倉庫業界の大手企業ランキング|営業収益の順位と倉庫の収入・不動産の利益

「倉庫業界の大手といえば、三菱倉庫、三井倉庫、住友倉庫」。社名に倉庫が付き、明治から続く3社を思い浮かべる人は多いはずです。ところが有価証券報告書の営業収益で順位を付けると、1位は三井倉庫ホールディングスですが、2位には神戸港の貨物の運搬から始まった上組が、4位には食品の物流を担うキユーソー流通システムが入り、住友倉庫は5位です。

東京証券取引所の業種分類で「倉庫・運輸関連業」に入る会社を、2026年10月27日時点で最新の有価証券報告書の連結営業収益で並べました。1位は三井倉庫ホールディングスの2,994億円、2位は上組の2,947億円、3位は三菱倉庫の2,734億円です。倉庫の収入を分けて載せている6社では、倉庫の収入はどれも営業収益の半分に届かず、三菱倉庫では不動産事業が物流事業に近い営業利益を上げています。

本記事では、上位8社の営業収益と事業の中身、ランキングが分かりにくい理由、倉庫の収入や不動産の利益で見比べる方法、有価証券報告書で確かめる手順を、就活キャリア研究所の視点で順にお伝えします。

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目次

倉庫業界の大手企業ランキング上位8社

倉庫業界の大手企業を連結営業収益の大きい順に並べると、上位8社は次のとおりです。数字は各社の有価証券報告書にある「主要な経営指標等の推移」の連結の営業収益で、日本トランスシティは売上高です。億円未満は切り捨てています。

  1. 三井倉庫ホールディングス:2,994億円
  2. 上組:2,947億円
  3. 三菱倉庫:2,734億円
  4. キユーソー流通システム:2,026億円
  5. 住友倉庫:1,962億円
  6. 日本トランスシティ:1,255億円
  7. 安田倉庫:800億円
  8. 澁澤倉庫:797億円

対象は、2026年9月末時点の東証上場銘柄一覧で、33業種の区分が「倉庫・運輸関連業」の31社です(日本取引所グループ)。決算期はキユーソー流通システムが2025年11月期で、ほかの7社は2026年3月期です。

営業収益が2,000億円を超える4社

1位から4位までの4社は、連結営業収益が2,000億円を超えています。三井倉庫ホールディングスは、1909年に三井銀行倉庫部から東神倉庫として独立した会社で、2014年10月に持株会社制に移りました。グループは同社と子会社74社、関連会社6社で構成され、事業は物流事業と、ビル賃貸業を中心とする不動産事業に分かれます。連結の従業員数は7,654人です。

上組は、神戸港の開港当時に、運上所(税関)に出入りする貨物の運搬を請け負う「神戸浜仲」として創業した会社です。物流事業では、港湾荷役やコンテナターミナルの運営などの港湾運送のほか、倉庫業、自動車運送業、国際輸送業を営み、連結の従業員数は4,389人です。

三菱倉庫は、1887年4月に三菱為換店の倉庫業務を継ぎ、東京・深川で設立された会社です。倉庫事業を中核に陸上運送、国際運送取扱、港湾運送を営み、ビル賃貸業を中心とする不動産事業も併せて営んでいます。連結の従業員数は4,991人です。

キユーソー流通システムは、1966年2月にキユーピーの倉庫部門から分かれて設立された会社です。食品の保管・荷役や全国共同配送を行う共同物流事業、コンビニエンスストアなどの物流センターを運営する専用物流事業などを営み、連結の従業員数は7,971人です。キユーピーは、同社の議決権の43.6%を持つ「その他の関係会社」です。

営業収益が1,000億円台の2社

5位の住友倉庫と6位の日本トランスシティは、連結営業収益が1,000億円台です。住友倉庫は、1899年7月に住友家の個人営業として大阪で倉庫業を始めた会社です。倉庫業、港湾運送業、国際輸送業、陸上運送業と不動産事業を営み、連結の従業員数は4,473人です。営業収益のうち302億円は、日本以外の国で計上しています。

日本トランスシティは、三重県四日市市に本店を置く会社です。1942年12月に四日市港運として設立され、倉庫業、港湾運送業、陸上運送業、国際複合輸送業を中心とする総合物流事業を営んでいます。連結の従業員数は2,442人です。

営業収益が800億円前後の2社

7位の安田倉庫と8位の澁澤倉庫は、連結営業収益が800億円前後で、差は2億8,800万円です。安田倉庫は1919年12月に興亜起業として創立し、1924年2月に横浜市で倉庫業を始めた会社で、連結の従業員数は2,581人です。澁澤倉庫は、1897年3月に澁澤榮一を営業主として東京・深川で創業した会社で、連結の従業員数は1,320人です。2社とも、物流事業と不動産事業の2つのセグメントを持っています。

倉庫業界のランキングが分かりにくい3つの理由

倉庫業界のランキングが一覧ごとに食い違って見えるのは、業界の範囲、決算の時期、平均年収の対象が、会社ごとにそろっていないからです。

港湾運送や食品物流の会社も入るから

東証の業種分類の「倉庫・運輸関連業」には、社名に倉庫が付く会社のほかに、港湾運送や食品物流などを営む会社も入っています。2位の上組は、港湾運送、倉庫業、自動車運送業、国際輸送業をまとめて物流事業としており、倉庫の収入を分けて載せていません(EDINET)。

4位のキユーソー流通システムは、食品の保管・荷役と全国共同配送を行う共同物流事業などを営んでいます。社名に倉庫が付く会社だけで並べると、上位5社は三井倉庫ホールディングス、三菱倉庫、住友倉庫、安田倉庫、澁澤倉庫の順になります。一覧を比べるときは、どの範囲の会社を「倉庫業界」としているかを先に確かめましょう。

決算月が違う会社があるから

上位8社のうち、キユーソー流通システムだけが11月決算です。2026年10月27日時点で最新の同社の有価証券報告書は、2024年12月1日から2025年11月30日までの2025年11月期のもので、ほかの7社の2026年3月期より4か月早く終わる期間の数字です。

4位のキユーソー流通システムと5位の住友倉庫の営業収益の差は、約64億円です。2社の順位は、キユーソー流通システムの2026年11月期の有価証券報告書が出た時点で、改めて比べ直す必要があります。

持株会社の年収がグループの一部の数字だから

有価証券報告書の平均年間給与は、報告書を出した会社自身の従業員の平均です。三井倉庫ホールディングスの平均年間給与は847万3,000円ですが、対象は不動産事業と管理部門で働く同社の291人で、連結の7,654人のごく一部です。報告書には、ほかに休職出向者738名が在籍していると注記されています。

三井倉庫ホールディングスは2014年10月の持株会社制への移行で、倉庫事業部門と港湾運送事業部門を三井倉庫株式会社として分社しました。倉庫事業を担う三井倉庫株式会社の社員の平均年間給与は、この報告書には載っていません。

倉庫大手の違いが表れる4つの視点

倉庫大手を見比べる4つの視点を示した図(倉庫の収入・不動産事業・主な荷主・年齢と勤続)

倉庫大手の違いは、営業収益の順位よりも、次の4つを有価証券報告書で見比べると見えてきます。

  1. 倉庫の収入:営業収益のうち倉庫で得た収入を見る
  2. 不動産事業:ビル賃貸などの利益の大きさを見る
  3. 主な荷主:特定の取引先に頼る度合いを見る
  4. 年齢と勤続:年収を平均年齢・勤続年数と並べて見る

倉庫の収入

倉庫の収入は、各社の連結損益計算書に載る営業収益の内訳で確かめられます。保管料と荷役料を分けて載せている4社の、2026年3月期の数字は次のとおりです。

  • 三井倉庫ホールディングス:倉庫保管料399億9,000万円、倉庫荷役料421億5,500万円
  • 三菱倉庫:倉庫保管料329億4,300万円、倉庫荷役料226億8,700万円
  • 安田倉庫:保管料107億2,200万円、倉庫作業料107億8,600万円
  • 澁澤倉庫:倉庫保管料99億6,400万円、倉庫荷役料75億8,400万円

保管料と荷役料の合計が営業収益に占める割合は、三井倉庫ホールディングスと安田倉庫が約27%、澁澤倉庫が約22%、三菱倉庫が約20%です(EDINET)。この4社では、営業収益の7割以上が運送や港湾、不動産などの仕事から生まれています。

ほかの会社は、倉庫の収入の数え方が違います。住友倉庫は国内の倉庫での保管と入出庫などを「倉庫業」とし、海外での保管や荷役は「国際輸送業」に入れています。倉庫収入は334億200万円で、営業収益の約17%です。

日本トランスシティは、保管料に荷役料、配送料、流通加工などの料金を加えた倉庫業の売上高を541億7,400万円としており、売上高の約43%を占めます。上組とキユーソー流通システムは、倉庫の収入を分けて載せていません。配属先で保管と荷役、運送のどの仕事を担当するかは、面接で尋ねておきたい点です。

不動産事業の利益

倉庫大手の多くは、物流事業と並ぶセグメントとして不動産事業を持っています。上位8社のうち不動産事業のセグメントを持つ5社の、2026年3月期のセグメントごとの営業利益は次のとおりです。

  • 三菱倉庫:物流事業126億9,300万円、不動産事業116億9,300万円(セグメント情報の表の、事業利益ではなく営業利益の行)
  • 澁澤倉庫:物流事業36億6,300万円、不動産事業31億3,400万円
  • 住友倉庫:物流事業135億3,800万円、不動産事業43億8,300万円
  • 安田倉庫:物流事業53億4,200万円、不動産事業20億2,600万円
  • 三井倉庫ホールディングス:物流事業244億6,300万円、不動産事業36億6,100万円

どれも全社の費用を差し引く前のセグメントの数字です。三菱倉庫の不動産事業の営業収益は362億5,100万円で、物流事業の2,386億2,800万円の約15%ですが、営業利益は物流事業の9割を超えます。澁澤倉庫も、不動産事業の営業利益が物流事業の8割を超えています(EDINET)。

上組は不動産賃貸事業を、重量建設機工事業などと合わせて「その他事業」に入れています。キユーソー流通システムと日本トランスシティは、不動産事業のセグメントを持っていません。

主な荷主

有価証券報告書の「主要な顧客ごとの情報」を見ると、特定の荷主に頼る度合いが分かります。上位8社で特定の取引先の名前を載せているのは、次の3社です。

  • 日本トランスシティ:住友電装(159億8,300万円)
  • 澁澤倉庫:サントリーロジスティクス(91億2,800万円)
  • キユーソー流通システム:日本アクセス(198億3,900万円)、キユーピー(124億5,800万円)

キユーソー流通システムは2025年11月期、ほかの2社は2026年3月期の数字です。住友電装は日本トランスシティの売上高の12.7%、サントリーロジスティクスは澁澤倉庫の営業収益の11.4%を占めます。キユーソー流通システムは1割に届かない取引先も載せており、営業収益に占める割合は日本アクセスが9.8%、キユーピーが6.2%です。1社の取引先が1割を超える会社では、その取引先の荷物の量の増減が、営業収益に表れやすくなります。

三菱倉庫、三井倉庫ホールディングス、住友倉庫、上組、安田倉庫の5社は、営業収益の10%以上を占める顧客がいないとしています(EDINET)。

平均年齢と平均勤続年数

平均年間給与は、平均年齢や平均勤続年数と並べて読むと意味が変わります。上位8社の、報告書を出した会社自身の数字は次のとおりです。キユーソー流通システムは2025年11月30日時点、ほかは2026年3月31日時点の数字です。

  1. 三菱倉庫:40.7歳・15.6年・943万883円
  2. 三井倉庫ホールディングス:42.3歳・12.9年・847万3,000円
  3. 住友倉庫:37.9歳・12.9年・844万1,000円
  4. 澁澤倉庫:42歳9ヵ月・17年5ヵ月・821万5,906円
  5. 安田倉庫:39.5歳・12.8年・771万5,711円
  6. 日本トランスシティ:40.6歳・15.7年・734万2,782円
  7. 上組:41.6歳・16.9年・703万8,681円
  8. キユーソー流通システム:40.1歳・15.1年・607万143円

住友倉庫は8社の中で平均年齢が最も低い37.9歳で、平均年間給与は三井倉庫ホールディングスとの差が3万2,000円です。報告書を出した会社の従業員数は、上組の3,633人から三井倉庫ホールディングスの291人まで、10倍以上の開きがあります(EDINET)。平均年間給与だけで比べず、平均年齢と平均勤続年数、何人の平均なのかを横に並べてから比べましょう。

有価証券報告書で倉庫大手を確かめる手順

倉庫業界の大手企業ランキングについて公開されている情報を確かめている場面のイラスト

次の3つの手順で、この記事と同じ数字にたどり着けます。

STEP1

日本取引所グループの「東証上場銘柄一覧」を開き、33業種の区分が「倉庫・運輸関連業」の会社を確かめます(日本取引所グループ)。このページには、直近の月末時点の一覧が載っています。

STEP2

金融庁のEDINETで会社名を入れて書類を検索し、書類の種類が「有価証券報告書」で、事業年度が最も新しいものを開きます(EDINET)。「主要な経営指標等の推移」で連結の営業収益と決算年月を、「連結損益計算書」の営業収益の内訳で倉庫保管料や倉庫荷役料を確かめます。

STEP3

「従業員の状況」で、報告書を出した会社の従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与を確かめます。続けて「経理の状況」のセグメント情報にある「主要な顧客ごとの情報」で、営業収益の10%以上を占める取引先があるかを見ます。

連結損益計算書に倉庫の収入の内訳がない会社でも、日本トランスシティのように、セグメント情報の「製品及びサービスごとの情報」に倉庫業の売上高を載せていることがあります。住友倉庫、三井倉庫ホールディングス、澁澤倉庫、安田倉庫は、保管に使う倉庫の面積も報告書に載せています。

倉庫業界の大手企業でよくある質問

倉庫業界の大手企業について、就職活動で出やすい4つの疑問に答えます。

陸運の大手が順位に入らないのはなぜですか

NIPPON EXPRESSホールディングス、ヤマトホールディングス、センコーグループホールディングスは、2026年9月末時点の東証上場銘柄一覧で33業種の区分が「陸運業」です(日本取引所グループ)。この記事は「倉庫・運輸関連業」の会社を対象にしているため、倉庫を運営していても順位には入れていません。

倉庫業を営むには許可が必要ですか

倉庫業法では、倉庫業を営もうとする者は国土交通大臣の行う登録を受けなければならないと定めています。許可ではなく登録の制度です。保護預りなどほかの営業に付随して行う保管や、携帯品の一時預りなど、政令で定める保管は倉庫業に含まれません(e-Gov法令検索)。倉庫業者は倉庫ごとに、国土交通省令の基準に従って倉庫管理主任者を選任し、火災の防止などの管理の業務を行わせることになっています。

三井倉庫と三井倉庫ホールディングスの違いは何ですか

三井倉庫ホールディングスは、1942年3月から「三井倉庫株式会社」の社名だった会社が、2014年10月の持株会社制への移行で社名を変えたものです。同じ月に、倉庫事業部門と港湾運送事業部門を三井倉庫株式会社として分社しました。2026年3月期の報告書では、三井倉庫株式会社は資本金50億円で、三井倉庫ホールディングスが議決権の100%を持つ連結子会社です(EDINET)。

倉庫会社の営業収益は伸びていますか

上位8社のうち6社は、最新の期の営業収益が4期前を上回っています。安田倉庫は2022年3月期の530億円から2026年3月期の800億円に増えました。一方、住友倉庫は2,314億円から1,962億円に、三井倉庫ホールディングスは3,010億円から2,994億円に減っています(EDINET)。三井倉庫ホールディングスは、途中の2024年3月期に2,605億円まで減り、そこから2,994億円まで増えています。

倉庫の収入と不動産の利益を確かめて選ぼう

倉庫業界の大手企業は、連結営業収益で見ると三井倉庫ホールディングスが2,994億円で首位に立ち、上組と三菱倉庫が2,000億円台後半に並びます。キユーソー流通システムと住友倉庫が2,000億円前後、日本トランスシティが1,000億円台、安田倉庫と澁澤倉庫が800億円前後です。ただし、上組の物流事業には港湾運送が、キユーソー流通システムの共同物流事業には食品の全国共同配送が含まれ、キユーソー流通システムは決算月も違います。

会社ごとの違いが表れるのは、順位よりも倉庫の収入の大きさと、不動産事業の利益の重みです。気になる会社の有価証券報告書でセグメントごとの営業収益と営業利益を開き、自分が担う仕事と、会社の利益を生む事業を確かめてみてください。

この記事の調査・執筆

就活キャリア研究所編集部

就活キャリア研究所編集部

就活キャリア研究所編集部は、就職・転職活動に役立つ企業情報やキャリアに関する情報を調査・発信する編集チームです。
企業の公式サイトや採用ページ、公開資料などをもとに、事業内容・年収・福利厚生・働く環境・口コミ・評判などを幅広く調査しています。
また、自己分析や面接対策、キャリア形成に関する情報も発信し、就活生や転職希望者が自分に合った企業・仕事を見つけられるよう、正確性と客観性を重視した記事制作に取り組んでいます。

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