「TOPPANに入れば、平均年収は868万円くらいだろう」。TOPPANホールディングスの有価証券報告書に、提出会社の平均年間給与として868万2,435円が載っているため、そう受け取る就活生や転職者もいるかもしれません。ところが、この数字は持株会社で働く1,430人の平均で、1,430人は全員が出向者です。グループの中心で事業を営むTOPPAN株式会社の7,896人の平均年間給与は、779万7,990円です。
2つの数字は、どちらもTOPPANホールディングスが2026年6月24日に提出した有価証券報告書に載る、2026年3月31日時点のものです。同じ報告書によると、国内の連結子会社で2番目に従業員が多いTOPPANコミュニケーションプロダクツは4,521人で、平均年間給与は598万3,081円でした。
本記事では、3社の年収ランキングと、売上高・従業員数・資本金で並べた国内子会社の順位から、2026年4月の合併で変わった顔ぶれ、公開資料で自分で確かめる手順まで、就活キャリア研究所の視点で順にお伝えします。
TOPPANグループ3社の年収ランキング
TOPPANホールディングスの有価証券報告書で平均年間給与が分かるのは、持株会社のTOPPANホールディングスと、子会社のTOPPAN、TOPPANコミュニケーションプロダクツの3社です。2026年3月31日時点の数字を高い順に並べると、次のとおりです(EDINET)。
- TOPPANホールディングス 868万2,435円:従業員1,430人、平均年齢42.8歳、平均勤続年数15.9年
- TOPPAN 779万7,990円:従業員7,896人、平均年齢42.9歳、平均勤続年数14.7年
- TOPPANコミュニケーションプロダクツ 598万3,081円:従業員4,521人、平均年齢47.4歳、平均勤続年数22.8年
3社とも、平均年間給与には賞与と基準外賃金を含みます。前の事業年度からの増減率は、TOPPANホールディングスがプラス6.3%、TOPPANがプラス6.4%、TOPPANコミュニケーションプロダクツがプラス1.4%です。
1位と2位の差は約88万円、2位と3位の差は約181万円です。同じTOPPANの名前が付く会社でも、平均年間給与には約270万円の幅があります。
持株会社の1,430人は全員が出向者
TOPPANホールディングスで働く1,430人は、全員が出向者です。報告書の労働組合の欄に、従業員が出向者だけなので組合員数を出向元に含めている、と書かれています。1,430人は前の年度末より293人少なく、報告書は組織運営を見直して出向者が減ったことを主な理由に挙げています。
TOPPANホールディングスは、2023年10月1日に持株会社体制に移り、社名を凸版印刷株式会社から変えました。提出会社の従業員は、2023年3月期の10,843人から、2024年3月期には1,676人になっています。2023年3月期までの報告書にある提出会社の数字は、事業を営んでいた凸版印刷の数字で、持株会社になった後の数字とは中身が違います。
TOPPANと製造を担う子会社の違い
TOPPANは、TOPPANホールディングスが議決権の100%を持つ事業会社で、2023年3月1日に設立されました(TOPPANホールディングス)。報告書の「事業の内容」の表では、情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクスの3つの事業分野すべてで、「製造販売」の会社として載っています。
TOPPANコミュニケーションプロダクツは、2009年4月に凸版印刷の製造部門を分社化して設立された会社です。同じ表では、証券類やICカードなどのセキュアメディア関連と、書籍や雑誌、カタログなどのコミュニケーションメディア関連で、「製造」の欄に社名が載っています。公式サイトは、事業内容を製版、印刷、製本と、これらに関連する加工や製品の販売としています(TOPPANホールディングス)。
TOPPANコミュニケーションプロダクツの平均年齢はTOPPANより4.5歳高く、平均勤続年数は8.1年長くなっています。このほかに、年間平均で1,073人の臨時従業員がいます。製造を担う会社と、製造も販売も担う会社の平均を並べても、同じ職種どうしの差は分かりません。志望する職種の給与の決め方は、会社説明会や面接で尋ねてください。
ほかの子会社の年収が載らない理由
ほかの子会社の年収が載らないのは、社名が載る子会社に自社の有価証券報告書を出している会社がなく、TOPPANホールディングスの報告書にも一部の会社の分しか載らないためです。報告書の「関係会社の状況」で有価証券報告書の提出会社と書かれているのは、持分法適用関連会社の3社だけです。
TOPPANとTOPPANコミュニケーションプロダクツの数字が載ったのは、金融庁が2026年2月20日に公表した改正によるものです。2026年3月31日以後に終わる事業年度の報告書から、子会社の経営管理を主な業務とする会社は、最大人員会社の平均年間給与なども載せることになりました(金融庁)。
最大人員会社とは、外国の会社を除く連結子会社のうち、従業員数が最も多い会社のことです。その会社の従業員数が連結の従業員数の過半数を超えないときは、次に従業員数が多い会社も含みます。TOPPANの7,896人は連結の54,371人の過半数に届かないため、TOPPANコミュニケーションプロダクツの数字も載っています。
規模で並べた国内子会社の順位
TOPPANホールディングスの国内の子会社は、売上高と従業員数のどちらで見ても、報告書に数字が載る会社の中ではTOPPANが1位です。一方、資本金で並べると、TOPPANは上位2社に入りません。
売上高の上位2社
報告書に個別の売上高が載っている子会社は、TOPPANとTOPPANエッジの2社です。グループ内の取引を除いた売上高が、連結売上高の10%を超えているためです。2026年3月期の数字は次のとおりです。
- TOPPAN:売上高6,826億9,500万円、当期純利益137億9,300万円
- TOPPANエッジ:売上高2,540億2,300万円、当期純損失3億円
2つの売上高は、グループ内の会社との取引も含む各社自身の数字です。TOPPANホールディングスの連結売上高は、1兆8,050億3,300万円でした。
従業員数の上位2社
国内の連結子会社で従業員数が最も多いのはTOPPANの7,896人で、2番目はTOPPANコミュニケーションプロダクツの4,521人です。どちらも2026年3月31日時点の人数で、報告書の「最大人員会社の状況」の欄に載っています。
最大人員会社の決め方から、ほかの国内の連結子会社に4,521人を上回る会社はないことになります。売上高で2位のTOPPANエッジは、従業員数では上位2社に入りません。
資本金の上位10社
報告書の「関係会社の状況」に社名が載る国内の子会社20社を資本金で並べると、1位は電子書籍ストアを営むBookLiveの27億3,000万円です。上位10社は次のとおりです。
- 1位 BookLive:27億3,000万円
- 2位 TOPPAN・TOMOEGAWAオプティカルフィルム:14億300万円
- 3位 TOPPANなど6社:5億円
- 9位 タマポリ:4億7,200万円
- 10位 TOPPANコスモ:4億円
3位の6社は、TOPPAN、TOPPANエッジ、TOPPANデジタル、TOPPANクロレ、トータルメディア開発研究所、TOPPANインフォメディアです。残る10社は、TOPPANコミュニケーションプロダクツなど8社が1億円、東京書籍が8,000万円、フレーベル館が5,000万円です。
売上高6,826億円のTOPPANも資本金は5億円で、ほかの5社と同じ額です。資本金の順位は事業の大きさを表しません。
合併と上場で変わった子会社の顔ぶれ
TOPPANホールディングスの子会社の顔ぶれは、2026年4月1日の合併と、2025年10月のテクセンドフォトマスクの上場で変わりました。2026年4月の合併では、TOPPANがTOPPANエッジとTOPPANデジタルを吸収合併し、報告書が「事業会社」と呼ぶ3社が1つになっています。
合併したTOPPANエッジとTOPPANデジタル
TOPPANエッジの前身は、1998年3月に東京証券取引所市場第一部に上場したトッパン・フォームズです。2022年3月に凸版印刷の完全子会社となり、2023年4月に凸版印刷のセキュア事業を引き継いで、TOPPANエッジに社名を変えました。合併の前は、ハイブリッドBPO事業やセキュアプロダクト事業などを営んでいました。
TOPPANデジタルは、グループ全体のDX事業戦略の策定や、DX事業の創出と推進、ITインフラの提供などを担っていた会社です。合併は2025年3月13日の取締役会で決まり、2025年9月25日に合併契約が結ばれました。
報告書に載るTOPPANエッジの売上高や女性管理職の割合は、合併前の2026年3月31日までの数字です。2026年4月1日からは、TOPPANエッジとTOPPANデジタルという会社はありません。TOPPANの7,896人も、合併前のTOPPANだけの人数です。
関連会社になったテクセンドフォトマスク
テクセンドフォトマスクは、半導体関連のフォトマスクを製造、販売する会社で、2021年12月にトッパンフォトマスクとして設立されました。2025年10月に東京証券取引所プライム市場に上場し、TOPPANホールディングスの連結子会社から持分法適用関連会社に変わりました。2026年3月31日時点の議決権の所有割合は46.6%です。
公式サイトの「主なグループ企業」のページには、テクセンドフォトマスクがエレクトロニクスの会社として載っています(TOPPANホールディングス)。グループ企業の一覧に載っていても、子会社とは限りません。
TOPPANグループの子会社を比べる4つのポイント

年収が分からないTOPPANグループの子会社は、有価証券報告書と公式サイトで確かめられる次の4つのポイントで比べます。
- 議決権の所有割合
- 製造と販売の分担
- 子会社か関連会社か
- 女性管理職と男女の賃金の差異
議決権の所有割合
議決権の所有割合を見ると、TOPPANホールディングスのほかに株主がいる会社かどうかが分かります。「関係会社の状況」に社名が載る国内の子会社20社のうち、15社はTOPPANホールディングスが議決権の100%を持っています。100%に満たないのは次の5社です。
- 東京都チャレンジドプラスTOPPAN:51.0%
- 東京書籍:58.7%
- BookLive:61.0%
- タマポリ:64.2%
- TOPPAN・TOMOEGAWAオプティカルフィルム:84.9%
教科書や一般の出版物を発行する東京書籍は、TOPPANホールディングスが議決権の58.7%を持つ子会社です。社名にTOPPANが付かない子会社もあります。東京書籍のほか、フレーベル館やBookLive、タマポリなども、社名だけではグループの会社だと分かりません。
製造と販売の分担
報告書の「事業の内容」の表は、事業ごとの主な会社を「製造販売」と「製造」に分けて載せています。「製造」の欄にだけ社名が載る国内の子会社は、次の6社です。
- TOPPANコミュニケーションプロダクツ
- TOPPANグラフィックコミュニケーションズ
- TOPPANパッケージプロダクツ
- TOPPANプラスチック
- TOPPAN建装プロダクツ
- TOPPANエレクトロニクスプロダクツ
この6社の組合員は、TOPPANやTOPPANコスモの組合員と同じTOPPAN労働組合に入っています。2026年3月31日時点の組合員は、8社で合わせて13,508人です。
子会社か関連会社か
公式サイトの「主なグループ企業」のページには、子会社と関連会社が区別なく並んでいます(TOPPANホールディングス)。印刷インキなどを製造、販売するartienceもこのページに載っていますが、報告書では、TOPPANホールディングスが議決権の22.4%を持つ持分法適用関連会社です。
議決権の過半数を持っていても、子会社にならない会社もあります。シンガポールのADVANCED SUBSTRATE TECHNOLOGIES PTE.LTD.は、議決権の50.1%を持ちながら、共同支配企業であるため持分法適用関連会社とされています。志望する会社が子会社か関連会社かは、「関係会社の状況」で、どちらの見出しの下に載っているかで見分けます。
女性管理職と男女の賃金の差異
報告書には、TOPPANホールディングスと主要な連結子会社について、管理職に占める女性の割合と、男女の賃金の差異が載っています。男女の賃金の差異は、男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の割合で、100%に近いほど差が小さいことを示します。
国内の主な会社の数字は次のとおりです。賃金の差異は、全労働者の値です。
- TOPPANホールディングス:女性管理職17.7%、男女の賃金の差異77.8%
- TOPPAN:女性管理職8.3%、男女の賃金の差異67.3%
- TOPPANコミュニケーションプロダクツ:女性管理職5.1%、男女の賃金の差異47.1%
- 東京書籍:女性管理職16.8%、男女の賃金の差異73.6%
- BookLive:女性管理職17.6%、男女の賃金の差異69.8%
製造の欄に社名が載る6社のうち、TOPPANプラスチック、TOPPAN建装プロダクツ、TOPPANエレクトロニクスプロダクツの3社は、女性管理職の割合が0.0%です。TOPPANホールディングスは自社の賃金の差異について、年齢構成や等級構成、女性に短時間勤務の人が多いこと、管理職の比率の差などによると説明しています。
公開資料でTOPPANグループの子会社を確かめる手順

TOPPANグループの子会社を自分で調べるときは、TOPPANホールディングスの有価証券報告書、公式サイトのグループ企業の一覧、厚生労働省のサイトの順に開きます。
金融庁のEDINETで「TOPPANホールディングス」の有価証券報告書を開きます(EDINET)。公式サイトの「有価証券報告書・半期報告書」のページにも、同じ報告書のPDFがあります(TOPPANホールディングス)。「関係会社の状況」で資本金と議決権の所有割合を、「従業員の状況等」で持株会社と最大人員会社の平均年間給与を確かめます。
公式サイトの「主なグループ企業」のページで、志望する会社の事業内容を確かめます(TOPPANホールディングス)。そのうえで報告書の「関係会社の状況」に戻り、その会社が連結子会社と持分法適用関連会社のどちらの見出しの下にあるかを見ます。表に社名がない会社は「その他」にまとめられているため、会社説明会などで資本関係を尋ねます。
有価証券報告書を出していない子会社の働き方は、厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」で社名を検索すると分かる場合があります(厚生労働省)。掲載されていない会社もあります。
2026年3月31日以後に終わる事業年度の報告書から、「従業員の状況」は「企業の概況」から「提出会社の状況」の中に移りました(金融庁)。前の年の報告書と見比べるときは、載っている場所が違います。
この記事の数字は、TOPPANホールディングスが2026年6月24日に提出した2026年3月期の有価証券報告書によるものです。翌年の報告書が出たら、同じ欄を開いて数字を見比べてください。
TOPPANグループの子会社に関するよくある質問
- TOPPANホールディングスの子会社は何社ありますか
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2026年3月31日時点の有価証券報告書では、連結子会社が247社、持分法適用非連結子会社が8社です。このほかに、持分法適用関連会社が28社あります(EDINET)。2026年8月12日の2027年3月期第1四半期決算短信では、TOPPANエッジなど2社が合併で連結の範囲から外れています。
- TOPPANエッジの平均年収は分かりますか
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有価証券報告書では分かりません。TOPPANエッジは2026年3月期の有価証券報告書を出しておらず、TOPPANホールディングスの報告書にもTOPPANエッジの平均年間給与は載っていません。TOPPANの779万7,990円は合併前の2026年3月31日時点の数字なので、合併でTOPPANの社員になった旧TOPPANエッジの社員は含まれていません。
- TOPPANグループの子会社で上場している会社はありますか
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2026年3月31日時点の報告書で、有価証券報告書の提出会社と書かれているのは、持分法適用関連会社のartience、丸東産業、テクセンドフォトマスクの3社です。社名が載る子会社には、この記載がありません。かつて東京証券取引所に上場していたトッパン・フォームズは、2022年3月に完全子会社となり、のちにTOPPANエッジに社名を変えました。
- TOPPANグループの従業員は何人ですか
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2026年3月31日時点で、連結の従業員は54,371人です。事業分野ごとの内訳は、情報コミュニケーション事業分野が30,124人、生活・産業事業分野が19,336人、エレクトロニクス事業分野が3,342人、全社(共通)が1,569人です。情報コミュニケーション事業分野は、2027年3月期から「情報ソリューション事業分野」に名前が変わりました(TOPPANホールディングス)。
子会社の年収は誰の平均かを確かめよう
TOPPANホールディングスの868万2,435円は、持株会社で働く1,430人の出向者の平均です。事業会社のTOPPANは779万7,990円、製造を担うTOPPANコミュニケーションプロダクツは598万3,081円でした。資本金の1位はBookLiveですが、従業員数が最も多く、報告書に載る売上高でも最も大きい国内の子会社はTOPPANです。
TOPPANエッジとTOPPANデジタルの合併や、テクセンドフォトマスクの上場のように、子会社の顔ぶれは年ごとに変わります。志望する子会社の数字は、どの会社の、何人の、いつ時点の平均かを確かめてから比べてください。

