土交通省の告示で中身と時間が決まっています。法令や安全な運転に関する事項を15時間以上、実際にトラックを運転させる安全運転の実技を20時間以上行い、時期はその会社で初めて乗務する前です。やむを得ない事情がある場合に限り、乗務を始めてから1か月以内に行うとされています。ただし、その会社で初めて乗務する前の3年間に、他の一般貨物や特定貨物の事業者で運転者として常時選任されたことがある人は、この指導の対象から外れます(国土交通省)。

四輪の軽自動車で荷物を運ぶ軽貨物の事業者では、その会社で初めて乗務する人への指導は法令などの事項を5時間以上とし、実技はできる限り行うものとされています。時期は一般貨物と同じで、その前の3年間に他の運送事業者で運転者を務めたことがある人は対象外です(国土交通省)。令和7年3月末までに届出をした軽貨物の事業者には、この指導と適性診断の義務に令和10年3月までの猶予期間があります(国土交通省)。

初任診断も、その会社で初めて乗務する前に受けるのが原則で、その前の3年間に受けていれば対象外です(国土交通省)。初任診断を含む適性診断の種類と受ける時期は、国土交通省の案内で確かめられます(国土交通省)。

未経験で入る人は「一人で乗務するまでに何時間の指導と実技があり、初任診断はいつ受けますか」と尋ねてください。指導の時間と診断の時期を具体的に答えられない会社では、入社後の指導が後回しにされるおそれがあります。

処分の記録とその後の改善を説明できない

北陸信越運輸局の処分の基準では、車両の使用停止の処分日車数10日車までごとに1点の違反点数が付き、点数は事業者ごとに累計されます。累計期間は原則3年です。同じ管轄区域の累積点数が51点以上80点以下になると区域内の全ての営業所が事業停止の対象になり、81点以上になると許可の取消しの対象になります(北陸信越運輸局)。

同じ運輸局は、累積点数が21点以上の事業者の一覧も公開しています。令和8年9月30日時点の一覧には、管内の4県で3つの事業者が載っていました(北陸信越運輸局)。応募先に処分歴があれば、いつ、どの違反で処分を受け、その後に何を改めたのかを尋ねてください。処分歴の有無より、改めた中身を具体的に話せるかどうかを判断の材料にしましょう。

富山の公的な情報で会社を確かめる手順

富山で入ってはいけない運送会社一覧について公開されている情報を確かめている場面のイラスト

応募先の会社は、北陸信越運輸局や富山労働局などが公開している情報を使って、次の3つの手順で確かめられます。

STEP1

北陸信越運輸局の「管内に営業所を置く一般貨物自動車運送事業者一覧」(令和8年9月末時点のExcel)を開き、「一般(富山)」のシートで社名、営業所の名称と位置、車両の数を確かめます(北陸信越運輸局)。

STEP2

同じ運輸局の行政処分等の状況で、月ごとの一覧の「営業所の所在地」の欄から富山県の行に目を通します(北陸信越運輸局)。全国分は、国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで調べられます(国土交通省)。

STEP3

富山労働局の送検事例のページにある、労働基準関係法令違反に係る公表事案を確認します(富山労働局)。全国の労働局の公表事案は厚生労働省が毎月まとめて掲載しており、掲載期間は公表日からおおむね1年です(厚生労働省)。

処分の一覧は月ごとに分かれ、公表事案は掲載期間が限られています。一覧に名前がないことは、処分や違反がなかったことの証明にはなりません。STEP1の一覧で営業所が見つからないときは、応募先が軽貨物の届出をした事業者か、運送事業ではなく自社の荷物を運ぶ会社かを尋ねましょう。

安全性優良事業所(Gマーク)の一覧

処分の一覧とは逆に、安全への取り組みを評価された事業所の一覧もあります。全日本トラック協会は、トラック運送事業者の安全対策への取り組みを事業所単位で評価し、一定の基準を満たした事業所を安全性優良事業所に認定しています。2025年12月16日時点の認定は29,210事業所で、全事業所数の34.4%にあたり、都道府県別の一覧も公開されています(全日本トラック協会)。

富山県トラック協会の令和7年度の事業報告では、県内で有効期間のある認定は331事業所(認定率40.2%)で、全国平均の34.4%を上回りました(富山県トラック協会)。認定は会社単位ではなく事業所単位なので、配属される営業所の名前で一覧を確かめてください。

富山で働く前に確かめたい賃金の計算

提示された賃金が法律の下限を満たしているかどうかは、富山県最低賃金と照らせば自分で確かめられます。

令和8年10月1日からの富山県最低賃金

富山県最低賃金は、令和8年10月1日から時間額1,119円で、改定前の1,062円から57円の引上げです(厚生労働省)。改定前の1,062円は、令和7年10月12日に効力が発生した額でした(富山労働局)。年齢や雇用形態にかかわらず、富山県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます(富山労働局)。

月給で比べるときは、実際に支払われる賃金から次の6つを除いた額を、1か月の平均所定労働時間で割ります(富山労働局)。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える労働に対する賃金(時間外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の労働に対する賃金(休日割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの労働に対する賃金のうち、通常の賃金を超える部分(深夜割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当、家族手当

求人票の固定残業代は時間外労働への支払いにあたるので、比べる額に含めません。含めたまま割ると、時給が実際より高く出ます。

歩合給の時間額への換算

歩合給のように出来高払制で決まる賃金は、その総額を、その賃金計算期間に働いた総労働時間で割って時間額に直し、最低賃金と比べます。基本給が日給で手当が月給のように組み合わさっている場合は、それぞれを時間額に直して合計します(厚生労働省)。

労働基準法は、出来高払制その他の請負制で使用する労働者について、労働時間に応じた一定額の賃金の保障を使用者に求めています(e-Gov法令検索)。歩合の割合が高い求人では、保障給の額と、歩合を何の数字から計算するのかを書面で確かめてください。雪で走れる距離が減る月の収入も、この2つが分かれば見積もれます。

富山の運送会社選びでよくある質問

処分を受けた運送会社はどこで調べられますか

北陸信越運輸局が、新潟・長野・富山・石川の4県分の行政処分等を月ごとの一覧で公開しており、累積点数が21点以上の事業者の一覧も置いています(北陸信越運輸局)。全国分は国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで調べられます(国土交通省)。

未経験で入社すると乗務の前に指導を受けられますか

一般貨物と特定貨物の事業者は、新たに雇い入れた運転者に、法令などの指導を15時間以上と安全運転の実技を20時間以上、その会社で初めて乗務する前に行うことになっています。やむを得ない事情があれば、乗務を始めてから1か月以内です。その会社で初めて乗務する前の3年間に、他の一般貨物や特定貨物の事業者で運転者として常時選任されたことがある人は、この指導の対象外です。軽貨物の事業者では、指導の時間などの決まりが異なります(国土交通省)。

大雪で遅れた時間も拘束時間に数えますか

原則として数えます。警報が出ている異常気象に遭遇して運転中に正常な運行が難しくなった場合は、運転日報と気象情報の写しなどで確かめられる時間に限り、1日の拘束時間などの計算から除けます。1か月の拘束時間からは除けず、勤務の後には通常どおりの休息期間が必要です(厚生労働省)。

富山県の最低賃金はいくらですか

令和8年10月1日から時間額1,119円です。改定前は、令和7年10月12日に効力が発生した1,062円でした(富山労働局)。

一覧を探す前に入社後の指導の予定を尋ねよう

富山の運送会社を見分ける材料は、北陸信越運輸局と富山労働局、業界団体がすでに公開しています。令和8年4月分から9月分までの富山県内の処分では、事故を起こした運転者や新しく雇い入れた運転者などへの特別な指導と適性診断の違反が8件中6件に挙がりました。

事業の区分と処分の一覧、公表事案に目を通したうえで、一人で乗務するまでの指導と初任診断の予定、点呼の方法、雪の時期の拘束時間の実績を尋ねてみてください。一覧に名前がないことを安心の材料にするのではなく、入社した日からの指導を具体的に説明できる会社を選んでいきましょう。

この記事の調査・執筆

就活キャリア研究所編集部

就活キャリア研究所編集部

就活キャリア研究所編集部は、就職・転職活動に役立つ企業情報やキャリアに関する情報を調査・発信する編集チームです。
企業の公式サイトや採用ページ、公開資料などをもとに、事業内容・年収・福利厚生・働く環境・口コミ・評判などを幅広く調査しています。
また、自己分析や面接対策、キャリア形成に関する情報も発信し、就活生や転職希望者が自分に合った企業・仕事を見つけられるよう、正確性と客観性を重視した記事制作に取り組んでいます。

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