出版業界の大手企業ランキング|上場9社の売上高と講談社など非上場の大手

「出版業界の大手といえば講談社、集英社、小学館」。漫画や雑誌でおなじみの名前なので、業界研究をこの3社から始める人は多いはずです。ところが3社はいずれも株式を上場しておらず、金融庁のEDINETに有価証券報告書を出していません。売上高や平均年収を同じ物差しで並べられるのは、上場している出版社に限られます。

2026年10月28日時点でEDINETに公開されている最新の有価証券報告書で、出版を主な事業とする上場会社9社の売上高を比べると、1位はKADOKAWAの2,829億円です。2位のアルファポリスは166億円で、KADOKAWAはその17倍の規模があります。3位以下の7社は、売上高が30億円台から120億円台に並びます。

本記事では、9社の売上高と事業を有価証券報告書の原文から並べ、平均年間給与の比べ方、講談社などがランキングに載らない理由、出版社を見比べる視点、自分で確かめる手順まで、就活キャリア研究所の視点で順にお伝えします。

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目次

出版業界の大手企業ランキング上場9社

出版業界の大手企業を、上場している出版社の売上高の大きい順に並べると、次のとおりです。数字は各社の有価証券報告書にある「主要な経営指標等の推移」の売上高(オーバーラップホールディングスは国際会計基準の売上収益)で、億円未満を切り捨てています。

  1. KADOKAWA:2,829億円
  2. アルファポリス:166億円
  3. 文溪堂:121億円
  4. TOブックス:117億円
  5. オーバーラップホールディングス:85億円
  6. スターツ出版:81億円
  7. SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ:70億円
  8. 昭文社ホールディングス:67億円
  9. 中央経済社ホールディングス:32億円

対象は、2026年9月末時点で東京証券取引所に上場している会社と、名古屋証券取引所に上場している文溪堂のうち、有価証券報告書の「事業の内容」で出版物の発行・販売を主な事業に挙げ、出版の事業が売上高の半分を超える会社です(日本取引所グループ)。

決算期は、TOブックスが2026年4月期、オーバーラップホールディングスが2025年8月期、スターツ出版が2025年12月期、中央経済社ホールディングスが2025年9月期で、ほかの5社は2026年3月期です。スターツ出版(スターツ出版有価証券報告書)とTOブックス(TOブックス有価証券報告書)は、連結財務諸表を作成していないため、単体の売上高です。ほかの7社は連結の売上高です。

売上高2,000億円を超えるKADOKAWA

KADOKAWAは、出版・IP創出、アニメ・実写映像、ゲーム、Webサービス、教育・EdTechの事業を持つ会社です。2026年3月期の外部顧客への売上高では、書籍・雑誌や電子書籍を扱う出版・IP創出事業が1,536億円で、全体の半分強を占めます。アニメ・実写映像事業は472億円、ゲーム事業は296億円です(KADOKAWA有価証券報告書)。

連結の従業員数は7,332人で、そのうち3,053人が出版・IP創出事業に所属しています(KADOKAWA有価証券報告書)。

売上高100億円台の3社

2位のアルファポリス、3位の文溪堂、4位のTOブックスは、売上高が100億円台です。

アルファポリスは、自社が運営する小説・漫画の投稿サイトに投稿された作品から書籍にするものを選び、編集して全国の書店や電子書店で販売しています。2026年3月期にアニメ制作会社2社の全株式を取得して連結子会社にしたため、連結の売上高は2026年3月期の分から載っています。出版事業が161億円で、アニメ制作事業は4億円台です(アルファポリス有価証券報告書)。

文溪堂は、小学校向けの教育図書と市販図書を製造・販売し、子会社の学宝社が中学校向けの教育図書を扱っています。売上高のうち出版が83億円で69.1%、裁縫セットや家庭科布教材などの教具が37億円で30.9%です(文溪堂有価証券報告書)。

TOブックスは、主に小説投稿サイトのWeb小説から作品を見つけて書籍やコミックにし、アニメや舞台などにも広げています。2026年2月13日に東京証券取引所スタンダード市場に上場しました。2026年4月期の売上高のうち、電子書籍が90億円、紙の書籍が12億円です(TOブックス有価証券報告書)。

売上高30億〜80億円台の5社

5位から9位のオーバーラップホールディングス、スターツ出版、SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ、昭文社ホールディングス、中央経済社ホールディングスは、売上高が30億円台から80億円台に並びます。

オーバーラップホールディングスは持株会社で、子会社のオーバーラップなどが、ライトノベルやマンガを中心に作品を出版し、アニメやゲームにも広げています。2025年10月3日に東京証券取引所グロース市場に上場しました。2025年8月期の売上収益のうち、電子書籍が57億円、紙の書籍が15億円です(オーバーラップホールディングス有価証券報告書)。

スターツ出版は、小説投稿サイト「野いちご」などの運営と文庫やコミックの発行を行う書籍コンテンツ事業が48億円、女性向けライフスタイル誌「オズマガジン」やポータルサイト「オズモール」などのメディアソリューション事業が33億円です。議決権の69.6%を、間接所有を含めて親会社のスターツコーポレーションが持っています(スターツ出版有価証券報告書)。

SEホールディングス・アンド・インキュベーションズは純粋持株会社です。IT・ビジネス・デザイン分野などの書籍を発行する子会社の翔泳社が出版事業を担い、その売上高は40億円です(SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ有価証券報告書)。昭文社ホールディングスは、子会社の昭文社が市販出版物の販売などを行うメディア事業が46億円、地図・ガイドのデータベースを販売するソリューション事業が18億円です(昭文社ホールディングス有価証券報告書)。中央経済社ホールディングスは、経営・経済・法律・会計・税務などの専門書と、「企業会計」「旬刊経理情報」などの雑誌を出版しています(中央経済社ホールディングス有価証券報告書)。

出版業界のランキングが分かりにくい3つの理由

出版業界のランキングが一覧ごとに食い違うのは、大手の一部が上場していないこと、出版以外の事業や本を届ける側の会社が混ざること、平均年収の対象が会社ごとに違うことの3つが重なるからです。

講談社・集英社・小学館が上場していないから

講談社、集英社、小学館は、日本取引所グループが公表している2026年9月末時点の上場銘柄の一覧に載っていません(日本取引所グループ)。金融庁のEDINETでも、3社が提出した有価証券報告書はありません(金融庁)。

会社のサイトで公開している数字も、3社でそろっていません。講談社は会社概要に、売上高1,710億円(2024年度)と従業員数972人(2025年4月現在)を載せています(講談社)。集英社は社員数739名(2026年8月1日現在)を載せていますが(集英社)、売上高はありません。小学館も、会社概要に載っているのは社員数725名(2026年4月1日現在)と資本金で、売上高はありません(小学館)。非上場の3社の売上高を載せた一覧を見るときは、その数字の出どころを確かめましょう。

出版以外の事業や流通の会社が混ざるから

出版を事業の一部に持つ会社や、本を読者に届ける側の会社も、出版業界のランキングに入ることがあります。学研ホールディングスは2025年9月期の売上高が1,991億円です。学習塾や出版物などの教育分野が953億円なのに対し、サービス付き高齢者向け住宅や認知症グループホームなどの医療福祉分野が950億円あり、売上高の半分近くを占めます(学研ホールディングス有価証券報告書)。ゼンリンの2026年3月期の売上高642億円は、住宅地図帳も含む位置情報サービスの事業の数字です(ゼンリン有価証券報告書)。

メディアドゥは2026年2月期の売上高が1,085億円で、上場している出版社で2位のアルファポリスを大きく上回ります。ただし同社の主な業務は、出版社などから預かった電子書籍のデータを電子書店に届ける取次です(メディアドゥ有価証券報告書)。本を作る会社と本を届ける会社を同じ順位表に並べると、売上高の意味が変わります。

平均年収が持株会社の従業員の数字だから

有価証券報告書の「平均年間給与」は、報告書を出した会社自身の従業員の平均です。学研ホールディングスの平均年間給与は963万4,329円ですが、対象は持株会社で働く85人で、連結の従業員10,120人のうちの一部です(学研ホールディングス有価証券報告書)。SEホールディングス・アンド・インキュベーションズも、報告書を出した会社自身の従業員は6人です(SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ有価証券報告書)。

この点は、2026年3月31日以後に終わる事業年度の報告書から変わりました。子会社の経営管理を主な業務とする会社は、外国の会社を除く連結子会社のうち従業員数が最も多い「最大人員会社」の平均年間給与なども載せることになっています(金融庁)。学研ホールディングスの2025年9月期の報告書は、この決まりが適用される前のものです。持株会社の年収を見るときは、最大人員会社の欄があるかを先に確かめましょう。

出版大手を見比べる4つの視点

出版大手を見比べる4つの視点を示した図(本の種類・紙と電子・返品の仕組み・年齢と勤続)

出版大手の違いは、売上高の順位よりも、次の4つを有価証券報告書と業界団体の統計で見比べると見えてきます。

  1. 本の種類:誰に向けた本で売上を立てているかを見る
  2. 紙と電子:電子書籍の売上がどれだけあるかを見る
  3. 返品の仕組み:書店から戻ってくる本の扱いを知る
  4. 年齢と勤続:年収と平均年齢・勤続年数を並べて見る

本の種類

同じ出版社でも、本の読者と売り先は会社ごとに大きく違います。文溪堂の主力商品はテストやドリルなどの出版物と裁縫セットなどの教具で、小学校・中学校向けの売上が全体の約90%を占め、販売は全国の特約代理店に委託しています。教科書の改訂に合わせて自社の出版物も改訂しており、小学校用の教科書は2024年度、中学校用は2025年度に改訂されました(文溪堂有価証券報告書)。

アルファポリスとスターツ出版は、自社で運営する小説などの投稿サイトを起点に本を作っています。アルファポリスは、書籍にする作品を選ぶときにサイト内の読者の評価を参考にし、漫画にする作品もWebサイトで公開して人気を確かめてから出版しています(アルファポリス有価証券報告書)。同じ編集の仕事でも、投稿サイトで作家を探すことから始まるのか、学校の授業に合わせて教材を作ることから始まるのかで、毎日の中身は変わります。

紙と電子

紙の本と電子書籍の売上は、逆の向きに動いています。出版科学研究所の推計では、2025年の出版市場は1兆5,462億円で、紙は前年より4.1%少ない9,647億円、電子は2.7%多い5,815億円でした。電子のうち5,273億円を電子コミックが占めています(出版科学研究所)。2026年1〜6月も、紙は前年同期より3.1%減り、電子は2.0%増えました(出版科学研究所)。

会社ごとの紙と電子の比率は、有価証券報告書で確かめられることがあります。KADOKAWAの出版・IP創出事業では、2026年3月期に紙の書籍・雑誌とWebメディアの売上が834億円、電子書籍・電子雑誌が610億円でした(KADOKAWA有価証券報告書)。アルファポリスでは漫画のジャンルが売上高の約78%を占め、同社はその理由に、電子書籍との親和性の高さと電子書籍の販売体制の強化を挙げています(アルファポリス有価証券報告書)。

返品の仕組み

紙の本は、書店に並んだ後でも出版社に戻ってくることがあります。スターツ出版の報告書によると、出版業界の慣行として、取次や書店に配本した本を、決められた期間内なら返品として受け入れる委託販売制度がとられています(スターツ出版有価証券報告書)。

戻ってくる本の割合は小さくありません。出版科学研究所によると、2025年の書籍の返品率は31.9%で、前年より大きく改善しました。週刊誌は、返品率が初めて5割を超えています(出版科学研究所)。スターツ出版は、返品率を下げる対策として、計画的な刊行と電子書籍の販売の拡大を挙げています(スターツ出版有価証券報告書)。面接では、刷る部数を誰がどのように決めているかを尋ねてみてください。

年齢と勤続

平均年間給与は、平均年齢や平均勤続年数と並べて読むと意味が変わります。8社の数字を、平均年間給与の高い順に並べると次のとおりです。持株会社のうち、SEホールディングス・アンド・インキュベーションズと昭文社ホールディングスは最大人員会社の翔泳社と昭文社の数字、中央経済社ホールディングスは持株会社自身の数字です。ほかの5社は、報告書を出した会社自身の数字です。

  1. KADOKAWA:41.6歳・4.8年・871万5,000円
  2. アルファポリス:34.8歳・5.6年・670万9,000円
  3. 中央経済社ホールディングス:40歳・13年・657万8,337円
  4. 翔泳社:37歳8か月・10年0か月・657万2,141円
  5. 昭文社:46.6歳・4.6年・655万7,627円
  6. 文溪堂:41.1歳・13.6年・638万6,488円
  7. スターツ出版:34.8歳・9.5年・611万1,246円
  8. TOブックス:30.9歳・3.6年・530万2,000円

時点は、TOブックスが2026年4月30日、スターツ出版が2025年12月31日、中央経済社ホールディングスが2025年9月30日、ほかの5社が2026年3月31日です。翔泳社は160人(SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ有価証券報告書)、昭文社は102人の平均です(昭文社ホールディングス有価証券報告書)。中央経済社ホールディングスの数字は、グループの91人のうち持株会社で働く69人の平均です(中央経済社ホールディングス有価証券報告書)。オーバーラップホールディングスは、2025年8月期の報告書に持株会社で働く6人の数字しかないため、この並びに入れていません(オーバーラップホールディングス有価証券報告書)。

KADOKAWAの報告書には、平均勤続年数を2019年7月1日を起算日として計算したと注記されています(KADOKAWA有価証券報告書)。同社は2019年7月に、子会社だった株式会社KADOKAWAの全ての事業を吸収分割で引き継ぎ、今の商号に変わりました。昭文社は、2019年10月に準備会社として設立され、2020年4月の持株会社体制への移行で今の社名になった会社です(昭文社ホールディングス有価証券報告書)。勤続年数が短く見えても、数え始めの日の注記や会社ができた時期を確かめてから比べてください。

有価証券報告書で出版大手を確かめる手順

出版業界の大手企業ランキングについて公開されている情報を確かめている場面のイラスト

上場している出版社の数字は、次の3つの手順で確かめられます。

STEP1

金融庁のEDINETで会社名を入れて書類を検索し、書類の種類が「有価証券報告書」で、事業年度が最も新しいものを開きます(金融庁)。同じ事業年度の訂正報告書が出ていれば、訂正された箇所もあわせて確かめます。

STEP2

「事業の内容」と、「経理の状況」の注記にあるセグメント情報で、出版の事業が売上高のどれだけを占めるかを確かめます。収益認識関係の注記で、紙と電子の売上を分けて載せている会社もあります。

STEP3

「従業員の状況」で、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与を確かめます。持株会社なら最大人員会社の欄も見て、表の下の注記に勤続年数の起算日などが書かれていないかも読みます。

非上場の出版社は、会社のサイトの会社概要で、公開している数字を確かめます。採用説明会や面接で、配属される部署の仕事と給与の決め方を尋ねるのが近道です。

業界全体の動きは、出版科学研究所が1月に前の年の、7月にその年の上半期の出版市場の推計を発表しています(出版科学研究所)。会社の報告書と業界の推計を並べると、市場が縮んでいる紙の本と伸びている電子書籍のどちらに会社の売上が寄っているかが分かります。

出版業界の大手企業でよくある質問

出版業界の大手企業について、就職活動で出やすい4つの疑問に、有価証券報告書と業界団体の数字で答えます。

出版業界で売上高が一番大きい会社はどこ?

上場している出版社では、KADOKAWAです。2026年3月期の連結売上高は2,829億円です(KADOKAWA有価証券報告書)。非上場の会社を含めた順位は、集英社と小学館が会社概要に売上高を載せていないため、有価証券報告書と会社概要では決められません。

集英社や小学館の平均年収は調べられる?

EDINETでは調べられません。2社とも有価証券報告書を出していないためです。会社概要には社員数が載っており、集英社は739名(2026年8月1日現在)(集英社)、小学館は725名(2026年4月1日現在)です(小学館)。給与は、採用の説明会や面接で尋ねてください。

学研は出版社ではないの?

出版の事業も持つ持株会社です。学研ホールディングスのグループは、学習塾などの教育サービス、出版物の発行や保育用品などの製作販売、サービス付き高齢者向け住宅などの介護施設の運営を行っています。2025年9月期の売上高1,991億円のうち、医療福祉分野が950億円を占めます(学研ホールディングス有価証券報告書)。

出版の市場は縮んでいるの?

紙と電子を合わせた市場は縮んでいます。出版科学研究所によると、2025年の出版市場は1兆5,462億円で前年より1.6%減り、4年続けて前年を下回りました(出版科学研究所)。2026年1〜6月は7,664億円で、前年同期より1.3%少なくなっています(出版科学研究所)。

本の種類と売上の中身を確かめて選ぼう

出版業界の大手企業は、上場している出版社で比べるとKADOKAWAが売上高2,829億円で突出し、アルファポリスから中央経済社ホールディングスまでの8社が30億円台から160億円台に並びます。講談社、集英社、小学館は上場しておらず、有価証券報告書で同じ物差しを当てることはできません。

会社ごとの違いが表れるのは、順位よりも中身です。誰に向けた本で稼いでいるか、紙と電子のどちらが伸びているか、返品をどう減らそうとしているか。気になる会社の有価証券報告書で事業の内容と従業員の状況を開き、自分が作りたい本と働き方に合うかを確かめてみてください。

この記事の調査・執筆

就活キャリア研究所編集部

就活キャリア研究所編集部

就活キャリア研究所編集部は、就職・転職活動に役立つ企業情報やキャリアに関する情報を調査・発信する編集チームです。
企業の公式サイトや採用ページ、公開資料などをもとに、事業内容・年収・福利厚生・働く環境・口コミ・評判などを幅広く調査しています。
また、自己分析や面接対策、キャリア形成に関する情報も発信し、就活生や転職希望者が自分に合った企業・仕事を見つけられるよう、正確性と客観性を重視した記事制作に取り組んでいます。

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