高知で入ってはいけない運送会社一覧|死亡事故後の監査と拘束時間の違反

「行政処分を受けた運送会社の名前を集めれば、高知で入ってはいけない会社の一覧になるはず」。四国運輸局は、トラックの事業者が受けた行政処分を、事業者の名前と違反の中身を付けて月ごとに公開しているので、そう考えるのは自然なことです。

ところが、令和3年10月分から令和8年9月分までの資料で、営業所の所在地が高知県の41件を数えると、27件は1つの軽貨物の事業者が県内の27の営業所ごとに受けたものでした。一般貨物の事業者の13件では、8件で拘束時間や休息期間など過労を防ぐ決まりの違反が挙がり、4件は死亡事故をきっかけに監査が入っています。名前を探すより、応募先が運転者の勤務時間と点呼をどう管理しているかを確かめるほうが、見分ける近道になります。

この記事では、特定の会社名を挙げることはしません。処分の資料の読み方から、面接での勤務時間と点呼の尋ね方、令和8年10月29日から1,086円になった高知県最低賃金での賃金の確かめ方まで、就活キャリア研究所の視点で順にお伝えします。使うのは、四国運輸局と高知労働局などが公開している情報です。

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目次

高知の運送会社が処分の資料で見分けにくい3つの理由

高知の運送会社の違いが処分の資料から見えにくいのは、資料が四国4県分まとめて作られ、件数が営業所ごとに数えられ、監査の多くが事故や通報をきっかけに入るためです。

処分の資料に四国4県の分が並ぶから

四国運輸局は、トラックの事業者が受けた行政処分等を「個別の事業者に対する行政処分等の状況」として月ごとに公開しており、徳島・香川・愛媛・高知の4県の分が同じ資料に並びます(四国運輸局)。公表の期間は、原則として行政処分等を行った日から5年間です(四国運輸局)。

資料には「事業者の所在地」と「営業所の所在地」が別々に書かれているので、高知の分は「営業所の所在地」で拾います。県内の営業所が受けた一般貨物の13件のうち2件は、本社が香川県と栃木県にある事業者のものでした(四国運輸局)。

四国運輸局の集計では、令和5年度の高知県のトラック事業者は470者で、平成30年度の495者から毎年減っています。内訳は一般貨物が403者、霊柩が55者、特定貨物が12者で、この集計に軽貨物の区分はありません(四国運輸局)。

件数が営業所ごとに数えられるから

処分の資料は、事業者ごとではなく、処分を受けた営業所ごとに作られます。令和3年10月分から令和8年9月分までの資料で、営業所の所在地が高知県のものは41件ありました(四国運輸局)。

41件のうち27件は、同じ1つの軽貨物の事業者が県内の27の営業所ごとに受けたもので、どれも点呼の実施か記録の違反です。残る14件は、別の軽貨物の事業者の1件と、一般貨物の事業者の13件です。

年度の集計表も同じ数え方です。令和7年度の集計表で、高知の「行政処分等を受けた事業者数」は31です(四国運輸局)。月ごとの資料と照らすと、このうち27は先の軽貨物の事業者の営業所の分でした。集計表の数字は、処分を受けた会社の数ではなく、営業所ごとの件数として読みましょう。

一般貨物自動車運送事業を始めるには国土交通大臣の許可が必要で、三輪以上の軽自動車や二輪の自動車で運ぶ貨物軽自動車運送事業は届出で始められます(e-Gov法令検索)。求人票に「ドライバー」とだけ書かれていたら、応募先がどちらの区分の事業者かを先に確かめましょう。

監査の多くが事故や通報をきっかけに入るから

処分の資料の「違反行為の概要」の欄には、監査に入ったきっかけも書かれています(四国運輸局)。県内の一般貨物の13件のきっかけは、次のとおりです。

  1. 死亡事故:4件
  2. 公安委員会からの通報:4件
  3. 労働局との合同の監査や労働局からの通報:3件
  4. 監査方針に基づく監査:1件
  5. 利用者などからの苦情:1件

軽貨物の27件は、いずれも事業者自身からの報告をきっかけに監査が入ったものです。処分の多くは、事故や通報、事業者自身の報告をきっかけに違反が見つかった結果です。資料に名前がないことは、違反がないことの証明にはなりません。

高知で避けたい運送会社に共通する4つの特徴

高知で避けたい運送会社の4つの特徴を示した図(拘束時間・点呼・乗務の記録・運転者指導)

高知で避けたい運送会社に共通するのは、運転者の勤務時間、点呼、乗務の記録、運転者への指導という、法令で決められた仕事が抜けていることです。県内の一般貨物の13件で違反に挙がった項目から、確かめたい4つを整理します。

  1. 拘束時間と休息期間を守らせていない
  2. 点呼の実施と記録が欠けている
  3. 乗務の記録と運転者等台帳が整っていない
  4. 運転者への指導を省いている

拘束時間と休息期間を守らせていない

事業者は、休憩や睡眠、勤務後の休息の時間が十分に取れるように、国土交通大臣が告示で定める基準に従って運転者の勤務時間と乗務時間を定め、守らせなければなりません(e-Gov法令検索)。県内の一般貨物の13件のうち8件で、この決まりの違反が挙がりました。拘束時間や連続運転時間の限度を超えた乗務や、休息期間が十分に取れていない乗務があったという内容です(四国運輸局)。

基準の中身は、厚生労働省の改善基準告示です。トラック運転者の1日の拘束時間は13時間以内が基本で、延長しても15時間が限度です。休息期間は勤務の終了後に継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回ってはなりません。連続運転時間は4時間までで、その間に1回おおむね10分以上、合計30分以上の中断が必要です。サービスエリアなどに止められずやむを得ない場合は、連続運転時間を4時間30分まで延ばせます。休息期間の分割、2人乗務、隔日勤務、フェリーに乗る場合、事故や故障などで予期せず遅れた場合と、後で述べる長距離の運行には、別の決まりがあります(厚生労働省)。

面接では「出庫から帰庫までの拘束時間は、いちばん長い日で何時間ですか」と尋ねてみてください。

点呼の実施と記録が欠けている

事業者は、運転者が運行の業務を始める前と終えた後に、対面か、国が対面と同等の効果があると定めた方法で点呼を行います。運行上やむを得ない場合は、電話などの方法も認められています。業務の前の点呼では、酒気帯びの有無や、疾病・疲労・睡眠不足などで安全に運転できないおそれの有無を確かめ、点呼の記録は1年間保存します(e-Gov法令検索)。

県内の一般貨物の13件のうち10件で、点呼の実施か記録の違反が挙がりました(四国運輸局)。早朝や深夜に出発する便があるなら、その時間の点呼を営業所の誰が担当しているかを尋ねましょう。

乗務の記録と運転者等台帳が整っていない

事業者は、運転者ごとに業務の開始と終了の地点と日時、休憩や睡眠の地点と日時などを記録させ、1年間保存します。荷主の都合で集貨や配達の地点で待った場合は、到着や出発の日時なども記録します。一般貨物などの事業者は、車両総重量7トン以上か最大積載量4トン以上のトラックについて、運行記録計で瞬間速度、運行距離、運行時間を記録します(e-Gov法令検索)。

一般貨物の事業者は、運転者ごとに免許の情報や健康状態、起こした事故の概要などを書いた運転者等台帳も作ります(e-Gov法令検索)。県内の13件では、業務の記録の違反が8件、運行記録計の違反が4件、運転者等台帳の違反が6件挙がりました(四国運輸局)。記録が残っていない会社では、働いた時間を後から確かめる手がかりが残りません。

運転者への指導を省いている

事業者は、国が告示で定めるところにより運転者を指導・監督し、その内容を記録して営業所で3年間保存します。死者か、医師の治療が11日以上必要なけが人が出た事故を起こした運転者、新たに雇い入れた運転者、65歳以上の運転者には、特別な指導を行い、適性診断を受けさせます(e-Gov法令検索)。

県内の13件では、指導と監督の違反が6件、特別な指導か適性診断の違反が3件挙がりました。3件の中には、65歳以上の運転者への特別な指導が不適切だったものや、新たに雇い入れた運転者に適性診断を受けさせていなかったものがあります(四国運輸局)。

一般貨物などの事業者は、新たに雇い入れた運転者に、法令や安全な運転に関する事項を15時間以上、実際に運転させる安全運転の実技を20時間以上指導します。乗務する前の3年間に、他の一般貨物などの事業者で運転者として常時選任されていた人は対象外です。軽貨物の事業者が、初めて乗務する運転者に行う指導は5時間以上で、実技は可能な限り行うものとされています。こちらも、乗務する前の3年間に他の事業者で運転者をしていた人などは対象外です(国土交通省)。未経験で入る人は、独り立ちまでに誰が何時間添乗してくれるかを尋ねてください。

県外への長距離便で確かめたい決まり

県外へ荷物を運んで何日も戻らない便がある会社では、1回の運行の長さと、宿泊を伴う運行での休息の取り方を確かめておく必要があります。

国土交通省の基準は、運転者が1回の運行で最初の勤務を始めてから最後の勤務を終えるまでの時間を、フェリーに乗っている間の休息期間を除いて144時間までとしています(国土交通省)。県内の一般貨物の13件のうち2件で、この144時間を超えていた運転者がいたという違反が挙がりました。1か月の拘束時間の限度を超えて乗務していた者がいたという違反も、2件で挙がっています(四国運輸局)。

改善基準告示では、1週間の運行がすべて1回の走行距離450km以上の長距離貨物運送で、休息期間を住所地以外の場所で取る場合、1週について2回まで、1日の拘束時間を16時間まで延ばし、休息期間を継続8時間以上とすることができます。休息期間のいずれかが9時間を下回ったときは、運行の終了後に継続12時間以上の休息期間を与えます(厚生労働省)。

1か月の拘束時間は284時間以内、1年は3,300時間以内が原則です。労使協定を結べば、年6か月まで1か月310時間、1年3,400時間まで延ばせますが、284時間を超える月は連続3か月までです(厚生労働省)。

一般貨物などの事業者は、運転者が長距離運転や夜間の運転に従事し、疲労などで安全な運転を続けられないおそれがあるときは、交替する運転者をあらかじめ配置しておかなければなりません(e-Gov法令検索)。県外への便がある会社では、1回の運行が何日になるか、交替の運転者がいるかを面接で尋ねましょう。

高知労働局が令和6年度に長時間労働が疑われる136の事業場を監督した結果では、運輸交通業の10事業場のうち8事業場で労働基準関係法令の違反が、7事業場で違法な時間外労働が見つかりました(高知労働局)。運輸交通業は道路貨物運送業を含む区分で、トラックの事業場だけの数ではありません(高知労働局)。

四国運輸局と高知労働局の情報で確かめる手順

高知で入ってはいけない運送会社一覧について公開されている情報を確かめている場面のイラスト

応募先の会社は、四国運輸局と高知労働局などが公開している情報を使って、次の3つの手順で確かめられます。

STEP1

四国運輸局の行政処分等の状況のページから月ごとの資料を開き、「営業所の所在地」が高知県のものに目を通します(四国運輸局)。全国分は、国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで調べられます(国土交通省)。

STEP2

同じページにある「行政処分累積点数が20点を超える貨物自動車運送事業者」の一覧で、応募先の名前と点数、主な違反行為を確かめます(四国運輸局)。

STEP3

高知労働局の「労働基準関係法令違反に係る公表事案」で、送検などで公表された事案を確かめます(高知労働局)。全国の労働局の公表事案は、厚生労働省のページで見られます(厚生労働省)。

令和8年9月30日に更新された高知労働局の公表事案の一覧には、3件が載っています(高知労働局)。一覧に載るのは、労働基準関係法令違反の疑いで送検して公表した事案などで、掲載期間は公表日からおおむね1年です(厚生労働省)。送検などに至らない違反は一覧に載らないので、載っていないことを安心の材料にはしないでください。

処分日車数と違反点数の読み方

輸送施設の使用停止の処分の重さは「日車」で表され、10日車までごとに1点の違反点数が付きます。点数は事業者ごとに運輸局の管轄区域単位で累計され、累計の期間は原則3年間です。たとえば20日車の処分は、所属する車両が10両以下の営業所なら、1両を20日間使えなくする形になります(国土交通省)。

令和8年9月30日時点の累積点数の一覧に載っている2つの事業者は、どちらも高知県内の営業所の処分の資料には出てきません(四国運輸局)。県内の一般貨物の13件で、処分の時点の事業者の点数は最も高い件でも12点でした(四国運輸局)。一覧に載らない点数でも処分を受けていることがあるので、STEP1の月ごとの資料とあわせて読みましょう。

Gマークの認定の見方

処分の資料とは逆に、安全への取り組みが評価された事業所の一覧もあります。全日本トラック協会は、トラック運送事業者の取り組みを事業所単位で評価し、基準を満たした事業所を安全性優良事業所(Gマーク)に認定しています。2025年12月16日現在の認定は29,210事業所で、全事業所の34.4%にあたります(全日本トラック協会)。

同協会が公開している一覧(2026年10月1日更新)に載っている高知県の事業所は156で、このうち高知市が69、南国市が41です(全日本トラック協会)。認定は会社単位ではなく事業所単位なので、配属される営業所の名前で確かめてください。

高知県最低賃金1,086円で確かめる賃金

提示された賃金が法律の下限を満たしているかどうかは、高知県最低賃金と照らせば自分で確かめられます。

10月29日から1,086円になった高知県最低賃金

高知労働局は、高知地方最低賃金審議会の答申に基づき、高知県最低賃金を時間額1,023円から1,086円に改正しました。効力が生じたのは令和8年10月29日で、63円の引上げです(高知労働局)。

高知県最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、県内の事業場で働く臨時、パートタイマー、アルバイトなどを含むすべての労働者に適用されます(高知労働局)。令和8年10月28日までの賃金は1,023円と、10月29日からの賃金は1,086円と比べます。

最低賃金と比べる時間額の出し方

月給で比べるときは、実際に支払われる賃金から次の6つを除きます(厚生労働省)。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える労働に対する賃金(時間外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の日の労働に対する賃金(休日割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの労働に対する賃金のうち、通常の賃金を超える部分
  6. 精皆勤手当、通勤手当、家族手当

残った額を1か月平均所定労働時間で割り、最低賃金と比べます(厚生労働省)。たとえば1か月平均所定労働時間が168時間の会社なら、10月29日からは、6つを除いた月給が1,086円×168時間で182,448円以上あることが必要です。求人票の固定残業代は時間外労働への支払いにあたるので、比べる額に含めません。

歩合給のように出来高払制で決まる賃金は、その総額を、その賃金計算期間に出来高払制で働いた総労働時間で割って時間額に直します(厚生労働省)。労働基準法は、出来高払制その他の請負制で使用する労働者について、労働時間に応じた一定額の賃金を保障するよう使用者に求めています(e-Gov法令検索)。歩合の割合が高い求人では、保障給の額を書面で確かめてください。

高知の運送会社選びでよくある質問

高知県で運送会社を選ぶときに出てくる4つの疑問に答えます。

高知の運送会社の処分歴はどこで調べられますか

四国運輸局が、高知県を含む四国4県の行政処分等を月ごとの資料で公開しています。累積点数が20点を超える事業者の一覧も同じページにあります(四国運輸局)。全国分は、国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで調べられます(国土交通省)。

高知県の最低賃金はいくらですか

令和8年10月29日から時間額1,086円です。それまでは、令和7年12月1日から適用されていた1,023円でした(高知労働局)。

高知の運送業で労働災害はどのくらい起きていますか

高知労働局の集計では、令和7年に県内の道路貨物運送業で、死亡か休業4日以上となった労働災害の死傷者は70人で、令和6年の67人から3人増えました(高知労働局)。令和8年は9月末時点の速報で48人です(高知労働局)。

軽貨物の仕事でも出発前の点呼はありますか

あります。貨物自動車運送事業法でいう貨物自動車運送事業には、一般貨物と特定貨物に加えて貨物軽自動車運送事業も含まれます(e-Gov法令検索)。点呼を定めた輸送安全規則の決まりは、この貨物自動車運送事業者に課されています(e-Gov法令検索)。県内の営業所が受けた軽貨物の28件も、すべて点呼の違反が挙がったものでした(四国運輸局)。

処分の名前より勤務時間と点呼の管理で選ぼう

令和3年10月分から令和8年9月分までの処分の資料では、高知県の41件のうち27件が1つの軽貨物の事業者の営業所の分でした。一般貨物の13件では、8件で拘束時間などの違反が、10件で点呼の違反が挙がり、4件は死亡事故をきっかけに監査が入っています。

処分の資料と累積点数の一覧、公表事案、Gマークの認定に目を通したら、面接では拘束時間がいちばん長い日の時間、点呼の担当、1回の運行の日数と交替の運転者、独り立ちまでの指導の時間を尋ねてみてください。名前の有無で決めるのではなく、勤務時間と点呼の記録を見せながら説明できる会社を選んでいきましょう。

この記事の調査・執筆

就活キャリア研究所編集部

就活キャリア研究所編集部

就活キャリア研究所編集部は、就職・転職活動に役立つ企業情報やキャリアに関する情報を調査・発信する編集チームです。
企業の公式サイトや採用ページ、公開資料などをもとに、事業内容・年収・福利厚生・働く環境・口コミ・評判などを幅広く調査しています。
また、自己分析や面接対策、キャリア形成に関する情報も発信し、就活生や転職希望者が自分に合った企業・仕事を見つけられるよう、正確性と客観性を重視した記事制作に取り組んでいます。

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